第1回(2011年) |
本賞 |
森晶麿『黒猫の遊歩あるいは美学講義』 |
探偵の「黒猫」もワトソン役の「付き人」もどういう姿をしているのかさっぱり浮かんでこないし、作者から押し付けられる美学理論や文学論にはちょっと閉口するのだが、人間ドラマとしてはわりとうまくまとまっていたと思う。軽めの「日常の謎」もので、後味は悪くない。 |
第2回(2012年) |
本賞 |
中里友香『カンパニュラの銀翼』 |
未読 |
第3回(2013年) |
本賞 |
三沢陽一『致死量未満の殺人』 |
いわゆる「雪の山荘」ものだが、毒殺というのが何とも地味。逆に言うと、ドラマティックな謎の解明があるのではないかと思ったが、その期待は大外れ。トリックは今一つだし、舞台も設定も登場人物も人工的すぎる。おまけに事件の真相を解き明かす人物が逆の意味で意外すぎて、説得力に欠ける。結末も曖昧すぎて、結局誉めるところが何もない。 |
第4回(2014年) |
本賞 |
松浦千恵美『しだれ桜恋心中』 |
未読 |
第5回(2015年) |
本賞 |
清水杜氏彦『うそつき、うそつき』 |
未読 |
第6回(2016年) |
本賞 |
受賞作なし |
|
優秀賞 |
春坂咲月『花を追え 仕立屋・琥珀と着物の迷宮』 |
未読 |
第7回(2017年) |
本賞 |
村木美涼『窓から見える最初のもの』 |
未読 |
優秀賞 |
西恭司『アラーネアの罠』 |
未読 |
第8回(2018年) |
本賞 |
オーガニックゆうき『入れ子の水は月に轢かれ』 |
未読 |
第9回(2019年) |
本賞 |
穂波了『月よりの代弁者』 |
未読 |
折輝真透『それ以上でも、それ以下でもない』 |
未読 |
第10回(2020年) |
本賞 |
そえだ信『地べたを旅立つ』 |
主人公が掃除機という馬鹿馬鹿しい設定と言ってしまえばそれまでだが、掃除機ならではの苦悩と、掃除機の利点を生かした冒険譚が楽しい。旅の通りすがりに人助けをしていくというのはよくある設定だが、これが掃除機なのだから、色々と工夫ができる。最初の密室殺人、さらに最後の冒険譚も、伏線の張り方が巧い。傑作まではいかないが、お薦めしたい一冊。 |
優秀賞 |
宮園ありあ『ヴェルサイユ宮の聖殺人』 |
未読 |
第11回(2021年) |
本賞 |
逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』 |
戦争の悲劇と愚かさをまざまざと見せつけながら、そこに架空の女性たちを交えることで、壮大な物語を作者は積み立てた。それでいながら、所々でラノベのような設定が出てくるところがかえって面白い。新人の筆とは思えないぐらいの完成度の高さと、構成力の高さである。一読の価値は絶対にある作品であった。 |
第12回(2022年) |
本賞 |
西式豊『そして、よみがえる世界。』 |
未読 |
第10回(2023年) |
本賞 |
葉山博子『時の睡蓮を摘みに』 |
未読 |
優秀賞 |
小塚原旬『機工審査官テオ・アルベールと永久機関の夢』 |
未読 |