推理作家11人会『3分間推理クイズ』


推理作家11人会『3分間推理クイズ』
(二見書房 WAi-WAi文庫)




『3分間推理クイズ』 『3分間推理クイズ』
 名探偵に挑戦!

 著者:推理作家11人会

 二見書房 WAi-WAi文庫

 発売:1998年3月25日初版

 定価:486円(初版時)





 殺人事件が発生しました。現場に到着した捜査員からの報告によれば、どうやら、とびきり難解な事件のようです。
 あなたもすぐに駆けつけて、仕かけられたトリックを解明し、犯人逮捕に協力してください。
 ミステリーの世界では、これまでに、シャーロック・ホームズ、コロンボをはじめとして、エリュキュール・ポアロ、ブラウン神父、明智小五郎、金田一耕助など、たくさんの名探偵が登場してきました。
 彼らは難解な事件を、ことごとくみごとに解決してきましたが、当然ながら、報告を聞くなり、アッという間にすべてを見破ったわけではありません。
 現場を子細に観察し、関係者の証言を集め、さまざまな角度から事件を眺めて、真相に到達したのです。
 あなたも、彼ら名探偵と同様に、鋭い観察眼で事件を見つめてみてください。そして、彼らのように、謎をあざやかに解き明かしてください。
 本書のなかで発生する事件は四十九。
 不可能犯罪、密室、ダイイング・メッセージ、暗号など、謎は多岐にわたり、さまざまな形をとって、あなたに挑んできます。
 事件の詳細を知ったときには、とても解明できそうにない、と思うかもしれません。
 なにしろ、犯人には強力な助っ人がいるのですから。
 その助っ人というのは、十一人の若手の現役作家たちです。彼らが全精力を傾けて考案したオリジナル・トリックが、犯人を支援しているのです。簡単に真実を明らかにできるはずがないのです。
 でも、諦めてはいけません。
 現場を詳しく観察し、発見者や関係者の証言に注意深く耳を傾けてみれば、きっと、どこかに隠されている手がかりに気づくはずです。
 さっきも書いたように、名探偵たちは、そうやって事件を解いてきたのです。おなじようにすれば、あなたも、きっと、彼らの仲間入りができるはずです。
 なかには、そのまま長編推理小説になりそうな超難解な謎や、前代未聞といわれるようなトリックもあります。
 もし、これらすべてが解けたら、文句なしにあなたは名探偵です。十一人のトリック考案者も、心から拍手を送るでしょう。
 この十一人は、これまでも、二見書房から『犯人探し推理ゲーム』などを書いてきましたが、今回、さらにパワーをつけて、新たなシリーズとしてみなさんに挑戦することになりました。
 選りすぐりの謎を、お届けします。
 どうぞ、お楽しみください。
 なお、推理の制限時間は「三分間」といたします。すぐに「答」まで読み進まず、事件の謎にチャレンジしてください。

(「はじめに」矢島誠 より)


【目 次】
 第1章 密室殺人のカラクリを解け!
 第2章 巧妙に仕組まれたトリックを暴け!
 第3章 隙のないアリバイを崩せ!
 第4章 ダイイング・メッセージから犯人を追え!
 第5章 不可解な凶器の謎に迫れ!
 第6章 難解な暗号に挑戦せよ!
 第7章 現場百回で犯人を洗い出せ!


 執筆者は藍木訓、秋月達郎、芦川淳一、いちかわ・さとし、岡本賢一、嘉祥マーシ、佐藤千歳、夏野百合、早瀬みずち、矢島誠、矢矧零士の11名。一部を除いて単独の名前ではとても本を出せそうにないので、とりあえず“推理作家11人会”という名前を付けてみました、と言わんばかり。二見書房の前作『犯人探し推理ゲーム』の著者“推理作家13人会”とだぶっているのは、藍木訓、いちかわ・さとし、夏野百合、矢島誠だけである。推理クイズ本を出すために寄せ集めたという表現がピッタリ来る。
 今回もまた“オリジナル・トリック”とあるが、半数近くが既存のトリックからの引用であり、若干バリエーションを加えている程度で新味に欠ける。また、機械的トリックが多く、問題文の説明が足りないため、解答を読んでも面白味が全くない。“前代未聞なトリック”って、どの問題を指しているのだろう。
 もう少し、推理クイズの勉強をしてほしい。ただ適当なトリックを考案して喜んでいるのではなく、いかにフェアな問題を作ることができるかを考えてほしい。


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