「新潮45」編集部編『殺人者はそこにいる』(新潮文庫)に続く、ノンフィクションシリーズ第二弾。
ここに登場する人物の多くは、普通の人物であったはずである。何が普通かと言われても困るのだが、少なくとも一般社会で暮らしている人と、そう変わりはないはずだ。しかし、ちょっとしたきっかけで彼らは殺人者になる。新聞は、事件ばかりを追いかけるが、殺人者には、殺人を犯すまでのなにかが存在する。事件そのものは極悪非道な事件かも知れないが、生まれたときから彼らは極悪非道ではなかったはずである。なぜ彼らは殺人者になったのか。本シリーズは、そんな「なぜ」を追いかけているのである。
目次は以下。
第一部 腐臭漂う棲家で鬼は呱々の声を上げる
皆殺しを謀った男の父が語る「わが闘争」―大阪「池田小」児童殺傷事件 今枝弘一
息子を嬲り殺した「鬼女」のおぞましき血―尼崎「実子虐待」致死事件 中尾幸司
家族の連帯は「玩具」を手にして生まれた―伊勢崎「主婦暴行」餓死事件 駒村吉重
第二部 青白きその微笑みの下で殺意が芽吹く
炭化した「下半身」が炙り出す黒い影―恵庭「社内恋愛」絞殺事件 上條昌史
看護婦を手玉に取った「優男」の捻れた愛情―埼玉「略奪愛」殺人事件 上條昌史
「心優しき少年」はなぜ兄の胸に刃を立てた―名古屋「十七才双子」刺殺事件 中尾幸司
第三部 放たれし獣は獲物を求めてさすらう
繁華街を暴走した新聞配達員の「暑苦しい夏」−池袋「通り魔」連続殺傷事件 樽谷哲也
憎しみに塗れた「無期囚」が首を吊るまで−奈良「月ヶ瀬村」拉致撲殺事件 中尾幸司
高速道で轢死した少女が夢見た「家族の情景」−神戸「女子中学生」手錠放置事件 中尾幸司
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