ドナルド・J・ソボル『もっと2分間ミステリ』


ドナルド・J・ソボル『もっと2分間ミステリ』
(早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫)




『もっと2分間ミステリ』 『もっと2分間ミステリ』

 作者:ドナルド・J・ソボル
 (1924年ニューヨーク生まれ。著書が60冊以上ある児童書作家。オーバーリン大学を卒業後、新聞記者からフリーライターに。1963年から開始した「少年探偵ブラウン」シリーズは、“百科事典”の異名を取る博覧強記な少年が、警察署長の父親に代わって毎回事件を解決するというミステリで、世界じゅうで愛読されている。同シリーズの功績によって、1976年にはアメリカ探偵作家クラブから特別エドガー賞を授与された)

 訳:武藤崇恵

 発行:早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫

 発売:2003年12月15日初版

 定価:514円(初版時 税抜き)





 青酸カリの瓶を握ったまま死んでいた男は自殺か、はたまた……スーパーマーケット強盗の共犯が残した奇妙な暗号とは? 毎年必ず優勝するマラソン選手の不正を暴け! 警察も頭を抱える難事件、怪事件の数々を、快刀乱麻、鮮やかに解決する名探偵ハレジアン博士。きみは博士の頭脳にどこまで迫れるか? 難易度がさらにアップした、大好評の推理クイズ集第二弾。巻末にきみの“名探偵度”を判定する「名探偵診断書」付き

(裏表紙より)


 原題はMore Two-Minute Mysteriesで1971年発行。前作『2分間ミステリ』と同様、二〜三ページの短い推理クイズ六十二問とその答から成っている。答はうっかり目に入らないように、天地逆に刷ってある。正直いうと、これは見にくい。別ページにしてあれば、特に問題はなかったものと思えるのだが。
 主人公は博識ハレジアン博士。他の登場人物に、ガールフレンドのオクタヴィア。ウィンターズ警視とモナハン保安官。ガセネタばかりたれ込んではウィンターズ警視に蹴飛ばされるたれ込み屋のニック。一攫千金を夢見続けては失敗ばかりするイギリス人青年、バーティ・ティルフォード。ハレジアン博士をへこませることに生き甲斐を感じている大富豪、シドニー夫人。失敗ばかりのプレイボーイ、シリル・マーキン。これらの面々も健在である。

 前作『2分間ミステリ』と同様、登場人物や容疑者の発言、行動などの矛盾からハレジアン博士が事件を解決したり、間違いを指摘したりするスタイルを取っている。前作と異なるのは、アメリカならではの常識(Q16、20など)問題が複数存在することか。残念ながらこれらは、日本人ではちょっと解けない問題である。
 登場するキャラクターも楽しいし、いくつかの問題を除けば確かに2分間で解くことの出来るクイズばかりである。頭の体操には最適なシリーズだろう。


【その他の推理クイズ本作品リスト】に戻る