無期懲役判決リスト 2014年度





 2014年に地裁、高裁、最高裁で無期懲役の判決が出た事件のリストです。目的は死刑判決との差を見るためです。
 新聞記事から拾っていますので、判決を見落とす可能性があります。お気づきの点がありましたら、日記コメントなどでご連絡いただけると幸いです(判決から7日経っても更新されなかった場合は、見落としている可能性が高いです)。
 控訴、上告したかどうかについては、新聞に出ることはほとんどないためわかりません。わかったケースのみ、リストに付け加えていきます。
 判決の確定が判明した被告については、背景色を変えています(控訴、上告後の確定も含む)。



地裁判決(うち求刑死刑)
高裁判決(うち求刑死刑)
最高裁判決(うち求刑死刑)
23(0)
17(2)+4
13(2)

 司法統計年報によると、一審:23件、控訴審21件(棄却19件、破棄自判2件。上告16件、上告取り下げ1件)、上告審19件。


【2014年度の無期懲役判決】

氏 名
築山栄(62)
逮 捕
 2011年4月30日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人、殺人未遂
事件概要
 大阪市東淀川区の無職築山栄被告は2011年4月27日午前2時35分頃、同市豊島区のアパート2階で、知人男性(当時44)の部屋で男性の首をナイフで刺して失血死させた。さらに室外に逃げ出した知人男性の元妻(当時39)の首などをナイフで切り付けて殺害。別の部屋から2人を助けようと出てきた男性(当時68)の首を刺して重傷を負わせた。その後、裏の非常階段から逃走した。
 築山被告、知人男性と女性は聴覚障害者で10数年前に知り合ったが、数年前から三角関係にあり、金銭トラブルも抱えていた。
 交友関係や重傷の男性の目撃証言より築山被告が浮上。大阪府警は4月30日午後、築山被告に任意同行を求め、事情を聞いたところ犯行を認めたため逮捕した。
裁判所
 最高裁第二小法廷 小貫芳信裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年1月21日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 不明。
備 考
 2012年11月15日、大阪地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2013年7月5日、大阪高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
小林繁(69)
逮 捕
 2012年4月23日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、現住建造物等放火
事件概要
 川口市のタクシー運転手、小林繁被告は2012年1月6日午後9時半ごろ、川口市の義母(当時89)方1階居間にガソリンをまいて火を付け、木造2階建て住宅約90平方メートルを全焼させて義母に重いやけどを負わせ、約1カ月後の2月7日に多臓器不全で死亡させた。
 4月23日、埼玉県警は小林繁を殺人と現住建造物等放火容疑で逮捕した。出火後に義母が自力で逃げた際、「石油ストーブでやられた」という趣旨の話をしていたといい、小林被告が火災前に訪れていた内容を話したという。県警は失火の可能性がないことや、小林被告に出火当時のアリバイがないことから逮捕に踏み切ったとしている。
 小林被告の妻は、被害者の長女(2011年6月に病死)。3人は2009年8月から2011年5月まで、義母宅で同居していた。
裁判所
 東京高裁 金谷暁裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年1月24日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 一審同様弁護側は「放火していない」と無罪を主張していたが、金谷裁判長は「被害者が火災の直後、警察官らに被告による放火を説明しており、この供述は信用できる」と判断した。
備 考
 2013年1月30日、さいたま地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2014年8月27日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
本田祐樹(26)
逮 捕
 2012年3月3日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、強盗強姦、住居侵入、窃盗、強制わいせつ
事件概要
 市川市の無職本田祐樹被告は以下の事件を引き起こした。

<第1区分>
 本田被告は2011年6月4日未明、県内の女性の自宅マンションに侵入、女性を刃物で脅して体を触るなどのわいせつな行為をした。
<第2区分>
 本田被告は2011年6月9日午前1時35分ごろ、松戸市内の30代の女性会社員宅に、鍵のかかっていない高窓から侵入。室内にいた女性を包丁のようなもので脅し、現金約6000円や預金通帳などを奪った上、強姦した。
<第3区分>
 本田祐樹被告は2011年6月10日午後11時半ごろ、市川市に住む大学2年の女性(当時19)宅に侵入し、キャッシュカードや通帳など7点(時価約14,630円相当)を強奪。女性を車で連れ去り、車内で強姦したうえ、頭にポリ袋をかぶせて窒息死させた。その後、キャッシュカードを使って現金自動預け払い機で現金50万円を引き出した。女性の遺体は11日午後2時半ごろ、全裸で両手を縛られた状態で近くに住む男性に発見された。本田被告と女性とは面識がなかった。

 6月上旬に市川市などで女性宅を狙った強盗などが3件あり、犯人の男は、胸にキャラクターのイラストが入った黒っぽいジャージー姿だった。このため、県警は同一犯とみて被害者の証言に基づき、似顔絵を作成して捜査を進めていた。
 6月12日午後6時15分頃、市川駅前交番の警察官が、同じキャラクターのイラスト入り黒色ジャージーを着て歩いている本田被告に職務質問。身元を確認したところ、強殺事件の被害者の頭にかぶせられていたレジ袋の指紋から、捜査線上に浮上していた本田被告であることが判明した。
 7月3日、第3区分の窃盗容疑で再逮捕。死体遺棄容疑は処分保留。7月24日、窃盗容疑で起訴。8月10日、第2区分の事件で強盗強姦容疑などで再逮捕。9月12日、第3区分の強盗殺人などで再逮捕。10月3日、強盗殺人などで追起訴。10月12日、強盗強姦罪などで追起訴した。12月20日、死体遺棄容疑について不起訴(嫌疑不十分)とした。地検は「死体を遺棄したと認定するには証拠が不十分」と説明している。
裁判所
 東京高裁 八木正一裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年1月24日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 控訴審で弁護側は一審に続き、殺害について「別の男の犯行だ」と無罪を主張したが、八木裁判長は「第三者が関与した具体的な事情はなく、被告が殺害したとする一審の判断に不合理な点はない」と結論づけた。
備 考
 2013年3月15日、千葉地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2014年1月24日、東京高裁で被告側控訴棄却。2015年3月17日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
竹中誠司(26)
逮 捕
 2011年3月11日
殺害人数
 2名
罪 状
 強盗殺人、窃盗、詐欺
事件概要
 住所不定、無職竹中誠司被告は2011年8月7日午前5時15分頃、金品を奪う目的で、かつて仕事で訪問したことのある印刷会社役員の男性(当時64)方である広島市中区のお好み焼き店兼住宅に、無施錠の1階勝手口から室内に侵入。2階和室にいた男性とその妻でお好み焼屋経営の女性(当時61)を、台所にあった文化包丁(刃渡り約17cm)で刺して失血死させた。
 男性の携帯電話の通信記録などから、当時は広島市内に住んでいた竹中被告が浮上。現場には血のついた裸足の足跡などが残され、この足紋が竹中被告のものと一致したことから、広島県警広島中央署捜査本部は11月19日、竹中被告を殺人容疑で逮捕した。
 竹中被告は2011年9月、盗んだクレジットカードを使った詐欺容疑で島根県警に逮捕され、松江地裁益田支部で公判中だった。
 竹中被告は6月に会社を辞め、事件当時は友人宅やインターネットカフェに寝泊まりしていた。
 竹中被告は「2人に恨みはなかったが、金が欲しかった」と供述したことから、捜査本部は21日、強盗殺人に容疑を切り替え、竹中被告を広島地検に送検した。
 竹中被告は他に、2011年8月1日夜から2日朝にかけて、広島市西区の会社事務所に侵入し、約35万円を盗んだ。殺害事件後の8月15日〜9月11日、山口市や島根県益田市内の住宅でゲーム機や財布を盗むなどした。
裁判所
 広島高裁 木口信之裁判長
求 刑
 死刑
判 決
 2014年2月3日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 2013年11月12日の控訴審初公判で、弁護側は「解離性健忘により犯行当時の記憶がないのに、自白調書が完成しているのは信用性がない。捜査段階で犯行を認めた供述調書は刑事や検事が被告を誘導して作成した」と改めて無罪を主張した。被告人質問で竹中被告は「(事件のことは)覚えていない。分からない」と繰り返し、謝罪の言葉はなかった。検察側は控訴棄却を求めて、即日結審した。
 判決で木口裁判長は「取り調べで供述拒否権は適切に告げられていた」と指摘。「調書の信用性を肯定し、犯人と認定した原判決の判断に誤りはない」と述べた。また竹中被告の解離性健忘の主張も退けた。
備 考
 数年前に強盗致傷容疑で逮捕され、執行猶予判決を受けた前科がある。
 2013年3月13日、広島地裁の裁判員裁判で求刑死刑に対し一審無期懲役判決。被告側は上告した。2014年9月17日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
齊藤健一(44)
逮 捕
 2012年12月12日(強要未遂容疑。2013年1月3日、殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、窃盗、強要未遂、電磁的公正証書原本不実記録・同供用
事件概要
 熊本市の指定暴力団道仁会系組幹部齊藤健一被告は、知人の無職S被告と共謀。2012年10月20日午前3時ごろ、約3億円の保険金を掛けた熊本市の無職男性(当時45)を、熊本市北区の県道で軽乗用車とトラックではね、殺害した。
 斉藤被告は事件に先立ち、同日午前0時半ごろ、熊本市内の駐車場から軽乗用車(30万円相当)を盗んだ。また10月23日頃、熊本市の男性(当時52)に対し、自らが暴力団組員であるなどと脅し、事件の犯人として出頭するよう要求した。
 斎藤被告と被害者の男性は約10年前に知り合った。交通事故を装ってけがをし、保険金をだまし取る計画を男性に持ち掛けており、男性11社計約3億円の保険金がかけられ、掛け金の一部は斉藤被告が負担していた。斉藤被告と無職女性が共謀し、重度の知的障害をもつ女性の長女と斉藤被告を偽装結婚させていた。保険金の受取人は妻や無指定のものもあったが、請求はなく、支払われていない。
 12月12日、強要未遂容疑で斉藤健一被告とS被告が逮捕された。2013年1月3日、殺人容疑で斉藤被告、S被告が再逮捕され、無職女性が逮捕された。1月8日、窃盗容疑で無職男性が逮捕された。1月24日、齊藤被告と無職女性が電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で再逮捕された。同日、無職女性の殺人容疑は処分保留となった(後日、不起訴)。
裁判所
 福岡高裁 服部悟裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年2月5日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 齊藤被告は、ひき逃げの身代わりに知人男性に出頭するよう強要したとされた点に事実誤認があるとして、控訴。服部裁判長は「知人の証言は一貫しており信用できる。否認する被告の供述は信用できない」と述べた。
備 考
 斉藤被告の犯罪計画を知りながら、2012年9月に熊本市の飲食店で知人に譲った軽乗用車の合鍵を斉藤被告に渡して市内の駐車場に案内したとして殺人ほう助、窃盗ほう助に問われた男性は2012年5月24日、熊本地裁(松尾嘉倫裁判長)で求刑通り懲役6年の判決を受けた。2013年9月12日、福岡高裁(川口政明裁判長)は被告側控訴を棄却した。
 斎藤被告らと共謀し、重度の知的障害の長女と被害者の男性を2012年3月2日に偽装結婚させたとして電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪に問われた無職女性は2013年3月22日、熊本地裁(小松本卓裁判官)で懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を受けた。殺人容疑では不起訴処分(容疑不十分)となっている。控訴せず確定。同件では被害者の男性も書類送検され、容疑者死亡で不起訴となっている。
 共犯のS被告は2013年10月7日、熊本地裁(松尾嘉倫裁判長)の裁判員裁判で、懲役19年判決(求刑懲役25年)。従属的な立場であると認定された。2014年3月19日、福岡高裁(古田浩裁判長)で被告側控訴棄却。
 2013年8月30日、熊本地裁の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2014年6月9日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
少年(19)
逮 捕
 2013年3月3日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗未遂、銃刀法違反他
事件概要
 日野市に住む無職少年(事件当時18)は2013年2月28日午前1時48分頃、武蔵野市に住む無職ルーマニア人少年(事件当時17)と共謀し、東京都武蔵野市吉祥寺で通行中のファストフード店店員女性(当時22)の背中2箇所や左手首付近などをペティナイフで刺して殺害。現金1万円入りの財布などの入ったバッグを奪った。直後、現場近くのコンビニエンスストアのATMで女性のキャッシュカードを使って現金を引き出そうとしたが、暗証番号がわからず失敗した。
 通行人からの110番通報で警視庁捜査1課などが捜査を始めた。早朝、ルーマニア人少年をJR吉祥寺駅前で発見し、事情聴取。昨年11月に他の男性名義の通帳を持ち去った占有離脱物横領容疑で同日、逮捕した。この件については、武蔵野署が事情を聞いていたが、その後行方をくらましていた。3月1日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 無職少年は事件後日野市の知人宅に居たが、2日午後11時頃、知人らに付き添われて警視庁日野署に出頭し、3日、強盗殺人容疑で逮捕された。
 2人はともに家出中で、2月上旬に日野市のカラオケボックスで友人を介して知り合い意気投合。その後はゲームセンターなどで一緒に遊んでいた。2人は被害者と面識は無かった。事件前日にゲームセンターで金がなくなり、2人で相談し、刺して金を取ることで合意。凶器のナイフを万引で調達していた。
 東京地検立川支部は3月21日、2人を強盗殺人などの非行事実で、東京家裁立川支部に送致した。東京家裁(山口裕之裁判長)は4月17日、2人について検察官送致(逆送)を決定した。山口裁判長は「結果の重大性や動機に酌むべきものがなく、少年の年齢、環境などの事情を考慮しても、刑事処分以外の措置を相当とすべきだとの判断におよそ至らない」と指摘した。東京地検立川支部は4月26日、強盗殺人などの罪で2人を起訴した。
裁判所
 東京地裁立川支部 倉澤千巌裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年2月7日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年1月28日の初公判で、少年は「殺すつもりはなかった」と起訴事実の一部を否認したが、「申し訳ありませんでした」と謝罪した。
 検察側は冒頭陳述で、少年が鋭利な刃物を使用して、被害者に深い傷を負わせていることなどから、「死ぬ危険性を認識しており、殺意があった」と主張。弁護側は冒頭陳述で、「結果に対する想像力が乏しく、殺意はなかった」と反論し、「処分については、少年の特性をよく見て判断してほしい」と、少年法に基づく家裁への再送致を求めた。
 午後からはルーマニア人少年が証人として出廷し、2人で吉祥寺に向かう道中、互いに「金がない」と話し、自分から「通行人をナイフで脅してキャッシュカードを奪おう」と持ちかけ、合意した、と説明。その後、日本人少年が「もし抵抗されたら困る」「刺した方が確実じゃないか」などと提案した、とした。
 29日の第2回公判で被告人質問ならびにルーマニア人少年に対する証人尋問があり、所々で証言が食い違った。少年被告は「(ルーマニア人少年から)『自分も刺すからお前も刺せ』と言われたが、本当に刺すと思わなかった」と述べた。これに対し、ルーマニア人少年は「脅すのか、刺すのか、というやりとりを交わし、(被告から)『刺していこう』と言われた」と証言した。
 30日の第3回で被害者の父親が検察側証人として出廷し「娘のかたきを取りたい。一番重い罪をお願いします」と訴えた。父親は「(少年は)言い訳ばかりで反省がない。うそ偽りなく罪を認めてほしい」「娘は働いていた。被告人は遊んで暮らそうとしていた。まじめに働いていた人が殺され、世の中おかしい」などと不満をぶつけた。
 2月3日の論告で検察側は、「遊ぶ金欲しさから誰彼かまわず襲った。人の命をかえりみない通り魔的殺人だ」と述べた。そして、ルーマニア人少年が刺したことを確認してから少年も刺したと指摘。「殺意は明らか。若年だが犯罪傾向は根深い」と主張した。ルーマニア人少年と証言に食い違いがあることについては、「互いに責任をなすりつけている」と述べた。
 被害者の両親と姉は被害者参加制度を利用しており、代理人弁護士は、「未成年であること以外に被告に有利な事情はない。死刑を求めたいが、せめて無期懲役にしてほしい」と訴えた。
 最終弁論で弁護側は「利き手でない右手で刺している」などと殺意を否定し、「罪を認識させるためには、少年院での処遇が必要」と主張して、家裁への再送致を求めた。
 判決で倉沢裁判長は、焦点となった殺意の有無について被害者の傷の状況などから「左脇付近という体の枢要部を刺しており、初歩的な常識が分からなかったとは認めにくい。殺意があった」と判断。またルーマニア人との共犯関係においては、「少年2人に上下関係はない」と弁護側の主張を退けた。そして「何の落ち度もない被害者を背後から襲ってペティナイフで突き刺しており、計画的。人通りの少ない時間にいきなり背中を刺す残虐な犯行。金に困ったという動機に酌むべき点は一切ない」と断じ、「人格的な未熟さゆえ、という側面も否定できないが、重大性を考えると無期懲役刑で処断せざるを得ない」と述べた。
備 考
 2013年3月7日発売の『週刊新潮』3月14日号(新潮社)は、2人の実名と顔写真を掲載。同誌編集部は「事件の重大性、凶悪性から未成年でも実名・顔写真の報道が認められた確定判決もあり、今回も、社会の正当な関心に応える上で同様のケースと判断した」としている。一部の書店では、少年法61条違反の疑いがあるとして、取扱いを中止した。また同日発売の『週刊文春』では仮名で目の部分を黒塗りした顔写真を掲載した。
 共犯の少年被告(ルーマニア国籍)は2014年3月4日、東京地裁立川支部(倉澤千巌裁判長)で求刑通り一審無期懲役判決。被告側控訴中。
 被告側は控訴した。2014年7月10日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せず確定。

氏 名
渡辺一彦(46)
逮 捕
 2012年8月19日(詐欺容疑)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、死体遺棄、詐欺、有印私文書偽造・同行使
事件概要
 埼玉県川口市の内装工、渡辺一彦被告は2012年8月8日午前8時半ごろ、同市に住む親族の無職男性(当時68)に依頼されていた内装作業を行うとの名目で、男性方を訪問。午前中に男性の後頭部をハンマーで殴り、電気コードなどで首を絞めて殺害。遺体を床下収納に遺棄し、現金数千円入りの財布や預金通帳を奪った。その後、男性のワゴン車を運転して逃走し、同市内の病院駐車場に放置。徒歩で男性方近くまで戻り、訪問するのに使った車を回収した。さらに、同日午後2時50分ごろ、同容疑者は同市内の金融機関で、男性から奪った預金通帳の現金約38万円を引き出した。
 男性の遺体は16日に発見された。捜査本部は8月19日、金を引き出した詐欺と有印私文書偽造・同行使の容疑で渡辺被告を逮捕。30日、死体遺棄容疑で再逮捕。9月10日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
裁判所
 さいたま地裁 片山隆夫裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年2月21日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年2月10日の初公判で、渡辺被告は死体遺棄について「間違いありません」と認めたが、「金品を奪うために殺害したのではありません」などと一部を否認した。
 検察側は冒頭陳述で、渡辺被告が借金を重ねて追い詰められ、男性方で工事をして代金を得ようとしたが断られたため、殺害して通帳などを奪ったと主張。弁護側は、殺害は工事を断られて動揺しためで、強盗殺人罪ではなく殺人罪と窃盗罪を適用すべきだと訴えた。
 14日の論告で検察側は「被告は何の躊躇もなく男性を殺害し、直後に通帳を奪った。殺害時に金品を奪う目的があったのは明らかだ」と強盗殺人罪の成立を主張。弁護側は「被告の犯行に計画性はなく、金品を奪おうと考えたのは遺体を床下収納に隠した後だ」と訴え、強盗殺人罪ではなく殺人罪と窃盗罪の適用を求めた。
 判決で片山裁判長は、渡辺被告が男性の頭部をハンマーで激しく殴打していることなどから殺意を認定。そして男性方を訪れた渡辺被告が殺害直後に室内を物色し現金詐取に及んだ経緯などから、首を電気コードなどで絞めた時点で金品を奪う意思があったと判断し、弁護側の主張を退け、強盗殺人罪の成立を認めた。そして「被告は遊興費や不倫相手との交際費がかさみ、借金などの返済約十万円を支払えずにいた。殺害後には、まず借金を返済するなど合理的な行動をし、目的を達成している。犯行は冷酷、残忍で、動機に酌むべき点はない」と述べた。
備 考
 控訴せず確定。

氏 名
池田薫(38)
逮 捕
 2010年4月15日(死体遺棄容疑。5月6日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 3名
罪 状
 強盗殺人、死体遺棄
事件概要
 建設会社従業員である池田薫被告は、同社従業員松原智浩被告、リフォーム会社従業員伊藤和史被告、愛知県西尾市の廃プラスチック販売業S被告と共謀。2010年3月24日未明、松原被告が勤める建設会社の実質経営者であり、長野市に住む韓国籍の男性(当時62)方2階で、男性の長男(当時30)に睡眠導入罪を混ぜた雑炊を食べさせて眠らせた。同日午前8時50分頃、長男の様子を見に来た長男の内妻(当時26)が昏睡していることに気付いたため、内妻の首をロープで絞めて殺害。その後、寝室で昏睡していた長男を殺害した。9時25分頃、自室のソファで寝ていた男性を絞殺し、現金約416万円を奪った。さらに3人の遺体を運び出し、長野市内でトラックに積み替えた後、25日午前に愛知県西尾市内の資材置場の土中に埋めて遺棄した。その後、男性の車を関西方面に走らせて3人が失踪したように見せかけ、奪った現金は4被告で山分けし、飲食代や他の借金返済に充てた。
 内妻殺害は松原被告と池田被告、長男殺害は伊藤被告と松原被告、男性殺害は伊藤被告と松原被告が実行している。睡眠導入剤や死体遺棄場所、トラックなどは報酬目当てで参加したS被告が提供した。
 男性は松原被告、池田被告が勤める建設会社ならびに伊藤被告が勤めるリフォーム会社、金融業などを経営。松原被告、伊藤被告は男性方へ住み込みをしていた。S被告は男性の知人だった。
 松原被告は2004年頃、男性宅の内装工事を頼まれたときに金銭トラブルが起きて借金を背負い、男性宅に住み込んで働いていた。池田被告は2009年頃まで長野市内で居酒屋を経営していたが、開店資金を男性から借りていた。S被告は男性の会社と取引があり、伊藤被告に誘われた。
 3月末に男性の親族より3人の捜索願が出たことから、長野県警は男性の自宅周辺などを捜査。4月8日、男性が実質経営するリフォーム会社が借りている長野市の貸倉庫周辺で異臭がするとの情報を入手。10日、貸倉庫内から長男の知人男性の他殺死体が見つかった。一方、県警は松原被告らを事情聴取。供述に基づき4月14日夜、資材置場から3人の遺体を発見。15日未明、4被告を死体遺棄容疑で逮捕した。5月6日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 知人男性の遺体については、伊藤被告、H被告が死体遺棄容疑で起訴された。凶器が見つからず、遺体の損傷も激しくて傷の特定も困難なことから、殺人については起訴が見送られた。また長男も殺人容疑で書類送検されている。
裁判所
 東京高裁 村瀬均裁判長
求 刑
 死刑
判 決
 2014年2月27日 無期懲役(一審破棄)
裁判焦点
 一審で池田薫被告は長男、内妻殺害にかかわったことは認めたが、「男性の殺害には一切関与がない」と述べ、男性殺害については無罪を主張。弁護側は、長男らの殺害は現金を奪う目的はなく、殺人罪の適用にとどまると主張した。
 判決で高木順子裁判長は、証人尋問で「事前に犯行計画を話した」との伊藤和史被告らの証言を「具体的かつ自身に不利な事も積極的に話している」と信用性を認定。「池田被告は犯行の計画概要を知らされていた」と判断した。事前の共謀については「合理的な疑いが残る」と検察側の主張を否定。一方で、「殺害当日、被害者宅で計画の説明を受けた時に強盗殺人についての共謀を遂げた。3人を殺害して現金を強取する意思を有し、共犯者と共謀して実行行為を行った」と共謀を認定するとともに、3人に対する強盗殺人罪の適用を認めた。量刑では「(殺害された妻は)犯行完遂の邪魔者として巻き添えとなり、理不尽な凶行の犠牲者」と、池田被告を厳しく非難。「『伊藤被告に殺される』と思い、やむなく殺害に加わった」との弁護側の主張を「被害者親子への不満という主体的な動機で参加した。池田被告は殺害の実行行為を積極的に行った」と退けた。そして、「3人の尊い命が奪われた犯行結果は重大。犯行態様の執拗性、残忍性も見過ごすことはできず、反省状況を最大限考慮しても被告人の刑事責任は誠に重大。共犯者間の刑の均衡などから、死刑をもって臨まざるを得ない」と指摘した。

 2013年5月21日の控訴審初公判で、弁護側は一審同様、池田被告に強盗の目的はなく、事前の犯行計画の話し合いにも加わらず、男性以外の二人の殺害にとどまるとし、「死刑は相当ではない」と主張した。検察側は控訴棄却を求めた。
 11月7日、結審した。
 判決で村瀬裁判長は、池田被告が事前に計画を断片的にしか聞いておらず、当日急に呼び出され、指示されるまま殺害に加わったと認定し「金目当てに強盗殺人を計画した2人と比べれば役割は大きく違う。これまでの被害者が3人以上の強盗殺人事件とは、動機や計画性など重要な事情が大きく異なり、先例は参考にすべきでない」と指摘。その上で「一審判決には、刑の重さの判断に複数の重要な誤りがあった。被告自身に計画性はなく関与も限定的。強盗の意思も強くない。(死刑の)共犯者とは明らかに違いがある。死刑の選択が真にやむを得ないとは言えない」と極刑を回避した。
備 考
 松原智浩被告は2011年3月25日、長野地裁(高木順子裁判長)で求刑通り死刑判決。2012年3月22日、東京高裁(井上弘通裁判長)で被告側控訴棄却。被告側上告中。
 伊藤和史被告は2011年12月27日、長野地裁(高木順子裁判長)で求刑通り死刑判決。2014年2月20日、東京高裁(村瀬均裁判長)で被告側控訴棄却。被告側上告中。
 S被告は2012年3月27日、長野地裁(高木順子裁判長)で懲役28年判決(求刑無期懲役)。2013年5月28日、東京高裁(村瀬均裁判長)で強盗殺人罪の共謀を認めた一審長野地裁の裁判員裁判判決を破棄、ほう助罪にとどまると判断して懲役18年判決。2013年9月30日、最高裁第一小法廷(山浦善樹裁判長)で被告側上告棄却、確定。

 2011年12月6日、長野地裁(高木順子裁判長)の裁判員裁判で求刑通り死刑判決。東京高検は2014年3月12日、「裁判員裁判重視の立場に変わりはないが、先の2例と比べ、二審判決が著しく不合理とする理由がなかった」として、上告を断念すると発表した。被告側は上告した。2015年2月9日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
皆川昌弘(58)
逮 捕
 2012年11月7日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、非現住検討物等放火、詐欺未遂、窃盗
事件概要
 茨城県常陸大宮市の飲食店従業員、皆川昌弘被告は、知人である住所不定、無職、関戸良一受刑者と共謀。栃木県茂木町の整骨院経営の知人男性から関戸受刑者は約2255万円、皆川被告は約711万円の借金返済を免れようと、2012年6月17日午後8時10分頃、茂木町内のログハウス内で男性(当時63)に睡眠薬を飲ませた後、同18日午前2時45分頃、関戸受刑者の所有するパイプ椅子で頭を数回殴打。昏睡状態の男性を近くの川に突き落として溺死させ、現金1万円を奪うとともに、借金を免れようとした。
 関戸受刑者と皆川被告は1月頃から計画を練り、2月には、フィリピンにある火山に男性を誘い出した。火口に突き落とす計画だったが、観光客が多く断念。5月には、皆川被告が経営するラーメン店で睡眠薬入りラーメンを食べさせ、眠った男性を殺そうと計画したが、睡眠薬が効かなかった。
 それ以前の2011年11月4日午前3時50分頃、二人は関戸受刑者所有の民宿に放火し、漏電による火災として火災保険金約4500万円をだまし取ろうとした。事件当時、民宿は営業していなかった。2012年3月、共済組合に保険金支払い請求書を提出したが、組合は事件10日前に契約を結んだことや出火原因を不審に思い、保険金は支払われなかった。二人は保険金を借金返済に充てようと考えていた。
 2012年6月19日、家族が茂木署に捜査願を提出。23日、男性の遺体が茨城県大洗町の海岸で見つかった。
 仕事をせず車上生活をして困窮していた関戸受刑者は2012年9月8日午前6時20分頃、栃木県下野市の総合病院の屋外喫煙所で、上三川町に住む無職女性(80)の現金約36,000円などが入った巾着袋(計39,000円相当)を突然奪い、乗用車で逃走した。約1時間半後、宇都宮市内のスーパーの駐車場で発見され、窃盗容疑で宇都宮署員に緊急逮捕された。
 11月17日、関戸受刑者と皆川被告が非現住検討物等放火と詐欺未遂容疑で逮捕された。2013年1月7日、両被告が強盗殺人容疑で再逮捕された。
裁判所
 宇都宮地裁 松本圭史裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月3日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年2月24日の初公判で、皆川昌弘被告は「間違いない」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、皆川被告が「殺害を発案し、主体的に犯行に及んだ」と指摘。殺害を決めた後は「『取れるだけ取ろう』と考え、被害者から借金を繰り返した」と述べた。一方弁護側は「やむを得ず被害者から借金をしたが高い金利で返済を求められ、追い詰められていた」と情状酌量を求めた。
 2月28日の論告で検察側は、皆川被告が半年近く前から関戸良一受刑者と被害者の殺害を企てていたことを挙げ、「犯行は計画的で、殺意は確定的。責任は非常に重い」と非難した。弁護側は最終弁論で「被害者から借金の返済の件で追い詰められ、やむを得ず殺害した」として懲役15年が相当と主張した。
 判決で松本圭史裁判長は、弾性を確実に殺害するため皆川被告が睡眠薬を使うことなどを提案したと指摘。弁護側は殺害の実行行為をした無職関戸良一受刑者より刑は減軽されるべきとしたが、「関戸受刑者を心理的に強く後押しし、重要な役割を果たした」と退けた。「動機は身勝手で悪質。殺害を発案し主体的に犯行に及んだ。(借金の返済を免れるためという)動機は身勝手で悪質であり、酌むべき点はない」と断じた。
備 考
 関戸良一受刑者は2013年7月23日、宇都宮地裁(松本圭史裁判長)の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。控訴せず確定。

 被告側は控訴した。2014年7月2日、東京高裁で被告側控訴棄却。2014年10月28日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
山田有華(46)
逮 捕
 2013年2月1日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、逮捕監禁、銃刀法違反(加重所持、発射)、傷害、覚せい剤取締法違反他
事件概要
 元暴力団員で大阪市中央区の自動車販売仲介業・山田有華被告と吹田市の無職・YO被告は2012年10月11日午前2時40分頃、吹田市のマンション前の路上で、市内に住む男性(当時43)を日本刀で切りつけたり、顔に催涙スプレーを噴射したりして全治3カ月の重傷を負わせたうえ、拳銃を1発発射した。YO被告と男性は顔見知りでトラブルになっていた。
山田有華被告はYS被告、TM被告、MS被告、NK被告、TN被告と共謀。さらに11月27日午前1時頃、東大阪市の路上で、八尾市に住む韓国籍の職業不詳の男性(当時52)を乗用車に乗せ、粘着テープで両手を縛り、大阪、兵庫両府県を走行中の車内や同府内の貸倉庫で殴る蹴るなどして暴行。山田被告は男性腹部を銃撃した上、29日午前0時20分頃、神戸市中央区港島の神戸港から車ごと海中に転落させ、水死させた。男性と山田被告は覚醒剤取引のトラブルがあり、男性は山田被告から借金をしていた。
 YO被告は11月29日、守口市の自宅マンションで覚醒剤約1.5kgを所持していた。山田被告は同日、東淀川区の知人宅マンションの出入口で覚醒剤約2gを所持していたほか、同月に使用した。
 他に山田被告は韓国籍の無職男性SK被告と共謀。9月21日未明、滋賀県草津市にある開店前の携帯ショップに侵入、iPhone5を含む携帯電話23台など計42点(時価約165万円相当)を盗んだ。2人は24日、京都市内のリサイクルショップに携帯電話10台を盗品であることを隠して持ち込み、現金20万円に換金した。
 11月29日、大阪府警はYO被告と山田被告を殺人未遂、銃刀法違反(加重所持)の疑いで逮捕した。山田被告は逮捕時、拳銃1丁と実弾2発を所持していた。さらに2被告は覚醒剤を所持していた。12月19日、大阪地検はYO被告と山田被告を傷害と銃刀法違反容疑で起訴した。地検は「殺意を証明できるだけの証拠がなかった」としている。
 2013年1月15日、府警はYO被告と山田被告を覚せい剤取締法違反容疑で再逮捕した。
 4月19日、兵庫県警捜査本部は山田有華被告、TN被告、TM被告、YS被告、NK被告を逮捕監禁容疑で逮捕した。25日、MS容疑者を逮捕監禁容疑で逮捕した。5月10日、殺人容疑で6人を再逮捕した。5月31日、神戸地検は山田被告を殺人罪他で、残り5人を傷害や死体遺棄罪を適用して起訴した。
 7月31日、大阪府警は山田被告とSK被告を窃盗容疑で逮捕した。
裁判所
 神戸地裁 増田耕児裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月4日 無期懲役
裁判焦点
 2014年2月18日の初公判で、山田被告は「殺意はなかった」と起訴内容を一部否認した。
 検察側は冒頭陳述で「至近距離から拳銃を撃って胸腹部に命中させており殺意があった」と指摘。弁護側は「おとなしくさせるために運転しながら発砲した」と殺意を否認し、弁護側は傷害致死罪の適用を主張した。
 25日の論告で検察側は「凶悪な犯行」として無期懲役を求刑、弁護側は有期刑が相当と述べ、結審した。
 判決で増田耕児裁判長は、「被告は共犯者の暴行の発覚を恐れて殺害に至った。狭い車内で至近距離から撃っており、人命を奪う危険性が高いのを認識していた」と指摘した。
備 考
 YS被告は2013年9月12日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役2年6月判決(求刑懲役3年)が言い渡された。
 TM被告は2013年9月13日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役2年6月判決(求刑懲役3年)が言い渡された。
 MS被告は2013年10月29日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役4年判決(求刑懲役5年)が言い渡された。遺棄場所を提案するなど、主体的に関与したと判断された。
 NK被告は2013年12月6日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役5年6月判決(求刑懲役8年)が言い渡された。暴行の激しさを問われた。
 TN被告は2014年1月15日、神戸地裁(増田耕児裁判長)で懲役5年、罰金50万円判決(求刑懲役7年、罰金50万円)が言い渡された。覚せい剤取締法違反にも問われている。関与は従属的と判断された。
 YO被告とSK被告は不明。
 被告側は控訴した。2014年9月4日、大阪高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
少年(18 ルーマニア国籍)
逮 捕
 2013年3月1日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗未遂、銃刀法違反他
事件概要
 武蔵野市に住む無職ルーマニア人少年(事件当時17)は2013年2月28日午前1時48分頃、日野市に住む無職少年(事件当時18)と共謀し、東京都武蔵野市吉祥寺で通行中のファストフード店店員女性(当時22)の背中2箇所や左手首付近などをペティナイフで刺して殺害。現金1万円入りの財布などの入ったバッグを奪った。直後、現場近くのコンビニエンスストアのATMで女性のキャッシュカードを使って現金を引き出そうとしたが、暗証番号がわからず失敗した。
 通行人からの110番通報で警視庁捜査1課などが捜査を始めた。早朝、ルーマニア人少年をJR吉祥寺駅前で発見し、事情聴取。昨年11月に他の男性名義の通帳を持ち去った占有離脱物横領容疑で同日、逮捕した。この件については、武蔵野署が事情を聞いていたが、その後行方をくらましていた。3月1日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 無職少年は事件後日野市の知人宅に居たが、2日午後11時頃、知人らに付き添われて警視庁日野署に出頭し、3日、強盗殺人容疑で逮捕された。
 2人はともに家出中で、2月上旬に日野市のカラオケボックスで友人を介して知り合い意気投合。その後はゲームセンターなどで一緒に遊んでいた。2人は被害者と面識は無かった。事件前日にゲームセンターで金がなくなり、2人で相談し、刺して金を取ることで合意。凶器のナイフを万引で調達していた。
 東京地検立川支部は3月21日、2人を強盗殺人などの非行事実で、東京家裁立川支部に送致した。東京家裁(山口裕之裁判長)は4月17日、2人について検察官送致(逆送)を決定した。山口裁判長は「結果の重大性や動機に酌むべきものがなく、少年の年齢、環境などの事情を考慮しても、刑事処分以外の措置を相当とすべきだとの判断におよそ至らない」と指摘した。東京地検立川支部は4月26日、強盗殺人などの罪で2人を起訴した。
裁判所
 東京地裁立川支部 倉澤千巌裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月4日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年2月19日の初公判で、少年被告は「殺意はありませんでした」と起訴内容の一部を否認した。
 冒頭陳述で検察側は、「鋭利な刃物で突き刺して深い傷を負わせた上、救助せず逃走している。死ぬ危険性を認識しており、殺意はあった」と主張した。
 弁護側は「殺意はなかった。アパートを借りるカネを得ようとしたものだ」と反論。幼少時に父親から暴力を受けたなどの生い立ちを説明し、「事件を起こした時は17歳だった」と少年院送致が相当と訴えた。
 2月26日の論告で検察側は、「逆手に持ったナイフで背後からいきなり刺して、深さ16.9cmの傷を負わせた。殺意は明らかで悪質。遊ぶ金欲しさの通り魔的強盗殺人で、無期刑を回避する事情は見あたらない」などと主張した。最終弁論で弁護側は「ずさんかつ稚拙な犯行で、計画性や合理性もなく、典型的な少年事件だ」と主張。「不遇な生育歴を考えると、保護処分で育て直しの機会を与えるべきだ」として少年院送致が相当と述べた。
 少年は、最終意見陳述で、「(公判の中で聞いた)被害者のご家族の話を心の中で受け止め、一生背負っていくつもりです。ごめんなさい」と謝罪。被害者参加制度を利用し、検察側の席に座っている被害者の両親と姉を正面から見据え、深く頭を下げた。
 判決で裁倉沢千巌判長は、「人通りを確かめ、通行人を物色し、刃の長さ12.8cmのナイフを使い、被害者の生命を奪う危険性が高い行為と認識しながら、あえて犯行に及んだ」と殺意を認定し、弁護側の主張を退けた。そして「共犯の少年被告に犯行を持ちかけ、先に被害者を刺して致命傷を負わせるなど、計画性があり、果たした役割は大きい。犯行は身勝手かつ悪質で、刑事責任は極めて重い。少年法により刑の緩和をするのは相当でない」と断じた。
備 考
 2013年3月7日発売の『週刊新潮』3月14日号(新潮社)は、2人の実名と顔写真を掲載。同誌編集部は「事件の重大性、凶悪性から未成年でも実名・顔写真の報道が認められた確定判決もあり、今回も、社会の正当な関心に応える上で同様のケースと判断した」としている。一部の書店では、少年法61条違反の疑いがあるとして、取扱いを中止した。また同日発売の『週刊文春』では仮名で目の部分を黒塗りした顔写真を掲載した。
 共犯の少年は2014年2月7日、東京地裁立川支部で求刑通り一審無期懲役判決。被告側控訴中。

 被告側は控訴した。2014年9月25日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せず確定。

氏 名
後藤明弘(49)
逮 捕
 2011年8月6日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人、強姦致死、傷害致死
事件概要
 愛知県尾張地方の運送会社に勤務していたトラック運転手、後藤明弘被告は2006年7月28日夜から29日朝、強姦目的で愛知県音羽町(現豊川市)に住むベトナム人女性(当時24)宅に侵入し、就寝中の女性を殺害した。女性は研修生として来日し、自室で部品検査の内職をしていた。後藤被告は事件の約1年半前、仕事中に女性のアパート近くの駐車場で休憩した際、女性を見かけて気に入り、部屋を何度ものぞいたりしていた。
 2011年3月、高山市かその周辺で、後藤被告が勤めていたコンビニで同僚だった高山市の女性(当時44)に暴行を加えて死亡させ、遺体を下呂市内の山林に遺棄した。女性は3月8日夜から行方不明となっていた。
 4月9日午後1時10分ごろ、岐阜県下呂市の県道中央に車載用の三角表示板が置かれ、「白骨死体がこの下にあり。110番通報願う」との手書きのメモ用紙が貼られているのを車で通りかかった女性が見つけた。道路脇のがけ下に白い骨のようなものが見えたため、女性は県警下呂署に通報。駆けつけた署員が道路の約10m下の法面で白骨遺体を発見した。発見1週間前には「山林に遺体がある」との通報があり、同署が捜索したが、積雪などで発見できなかった。
 岐阜県警は同じコンビニで働いていた後藤明弘被告から任意で事情聴取したところ、豊川市の事件への関与が浮上。7月に情報提供を受けた愛知県警が捜査を進めた。愛知県警は8月6日、殺人容疑で後藤被告を逮捕した。8月27日、名古屋地検は殺人と強姦致死容疑で後藤被告を起訴した。実際に強姦はしていないが、後藤被告が「強姦目的で殺害した」と供述していることから、強姦致死罪が成立するとしている。
 2012年1月13日、岐阜・愛知県警の共同捜査本部は後藤被告を岐阜事件における死体遺棄容疑で逮捕した。2月2日、殺人容疑で再逮捕した。2月23日、岐阜地検は殺意の立証が難しいと判断し、後藤被告を傷害致死と死体遺棄容疑で起訴した。
裁判所
 最高裁第二小法廷 山本庸幸裁判長
求 刑
 無期懲役+懲役15年
判 決
 2014年3月10日 無期懲役+懲役12年(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一・二審で被告側は、愛知事件については「反省しており、有期懲役刑とすべきだ」とし、岐阜事件については「一審判決は事実誤認」などとして無罪を主張した。
備 考
 後藤被告は2つの事件の間に別の窃盗事件で逮捕され、その判決が確定しているため、両事件では刑法の併合罪は適用されず判決は別々に言い渡された。判決が確定した場合、量刑の重い無期懲役が先に執行される。
 2013年3月6日、岐阜地裁の裁判員裁判で、無期懲役+懲役20年判決。2013年9月30日、名古屋高裁で一審破棄、無期懲役+懲役12年判決。

氏 名
吉田智一(34)
逮 捕
 2012年8月30日(窃盗、住居侵入容疑。9月19日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗、住居侵入
事件概要
 さいたま市南区の無職吉田智一被告は2012年8月24日、自宅から約500m離れた無職女性(当時77)宅に侵入し、現金約2,000円と通帳1通など25点(時価合計約3,000円相当)を盗んだ。翌朝にも侵入し物色していたところ女性に気付かれたため、女性の背中を刃物のような物で数回刺すなどして死亡させた。
 浦和署捜査本部が付近の防犯カメラの映像解析や不審者の目撃情報などの捜査を進めたところ、吉田被告が浮上。8月30日、窃盗と住居侵入容疑で吉田被告を逮捕した。自宅マンションを家宅捜索したところ、窃盗事件の発生当時や殺害当日に周辺で目撃されるなどした不審者が着ていたのと同様の服を押収した。このほか、殺害現場や周辺で採取した資料などを分析し、窃盗事件があったころから殺害までの間に吉田被告が被害者方へ侵入した可能性が強まり、9月19日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 吉田被告は老人介護施設で介護士として働いていたが、半年前に辞めてからは、無職だった。借金はなかったが、経済的に困っていた。
裁判所
 さいたま地裁 杉山慎治裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月13日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年2月25日の初公判で、吉田被告は窃盗罪などは認めたが、「強盗殺人はやっていない」と強盗殺人罪については否認した。検察側は「犯行時間前後、被告に似た人がいた動画があり、服からは被害者のDNAと一致する血痕も出た」と主張。弁護側は「犯人であれば返り血を浴びているはずだが、被告の服から出て来た血痕はあまりにも微量だった」と反論した。
 3月7日の論告で検察側は「女性を殺害してまで金を盗もうとしたことに酌量の余地はない」と指摘。「身勝手な動機による犯行だ」と断じた。
 同日の最終弁論で弁護側は、弁護側は「被告の服から出た血痕は微量で被告が犯人と立証されているとは言えない」と強盗殺人罪について無罪を主張し、現金を盗んだことは認めていることから、執行猶予付きの判決を求めた。
 判決で杉山慎治裁判長は、吉田被告の衣服についていた血痕について「衣服の上半身から靴にまで付着しており、強盗殺人事件の犯行時に付着したと考えるのが最も自然」と被告側の主張を退けた。そして「被害者が感じた痛みや恐怖は想像を絶する。不合理な弁解に終始し、自らの責任に向き合っているとはいえない」と断じた。
備 考
 被告側は控訴した。2014年11月21日、東京高裁(角田正紀裁判長)で被告側控訴棄却。2015年3月末までに被告側上告棄却、確定。2015年6月10日付でさいたま地裁へ再審請求。

氏 名
財津晴敏(57)
逮 捕
 2013年6月5日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人、銃刀法違反他
事件概要
 指定暴力団中野会(解散)の元幹部財津晴敏被告は、他の組員ら5人と共謀。1997年8月28日午後3時35分頃、神戸市中央区にあるホテル4Fの喫茶店で、指定暴力団山口組のナンバー2である若頭であった宅見組組長(当時61)を射殺した。組長と同席していた幹部2人は無事だった。このとき、隣のテーブルに座っていた歯科医師の男性(当時69)が流れ弾で巻き添えにあい、病院に運ばれたが6日後の9月3日に死亡した。
 財津被告は、中野会幹部の男性の指揮に従い、現場指揮を担当し、実行犯4人を率いていた。実行犯のうち、リーダー格であるT元容疑者が2mの至近距離から組長へ2発を発射し、さらに倒れたところを2発発射した。Y受刑者が撃った銃弾が、歯科医師の男性に当たった。N受刑者とK受刑者も発射したが当たらなかった。
 中野会会長が1996年7月、京都府八幡市内の自宅近くで暴力団会津小鉄会の組員に襲撃された事件で、宅見組組長が中野会長抜きで和解して収束させた目的が、会長を排除するためという見方が中野会内で広がり、さらに組長がやらせたのではとの疑念を抱き、報復のため、元幹部(病死)を中心に殺害の機会を窺っていた。当初は東京で実行する予定だったが機会は無く、関西での実行に変更された。
 8月31日の告別式で、山口組組長(当時)は中野会会長を破門。さらに歯科医師の男性が亡くなった9月3日には、更に重い処分である絶縁に変更した。会長は絶縁理由に納得できず独立したが、この事件の報復として幹部メンバーが殺害されて組織力が低下し、2005年8月7日に解散している。
 射殺事件を指揮した中野会幹部の男性は事件後の9月、韓国に入国し、釜山に滞在。1998年7月6日、ソウル市内のアパートで遺体となって発見された。45歳没。外傷はなく、脳卒中と判断された。
 実行犯のN受刑者は逃亡中の1998年10月2日、仙台市にいたところを別件の詐欺容疑で逮捕された。同じくY受刑者は1999年2月15日、別件の詐欺容疑で逮捕された。
 1999年3月24日、兵庫県警捜査本部はY受刑者とN受刑者を殺人容疑などで再逮捕。財津被告、T元容疑者、K受刑者を殺人容疑で指名手配した。7月12日、捜査本部はK受刑者を逮捕した。
 1999年10月26日、神戸地裁はY受刑者とN受刑者に求刑通り懲役20年判決を言い渡した。2000年6月5日、大阪高裁で被告側控訴棄却。Y受刑者は上告せず、確定。2002年1月16日付で最高裁第二小法廷は、N受刑者の上告を棄却し、刑が確定した。
 2000年1月21日、神戸地裁はK受刑者に求刑通り懲役20年判決を言い渡した。2000年7月11日、大阪高裁で被告側控訴棄却。上告せず、確定。
 2006年6月30日、T元容疑者が神戸市東灘区の倉庫内で遺体で見つかった。56歳没。糖尿病と慢性肝炎が持病で、遺体は床ずれがあってやせ細った状態だった。死因は衰弱死だった。8月25日、兵庫県警はT元容疑者と98年に死亡した元幹部を殺人と銃刀法違反容疑で容疑者死亡のまま書類送検した。遺体を遺棄した男性2人は、死体遺棄容疑で書類送検されている。遺体の遺棄を依頼した者は不明。
 兵庫県警は実行役や運転手役、拳銃手配役など計18人を逮捕している。
 2013年6月5日、兵庫県警は指名手配していた財津被告を、潜伏先である埼玉県狭山市のアパートで発見、逮捕した。兵庫県警は2013年、他の県警などから「財津容疑者らしき人物が埼玉にいる」などとの情報を得て、捜査員を派遣。聞き込み捜査を重ね、財津被告の潜伏先を突き止めた。
 9月18日、2010年2月ごろ、知人を通じて元中野会系組員の男性に潜伏先を探すよう依頼したとして、犯人蔵匿教唆容疑で再逮捕された。犯人隠匿教唆容疑については、「殺人罪などで起訴しており長期の逃亡生活を解明できた」として、10月9日に不起訴となっている。
裁判所
 神戸地裁 宮崎英一裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月14日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年3月10日の初公判で、財津被告は起訴内容を認めた。
 冒頭陳述で検察側は、財津被告が襲撃グループでは病死した元幹部に次ぐ立場の現場指揮役で、実行犯4人の選定に関与し、事件当日もホテルを下見し、子供を含む23人の一般客が喫茶店にいることを認識しながら、実行を指示したと主張した。一方、弁護側は「元幹部に命じられ途中で計画に参加した。指示に逆らうことができなかった。元幹部がいつだれと計画したのかも知らず、従属的な立場だった」と反論した。
 被告人質問で、財津被告は時折顔を紅潮させながら、「(当初は)組長を殺すとは聞いていなかった」などと繰り返した。
 3月11日の公判における被告人質問で財津被告は、逮捕されるまで中野会幹部らの支援を受けながら関東地方のホテルなどを転々としていたことを証言。「幹部らが山口組から報復を受けているのを知り、自分も殺されると思った。自首しようとも思ったが、幹部から『面倒をみるから』と説得された」と明かした。その後、検察側が歯科医師の妻の供述調書を朗読。「地獄の様な苦しみを味わった」と読み上げられるのをうつむきながら聞いていた財津被告は、「命を軽んじる考えがあった。申し訳なかった」などと謝罪した。
 12日の論告で検察側は、「自分の判断で実行犯に指示していた」と指摘、客が多くいる白昼の喫茶店で拳銃を発射して社会を震え上がらせたとし「偶然居合わせて亡くなった歯科医師の家族の悲しみは大きい」と述べた。
 同日の最終弁論で弁護側は、「指示命令を拒む自由はなかった。いつどこで実行するか独自に判断できたわけではない」として、懲役16年が相当」と主張した。
 判決で宮崎英一裁判長は財津被告が「現場で指揮し、銃撃の実行に不可欠」と実行犯の指揮役だったと認定。「暴力団の内部抗争による事件で反社会性が極めて高く、一般人を含む2人の命が奪われた結果は重大。懲役20年となった実行犯よりも責任は重い」と述べた。
備 考
 神戸地裁は不測の事態に備え、被告席と傍聴席との間に透明の防弾パネル(高さ約2m)を設置。傍聴席の入り口にはゲート型の金属探知機が配備され、地裁職員が傍聴者の持ち物をチェックした。
 虚偽の入居申込書を送って財津被告が住むアパートを契約したなどとして詐欺容疑で逮捕された男性2人については、2013年10月9日、「前科がなく反省している」などの理由でいずれも不起訴となっている。財津被告の依頼で埼玉県内にアパートを用意したとして犯人蔵匿容疑で書類送検された中野会元幹部の男(2013年7月に病死)も不起訴となっている。
 財津被告に埼玉県狭山市のアパートを用意し、2010年4月〜2013年6月の間かくまうなど、犯人隠匿罪に問われた元中野会組員の男性は、2013年11月21日、神戸地裁(小林礼子裁判官)で懲役2年執行猶予5年(求刑懲役2年)判決を言い渡された。小林裁判官は「約16年にわたり逃走に関与し、適正な刑事司法の作用を侵害したが、役割は補助的」と述べた。
 財津被告をかくまうため、2010年3月に自分を入居者とする虚偽の申込書を提出したとして詐欺罪に問われた秋田市の住吉会系暴力団組員の男性は、2013年11月25日、神戸地裁(内山裕史裁判官)で懲役10月(求刑懲役1年2月)判決を言い渡された。
 被告側は即日控訴した。2014年7月10日、大阪高裁で被告側控訴棄却。2014年11月26日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
N・T(42)
逮 捕
 2013年2月14日(強盗殺人、現住建造物等放火容疑)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死
事件概要
 所沢市のN・T被告は2010年8月12日午前4時ごろ、以前アルバイトをしていた同市のガソリンスタンドに金品を奪う目的で侵入し、勤務中だった店員の男性(当時67)の服やカウンターなどにガソリンをまいてライター様の着火用具で火をつけ、5日後に熱傷性ショックで死亡させた。
 埼玉県警は2011年4月、事件当日に同店からノートパソコンを持ち去って壊したなどとして、N被告を器物損壊容疑で逮捕。当時、N被告は「解雇されたため店を困らせてやろうと思った」と器物損壊などの罪は認めたが、放火は無関係であると主張。2011年7月、さいたま地裁で懲役10月の実刑判決を受けて服役し、その後出所していた。
 埼玉県警は状況証拠などから、殺害容疑が濃厚になったとして2013年2月14日、N被告を強盗殺人と現住建造物等放火容疑で逮捕した。
 さいたま地検は3月6日、N被告を強盗致死罪でさいたま地裁に起訴した。殺意の有無を問うのは難しいと判断した。放火容疑は処分保留となった。
裁判所
 さいたま地裁 栗原正史裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月17日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年3月4日の初公判で、N被告は「金品を奪おうとは考えていなかった。被害者にガソリンをかけたわけではない」などと起訴事実を一部否認した。
 検察側は冒頭陳述で「居候していた元交際相手の女性のクレジットカードを無断で使うなどし、数百万円以上の借金があった。女性から返済を迫られ強盗を決意した」などと指摘。N被告が被害者を脅迫したことや経済的に追いつめられていたこと、友人を犯行に誘ったことなどから強盗目的だったと主張した。弁護側は事務所からお金はなくなっていないことからN被告に強盗の意思はなく、「ガソリンスタンドに火をつけて自殺しようとしたが、誤って被害者を巻き込んだ。強盗は成立しない」などと主張した。
 3月10日の論告で検察側は論告で、N被告が事務所で被害者にガソリンをかけ「騒ぐと火をつけるぞ」と脅迫したと指摘。事件前に同店での強盗計画を知人に持ちかけていた、などと主張した。一方、最終弁論で弁護側は、N被告は犯行時、現金の要求はしなかったなどとして強盗目的を否定。金銭トラブルで同店を辞めたN被告が自殺しようとして放火したと主張し、傷害致死罪の適用を求めた。最終意見陳述でN被告は遺族へ謝罪した上で、「強盗はしておりません」と改めて金品強奪の意図を否定した。
 栗原正史裁判長は自殺目的という被告側の主張に対し、「ガソリンをまくという目立つ行為をしたこと自体不自然。強盗目的で犯行に及んだと考えざるを得ない」と退けた。そして「強盗致死罪の中で極めて悪極めて悪質」と断じた。
備 考
 被告側は控訴した。2014年9月17日、東京高裁で一審破棄、懲役30年判決。2015年11月13日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
井倉孝司(59)
逮 捕
 2012年10月24日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人
事件概要
 津市の無職、井倉孝司被告は2012年9月25日午後2時から午後3時10分頃にかけ、和歌山県御坊市の旅館内で経営者の女性(当時71)の首を浴衣の帯ひもで絞め、胸や腹をアジさき包丁や刺身包丁で数回刺して殺害し、4日分の宿泊代計約14,000円の支払いを免れたほか、1階受け付け帳場から約12,000円を奪って逃走した。
 井倉被告は過去に数回、旅館に宿泊したことがあり、女性のことを慕っていた。今回は9月9日から宿泊したが、21日には所持金が底をついてから無銭宿泊状態となり、犯行当日の25日は朝から銀行に残高照会にいったが938円しかなかった。
 午後5時半ごろに宿泊予定だった男性客が到着したが、玄関が施錠されており、不審に思って他の客らと近くの交番に通報。午後7時頃、和歌山県警御坊署員が遺体を発見した。
 事件前日に同旅館に泊まっていた井倉被告の所在がつかめず、現場に残された遺留物から採取したDNAを鑑定したところ、警察庁のDNAデータベースに登録された男のものと一致した。捜査本部は10月3日に井倉被告を殺人容疑で指名手配。10月24日、兵庫県明石市内にいるところを逮捕した。和歌山地検は11月14日、井倉被告を強盗殺人罪で起訴した。
裁判所
 和歌山地裁 浅見健次郎裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月20日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。起訴内容に争いはなく、量刑が争点。
 2014年3月18日の初公判で、井倉被告は「間違いありません」と起訴内容を認め、「自分の命を持ってつぐないたい」と反省の言葉を述べた。
 19日の論告求刑で検察側は、定職につかず知人からの借金で生活し支払いのめどもないまま連泊し、所持金が底をついて女性から精算を求められると縛り上げて逃げようと企て、アジさき包丁を突き付けて大声を出されると殺すしかないと犯行に及んだ経緯を「あまりにも身勝手で短絡的。人命軽視も甚だしい」と指摘。犯行についても「なんとか助かろうと床をはう女性の首をひもで絞め、刺し身包丁で突き刺しており、執拗で人間性のかけらもない凶悪な犯行。孫の成長を楽しみにし、客のために営業を続け、支払いの滞った被告に対しても心配すらしていた女性に何の落ち度もなく、無念さは想像にあまりある」とし、「被告が自殺を考えていたなどと軽々しく口にするのはあまりにも無責任で、怒りを禁じ得ない」と非難。犯行後、奪った金をビールの購入や居酒屋ですぐに使い切っている点も「自戒の念は皆無」と断罪し、死刑も考慮すべきだが、計画性などがないことを踏まえ「無期懲役が相当」と求めた。さらに遺族の思いを検察側が代弁し、「捜査段階で調書への署名を拒否したり、犯行後も自殺や自首しようと思っていた者の行動とは思えず、真摯な反省はまったくみられない。最も苦しい刑を望みます」との言葉が読み上げられた。
 同日の最終弁論で弁護側は、突発的な犯行であることや社会復帰後に支えてくれる友人がいることなど説明。「被告の年齢を考え、社会復帰が可能な懲役19年が相当」と求めた。
 井倉被告は最終陳述で「自分の命をもって償うしかありません」とこれまで通りの言葉を繰り返した。
 判決で浅見裁判長は、「胸を刺した後、はって逃げようとする被害者の首を絞めたり、別の包丁で刺したりした行為は、冷酷かつ非情というほかない」と指摘。「何ら落ち度のない被害者が、突然命を奪われた無念は察するに余りある。動機はあまりに身勝手で短絡的であり、冷酷かつ非情で、同種事案の中でも悪質だ。刑を軽減する事情は認められない」と述べた。
備 考
 被告側は控訴した。2014年11月28日、大阪高裁で被告側控訴棄却。2015年4月2日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
森本浩一(48)
逮 捕
 2007年4月28日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人、傷害致死、死体遺棄、傷害
事件概要
 暴力団幹部森本浩一被告は大阪府阪南市内の自宅で同居していた無職男性(当時32)の存在が疎ましくなり、2001年12月〜2002年4月、男性を金属バットで殴るなど日常的に暴行。2002年5月上旬、衰弱していた男性を大阪府岬町の漁港から知人男性F被告に指示して海へ突き落とし、竹竿で突いておぼれさせ、殺害した。その後遺体を和歌山県串本町(紀伊半島東部)の山中に車で運び、遺体を埋めた。
 森本被告は2006年12月24日午前2時頃、大阪市西成区のアパートで知人の兄だった男性(当時34)に暴行。男性は外傷性の腹部内出血により午後6時頃に死亡。森本被告は同じ暴力団の組員ら3人と共謀し、25日から26日にかけ、遺体を和歌山県串本町(紀伊半島東部)の山中に車で運び、遺体を埋めた。
 このほか、男性2人、女性4人に暴行したとして起訴されている。うち1件は、2005年10月、堺市内のマンションで知人女性(当時25)に小型の机を投げたり、頭や顔などを殴ったりして軽傷を負わせた疑いである。

 関係者の証言により大阪、大分、和歌山の三府県警合同捜査本部は2007年4月25日、山中で男性とみられる遺体を発見。死体遺棄容疑で組員ら3人を逮捕、28日に森本浩一被告を死体遺棄容疑で逮捕した。
 森本被告は2005年6月8日夜に走行中の乗用車内で同乗者2人を殴ったなどとして、傷害容疑で滋賀県警に逮捕され、起訴されていた。
 森本被告は2007年5月31日、殺人容疑で逮捕された。
 さらに建設作業員F被告が2008年2月に自首。合同捜査本部は9月10日、和歌山県串本町の山中を捜査し、2006年の事件で埋められた遺体のそばから白骨化した遺体を発見。合同捜査本部は2008年10月22日、森本被告とF被告を殺人容疑で逮捕した。死体遺棄容疑は時効が成立していた。
 さらに森本被告の知人3人は合同捜査本部に対し、約10年前、森本被告に指示され、40歳代後半の無職男性の遺体を埋めたと供述。2009年1月29日、兵庫県三田市の山中で、白骨死体の頭や足の骨片を発見した。この事件で森本被告は1999年、当時40歳代後半の男性に暴行し、衰弱した男性を病院へ搬送せず死なせた疑いがあるが、起訴はされていない。
裁判所
 最高裁第一小法廷 山浦善樹裁判長
求 刑
 死刑
判 決
 2014年3月17日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一・二審で森本被告は、殺人、傷害致死について無罪を主張している。
備 考
 2006年の事件では、死体遺棄容疑で関わった組員ら3人が起訴された。また傷害致死容疑で銀行行員(後に懲戒免職)が森本被告と同日に逮捕されたが、大阪地検は2007年6月20日、暴行に加わっていないなど関与の度合いが低いと判断し、嫌疑不十分で不起訴処分とした。

 遺族ら被害者側15人の弁護団は、森本浩一被告への損害賠償請求権を総額4億5000万円と算定。しかし、損害賠償請求訴訟を起こせば事実関係を争ったり、財産を隠したりすることが予想されたため、森本被告の財産をできるだけ賠償に充てようと2008年4月、被害者への慰謝料を債権として大阪地裁へ森本被告の破産を申し立てた。破産手続きの開始決定が出ると財産の管理処分権は裁判所が選任した破産管財人に移るため、森本被告側に財産を隠されることなく、破産管財人の調査で債権の約6割の財産2億数千万円を確保し、2011年8月の手続き終了までに、手続きにかかった費用などを除き、慰謝料総額の約60%を確保し、被害者1人につき約200万〜約4000円を配当した。刑事事件では、被害者側が加害者側に損害賠償請求訴訟を起こすケースが多いが、賠償金が支払われないこともしばしばあり、今回の事件の被害者側弁護団は「加害者の資産の把握が確実な賠償につながる」と効果を強調している。

 2010年1月25日、大阪地裁で求刑死刑に対し一審無期懲役判決。2011年5月31日、大阪高裁で検察・被告側控訴棄却。

氏 名
福富弘(68)/冨士田学(59)
逮 捕
 福被告:2008年11月28日/冨士田被告:2008年12月9日
殺害人数
 1名
罪 状
 組織犯罪処罰法違反(組織的殺人)他
事件概要
 名古屋市に拠点を置く山口組系暴力団組長の福富弘(ふく・とみひろ)被告と同冨士田学被告は、同組幹部である浦信彦被告、組員M被告らに殺害を指示。2007年10月14日午前10時55分ごろ、東京都台東区上野のJR御徒町駅近くにあるアメヤ横丁路上を歩いていた同組元幹部の男性(当時42)に銃弾3発を発射し、殺害させた。
 殺害された男性は9月に同組を破門されていた。
裁判所
 最高裁第三小法廷 木内道祥裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月18日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 両被告とも一・二審で無罪を主張している。
備 考
 この事件では6人が逮捕され、5人が起訴されている。残り1人については不明。
 組織犯罪処罰法違反(組織的殺人)に問われた元組員で食品加工作業員の男性被告は2010年3月18日、東京地裁(藤井敏明裁判長)で懲役4年判決(求刑懲役18年)。藤井裁判長は「目的を知らされず拳銃運搬役に使われた可能性が高い」と指摘して組織的殺人を無罪とし、銃刀法違反(拳銃加重所持)のみ有罪とした。11月8日、東京高裁(岡田雄一裁判長)で検察側控訴棄却。上告せず、確定。
 実行犯の浦信彦(現姓・河村)被告は2011年5月30日、東京地裁(藤井敏明裁判長)で求刑通り一審無期懲役判決。2012年10月31日、東京高裁(若原正樹裁判長)で被告側控訴棄却。被告側上告中。
 実行犯のM被告は2011年5月30日、東京地裁(藤井敏明裁判長)で懲役20年判決(求刑懲役30年)。2012年中に被告側控訴棄却。被告側上告中。
 2011年6月9日、東京地裁で求刑通り一審無期懲役判決。2012年中に東京高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
藤井時雄(70)
逮 捕
 2010年10月3日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、住居侵入
事件概要
 長野県南箕輪村のパート清掃員、藤井時雄被告は2010年9月9日午後10時ごろ、伊那市の路上に止めた軽乗用車内で、会社員の男性(当時42)の首や胸を包丁で数回刺し、失血死させた。そして、男性から借りた30万円の返済を免れることで、財産上不法な利益を得たとしている。藤井被告は、男性の勤め先の建物清掃請負会社の同僚で、同社によると、2人は3年ほど前から駒ヶ根市内の温泉旅館で働いていた。
 翌朝、電柱に軽乗用車が衝突しているのを発見した通行人が119番し、事件が発覚した。10月3日、藤井被告は殺人容疑で逮捕された。長野地検は23日、借金を免れる目的だったとして、強盗殺人罪で藤井被告を長野地裁に起訴した。
裁判所
 最高裁第三小法廷 大橋正春裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月26日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一・二審で被告側は無罪を主張している。
備 考
 2013年3月14日、長野地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2013年11月13日、東京高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
小濱秀治(63)
逮 捕
 2009年3月10日(殺人容疑)
殺害人数
 1名
罪 状
 組織犯罪処罰法違反(組織的殺人)、銃刀法違反(組織的加重所持)、組織犯罪処罰法違反(暴力)他
事件概要
 指定暴力団山口組系幹部で、横浜市在住の小濱秀治被告は、静岡市の指定暴力団山口組直系総長、落合益幸被告らと共謀。落合被告は2008年4月1日午前5時35分ごろ、組員らに指示し組織として、ふじみ野市内の暴力団事務所駐車場で住吉会系幹部(当時35)を射殺した。また同日、さいたま市内の住吉会系暴力団事務所のドアをバールなどで破壊した。
 3月31日、八潮市のファミリーレストラン駐車場で、山口組系暴力団関係者の男性(当時35)が刺殺された事件の報復が動機とされる。
 2009年3月9日、埼玉県警は山口組系暴力団組長ら5人を殺人容疑などで逮捕した。10日、別の容疑で逮捕していた暴力団組員8人を殺人容疑で再逮捕した。その後も逮捕が続き、2010年1月22日、殺人容疑で落合益幸被告ら3人が殺人容疑で逮捕された。合計40人以上が逮捕されている。
裁判所
 さいたま地裁 佐々木直人裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月26日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 弁護側は共謀を否認し、組織として行ったものではないと無罪を主張したが、佐々木裁判長は被告と組員らとの通話状況などを挙げ、「被告も単なる従属的な立場ではなく、意思決定に積極的に関与した」と退けた。そして、「極めて反社会的で厳しい非難に値する」と述べた。
備 考
 暴力団による抗争事件で計33人が組織犯罪処罰法違反罪などに問われた一連の事件の一審裁判がすべて終結した。落合益幸被告は2013年7月18日、さいたま地裁(多和田隆史裁判長)で求刑通り無期懲役+罰金3000万円判決。被告側控訴中。

 被告側は即日控訴した。2016年5月13日、東京高裁で被告側控訴棄却。2018年6月25日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
三橋勇(31)
逮 捕
 2013年4月19日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人
事件概要
 住所不定、無職の三橋勇被告は2012年7月6日頃、中国・マカオのマンション一室で、交際していた越谷市で飲食店を経営する中国出身(日本に帰化)の女性(当時30)の腹を刃物で刺し、腹部大動脈損傷で失血死させ、現金140万香港ドル(約1400万円)を奪った。
 三橋被告と女性は2011年7月ごろ、さいたま県内のマージャン店で出逢い、交際を始めていた。女性は投資目的でマンションを購入するため、2012年4月7日にマカオに渡り、三橋被告も15日に渡航。三橋被告は7月7日に帰国していた。女性と連絡がとれないため、7月19日に母親がマンションを訪ね、遺体を発見した。
 殺害現場のマンションの防犯ビデオ映像などから三橋被告が浮かび上がり、マカオ警察が殺人容疑で身柄確保を日本側へ要請。さいたま県警は刑法の国外犯規定に基づき捜査した。8月、さいたま県警が東京都新宿区のインターネットカフェで三橋被告を発見した。
 三橋被告は2011年4月に知り合って同居していた別の知人女性から、7〜10月にクレジットカードを盗んで現金170万円をだまし取った窃盗・詐欺容疑で逮捕、起訴。2013年4月19日、さいたま地裁で懲役1年10月の実刑判決を受けた。同日、三橋被告は強盗殺人容疑で再逮捕された。
裁判所
 さいたま地裁 片山隆夫裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年3月28日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年3月11日の初公判で三橋勇被告は、「殺害して現金を奪ってはいない。もみ合いになっているうちに刃物が刺さってしまった」と起訴事実を否認した。
 検察側は冒頭陳述で、「現場に争った形跡はなく、部屋は施錠されていた。借金の返済を迫られ実際に現金を持ち去っている」などと指摘した。弁護側は、別れ話から被害者が刃物で三橋被告を刺そうとしたとして、「正当防衛が成立する」と主張。現金についても約400万円は被害者から贈与されたとした。
 20日の論告で検察側は、被害者や友人らに多額の借金があった三橋被告が、事件後数日で借金を返済したなどと指摘。「被害者が不動産購入のために用意した現金140万香港ドル(約1400万円)を借金返済に充てようとした。殺害時に現金を奪おうと思っていたことは明らか。被害者の体を刃物で少なくとも2度刺して救護措置をとらずに放置し、残虐で冷酷な犯行だ。犯行発覚を遅らせようと工作しており、酌量の余地はない」と断じた。被害者参加制度で出廷した被害者の母は「許すことは絶対にできない。最も重い刑罰を科してほしい」などと訴えた。
 同日の最終弁論で弁護側は、「借金はあったが返済を強く要求する人はおらず、被害者を殺害する動機にはならない」と指摘。別れ話で刃物を持ち出した被害者から身を守ろうとした「正当防衛」として、無罪を主張した。三橋被告は「殺していない。本当に愛し合っていた」などと訴えた。
 判決で片山隆夫裁判長は「犯行態様は強固な殺意に基づく残忍で非道なもの」と述べた。
備 考
 被告側は控訴した。2014年11月18日、東京高裁(河合健司裁判長)で被告側控訴棄却。被告側は上告した。

氏 名
久木野信寛(44)
逮 捕
 2013年2月1日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人
事件概要
 久木野信寛被告は1997年4月13日午前2時過ぎ、三重県上野市(現・伊賀市)のビジネスホテルに押し入り、フロント付近で夜勤の従業員男性(当時48)の胸や背中を刃物で23か所以上刺して殺害し、金庫などから約159万円を奪ったとされる。久木野被告は1990年から約2年間、同ホテルに勤務していた。
 2010年4月の刑事訴訟法改正に伴う時効撤廃後、県警は現場で見つかった軍手から採取したDNA型を改めて鑑定。任意で提出を受けた久木野被告のDNA型と一致したことなどから、2013年2月1日、兵庫県小野市で工員として働いていた久木野被告を逮捕した。
裁判所
 名古屋高裁 石山容示裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年4月24日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 2014年3月13日の控訴院初公判で、弁護側は「法改正以前に起きた事件の時効を撤廃する法律は、過去の行為をさかのぼって処罰することを禁じる憲法39条に反する。時効成立を認めるべきだ」として裁判を打ち切る「免訴」を求めた。「犯行後は16年間生活態度を改め、更生の道を歩んできた。酌量の余地があり、無期懲役の一審判決は重すぎて不当である」とも訴えた。検察側は控訴棄却を求め即日結審した。
 判決で石山容示裁判長は「法改正の時点で時効が完成していない事件については、時効を廃止することにしたものとされる。39条は過去に合法だった行為を遡及して処罰することを禁じているだけで、公訴時効廃止は39条の趣旨に反するとはいえない。競馬などで借金を抱え、元勤務先で窃盗を企てた経緯に酌量の余地はない。被害者を23カ所も刺しており、執拗かつ残虐だ」などとして一審判決を支持した。
備 考
 警察庁によると、2010年4月に改正刑事訴訟法が施行され、殺人などの凶悪犯罪の公訴時効が撤廃されて以降、撤廃がなければ時効となっていた事件で指名手配されていなかった容疑者が逮捕された全国初の事件。旧法だったら2012年4月に時効が成立していた。
 ホテルは2004年6月に閉館となっている。
 2013年11月22日、津地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2015年12月3日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
松田光男(53)
逮 捕
 2012年11月18日(死体遺棄容疑。12月7日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、死体遺棄、住居侵入
事件概要
 住所不定無職松田光男被告は2012年10月16〜17日ごろ、埼玉県美里町の無職女性(当時76)宅に土足で侵入。女性の首を両手で絞めるなどして窒息死させ、現金数万円などが入った財布を奪い、遺体を毛布で包むなどして押し入れに遺棄した。
 松田被告は女性の長女と小中学校で同じ学年だったため、女性と顔見知りだった。松田被告は事件の数日前に女性を訪ねて金を貸してほしいと無心していたとされる。
 19日早朝に女性方を訪れた別居の次女が、普段早起きする女性が見当たらず、玄関が施錠されていたことなどから不審に思い、長男と長女を呼び、長男が午前8時50分頃に児玉署に通報した。同署員らが駆けつけ、無施錠だった窓から家に入って調べたところ、押し入れで死亡していた女性を発見した。
 現場から松田被告の遺留物が見つかったため、埼玉県警児玉署捜査本部は11月5日、松田被告を指名手配した。16日、公開捜査に乗り出した。
 11月18日午前9時50分ごろ、群馬県のJR八高線倉賀野―高崎間の電車内で、新聞記事で顔を覚えていた男性が松田被告を見つけて通報。駆けつけた捜査員が高崎市内で、松田被告を逮捕した。12月7日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
裁判所
 さいたま地裁 片山隆夫裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年4月30日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。松田被告は事件直前に金を借りに女性宅を訪れたことは認めているが、殺害については一貫して否認している。
 2014年4月15日の初公判で、松田被告は「犯罪を行う理由は全くない」などと述べ、起訴内容を否認した。
 検察側は冒頭陳述で、収入のない松田被告がギャンブルに興じ、知人や被害者宅を回って金を無心していたと指摘。被害者の手指の爪の間などから検出されたDNA型が松田被告のものと一致したことを明らかにした。
 弁護側は「女性宅の窓ガラスが割れていたので不審に思って中に入り、暴れる女性をなだめようと少し押さえつけてしまった」などとし、無罪を主張した。
 4月22日の論告で検察側は、女性の指の爪などから検出されたDNAの型が松田被告のものと一致しており、殺害時にもみ合ったことがうかがえると指摘。また女性の遺体がくるまれていた毛布から松田被告と一致するDNA型が検出されたとして、「被告人が女性の遺体を遺棄した犯人であると強く推定できる」と主張。借金を抱えていた松田被告が事件後、ホテルを利用するなど羽振りがよくなったことを指摘し、「金品を奪うつもりで女性を殺害した」と指摘。無罪を主張する松田被告を「捜査段階と全く違う場当たり的な供述で信用できない」などと非難した。そして「残虐かつ冷酷な犯行。金を奪うという身勝手な動機で酌量の余地はない」と述べた。同日の最終弁論で弁護側は、松田被告の靴と同型の足跡が女性方に残されていたことについて、「室内に立ち入った証拠にはなるが、女性を殺害した証拠にはならない」と主張。松田被告の借金は消滅時効となっており、女性を殺害する動機はないと訴えた。そして「検察側の立証は不十分で、被告が殺害したとは断定できない」と無罪を主張した。
 判決理由で片山隆夫裁判長は、被害者の爪の間などから検出された松田被告と同じDNAについて「犯人に抵抗した際に付着したと考えるのが合理的。松田被告が殺害したと強く推認できる」と指摘。DNAは事件直前に偶然もみ合いになった際に付着した、とした被告側の無罪主張を退け、DNAや女性方に残された足跡などの証拠から、松田被告による犯行と認定した。そして「犯行は凶暴で非道。公判では虚偽の弁解に終始した」と述べた。
備 考
 被告側は控訴した。2014年10月30日、東京高裁(井上弘通裁判長)で被告側控訴棄却。

氏 名
岡田浩幸(52)
逮 捕
 2009年5月8日
殺害人数
 3名
罪 状
 殺人
事件概要
 枚方市の会社員岡田浩幸被告は2009年4月17日午後7時ごろ、自宅で中学1年の長女(当時12)と小学1年の次女(当時7)の首を絞めて包丁で刺殺し、妻(当時46)も殺害した。さらに岡田被告は自らの腹も刺して3週間のけがを負った。妻が刺されながらも110番通報し、駆けつけた枚方署員が、自らの腹を刺そうとした岡田被告を制止した。5月8日、殺人容疑で岡田被告を逮捕した。
 岡田被告は大手会社の大阪支社営業部長を務めていたが、2008年5月枚方市の心療内科に通院し、休職中だった。
 簡易精神鑑定の結果、罪に問えると判断し、7月23日に起訴された。
裁判所
 最高裁第二小法廷 山本庸幸裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年5月8日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 岡田被告は一・二審で「娘2人は妻が殺した」と主張している。
備 考
 2012年12月17日、大阪地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2013年12月10日、大阪高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
田口勝志(55)
逮 捕
 2013年8月9日(死体遺棄容疑。8月29日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、死体遺棄、強盗致傷、窃盗他
事件概要
 神戸市の田口勝志被告は、2013年3月ごろに神戸市の無職女性(当時87)と知り合い、身の回りの世話をしていた。5月上旬に「もっと利率の良い銀行に預けたほうがいい。口座を作ってあげる」「娘さんのためにいい福祉施設を紹介する」などとうそを言って、女性から現金1000万円を一括で受け取った。田口被告は「今日は銀行の担当者がいない。それまで預かっておく」と言い、遊興費や生活費に使っていたが、女性から返済を迫られた。5月27日、田口被告は実家の蔵の掃除を手伝ってほしいと女性を津山市まで連れ出し、市内の林道にとめたレンタカー内で女性の顔に袋をかぶせ、粘着テープで巻いて窒息させ殺害し、死体を埋めた。

 別件として以下がある。
 田口被告は2006年8月5日、広島市中区のホテル個室で当時同僚だった会社員男性(66)の24万9000円などが入った紙袋を盗んだ。
 田口被告は大阪市の韓国人男性と共謀し、2007年8月14日午後10時半ごろ、大阪市浪速区の路上で、帰宅途中の女性(40)に背後から刃物を突きつけ、現金約19000円が入ったバッグを奪い、女性を転倒させて軽傷を負わせた。また8月16日夜、京都市東山区の飲食店駐車場で、車に乗り込んだ同市下京区の僧侶の男性(51)にナイフのような刃物を突きつけて「金を出せ」と脅し、手提げかばん(約17万円入り)を奪い、男性の左手に軽傷を負わせた。

 女性の関係者が6月中旬に行方不明者届を提出。兵庫県警の捜査で、田口被告が女性の失踪に関係している疑いが浮上した。
 田口被告は6月18日、広島市の事件について窃盗容疑で逮捕された。時効2か月前だった。
 8月、兵庫県警が田口被告に事情を聞いたところ、死体遺棄について自供した。同県警は7日午後、供述通り、津山市の山中で女性の遺体を土の中から発見したため、8日に死体遺棄容疑で田口被告を逮捕。8月29日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 田口被告は強盗殺人事件の取り調べで強盗致傷事件の関与を供述。2013年10月9日、大阪市の事件で再逮捕。11月6日、京都市の事件で再逮捕された。
裁判所
 神戸地裁 平島正道裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年5月16日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年5月13日の初公判で、田口被告は罪状認否で、「間違いありません」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で、田口被告が殺害直前、被害者に睡眠導入剤入りのおにぎりを食べさせたと説明。その上で、「意識もうろう状態の被害者に土嚢袋をかぶせて窒息死させた」と指摘した。
 5月15日の論告で検察側は、「被害者に眠気を催す薬を飲ませた上、人けのない場所に連れ出し、『助けて』と懇願するのも無視して窒息死させた。金はスナックや旅行で浪費し、計画的で冷酷な犯行で、非常に身勝手で酌量の余地はない」と述べた。
 同日の最終弁論で弁護側は、事件後、被害者側に180万円を返還したことなどを挙げ、「事実をありのままに話し、捜査にも協力している。深く反省している」と懲役20年を求めた。
 判決で平島裁判長は、「犯行時間が短く意志が弱かったとは言えない」と殺意を認定。「強い殺意に基づく計画的で悪質な犯行」と厳しく指摘。「短絡的で身勝手、人命軽視も甚だしい」と述べた。そして積極的に捜査に協力した姿勢を認めたが「終生、罪を償うしかない」などと断じた。
備 考
 被告側は控訴した。2014年9月17日、大阪高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
馬場進(50)
逮 捕
 2013年10月20日(殺人容疑)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人
事件概要
 鹿児島県姶良市の無職馬場進被告は、2013年7月4日午後1時頃、知人で同市に住む無職女性(当時61)方で、金属製のハンマーで女性の頭などを殴って約92,000円を奪い、台所にあった包丁で首付近を刺して殺害した。
 馬場被告は2012年の初めごろからリフォーム業者の仲介業を営み、同年3月、アパートを経営する女性と知り合った。女性は一人暮らしだった。
 7月4日午後3時40分ごろ、訪ねてきた知人2人が女性を見つけ119番通報。交友関係を調べていくうちに馬場被告が浮上。任意で数日事情を聴取し、10月20日に殺人容疑で逮捕した。送検後、強盗殺人容疑に切り替えた。馬場被告は借金を抱えていた。
裁判所
 鹿児島地裁 安永武央裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年5月22日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年5月19日の初公判で、馬場被告は起訴事実を認めた。
 冒頭陳述で検察側は「馬場被告が女性に借金を断られて強盗を決意した。『顔を見られるので殺すしかない』と考えており、犯行は残忍」と主張した。弁護側は「ヤミ金業者の取り立てに苦しみ、犯行に及んだ。反省を考慮してほしい」と訴えた。
 20日の論告で検察側は「明確な殺意に基づく残忍な犯行で、ヤミ金の返済に困り、被害者を殺害して現金を手に入れようと考えたこと自体、被害者の尊厳を無視した発想で、動機に酌量の余地がない」と断じた。同日の最終弁論で弁護側は「ヤミ金に追い詰められ、返済が最優先という呪縛を受けていた。残忍な犯行ではあるが、真摯に反省している」として、有期刑を求めた。馬場被告は最後に「被害者、そして遺族のみなさまに改めて心から深くお詫びを申し上げたい」と涙ながらに述べ、傍聴席の遺族に頭を下げた。
 安永武央裁判長は「顔みしりの被害者に借金を断られ金を奪うには殺すしかないと考えた被告の行為は、非常に執拗で危険なもので、興奮や動揺があったとしても、その危険性を分かったうえで自ら殺害目的を遂げている」と指摘。その上で、「犯行には、ヤミ金業者からの執拗な取り立てにより生じた心理状態よりも被告自身の自分本位な性格や判断が大きく影響していて、厳しい責任非難を向けるべきである。(被害者の)頭をハンマーで殴り、のどを刺すなど執拗で危険な犯行だ」と厳しく指摘した。
備 考
 控訴せず確定。

氏 名
永峰崇(43)
逮 捕
 2013年10月26日
殺害人数
 0名(死者2名)
罪 状
 現住建造物等放火、非現住建造物等放火、住居侵入他
事件概要
 大阪府八尾市の無職永峰崇被告は2013年8〜10月、東大阪市や八尾市、大阪市平野区で15件の放火を繰り返した。永峰被告は7月に派遣先の倉庫会社を解雇されたため、金もなくイライラして放火したと供述している。
 内訳は8月4日1件▽9月17日2件▽9月19日4件▽10月10日1件▽10月14日5件▽10月24日3件−。一連の事件で計30人が住んでいた建物8棟が全半焼。延焼などを含めれば18棟が被害に遭い、計約1450平方メートルが焼けたことになる。
 10月24日、東大阪市で発生した火災現場の近くで、永峰被告は警察官に職務質問され、本名を名乗ったが、前かごのリュックサックには可燃性のスプレーと接着剤を持っていたため、連続放火の重要参考人が浮上。他の複数の現場でも永峰被告とよく似た男が防犯カメラに写っており、府警は26日午後、永峰被告を柏原署に任意同行。自供したため逮捕した。

 判明分は以下。
 8月4日午後3時40分ごろ、東大阪市の木造2階建て共同住宅に火をつけ、延べ約550平方メートルのうち約260平方メートルを焼き、2階に住む女性(当時60、当時64)の2人が一酸化炭素中毒で死亡した。
 10月10日午後2時25分頃、東大阪市の共同住宅に火をつけ、木造2階建て計約430平方メートルのうち2階の一部約80平方メートルを焼いた。当時いた住人1人は逃げ出して無事だった。
 10月14日正午ごろ、東大阪市の無職女性方の外壁付近のダンボールにライターで火を付け、木造2階建て民家延べ約70平方メートルを全焼させた。住人は外出中で無事だった。
 10月14日午後0時半ごろ、八尾市の倉庫(約200平方メートル)に侵入し、トイレの壁にライターで放火。約170平方メートルが焼けたほか、近くの民家3軒に燃え移らせ、うち1軒を全焼させた。当時民家には計5人がいたが、いずれも逃げ出し無事だった。
 10月14日午後1時35分ごろ、八尾市新家町の農具小屋2棟に火をつけ、全焼させた。
裁判所
 大阪地裁 長井秀典裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年5月23日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年5月21日の論告で検察側は、永峰被告が2013年8月、最初の放火で2人が死亡したことを新聞記事で知ったにもかかわらず、約1カ月後に犯行を再開したと指摘。わずか数時間で無差別に4〜5回、火を放った犯行態様についても「悪質だ」とした。そして「2人の尊い命が失われており、近年類例をみないほど重大な犯行」と断じた。
 同日の最終弁論で弁護側は「被告は起訴事実を認め反省している。求刑は不当に重い」と反論し、情状酌量を求めて結審した。
 長井秀典裁判長は判決理由で「最初の放火で2人が死亡したのを知りながら、住宅密集地で放火を繰り返し、極めて悪質」と指摘。「就職できないことで母に小言を言われた鬱憤を晴らすために放火をした。動機にくむ余地はない。大半が住宅密集地で、付近住民に大きな恐怖と不安を与えた。過去の連続放火事件と比べても相当重い刑にする必要がある」とした。
備 考
 控訴せず確定。

氏 名
尾木敬治(44)
逮 捕
 2012年6?月?日
殺害人数
 0名
罪 状
 強姦致傷、強盗強姦、わいせつ目的略取、強盗他
事件概要
 住所不定、無職尾木敬治被告は2010〜2012年、小学生の女児4人を含む10歳未満の女児から50代までの女性を9人に性的暴行を繰り返した。

 最初の犯行は出所3週間後だが、出所2日後の2009年12月には、東北地方で強姦未遂事件を起こしている(起訴猶予)。
裁判所
 大阪地裁 斎藤正人裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年5月26日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 斎藤裁判長は判決理由で、尾木被告の最初の犯行が、女性に暴行するなどした前科の服役を終えてから約3週間後に起きていると指摘。「前科3犯があるにもかかわらず性犯罪を繰り返したことは強い非難に値し、再犯の懸念もある。被害者に与えた精神的、肉体的苦痛は甚大で、極めて卑劣で悪質な犯行」とした。
備 考
 被告側は控訴した。2014年11月21日、大阪高裁(笹野明義裁判長)で判決。被告側控訴棄却と思われる。

氏 名
中山潤基(26)
逮 捕
 2013年3月12日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、住居侵入、銃刀法違反
事件概要
 青森県南部町の警備員、中山潤基(じゅんき)被告は2013年2月28日午前2時ごろ〜同3時半ごろ、金品を盗もうと、勤務していた警備会社の同僚で、岩手県二戸市に住む男性(当時31)の自宅に浴室窓から侵入。1階寝室で男性に気付かれたため胸と背中を持参した包丁(刃渡り16.7cm)で数回刺したうえ、両端に金属製のへらが付いた特殊な刃物で首を数回突くなどして殺害。現金約46,000円とキャッシュカード1枚などが入った財布を盗んだ。隣室には身体の不自由な母親がいたが、就寝しており無事だった。
 同日朝、男性が担当する現場に姿を見せなかったことから、勤務先の上司が1人で男性宅を訪問。男性の母親から「いませんよ」と言われ、いったん引き返した。しかし、男性の車が自宅の車庫に止まっていたため、不審に思った上司が、この日は勤務が休みだった中山被告に連絡。一緒に男性宅を訪ねた。同じ頃、同日午前8時50分頃、母親を訪ねたヘルパーの女姓が男性の遺体を発見した。
 県警は3月12日、強盗殺人と住居侵入の容疑で中山被告を逮捕した。中山被告はパチンコ等で借金があり、奪った現金もパチンコに使っていた。
裁判所
 仙台高裁 飯渕進裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年5月27日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 2014年4月24日の控訴審初公判で、弁護側は、犯した罪への後悔や被害者に対する謝罪の思いなどをしたためたという手記を新たな証拠として示し、量刑不当を主張して刑の軽減を求めた。被告人質問で、中山被告は「自分が社会に出て働いた金で、一生かけて被害者遺族に償いをしたい」と話し、情状酌量を求めた。検察側は、「控訴に理由がない」として棄却を求め、即日結審した。
 飯渕裁判長は判決理由で中山被告が給料の大半をパチンコに使い、困窮した末の犯行だと指摘し「殺害に一定の計画性があり、一審判決の量刑判断の内容に明らかな誤りはなく、量刑自体も裁量の範囲を逸脱していない」と退けた。
備 考
 2013年12月5日、盛岡地裁の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。上告せず確定。弁護側は「6月2日に本人の意思確認をして決めた」とし、上告しない主な理由は「(二審で)被害弁償したいなどと訴えることができた。上告に必要な理由がない」と説明した。

氏 名
齊藤健一(44)
逮 捕
 2012年12月12日(強要未遂容疑。2013年1月3日、殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、窃盗、強要未遂、電磁的公正証書原本不実記録・同供用
事件概要
 熊本市の指定暴力団道仁会系組幹部齊藤健一被告は、知人の無職S被告と共謀。2012年10月20日午前3時ごろ、約3億円の保険金を掛けた熊本市の無職男性(当時45)を、熊本市北区の県道で軽乗用車とトラックではね、殺害した。
 斉藤被告は事件に先立ち、同日午前0時半ごろ、熊本市内の駐車場から軽乗用車(30万円相当)を盗んだ。また10月23日頃、熊本市の男性(当時52)に対し、自らが暴力団組員であるなどと脅し、事件の犯人として出頭するよう要求した。
 斎藤被告と被害者の男性は約10年前に知り合った。交通事故を装ってけがをし、保険金をだまし取る計画を男性に持ち掛けており、男性11社計約3億円の保険金がかけられ、掛け金の一部は斉藤被告が負担していた。斉藤被告と無職女性が共謀し、重度の知的障害をもつ女性の長女と斉藤被告を偽装結婚させていた。保険金の受取人は妻や無指定のものもあったが、請求はなく、支払われていない。
 12月12日、強要未遂容疑で斉藤健一被告とS被告が逮捕された。2013年1月3日、殺人容疑で斉藤被告、S被告が再逮捕され、無職女性が逮捕された。1月8日、窃盗容疑で無職男性が逮捕された。1月24日、斉藤被告と無職女性が電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で再逮捕された。同日、無職女性の殺人容疑は処分保留となった(後日、不起訴)。
裁判所
 最高裁第二小法廷 小貫芳信裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年6月9日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一・二審で被告側は、強要未遂の容疑について事実誤認があると主張している。
備 考
 斉藤被告の犯罪計画を知りながら、2012年9月に熊本市の飲食店で知人に譲った軽乗用車の合鍵を斉藤被告に渡して市内の駐車場に案内したとして殺人ほう助、窃盗ほう助に問われた男性は2012年5月24日、熊本地裁(松尾嘉倫裁判長)で求刑通り懲役6年の判決を受けた。2013年9月12日、福岡高裁(川口政明裁判長)は被告側控訴を棄却した。
 斎藤被告らと共謀し、重度の知的障害の長女と被害者の男性を2012年3月2日に偽装結婚させたとして電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪に問われた無職女性は2013年3月22日、熊本地裁(小松本卓裁判官)で懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を受けた。殺人容疑では不起訴処分(容疑不十分)となっている。控訴せず確定。同件では被害者の男性も書類送検され、容疑者死亡で不起訴となっている。
 共犯のS被告は2013年10月7日、熊本地裁(松尾嘉倫裁判長)の裁判員裁判で、懲役19年判決(求刑懲役25年)。従属的な立場であると認定された。2014年3月19日、福岡高裁(古田浩裁判長)で被告側控訴棄却。

 2013年8月30日、熊本地裁の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。2014年2月5日、福岡高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
皆川昌弘(59)
逮 捕
 2012年11月7日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、非現住検討物等放火、詐欺未遂、窃盗
事件概要
 茨城県常陸大宮市の飲食店従業員、皆川昌弘被告は、知人である住所不定、無職、関戸良一受刑者と共謀。栃木県茂木町の整骨院経営の知人男性から関戸受刑者は約2255万円、皆川被告は約711万円の借金返済を免れようと、2012年6月17日午後8時10分頃、茂木町内のログハウス内で男性(当時63)に睡眠薬を飲ませた後、同18日午前2時45分頃、関戸受刑者の所有するパイプ椅子で頭を数回殴打。昏睡状態の男性を近くの川に突き落として溺死させ、現金1万円を奪うとともに、借金を免れようとした。
 関戸受刑者と皆川被告は1月頃から計画を練り、2月には、フィリピンにある火山に男性を誘い出した。火口に突き落とす計画だったが、観光客が多く断念。5月には、皆川被告が経営するラーメン店で睡眠薬入りラーメンを食べさせ、眠った男性を殺そうと計画したが、睡眠薬が効かなかった。
 それ以前の2011年11月4日午前3時50分頃、二人は関戸受刑者所有の民宿に放火し、漏電による火災として火災保険金約4500万円をだまし取ろうとした。事件当時、民宿は営業していなかった。2012年3月、共済組合に保険金支払い請求書を提出したが、組合は事件10日前に契約を結んだことや出火原因を不審に思い、保険金は支払われなかった。二人は保険金を借金返済に充てようと考えていた。
 2012年6月19日、家族が茂木署に捜査願を提出。23日、男性の遺体が茨城県大洗町の海岸で見つかった。
 仕事をせず車上生活をして困窮していた関戸受刑者は2012年9月8日午前6時20分頃、栃木県下野市の総合病院の屋外喫煙所で、上三川町に住む無職女性(80)の現金約36,000円などが入った巾着袋(計39,000円相当)を突然奪い、乗用車で逃走した。約1時間半後、宇都宮市内のスーパーの駐車場で発見され、窃盗容疑で宇都宮署員に緊急逮捕された。
 11月17日、関戸受刑者と皆川被告が非現住検討物等放火と詐欺未遂容疑で逮捕された。2013年1月7日、両被告が強盗殺人容疑で再逮捕された。
裁判所
 東京高裁 三好幹夫裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年7月2日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 控訴審で被告側は、「直接手を下していない」として刑の軽減を求めたが、判決は「被告は、実行犯に睡眠薬の使用を提案したり、証拠隠滅のため携帯電話を捨てるよう指示したりして、犯行に積極的に関わった」と退けた。
備 考
 関戸良一受刑者は2013年7月23日、宇都宮地裁(松本圭史裁判長)の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。控訴せず確定。

 2014年3月3日、宇都宮地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2014年10月28日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
財津晴敏(57)
逮 捕
 2013年6月5日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人、銃刀法違反他
事件概要
 指定暴力団中野会(解散)の元幹部財津晴敏被告は、他の組員ら5人と共謀。1997年8月28日午後3時35分頃、神戸市中央区にあるホテル4Fの喫茶店で、指定暴力団山口組のナンバー2である若頭であった宅見組組長(当時61)を射殺した。組長と同席していた幹部2人は無事だった。このとき、隣のテーブルに座っていた歯科医師の男性(当時69)が流れ弾で巻き添えにあい、病院に運ばれたが6日後の9月3日に死亡した。
 財津被告は、中野会幹部の男性の指揮に従い、現場指揮を担当し、実行犯4人を率いていた。実行犯のうち、リーダー格であるT元容疑者が2mの至近距離から組長へ2発を発射し、さらに倒れたところを2発発射した。Y受刑者が撃った銃弾が、歯科医師の男性に当たった。N受刑者とK受刑者も発射したが当たらなかった。
 中野会会長が1996年7月、京都府八幡市内の自宅近くで暴力団会津小鉄会の組員に襲撃された事件で、宅見組組長が中野会長抜きで和解して収束させた目的が、会長を排除するためという見方が中野会内で広がり、さらに組長がやらせたのではとの疑念を抱き、報復のため、元幹部(病死)を中心に殺害の機会を窺っていた。当初は東京で実行する予定だったが機会は無く、関西での実行に変更された。
 8月31日の告別式で、山口組組長(当時)は中野会会長を破門。さらに歯科医師の男性が亡くなった9月3日には、更に重い処分である絶縁に変更した。会長は絶縁理由に納得できず独立したが、この事件の報復として幹部メンバーが殺害されて組織力が低下し、2005年8月7日に解散している。
 射殺事件を指揮した中野会幹部の男性は事件後の9月、韓国に入国し、釜山に滞在。1998年7月6日、ソウル市内のアパートで遺体となって発見された。45歳没。外傷はなく、脳卒中と判断された。
 実行犯のN受刑者は逃亡中の1998年10月2日、仙台市にいたところを別件の詐欺容疑で逮捕された。同じくY受刑者は1999年2月15日、別件の詐欺容疑で逮捕された。
 1999年3月24日、兵庫県警捜査本部はY受刑者とN受刑者を殺人容疑などで再逮捕。財津被告、T元容疑者、K受刑者を殺人容疑で指名手配した。7月12日、捜査本部はK受刑者を逮捕した。
 1999年10月26日、神戸地裁はY受刑者とN受刑者に求刑通り懲役20年判決を言い渡した。2000年6月5日、大阪高裁で被告側控訴棄却。Y受刑者は上告せず、確定。2002年1月16日付で最高裁第二小法廷は、N受刑者の上告を棄却し、刑が確定した。
 2000年1月21日、神戸地裁はK受刑者に求刑通り懲役20年判決を言い渡した。2000年7月11日、大阪高裁で被告側控訴棄却。上告せず、確定。
 2006年6月30日、T元容疑者が神戸市東灘区の倉庫内で遺体で見つかった。56歳没。糖尿病と慢性肝炎が持病で、遺体は床ずれがあってやせ細った状態だった。死因は衰弱死だった。8月25日、兵庫県警はT元容疑者と98年に死亡した元幹部を殺人と銃刀法違反容疑で容疑者死亡のまま書類送検した。遺体を遺棄した男性2人は、死体遺棄容疑で書類送検されている。遺体の遺棄を依頼した者は不明。
 兵庫県警は実行役や運転手役、拳銃手配役など計18人を逮捕している。
 2013年6月5日、兵庫県警は指名手配していた財津被告を、潜伏先である埼玉県狭山市のアパートで発見、逮捕した。兵庫県警は2013年、他の県警などから「財津容疑者らしき人物が埼玉にいる」などとの情報を得て、捜査員を派遣。聞き込み捜査を重ね、財津被告の潜伏先を突き止めた。
 9月18日、2010年2月ごろ、知人を通じて元中野会系組員の男性に潜伏先を探すよう依頼したとして、犯人蔵匿教唆容疑で再逮捕された。犯人隠匿教唆容疑については、「殺人罪などで起訴しており長期の逃亡生活を解明できた」として、10月9日に不起訴となっている。
裁判所
 大阪高裁 的場純男裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年7月10日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 弁護側は、「役割は従属的だった」として、懲役20年が確定した実行犯3人より量刑が重いことを不当だと主張した。
 判決理由で的場裁判長は、犯行について「一般市民が多数出入りする場所で多数の銃弾を発射する極めて危険で無法なものだった」と指摘。その上で「現場指揮役として不可欠の役割を果たし、実行犯より重い責任を問われるのは当然」と述べた。
備 考
 財津被告に埼玉県狭山市のアパートを用意し、2010年4月〜2013年6月の間かくまうなど、犯人隠匿罪に問われた元中野会組員の男性は、2013年11月21日、神戸地裁(小林礼子裁判官)で懲役2年執行猶予5年(求刑懲役2年)判決を言い渡された。小林裁判官は「約16年にわたり逃走に関与し、適正な刑事司法の作用を侵害したが、役割は補助的」と述べた。
 財津被告をかくまうため、2010年3月に自分を入居者とする虚偽の申込書を提出したとして詐欺罪に問われた秋田市の住吉会系暴力団組員の男性は、2013年11月25日、神戸地裁(内山裕史裁判官)で懲役10月(求刑懲役1年2月)判決を言い渡された。
 アパート契約の主導役で指名手配されていたS容疑者は、2014年7月15日、詐欺の容疑で逮捕された。
 2014年3月14日、神戸地裁の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2014年11月26日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
少年(19)
逮 捕
 2013年3月3日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗未遂、銃刀法違反他
事件概要
 日野市に住む無職少年(事件当時18)は2013年2月28日午前1時48分頃、武蔵野市に住む無職ルーマニア人少年(事件当時17)と共謀し、東京都武蔵野市吉祥寺で通行中のファストフード店店員女性(当時22)の背中2箇所や左手首付近などをペティナイフで刺して殺害。現金1万円入りの財布などの入ったバッグを奪った。直後、現場近くのコンビニエンスストアのATMで女性のキャッシュカードを使って現金を引き出そうとしたが、暗証番号がわからず失敗した。
 通行人からの110番通報で警視庁捜査1課などが捜査を始めた。早朝、ルーマニア人少年をJR吉祥寺駅前で発見し、事情聴取。昨年11月に他の男性名義の通帳を持ち去った占有離脱物横領容疑で同日、逮捕した。この件については、武蔵野署が事情を聞いていたが、その後行方をくらましていた。3月1日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 無職少年は事件後日野市の知人宅に居たが、2日午後11時頃、知人らに付き添われて警視庁日野署に出頭し、3日、強盗殺人容疑で逮捕された。
 2人はともに家出中で、2月上旬に日野市のカラオケボックスで友人を介して知り合い意気投合。その後はゲームセンターなどで一緒に遊んでいた。2人は被害者と面識は無かった。事件前日にゲームセンターで金がなくなり、2人で相談し、刺して金を取ることで合意。凶器のナイフを万引で調達していた。
 東京地検立川支部は3月21日、2人を強盗殺人などの非行事実で、東京家裁立川支部に送致した。東京家裁(山口裕之裁判長)は4月17日、2人について検察官送致(逆送)を決定した。山口裁判長は「結果の重大性や動機に酌むべきものがなく、少年の年齢、環境などの事情を考慮しても、刑事処分以外の措置を相当とすべきだとの判断におよそ至らない」と指摘した。東京地検立川支部は4月26日、強盗殺人などの罪で2人を起訴した。
裁判所
 東京高裁 村瀬均裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年7月10日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 2014年6月20日の控訴審初公判で、少年は被告人質問で、共犯のルーマニア国籍の無職少年から「俺も刺すからお前も刺せ」と言われたと主張。刺すことでどんな結果が生じるかは、「全く考えられなかった」と述べ、殺意はなかったと主張した。青森県に住む被害者の父親の意見陳述もあり、「娘の命、夢、希望を返してほしい。被告には反省や誠意が全く感じられず、一審判決を支持する」と訴えた。検察側は控訴棄却を求めて結審した。
 判決で村瀬裁判長は、「ナイフで刺せば致命傷を与える可能性を認識していた。指した時の傷も深い。自ら被害者からバッグを奪うなど従属的とは言えない」と殺意を認定し、被告側の主張を退けた。そして「刺されて倒れた被害者の腕から平然とバッグを持ち去っており、被害者の苦しみや痛みに思いを致さず、金欲しさだけで行動した」と非難。無期懲役が重すぎて不当とは言えないと判断した。
備 考
 2013年3月7日発売の『週刊新潮』3月14日号(新潮社)は、2人の実名と顔写真を掲載。同誌編集部は「事件の重大性、凶悪性から未成年でも実名・顔写真の報道が認められた確定判決もあり、今回も、社会の正当な関心に応える上で同様のケースと判断した」としている。一部の書店では、少年法61条違反の疑いがあるとして、取扱いを中止した。また同日発売の『週刊文春』では仮名で目の部分を黒塗りした顔写真を掲載した。
 共犯の少年被告(ルーマニア国籍)は2014年3月4日、東京地裁立川支部(倉澤千巌裁判長)で求刑通り一審無期懲役判決。2014年9月25日、東京高裁で被告側控訴棄却。
 2014年2月7日、東京地裁立川支部の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。上告せず確定。

氏 名
少年(19)
逮 捕
 2013年10月15日(窃盗容疑。11月4日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗
事件概要
 住所不定、無職の少年は2013年9月26日午前3時半ごろ〜6時15分ごろ、北区に住むラーメン店アルバイトの男性(当時25)が住む京都市北区のマンションで、借りていた携帯電話の返還を免れる目的で就寝中の男性の胸を、台所にあった包丁(刃渡り17cm以上)で刺して殺害。携帯電話2台と約17,000円入りの財布を奪った。29日に再び男性方を訪れ、包丁やマンガ、ゲームを持ち出した。
 少年は他に9月24日、京都市上京区の駐輪場でオートバイ(約15万円相当)を盗んだ。
 少年は男性が2004年2月まで暮らした京都市内の児童養護施設の出身で、2005年10月から2008年9月まで入所。男性と入所時期は重なっていないが、手紙をやりとりし、2013年9月以降は男性方に度々寝泊まりしていた。男性は昼間は乾物会社、夜はラーメン店で働いており、部屋には少年も含め、施設の後輩が頻繁に出入りしていた。少年は施設を出た後は定職には就かず、犯行直前は、知人宅やネットカフェを転々とする生活を送っていた。
 10月14日午後4時10分頃、連絡が取れなくなったことを心配して訪ねてきた施設の後輩である中高生2人が、持っていた合鍵で部屋に入り遺体を発見した。
 京都府警北署捜査本部は10月15日、男性の携帯電話を盗んだ窃盗容疑でネットカフェにいた少年を逮捕した。11月4日、強盗殺人容疑で再逮捕。京都地検は11月26日、強盗殺人などの非行内容で京都家裁に送致した。
 京都家裁(谷口真紀裁判長)は12月19日の第2回少年審判で、少年が金品を奪おうとして男性を殺害したと認定した上で、「無軌道な生活を送っていた少年の身勝手な動機に酌むべき点はない」と指摘。「強固な殺意に基づく凶悪な犯行。刑事処分以外の措置は相当ではない」と判断し、検察官送致(逆送)とする決定をした。京都地検は12月27日、強盗殺人罪などで起訴した。
裁判所
 京都地裁 後藤眞知子裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年7月14日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。少年は逮捕当初は犯行を否認していたが、再逮捕後に殺人を認めている。
 2014年7月1日の初公判で、少年は起訴事実のうち殺害は認めたが、強盗目的は否認した。
検察側は冒頭陳述で少年の犯行動機について、男性から借りていた携帯電話の返却を求められ、交際相手と連絡が取れなくなることを恐れて殺害に及んだと主張。当時は金に困っており、犯行時点で財布を奪う意思があったと指摘した。
 弁護側は男性に対する個人的な恨みが理由とし、財布を持ち出したのは第三者の強盗とみせかけるためで犯意はなかったとした。
 7日の論告で検察側は、「強固な殺意による残忍な犯行」と主張。強盗目的を否定していることには「不合理な弁解に終始し、反省の態度がない。被害者の家族の処罰感情は厳しく再犯の可能性もある」と指摘した。
 同日の最終弁論で弁護側は「強盗目的の証拠はない」と反論し、殺人罪を適用して懲役5年以上8年以下の不定期刑が相当と訴えた。
 判決で後藤真知子裁判長は、少年が、同じ児童養護施設出身で知人の男性から借用していた携帯電話の返還を求められて強い抵抗を感じ、事件直前に被害者宅で財布を確認した段階では奪う目的が生じていた、と推認。弁護側が被害者の暴行に対する恨みが動機と主張した点に関し「恨みによる殺意と、奪う意思は併存する」と強盗目的を認めた。一方、「主な殺害動機に何らかの恨みがあった可能性が高い」としたが、少年の行動と暴行の主張は相いれず、具体的経緯は不明とした。そして後藤裁判長は「強固な殺意に基づく残忍な犯行」と指摘。殺害後も被害者宅から物を盗み、公判での言動は「行為の重大性に向き合えていない」とし、酌量の余地はないと結論づけた。
備 考
 少年は2013年11月22日夜、取調中に過呼吸の発作を起こして倒れ、京都市内の病院に救急搬送された。病院からは戻ったものの、23、24日に弁護士が接見した際には、話しかけてもうつむいて脱力し反応さえできない状態だった。それでも両脇を抱えられるようにして取調室に連れてかれ、24日夕には筆談で「病院に行きたい」と訴え、再び医師の診察を受けたという。弁護士は「このような状態の少年を留置場から引きずり出し、取調室に連れて行くなどの行為は人道上許されるものではなく、拷問以外の何物でもない」として、取り調べの中止と適切な医療措置をとるよう求める異例の申し入れ書を京都府警や地検に提出した。
 被告側は控訴した。2015年3月17日、大阪高裁で被告側控訴棄却。2015年8月25日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
中田富士夫(50)
逮 捕
 2012年11月21日(窃盗容疑。2013年3月19日、強盗致死容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗致死、住居侵入、窃盗
事件概要
 住所不定のタトゥーアーティスト中田富士夫被告は1996年7月24日午後4時40分ごろ、金の無心のため浜松市の父(当時58)宅に鍵業者に解錠させて侵入。父の顔や腹に殴る蹴るなどの暴行を加えて出血性ショック死させたうえ、キャッシュカードが入った財布を奪って翌25日、同市内にある銀行の現金自動預け払い機(ATM)から計184万円を引き出して盗んだ。
 静岡県警は、父親に金を無心していた中田被告に任意同行を求めたが応じず、中田被告は8月4日に中国・上海に出国へ出国し行方が分からなくなった。中田被告は東南アジアを転々。2012年8月、マレーシア当局から連絡があり、中田被告がトラブルを起こして現地警察の調べを受けた際、旅券不所持が明らかになり不法滞在容疑で逮捕されていた。同国で約3カ月間、刑務所に入っていたという。11月21日、マレーシアから航空機で中田被告を移送中、機内で県警捜査員が窃盗容疑で逮捕状を執行した。窃盗罪の公訴時効は7年だが、中田被告は外国にいたため停止している。
 窃盗罪に問われた中田被告は2013年1月24日、静岡地裁浜松支部(青沼潔裁判官)で初公判が開かれた。検察側は「関連事件で追起訴する可能性がある」と述べたため、弁護側は「後発の事件への検察官の主張を見ないと対応を決められない」として、罪状認否を保留した。
 県警は3月19日、中田富士夫被告を強盗致死容疑で再逮捕した。
裁判所
 静岡地裁浜松支部 山崎威裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年7月18日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年7月2日の初公判で、中田被告は強盗致死や窃盗について「やっていない」と否認した。
 検察側は冒頭陳述で、中田被告は以前から父親らに金を無心し、「鍵を外させてまで侵入しており、非常に金銭を欲していた」と主張。事件直後の8月4日に海外に出国していることは、「犯人だからこそ取った行動」などと指摘した。
 一方、弁護側は「中田被告が家を出てから遺体が見つかるまで53時間余りあり、第三者から暴行を受けた可能性もある」と主張。また、警察が被害者の着衣を紛失した点に触れ、「被害者の血液のDNAが残っている。重要な証拠だ」などと指摘した。そして「検察のストーリーは一つの可能性に過ぎない。家に侵入したが、親族の問題を話し合うためだった。父は現金引き出しを了解していた」などと主張した。
 11日の論告で検察側は「長年金を無心した揚げ句、人の命を奪った犯情は悪質。もはや人としての規範意識がなく、更生の可能性がない」と指摘した。
 同日の最終弁論で弁護側は、父親の傷痕や室内に争った形跡がないことなどから、「転倒や第三者による暴行で死亡した可能性も考えられる」などと主張した。そして「住居侵入のみ成立し、強盗致死と窃盗については無罪」と述べ、懲役1年を求めて結審した。
 判決で山崎裁判長は、父親の致命傷は暴行で生じたと認定。弁護側の無罪主張に対しては、「被害者宅に第三者の指紋や侵入の形跡などはなかった。被告人に犯行の機会がある一方で、第三者の犯行の可能性は乏しい」として、これを退けた。被告がカードを持ち出せたことには「父親は当時、被告に資金援助するつもりはなかった。被告が暴行を加えるなどして奪った可能性が高い」と述べた。さらに「中田被告は再三にわたって金を無心し、警察の出頭要請に応じず、海外へ出国した。逃亡とすれば合理的に説明できる」とも指摘し、「総合すれば被告が犯人だと認められる」と述べた。そして「長期間にわたり海外逃亡し、公判でも不合理な弁解に終始した。家族を金の無心の対象としか見ておらず、反省の態度や更正の意欲は見られない。犯行は強固な利欲目的に基づくもので、強盗致死の中でも悪質な事案である。刑事責任を軽くする事情はない」と断じた。
備 考
 静岡県警は2013年4月10日、被害男性が着ていたシャツやズボンなど11点と、中田被告とみられる人物がATMから現金を引き出す様子を記録したビデオテープ2本の計13点を紛失していたと発表した。という。県警捜査1課は「被疑者は起訴され、証拠品紛失による立証上の支障もない」としている。
 被告側は即日控訴した。2015年2月25日、東京高裁(八木正一裁判長)で被告側控訴棄却。2017年5月8日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
相沢鉄三(77)
逮 捕
 2014年2月28日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、住居侵入
事件概要
 無職相沢鉄三被告は1999年7月11日夜、甲府市愛宕町の無職女性(当時70)方に盗み目的で2階窓から侵入。12日にかけて物色中、目を覚ました女性にカッターナイフのような刃物を突きつけて「金を出せ」と脅し、抵抗されたため手で絞殺した。
 相沢被告は事件当時、女性宅の近くに住む知人を頻繁に訪れており、女性とも知り合いだった。
 物証が乏しく、捜査は難航。相沢被告も重要参考人として任意で事情聴取されたが、容疑を否認した。
 相沢被告は2007年10月、甲府市で強盗殺人を引き起こし、2008年8月7日に甲府地裁で求刑通り無期懲役判決を受け、控訴せず確定。岐阜刑務所に服役中の2012年10月、甲府署長あてに犯行を認める内容の手紙を送付。山梨県警の任意聴取に容疑を認めた。県警が現場の遺留物のDNA型を再鑑定した結果、相沢被告のものと一致した。2014年2月28日、県警は相沢被告を強盗殺人容疑で逮捕した。
裁判所
 甲府地裁 菱田泰信裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年8月7日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年8月4日の初公判で、相沢被告は「間違いない」と起訴内容を認めた。
 検察側は冒頭陳述で「女性が1人暮らしだと知った上で残忍な犯行に及んだ」と指摘。弁護側は「被害者と遺族に謝罪の気持ちを持ち、自分から進んで罪を告白した」と主張した。
 5日の論告で検察側は、「被害者に顔を見られたので殺害した経緯は残忍で理不尽」とし、過去の犯罪歴からも「更正は困難」と主張した。同日の最終弁論で弁護側は「自ら犯行を告白している」と情状酌量を求めた。
 菱田泰信裁判長は判決で、「殺人は計画性のない突発的なものだが、殺害の身勝手な経緯や動機に同情すべき点はない。被害者に抵抗されても手加減せずに首を絞め続けていて殺意は強固で殺害方法も悪質」と指摘。安易に窃盗を試み、殺害をためらわない人命軽視の姿勢がうかがわれるなどとして、「犯罪性向が進んでいたのは明らか」とした。一方、自ら犯行を告白する手紙を警察宛てに送ったことで事件が解決に至った点や、所持金の大半を犯罪被害者支援の寄付にしている点に触れ、「死刑に処すべき事案でない」と判断した。
 判決を言い渡した後、菱田裁判長は「個人の意見」として、相沢被告に対し、「どんなに謝罪をしても十分ではない。服役中は多くの被害者のことを忘れずに、謝罪と反省の気持ちを持ち続けて下さい」と話した。
備 考
 控訴せず確定。

氏 名
伊藤早苗(44)/菊地広光(50)
逮 捕
 2013年2月7日(詐欺容疑。2月21日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、強盗殺人未遂、窃盗、詐欺
事件概要
 宮城県丸森町の無職・伊藤早苗被告と仙台市の会社員・菊地広光被告は共謀して2012年10月21日深夜、宮城県蔵王町のホテルで、埼玉県行田市の電気設備業の男性(当時67)に睡眠薬入りの飲料を飲ませて眠らせて大量のインスリンを注射し、鋼材で頭を殴って殺害しようとしたが失敗した。男性は脳挫傷で重傷を負い、病院に搬送されたが、男性は記憶が曖昧な様子で「転倒した」などと宮城県警には説明した。
 11月3日に退院した際、伊藤被告が婚約者を装って手続きをし、2人は男性を転院させず、男性の自宅に移動させた直後、睡眠薬を飲ませ牛刀(刃渡り約18cm)で首を切って殺害し、現金約32,000円や指輪1個(時価約10万円相当)などを奪った。
 その後両被告は11月3日〜11日、不正に入手した男性のキャッシュカード2枚を使って、宮城、福島両県のコンビニ店の現金自動預け払い機で計188万円を引き出して盗んだ。
 男性の知人が11月中旬、連絡が取れないことから通報し、埼玉県警の署員が1階で遺体を見つけた。県警は事件と自殺の両面で捜査していたが、2人が男性の死後、男性の健康保険証を使って宮城県内の携帯電話販売店で男性名義の携帯電話2台を買ったとして、2013年2月7日に詐欺容疑などで逮捕した。2月21日、強盗殺人容疑で再逮捕。4月10日、ホテルでの強盗殺人未遂で再逮捕。5月15日、窃盗容疑で再逮捕。
裁判所
 さいたま地裁 片山隆夫裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年8月8日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年7月7日の初公判で、伊藤被告は「現金などは取っていない」「殺すつもりはありませんでした」と起訴内容の一部を否認。菊地被告は「間違いありません」と全て認めた。
 検察側の冒頭陳述によると、伊藤被告は2006年にインターネットの婚活サイトを通じて交際を始めた男性から約1000万円を借金。返済を免れようと、同じく婚活サイトを通じ2009年から交際していた菊地被告と共謀した。
 弁護側は、伊藤被告の動機について「男性に執拗に借金返済を迫られて嫌になった」と説明。菊地被告の立場は「伊藤被告を守りたいと思い殺害を実行したが終始、従属的だった」と主張した。
 7月28日の論告で検察側は「伊藤被告は事件の首謀者。実行行為にも及んだ。財産を根こそぎ奪うために殺害した」と指摘。「菊地被告は自分の利益のため積極的に犯行に加担した」とした。
 同日の最終弁論で伊藤被告の弁護側は、伊藤被告が男性に借金で縛り付けられ、逃れようとしたとして懲役25年が相当と主張。菊地被告の弁護士側は、役割が従属的で利益も得ていないと訴え、懲役30年が相当と主張した。
 判決で片山裁判長は、伊藤被告が婚活サイトで知り合った被害者からの約1000万円の借金返済を免れるため犯行を計画したと認定。「被害者に対する債務の返済を免れる意思や被害者の財産を奪う意思があったことが明白」と指摘し、弁護側の主張を退けた。そして「一連の犯行の首謀者で、反省は十分とはいえない」と断じた。菊地被告については、「2度にわたる残虐な殺害行為は強い非難に値し、伊藤被告の誘いや指示を拒絶することは可能だった」と指摘。事実を認め反省している点などを挙げたが「事案の重さを鑑みると、酌量減軽をするのが相当とはいえない」とした。
備 考
 被告側は控訴した。2015年4月23日、東京高裁で被告側控訴棄却。2015年9月16日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
小林繁(68)
逮 捕
 2012年4月23日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、現住建造物等放火
事件概要
 川口市のタクシー運転手、小林繁被告は2012年1月6日午後9時半ごろ、川口市の義母(当時89)方1階居間にガソリンをまいて火を付け、木造2階建て住宅約90平方メートルを全焼させて義母に重いやけどを負わせ、約1カ月後の2月7日に多臓器不全で死亡させた。
 4月23日、埼玉県警は小林繁を殺人と現住建造物等放火容疑で逮捕した。出火後に義母が自力で逃げた際、「石油ストーブでやられた」という趣旨の話をしていたといい、小林被告が火災前に訪れていた内容を話したという。県警は失火の可能性がないことや、小林被告に出火当時のアリバイがないことから逮捕に踏み切ったとしている。
 小林被告の妻は、被害者の長女(2011年6月に病死)。3人は2009年8月から2011年5月まで、義母宅で同居していた。
裁判所
 最高裁第二小法廷 小貫芳信裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年8月27日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一、二審で被告側は無罪を主張している。
備 考
 2013年1月30日、さいたま地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2014年1月24日、東京高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
山田有華(46)
逮 捕
 2013年2月1日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、逮捕監禁、銃刀法違反(加重所持、発射)、傷害、覚せい剤取締法違反他
事件概要
 元暴力団員で大阪市中央区の自動車販売仲介業・山田有華被告と吹田市の無職・YO被告は2012年10月11日午前2時40分頃、吹田市のマンション前の路上で、市内に住む男性(当時43)を日本刀で切りつけたり、顔に催涙スプレーを噴射したりして全治3カ月の重傷を負わせたうえ、拳銃を1発発射した。YO被告と男性は顔見知りでトラブルになっていた。
山田有華被告はYS被告、TM被告、MS被告、NK被告、TN被告と共謀。さらに11月27日午前1時頃、東大阪市の路上で、八尾市に住む韓国籍の職業不詳の男性(当時52)を乗用車に乗せ、粘着テープで両手を縛り、大阪、兵庫両府県を走行中の車内や同府内の貸倉庫で殴る蹴るなどして暴行。山田被告は男性腹部を銃撃した上、29日午前0時20分頃、神戸市中央区港島の神戸港から車ごと海中に転落させ、水死させた。男性と山田被告は覚醒剤取引のトラブルがあり、男性は山田被告から借金をしていた。
 YO被告は11月29日、守口市の自宅マンションで覚醒剤約1.5kgを所持していた。山田被告は同日、東淀川区の知人宅マンションの出入口で覚醒剤約2gを所持していたほか、同月に使用した。
 他に山田被告は韓国籍の無職男性SK被告と共謀。9月21日未明、滋賀県草津市にある開店前の携帯ショップに侵入、iPhone5を含む携帯電話23台など計42点(時価約165万円相当)を盗んだ。2人は24日、京都市内のリサイクルショップに携帯電話10台を盗品であることを隠して持ち込み、現金20万円に換金した。
 11月29日、大阪府警はYO被告と山田被告を殺人未遂、銃刀法違反(加重所持)の疑いで逮捕した。山田被告は逮捕時、拳銃1丁と実弾2発を所持していた。さらに2被告は覚醒剤を所持していた。12月19日、大阪地検はYO被告と山田被告を傷害と銃刀法違反容疑で起訴した。地検は「殺意を証明できるだけの証拠がなかった」としている。
 2013年1月15日、府警はYO被告と山田被告を覚せい剤取締法違反容疑で再逮捕した。
 4月19日、兵庫県警捜査本部は山田有華被告、TN被告、TM被告、YS被告、NK被告を逮捕監禁容疑で逮捕した。25日、MS容疑者を逮捕監禁容疑で逮捕した。5月10日、殺人容疑で6人を再逮捕した。5月31日、神戸地検は山田被告を殺人罪他で、残り5人を傷害や死体遺棄罪を適用して起訴した。
 7月31日、大阪府警は山田被告とSK被告を窃盗容疑で逮捕した。
裁判所
 大阪高裁 的場純男裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年9月4日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 被告側は「発砲は威嚇目的で殺意はなかった」と主張したが、的場裁判長は「身体に命中することは十分予想していた」と判断。一審判決に事実誤認はないとした。
備 考
 YS被告は2013年9月12日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役2年6月判決(求刑懲役3年)が言い渡された。
 TM被告は2013年9月13日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役2年6月判決(求刑懲役3年)が言い渡された。
 MS被告は2013年10月29日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役4年判決(求刑懲役5年)が言い渡された。遺棄場所を提案するなど、主体的に関与したと判断された。
 NK被告は2013年12月6日、神戸地裁(辻井由雅裁判官)で懲役5年6月判決(求刑懲役8年)が言い渡された。暴行の激しさを問われた。
 TN被告は2014年1月15日、神戸地裁(増田耕児裁判長)で懲役5年、罰金50万円判決(求刑懲役7年、罰金50万円)が言い渡された。覚せい剤取締法違反にも問われている。関与は従属的と判断された。
 YO被告とSK被告は不明。

 2014年3月4日、神戸地裁で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。

氏 名
奥山喜裕(23)
逮 捕
 2012年1月11日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人
事件概要
 京都市右京区の貴金属買い取り会社社員、奥山喜裕被告は2011年12月19日、伏見区に住むパート勤務の女性(当時68)方を訪れて貴金属を脅し取ろうとしたが、女性が助けを呼ぼうとしたため、首や手を肌着で絞めて殺害し、指輪5個を奪った。奪った指輪のうち4個は、勤務先とは別の業者で計約3万円に換金し、交際相手とのクリスマスディナーなどに使った。1個は交際女性に渡した。
 奥山被告は12月10日に同僚の鑑定士とともに女性宅を訪れ、指輪1点を500円で買い取っていた。
 事件後、女性宅から指輪がなくなっていたことや買い取り業者が訪問していたとの情報などから奥山被告が浮上し、京都府警は2012年1月11日、強盗殺人などの容疑で奥山被告を逮捕した。
裁判所
 大阪高裁 横田信之裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年9月5日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 判決理由等は不明。
備 考
 2013年10月28日、京都地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。

氏 名
竹中誠司(27)
逮 捕
 2011年3月11日
殺害人数
 2名
罪 状
 強盗殺人、窃盗、詐欺
事件概要
 住所不定、無職竹中誠司被告は2011年8月7日午前5時15分頃、金品を奪う目的で、かつて仕事で訪問したことのある印刷会社役員の男性(当時64)方である広島市中区のお好み焼き店兼住宅に、無施錠の1階勝手口から室内に侵入。2階和室にいた男性とその妻でお好み焼屋経営の女性(当時61)を、台所にあった文化包丁(刃渡り約17cm)で刺して失血死させた。
 男性の携帯電話の通信記録などから、当時は広島市内に住んでいた竹中被告が浮上。現場には血のついた裸足の足跡などが残され、この足紋が竹中被告のものと一致したことから、広島県警広島中央署捜査本部は11月19日、竹中被告を殺人容疑で逮捕した。
 竹中被告は2011年9月、盗んだクレジットカードを使った詐欺容疑で島根県警に逮捕され、松江地裁益田支部で公判中だった。
 竹中被告は6月に会社を辞め、事件当時は友人宅やインターネットカフェに寝泊まりしていた。
 竹中被告は「2人に恨みはなかったが、金が欲しかった」と供述したことから、捜査本部は21日、強盗殺人に容疑を切り替え、竹中被告を広島地検に送検した。
 竹中被告は他に、2011年8月1日夜から2日朝にかけて、広島市西区の会社事務所に侵入し、約35万円を盗んだ。殺害事件後の8月15日〜9月11日、山口市や島根県益田市内の住宅でゲーム機や財布を盗むなどした。
裁判所
 最高裁第二小法廷 鬼丸かおる裁判長
求 刑
 死刑
判 決
 2014年9月17日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一・二審で被告は事件のことを覚えていないと主張し、弁護側は無罪を主張した。
備 考
 数年前に強盗致傷容疑で逮捕され、執行猶予判決を受けた前科がある。
 2013年3月13日、広島地裁の裁判員裁判で求刑死刑に対し一審無期懲役判決。2014年2月3日、広島高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
田口勝志(55)
逮 捕
 2013年8月9日(死体遺棄容疑。8月29日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、死体遺棄、強盗致傷、窃盗他
事件概要
 神戸市の田口勝志被告は、2013年3月ごろに神戸市の無職女性(当時87)と知り合い、身の回りの世話をしていた。5月上旬に「もっと利率の良い銀行に預けたほうがいい。口座を作ってあげる」「娘さんのためにいい福祉施設を紹介する」などとうそを言って、女性から現金1000万円を一括で受け取った。田口被告は「今日は銀行の担当者がいない。それまで預かっておく」と言い、遊興費や生活費に使っていたが、女性から返済を迫られた。5月27日、田口被告は実家の蔵の掃除を手伝ってほしいと女性を津山市まで連れ出し、市内の林道にとめたレンタカー内で女性の顔に袋をかぶせ、粘着テープで巻いて窒息させ殺害し、死体を埋めた。

 別件として以下がある。
 田口被告は2006年8月5日、広島市中区のホテル個室で当時同僚だった会社員男性(66)の24万9000円などが入った紙袋を盗んだ。
 田口被告は大阪市の韓国人男性と共謀し、2007年8月14日午後10時半ごろ、大阪市浪速区の路上で、帰宅途中の女性(40)に背後から刃物を突きつけ、現金約19000円が入ったバッグを奪い、女性を転倒させて軽傷を負わせた。また8月16日夜、京都市東山区の飲食店駐車場で、車に乗り込んだ同市下京区の僧侶の男性(51)にナイフのような刃物を突きつけて「金を出せ」と脅し、手提げかばん(約17万円入り)を奪い、男性の左手に軽傷を負わせた。

 女性の関係者が6月中旬に行方不明者届を提出。兵庫県警の捜査で、田口被告が女性の失踪に関係している疑いが浮上した。
 田口被告は6月18日、広島市の事件について窃盗容疑で逮捕された。時効2か月前だった。
 8月、兵庫県警が田口被告に事情を聞いたところ、死体遺棄について自供した。同県警は7日午後、供述通り、津山市の山中で女性の遺体を土の中から発見したため、8日に死体遺棄容疑で田口被告を逮捕。8月29日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 田口被告は強盗殺人事件の取り調べで強盗致傷事件の関与を供述。2013年10月9日、大阪市の事件で再逮捕。11月6日、京都市の事件で再逮捕された。
裁判所
 大阪高裁 米山正明裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年9月17日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 被告側は「被害者から返済を厳しく求められておらず、それを免れるための強盗殺人とはいえない」と主張したが、米山裁判長は「債務の支払いを事実上免れる状態になり、財産上不法の利益を得た」と認定。一審に続き、強盗殺人罪の成立を認めた。
備 考
 2014年5月16日、神戸地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。

氏 名
菅原勝男(70)
逮 捕
 2010年11月4日(現行犯逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、住居侵入、銃刀法違反
事件概要
 秋田市の無職菅原勝男被告は2010年11月4日午前4時ごろ、秋田市に住む弁護士(当時55)の自宅に拳銃などの凶器を持って侵入。110番通報で駆け付けた警察官2人は、弁護士の男性宅でつかみ合っていた2人を発見。拳銃を持っていた1人を捕まえようとしたが、実はそちらが男性で、拳銃は菅原被告から取り上げたものだった。その隙に菅原被告は、凶器を置いていた応接室から、剪定ばさみを分解した刃物を手に、廊下にいた男性に突進。警察官は思わずかわし、菅原被告と男性は組み合うように寝室になだれ込んだ。慌てて警察官2人が寝室に入り、菅原被告を押さえ込むなどしたが、男性は「刺された」と言い、搬送先の病院で死亡した。警察官は耐刃防護服など定められた装備を着用していなかった。
 男性は菅原被告の元妻から依頼を受け、2002年からの離婚調停で代理人を務めた。財産分与調停で2004年、元妻側に多額の財産が分与されたという。菅原被告は財産分与に不満を抱き、元妻に度々、脅迫めいた電話をしていた。元妻は離婚後も菅原被告の件で男性と連絡を取り合い、「先生も気をつけて下さい」と忠告していた。
 秋田県警は、佐藤憬刑事部長が男性宅で遺族に面会、「事件を避けられなかったことは力不足だった。申し訳ありませんでした」と述べていたが、県警は「謝罪ではない」と説明していた。しかし12月3日、秋田県警の西川直哉本部長が男性の遺族宅を訪問。遺族に弔意を示した上で謝罪した。
裁判所
 仙台高裁 飯渕進裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年9月25日 無期懲役(一審破棄)
裁判焦点
 2014年8月7日の控訴審初公判で、弁護側は剪定ばさみを持った菅原被告ともみ合った際、被害者が菅原被告に覆いかぶさるように倒れたため刃が刺さったと主張。「(殺意をもって突き刺したとの)実行行為自体がなかった」と殺人罪について無罪を訴えた。検察側は「(菅原被告には)強固な殺意があった」としたうえで、「殺害行為は一審で認定されており、弁護側の事実誤認の主張は棄却されるべきだ」とし、また一審の量刑は軽すぎると無期懲役を求めた。また、当時現場にいた被害者の妻の意見陳述があり、「被告は夫の命を奪い遺族の人生を狂わせた。悪質極まりないという次元を超えており、社会に出てくることを望んでいない」などと訴えた。即日結審。
 判決で飯渕進裁判長は「警察官が居合わせる中で被害者への攻撃を繰り返した。不自然、不合理な弁解に終始している」と弁護側の無罪主張を退けた。一審判決については「個人的な恨みを重視しすぎ、悪質性や計画性を過小評価した」と指摘した。そして「複数の凶器を準備するなど計画性がかなり高く、執念深い強固な殺意があった。司法制度の根幹を揺るがしかねない重大な犯行で、罪質は重大」と指摘。危険、悪質で、反省の態度も見られないとして、「刑事責任は重大。無期懲役をもって臨むほかない」と述べた。
備 考
 日弁連の宇都宮健児会長は2010年12月7日、警察庁を訪れ、安藤隆春長官と岡崎トミ子国家公安委員長に徹底的な検証と再発防止策を求める要請書を手渡した。要請書は「被害者から緊急通報を受けた際の初期対応として適切であったといえるのか疑問」と指摘し、「警察庁及び国家公安委員会の監督のもとに検証が行われるべきだ」と求めた。

 菅原被告は2011年2月上旬の深夜、秋田中央署の留置所のトイレで、自分の下着を約10cm四方に手で裂いて飲み込んだ。近くにいた署員がうめき声で気付き、菅原被告も吐き出して無事だった当時の当直責任者だった同署の男性警部は署員から報告を受けたが、菅原被告が「発作的にやった。2度としない。担当者に迷惑がかかるから言わないでくれ」と懇願、本人も無事だったため報告しなかった。別の署員が数日後、同署幹部に報告して判明。3月11日付で県警が警部を本部長訓戒処分にしたが、県警は6月14日まで処分を公表しなかった。14日、自殺を図った被告を匿名で発表したが、関係者への取材で菅原被告とわかった。

 事件では、被害者の妻が菅原被告の侵入に気付いて110番し、警察官が駆けつけたが、その後に被害者が死亡したため、遺族が、事件発生当初から県警の初動対応を批判している。また、妻は被害者の死亡直前の状況について、「(駆けつけた警察官2人に)夫は両手を押さえられていた」と主張。一時、県警も「(被害者を)被疑者と勘違いした」としていたが、その後、被害者が菅原被告から奪い取った拳銃を取り上げるための行為と、説明を一転させた。遺族は不信感を募らせ、被害者の死亡と警察官の行為との因果関係などについて真相究明を求めてきた。
 県外の弁護士2人が2010年12月、現場に駆けつけた秋田県警機動捜査隊の警察官2人を業務上過失致死容疑で秋田地検に告発したが、秋田地検は2011年12月27日、嫌疑不十分で不起訴処分とした。

 また妻は2011年4月26日、自身も菅原勝男被告に生命を脅かされたとして、殺人未遂容疑で秋田地検に刑事告訴した。菅原被告が侵入した際、妻に「旦那とあんたを殺しに来た」などと言い、拳銃を数回突きつけたとしている。秋田地検は9月27日、嫌疑不十分で不起訴処分にした。妻は10月5日、処分を不服として、秋田検察審査会に審査の申し立てを行った。
 秋田検察審査会は2012年1月19日付で、妻への殺人未遂容疑について不起訴処分となっていた菅原勝男被告に対し、独自に殺人予備罪の成立を認定し、不起訴不当とした。検察審は議決で、菅原被告は男性に加え、妻に対しても殺意があったとし、殺傷力のある拳銃などを準備して妻宅に侵入していることから、殺人予備罪に当たると認めた。その上で、「男性の殺人事件とは別に、刑事責任を追及できるようにすべきだ」とした。
 4月24日、秋田地検は菅原勝男被告の殺人予備容疑を嫌疑不十分で不起訴とした。地検によると、再捜査の結果、菅原被告に妻への殺意はなく、殺害を目的とした凶器の準備は認められなかったという。

 2013年10月29日、被害者の遺族は、殺害されたのは秋田県警の警察官が現場で被害者を犯人と間違えて取り押さえたためだとして、県と、殺人罪で起訴された男に、総額2億2305万円の損害賠償を求めて秋田地裁に提訴した。訴状では、110番で被害者方に駆けつけた警察官2人が、菅原被告から拳銃を取り上げた被害者を犯人と間違え、両腕を持ち上げて体の自由を奪ったうえ、すぐに菅原被告を取り押さえなかったために刺殺されたと主張。警察官2人の行為は「殺害行為に加担するもの」で、業務上過失致死罪に当たり、2人が所属する県警は「公正かつ厳格な捜査を行う当事者の資格がない」としている。また、2人が当時、耐刃防護服や警棒を装備していなかったことは、妻から110番を受けた県警通信司令室(現・通信指令課)の緊張感の欠如に起因すると指摘。凶器の有無など状況の把握を怠り、現場の警察官に一切連絡しなかったことは過失に当たると訴えている。
 2013年11月11日、秋田県警が110番の通報内容を録音した音声データと画像データ各3年分、計約24万9000件がコンピュータの故障で消失した問題が発覚。県警の志村務本部長は11月25日の県議会決算特別委員会で、受理簿のデータにはバックアップがないと明らかにした。しかし画像データ約12万5000件について、バックアップデータが存在していたことが2014年3月17日、わかった。県警は1月までにバックアップの存在を把握していたが、その後、公表していなかった。消失したとされる画像データの中には、本事件で被害者の妻が通報した時のデータも含まれていたため、遺族が県などに損害賠償を求めた訴訟の証拠にしたいと、遺族側の代理人弁護士団が県警に提出を求めていた。
 6月20日に行われた訴訟の弁論準備手続きで、県警が妻の110番を「けんか口論」として受理し、警察官に出動指示を出していたことが明らかになった。県はこの日、被害者の妻から110番を受けた通信指令室(現通信指令課)の受理画面の写真9枚を新たな証拠として提出。証拠調べで、これらと、遺族代理人が証拠保全していた通報の録音音声データとを突き合わせて判明した。

 2011年12月9日、秋田地裁の裁判員裁判で懲役30年(求刑無期懲役)判決。2012年9月25日、仙台高裁秋田支部で一審破棄、差し戻し。2014年4月22日、最高裁第三小法廷は高裁判決を破棄、仙台高裁へ差し戻し判決。被告側は上告した。2016年4月19日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
少年(19 ルーマニア国籍)
逮 捕
 2013年3月1日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗未遂、銃刀法違反他
事件概要
 武蔵野市に住む無職ルーマニア人少年(事件当時17)は2013年2月28日午前1時48分頃、日野市に住む無職少年(事件当時18)と共謀し、東京都武蔵野市吉祥寺で通行中のファストフード店店員女性(当時22)の背中2箇所や左手首付近などをペティナイフで刺して殺害。現金1万円入りの財布などの入ったバッグを奪った。直後、現場近くのコンビニエンスストアのATMで女性のキャッシュカードを使って現金を引き出そうとしたが、暗証番号がわからず失敗した。
 通行人からの110番通報で警視庁捜査1課などが捜査を始めた。早朝、ルーマニア人少年をJR吉祥寺駅前で発見し、事情聴取。昨年11月に他の男性名義の通帳を持ち去った占有離脱物横領容疑で同日、逮捕した。この件については、武蔵野署が事情を聞いていたが、その後行方をくらましていた。3月1日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 無職少年は事件後日野市の知人宅に居たが、2日午後11時頃、知人らに付き添われて警視庁日野署に出頭し、3日、強盗殺人容疑で逮捕された。
 2人はともに家出中で、2月上旬に日野市のカラオケボックスで友人を介して知り合い意気投合。その後はゲームセンターなどで一緒に遊んでいた。2人は被害者と面識は無かった。事件前日にゲームセンターで金がなくなり、2人で相談し、刺して金を取ることで合意。凶器のナイフを万引で調達していた。
 東京地検立川支部は3月21日、2人を強盗殺人などの非行事実で、東京家裁立川支部に送致した。東京家裁(山口裕之裁判長)は4月17日、2人について検察官送致(逆送)を決定した。山口裁判長は「結果の重大性や動機に酌むべきものがなく、少年の年齢、環境などの事情を考慮しても、刑事処分以外の措置を相当とすべきだとの判断におよそ至らない」と指摘した。東京地検立川支部は4月26日、強盗殺人などの罪で2人を起訴した。
裁判所
 東京高裁 村瀬均裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年9月25日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 2014年7月8日の控訴審初公判で、被告側は「殺すつもりはなかった。強盗殺人罪は成立しない。被告は少年だった」と刑の軽減を主張し、検察側が控訴棄却を求めて即日結審した。公判には被害者の遺族も参加し、「少年が更生できるとは思えない。重い刑罰を科すべきだ」との意見陳述書が、裁判官によって読み上げられた。
 判決で村瀬裁判長は、少年がナイフで刺した背中の傷が刃渡りより4cm以上深かったと指摘。「相当強い力で突き刺しており、被害者が死亡する危険性を十分認識していた」と殺意を認定した。そして「あまりにも残酷な事件。被害者の苦しみや痛みに思いを致すことなく、金欲しさだけの行動。行動に稚拙な点はあるが、年齢相応に人格は発達していた」と判断し、弁護側主張を退けた。
備 考
 2013年3月7日発売の『週刊新潮』3月14日号(新潮社)は、2人の実名と顔写真を掲載。同誌編集部は「事件の重大性、凶悪性から未成年でも実名・顔写真の報道が認められた確定判決もあり、今回も、社会の正当な関心に応える上で同様のケースと判断した」としている。一部の書店では、少年法61条違反の疑いがあるとして、取扱いを中止した。また同日発売の『週刊文春』では仮名で目の部分を黒塗りした顔写真を掲載した。
 共犯の少年は2014年2月7日、東京地裁立川支部の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2014年7月10日、東京高裁で被告側控訴棄却。上告せず確定。
 2014年3月4日、東京地裁立川支部の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。上告せず確定。

氏 名
皆川昌弘(59)
逮 捕
 2012年11月7日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、非現住検討物等放火、詐欺未遂、窃盗
事件概要
 茨城県常陸大宮市の飲食店従業員、皆川昌弘被告は、知人である住所不定、無職、関戸良一受刑者と共謀。栃木県茂木町の整骨院経営の知人男性から関戸受刑者は約2255万円、皆川被告は約711万円の借金返済を免れようと、2012年6月17日午後8時10分頃、茂木町内のログハウス内で男性(当時63)に睡眠薬を飲ませた後、同18日午前2時45分頃、関戸受刑者の所有するパイプ椅子で頭を数回殴打。昏睡状態の男性を近くの川に突き落として溺死させ、現金1万円を奪うとともに、借金を免れようとした。
 関戸受刑者と皆川被告は1月頃から計画を練り、2月には、フィリピンにある火山に男性を誘い出した。火口に突き落とす計画だったが、観光客が多く断念。5月には、皆川被告が経営するラーメン店で睡眠薬入りラーメンを食べさせ、眠った男性を殺そうと計画したが、睡眠薬が効かなかった。
 それ以前の2011年11月4日午前3時50分頃、二人は関戸受刑者所有の民宿に放火し、漏電による火災として火災保険金約4500万円をだまし取ろうとした。事件当時、民宿は営業していなかった。2012年3月、共済組合に保険金支払い請求書を提出したが、組合は事件10日前に契約を結んだことや出火原因を不審に思い、保険金は支払われなかった。二人は保険金を借金返済に充てようと考えていた。
 2012年6月19日、家族が茂木署に捜査願を提出。23日、男性の遺体が茨城県大洗町の海岸で見つかった。
 仕事をせず車上生活をして困窮していた関戸受刑者は2012年9月8日午前6時20分頃、栃木県下野市の総合病院の屋外喫煙所で、上三川町に住む無職女性(80)の現金約36,000円などが入った巾着袋(計39,000円相当)を突然奪い、乗用車で逃走した。約1時間半後、宇都宮市内のスーパーの駐車場で発見され、窃盗容疑で宇都宮署員に緊急逮捕された。
 11月17日、関戸受刑者と皆川被告が非現住検討物等放火と詐欺未遂容疑で逮捕された。2013年1月7日、両被告が強盗殺人容疑で再逮捕された。
裁判所
 最高裁第二小法廷 小貫芳信裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年10月28日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 一・二審で被告側は、直接手を下していないと減刑を求めていた。
備 考
 関戸良一受刑者は2013年7月23日、宇都宮地裁(松本圭史裁判長)の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。控訴せず確定。

 2014年3月3日、宇都宮地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2014年7月2日、東京高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
鈴木武(38)
逮 捕
 2012年3月3日
殺害人数
 1名
罪 状
 殺人、殺人未遂、現住建造物等放火
事件概要
 姫路市の溶接業、鈴木武被告は2012年3月3日午前1時5分頃、兵庫県姫路市のスナックでガソリンと灯油の混合液体をまき、ライターで放火。店を全焼させ、経営者の女性(当時27)を急性一酸化炭素中毒で殺害し、女性の母親(当時50)が重傷、客の会社員男性(当時36)が意識不明の重体、パートの女性客(当時31)が軽傷を負った。
鈴木被告は店の常連客で、約1年前から女性と交際していたが、1か月前頃から金銭を巡ってけんかが絶えなくなり、数日前に別れたばかりだった。また鈴木被告は事件当時、仕事の関係先が倒産して資金繰りに困っていた。
 その後鈴木被告は知人女性の車で、元妻と息子が住む広島県の東広島市まで逃走。同日午後0時15分頃、広島県警東広島署に出頭した。鈴木被告は手などに火傷を負っていたため、近くの病院で治療を受けた後、逮捕された。その後、火傷治療のために釈放されて入院。4月6日、殺人他の容疑で再逮捕された。
裁判所
 最高裁第二小法廷 山本庸幸裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年10月28日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 鈴木被告側は「確定的な殺意はなかった」として、無期懲役は重すぎると主張していたが、最高裁は、一、二審と同様に被告の主張を退けた。
備 考
 兵庫県警は2012年4月26日、鈴木被告の逃走を手助けしたとして、姫路市のマッサージ店従業員の女性を犯人隠匿容疑で書類送検した。
 県警生活環境課などは2012年9月12日、鈴木被告にガソリンを違法に販売したとして、ガソリンスタンドの運営会社とセルフ式ガソリンスタンド運営の子会社、子会社の元契約社員で60代の男を消防法違反容疑で書類送検した。消防法は客が自分で容器にガソリンを入れることを禁じている。
 2013年3月13日、神戸地裁姫路支部の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。2013年9月27日、大阪高裁(川合昌幸裁判長)で被告側控訴棄却。

氏 名
吉田智一(34)
逮 捕
 2012年8月30日(窃盗、住居侵入容疑。9月19日、強盗殺人容疑で再逮捕)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、窃盗、住居侵入
事件概要
 さいたま市南区の無職吉田智一被告は2012年8月24日、自宅から約500m離れた無職女性(当時77)宅に侵入し、現金約2,000円と通帳1通など25点(時価合計約3,000円相当)を盗んだ。翌朝にも侵入し物色していたところ女性に気付かれたため、女性の背中を刃物のような物で数回刺すなどして死亡させた。
 浦和署捜査本部が付近の防犯カメラの映像解析や不審者の目撃情報などの捜査を進めたところ、吉田被告が浮上。8月30日、窃盗と住居侵入容疑で吉田被告を逮捕した。自宅マンションを家宅捜索したところ、窃盗事件の発生当時や殺害当日に周辺で目撃されるなどした不審者が着ていたのと同様の服を押収した。このほか、殺害現場や周辺で採取した資料などを分析し、窃盗事件があったころから殺害までの間に吉田被告が被害者方へ侵入した可能性が強まり、9月19日、強盗殺人容疑で再逮捕した。
 吉田被告は老人介護施設で介護士として働いていたが、半年前に辞めてからは、無職だった。借金はなかったが、経済的に困っていた。
裁判所
 東京高裁 裁判長不明
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年11月21日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 一審同様、無罪を主張した。
備 考
 2014年3月13日、さいたま地裁の裁判員裁判で求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2015年3月末?までに被告側上告棄却、確定。

氏 名
財津晴敏(57)
逮 捕
 2013年6月5日
殺害人数
 2名
罪 状
 殺人、銃刀法違反他
事件概要
 指定暴力団中野会(解散)の元幹部財津晴敏被告は、他の組員ら5人と共謀。1997年8月28日午後3時35分頃、神戸市中央区にあるホテル4Fの喫茶店で、指定暴力団山口組のナンバー2である若頭であった宅見組組長(当時61)を射殺した。組長と同席していた幹部2人は無事だった。このとき、隣のテーブルに座っていた歯科医師の男性(当時69)が流れ弾で巻き添えにあい、病院に運ばれたが6日後の9月3日に死亡した。
 財津被告は、中野会幹部の男性の指揮に従い、現場指揮を担当し、実行犯4人を率いていた。実行犯のうち、リーダー格であるT元容疑者が2mの至近距離から組長へ2発を発射し、さらに倒れたところを2発発射した。Y受刑者が撃った銃弾が、歯科医師の男性に当たった。N受刑者とK受刑者も発射したが当たらなかった。
 中野会会長が1996年7月、京都府八幡市内の自宅近くで暴力団会津小鉄会の組員に襲撃された事件で、宅見組組長が中野会長抜きで和解して収束させた目的が、会長を排除するためという見方が中野会内で広がり、さらに組長がやらせたのではとの疑念を抱き、報復のため、元幹部(病死)を中心に殺害の機会を窺っていた。当初は東京で実行する予定だったが機会は無く、関西での実行に変更された。
 8月31日の告別式で、山口組組長(当時)は中野会会長を破門。さらに歯科医師の男性が亡くなった9月3日には、更に重い処分である絶縁に変更した。会長は絶縁理由に納得できず独立したが、この事件の報復として幹部メンバーが殺害されて組織力が低下し、2005年8月7日に解散している。
 射殺事件を指揮した中野会幹部の男性は事件後の9月、韓国に入国し、釜山に滞在。1998年7月6日、ソウル市内のアパートで遺体となって発見された。45歳没。外傷はなく、脳卒中と判断された。
 実行犯のN受刑者は逃亡中の1998年10月2日、仙台市にいたところを別件の詐欺容疑で逮捕された。同じくY受刑者は1999年2月15日、別件の詐欺容疑で逮捕された。
 1999年3月24日、兵庫県警捜査本部はY受刑者とN受刑者を殺人容疑などで再逮捕。財津被告、T元容疑者、K受刑者を殺人容疑で指名手配した。7月12日、捜査本部はK受刑者を逮捕した。
 1999年10月26日、神戸地裁はY受刑者とN受刑者に求刑通り懲役20年判決を言い渡した。2000年6月5日、大阪高裁で被告側控訴棄却。Y受刑者は上告せず、確定。2002年1月16日付で最高裁第二小法廷は、N受刑者の上告を棄却し、刑が確定した。
 2000年1月21日、神戸地裁はK受刑者に求刑通り懲役20年判決を言い渡した。2000年7月11日、大阪高裁で被告側控訴棄却。上告せず、確定。
 2006年6月30日、T元容疑者が神戸市東灘区の倉庫内で遺体で見つかった。56歳没。糖尿病と慢性肝炎が持病で、遺体は床ずれがあってやせ細った状態だった。死因は衰弱死だった。8月25日、兵庫県警はT元容疑者と98年に死亡した元幹部を殺人と銃刀法違反容疑で容疑者死亡のまま書類送検した。遺体を遺棄した男性2人は、死体遺棄容疑で書類送検されている。遺体の遺棄を依頼した者は不明。
 兵庫県警は実行役や運転手役、拳銃手配役など計18人を逮捕している。
 2013年6月5日、兵庫県警は指名手配していた財津被告を、潜伏先である埼玉県狭山市のアパートで発見、逮捕した。兵庫県警は2013年、他の県警などから「財津容疑者らしき人物が埼玉にいる」などとの情報を得て、捜査員を派遣。聞き込み捜査を重ね、財津被告の潜伏先を突き止めた。
 9月18日、2010年2月ごろ、知人を通じて元中野会系組員の男性に潜伏先を探すよう依頼したとして、犯人蔵匿教唆容疑で再逮捕された。犯人隠匿教唆容疑については、「殺人罪などで起訴しており長期の逃亡生活を解明できた」として、10月9日に不起訴となっている。
裁判所
 最高裁第二小法廷 千葉勝美裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年11月26日 無期懲役(被告側上告棄却、確定)
裁判焦点
 二審で被告側は量刑不当を訴えている。
備 考
 財津被告に埼玉県狭山市のアパートを用意し、2010年4月〜2013年6月の間かくまうなど、犯人隠匿罪に問われた元中野会組員の男性は、2013年11月21日、神戸地裁(小林礼子裁判官)で懲役2年執行猶予5年(求刑懲役2年)判決を言い渡された。小林裁判官は「約16年にわたり逃走に関与し、適正な刑事司法の作用を侵害したが、役割は補助的」と述べた。
 財津被告をかくまうため、2010年3月に自分を入居者とする虚偽の申込書を提出したとして詐欺罪に問われた秋田市の住吉会系暴力団組員の男性は、2013年11月25日、神戸地裁(内山裕史裁判官)で懲役10月(求刑懲役1年2月)判決を言い渡された。
 アパート契約の主導役で指名手配されていたS容疑者は、2014年7月15日、詐欺の容疑で逮捕された。
 2014年3月14日、神戸地裁の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。2014年7月10日、大阪高裁で被告側控訴棄却。

氏 名
中西康浩(50)
逮 捕
 2012年9月(その後17回再逮捕)
殺害人数
 0名
罪 状
 強盗強姦、強姦他
事件概要
 大阪府の会社員、中西康浩被告は2006年4月〜2012年9月、女性20人に暴力団員のふりをして「組織からお前に復讐を依頼されている。組織の人間と関係を持ち、金を払えば助ける」などと脅迫。ホテルなどで強姦して金を奪っていた。被害が確認できたのは中学生を含む10〜20代の女性27人で、大阪府内を中心に宝飾店や菓子店に勤める女性たちだった。告訴を受けたのは計20人に対する143回の犯行(現金被害約162万円)である。ほとんどの女性をホテルに何度も呼び出して乱暴を繰り返し、その都度金を払わせていた。約2年間で20数回の被害に遭ったケースもあった。
 女性のほとんどは、警察に通報すると身に危険が及ぶと恐れており、警察に相談すらできなかった。2012年6月、曽根崎署に20代女性が初めて被害を相談し、一連の事件が発覚した。
 中西被告は実際には暴力団には所属していなかった。
裁判所
 大阪地裁 登石郁朗裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年11月27日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 被告側は被害の一部弁済などを理由に情状酌量を求めた。
 登石裁判長は「巧みな話術と強烈な脅迫内容で、恐怖のあまり性交渉を受け入れざるを得ない状況に陥らせた。6年半も支配された被害者もおり、人生を大きく狂わせた」と指摘した。さらに、中西被告が過去にも強姦事件で実刑となり、仮出所から20日余りで一連の事件を起こした点に触れ、「被害者が極めて多人数で年少者も対象にしており、悪質性が際立った犯行。被害者の尊厳を踏みにじり、極めて卑劣。更生に努める立場にありながら犯行を重ね、強い非難に値する」と批判した。
備 考
 中西康浩被告は銀行員時代の1998年12月、駅に駐輪してあった女子中学生の自転車に書かれてあった住所・氏名・電話番号をメモし、架空の暴力団名を使って電話して脅し、ホテルに連れ出して強姦するなど、計5人に同様の手口で脅して逮捕された。1999年10月6日、名古屋地裁一宮支部で懲役8年(求刑懲役10年)が言い渡され、そのまま確定していた。
 約6年半服役。仮釈放から22日後、保護観察中で再犯防止プログラムを受けているにもかかわらず、最初の犯行に及んだ。

 2015年中に被告側控訴棄却と思われる。2016年中に被告側上告棄却と思われる。

氏 名
井倉孝司(61)
逮 捕
 2012年10月24日
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人
事件概要
 津市の無職、井倉孝司被告は2012年9月25日午後2時から午後3時10分頃にかけ、和歌山県御坊市の旅館内で経営者の女性(当時71)の首を浴衣の帯ひもで絞め、胸や腹をアジさき包丁や刺身包丁で数回刺して殺害し、4日分の宿泊代計約14,000円の支払いを免れたほか、1階受け付け帳場から約12,000円を奪って逃走した。
 井倉被告は過去に数回、旅館に宿泊したことがあり、女性のことを慕っていた。今回は9月9日から宿泊したが、21日には所持金が底をついてから無銭宿泊状態となり、犯行当日の25日は朝から銀行に残高照会にいったが938円しかなかった。
 午後5時半ごろに宿泊予定だった男性客が到着したが、玄関が施錠されており、不審に思って他の客らと近くの交番に通報。午後7時頃、和歌山県警御坊署員が遺体を発見した。
 事件前日に同旅館に泊まっていた井倉被告の所在がつかめず、現場に残された遺留物から採取したDNAを鑑定したところ、警察庁のDNAデータベースに登録された男のものと一致した。捜査本部は10月3日に井倉被告を殺人容疑で指名手配。10月24日、兵庫県明石市内にいるところを逮捕した。和歌山地検は11月14日、井倉被告を強盗殺人罪で起訴した。
裁判所
 大阪高裁 米山正明裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年11月28日 無期懲役(被告側控訴棄却)
裁判焦点
 控訴審は5回開かれた(一審は3回)。
 被告側は「計画性がなく、年金で被害弁償することで遺族と合意した」として有期刑を求めたが、米山正明裁判長は「非難を緩める事情にはならない」と指摘した。
備 考
 2014年3月20日、和歌山地裁の裁判員裁判で、求刑通り一審無期懲役判決。被告側は上告した。2015年4月2日、被告側上告棄却、確定。

氏 名
阪田健一(48)
逮 捕
 2013年11月19日(自首。殺人、住居侵入容疑)
殺害人数
 1名
罪 状
 強盗殺人、住居侵入
事件概要
 住所不定、無職の阪田健一被告は、オンラインゲームで2009年ごろから知り合いの女性から合鍵を受け取り、2013年11月15日午後4時ごろ、女性の元夫で神奈川県秦野市に住む会社員の男性(46)宅に侵入。午後10時ごろに帰宅した男性の首を刺して殺害し、現金2000円入りの財布を奪った。被害者の男性が元妻に子供の養育費を払っていないことを知った阪田被告が男性のぜいたくな暮らしぶりを見て、我慢できなくなったと供述している。
 坂田被告は11月18日午後8時ごろ、神奈川県警小田原署に自首。秦野署員が19日午前1時ごろ、男性の遺体を発見した。同日、秦野署が殺人と住居侵入容疑で逮捕した。
 2014年3月25日、県警捜査1課と秦野署は、被害者の男性の元妻である女性を住居侵入容疑で逮捕した。女性は2013年11月13日昼ごろ、阪田被告が侵入するのを知りながら合鍵を渡したので住居侵入容疑の共謀が問えると判断した。
 2014年4月18日、横浜地検小田原支部は阪田健一被告について、強盗殺人と住居侵入の罪に訴因変更するよう横浜地裁小田原支部に請求した。元妻についても強盗致死ほう助罪を追加する訴因変更を請求した。
裁判所
 横浜地裁小田原支部 佐藤晋一郎裁判長
求 刑
 無期懲役
判 決
 2014年12月12日 無期懲役
裁判焦点
 裁判員裁判。
 2014年12月5日の初公判で、阪田被告は「強盗目的ではなく、衝動的に殺害し、財布を盗んだ。金品を盗むことは目的ではなかった」として強盗殺人罪には当たらないと主張した。
 冒頭陳述で検察側は「阪田被告は、オンラインゲームで知り合い、交際していた元妻からも借金するなど金に困っていて、財布を奪う目的で犯行に及んだ」と指摘。一方、弁護側は「養育費を払わない男性をとがめるため侵入しただけで、財布は衝動的にとった」と争う姿勢を示した。
 判決で佐藤裁判長は、「いきなり刺す」「2000円とかやし」(阪田被告)、「まじでかー」(元妻)など犯行前後に両被告がやりとりしたメールの内容などから、「あらかじめ強盗の相談をしていたとみられ、阪田被告の主張は信用できない。動機は短絡的で真摯に反省していると判断できない」と指摘した。
備 考
 強盗致死ほう助の罪に問われた女性の裁判員裁判で、横浜地裁小田原支部は2014年12月24日、懲役8年(求刑懲役12年)の判決を言い渡した。佐藤晋一郎裁判長は「(被告のほう助行為は)犯行を確実なものにする重要な役割を果たした」と指摘した。2015年4月30日、東京高裁(井上弘通裁判長)で被告側控訴棄却。

 被告側は控訴した。2015年10月20日、東京高裁で被告側控訴棄却。2016年4月14日、被告側上告棄却、確定。




※銃刀法
 正式名称は「銃砲刀剣類所持等取締法」

※麻薬特例法
 正式名称は「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」

※入管難民法
 正式名称は「出入国管理及び難民認定法」

※確定について
 求刑死刑について一審無期懲役判決、検察側のみ控訴して無期懲役判決が下された被告については確定したものと見なしている。

※高裁判決
 矢野裕一被告(2012年12月12日、一審無期懲役判決)は、2014年3月25日に大阪高裁(中谷雄二郎裁判長)で被告側控訴棄却。詳細が不明なので、ここに記す。被告側上告するも2014年7月ごろに取り下げて確定。
 松田光男被告(2014年4月30日、一審無期懲役判決)は、2014年10月30日、東京高裁(井上弘通裁判長)で被告側控訴棄却。詳細が不明なので、ここに記す。被告側上告中。
 三橋勇被告(2014年3月28日、一審無期懲役判決)は、2014年11月18日、東京高裁(河合健司裁判長)で被告側控訴棄却。詳細が不明なので、ここに記す。被告側上告中。
 尾木敬治被告(2014年5月26日、一審無期懲役判決)は、2014年11月21日、大阪高裁(井上弘通裁判長)で被告側控訴棄却。詳細が不明なので、ここに記す。被告側上告中。


【参考資料】
 新聞記事各種



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