『5分間ミステリー』
作者:ケン・ウェバー
(本業はカナダ・トロント大学教育学の教授。クイズ・マニアを自称し、クイズを書き続ける。『5分間ミステリー』で1989年度「ゲームズ・マガジン」最優秀パズル・ブック賞を受賞)
訳者:片岡しのぶ他
扶桑社ミステリー文庫
発売:1994年11月30日初版
定価:485円(初版時 税抜き)
原題は“Five-Minute Mysteries”で1988年刊行。。ここでいう「ミステリー」はなぞなぞくらいの意味。本書は37問のクイズが収録されている。問題の答は、次の問題文の後に書かれている。この形式は、はっきり言って読みにくい。やはり答は、問題文の後に、ページを分けて書いてほしいものだ。
問題は、供述や行動から矛盾を見つけだすもの、幾何学的なパズル、幾つかの証言から犯人当てをするものなど、ミステリークイズとしてはよくあるものばかりである。中には「17台の車を3人で分ける」という有名なクイズまで収録されているので、オリジナルなクイズと、根本部分を転用したクイズが半々ぐらいではないだろうか。タイトルの“5分間ミステリー”も昔からある形で、日本でも藤原宰太郎などが同タイトルで本を出している。
本書は発売された当時はそれほど売れなかったものの、本屋などでポップをつけて売り出したところ、クイズブームと重なり、重版を重ねたときく。電車の中で気軽に……というタイプのクイズは意外と少ないが、寝る前にちょっと脳のトレーニングをしようという人には最適のクイズ集である。この手の推理クイズ本が激減していたため、かえってオーソドックスな推理クイズ集が売れたのだろう。この後、推理クイズ本の出版が再熱し、幾つかの出版社で“○分ミステリー”が刊行されたのは記憶に新しい。
ウェバーはこの後も多くのクイズ集を出版している。日本でも順調に訳され、版を重ねているようだ。本書はその記念すべき一冊目なのである。
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