名探偵・星影龍三全集(出版芸術社)



【星影龍三】
 星影龍三は丸の内にオフィスを構える貿易商だが、推理力・洞察力に優れ、素人探偵として幾つもの事件を解決してきた。今日も彼は、愛用のパイプ、ヴァージン・ブライアを片手に、田所警部の持ち込んでくる数々の難事件に、明察神のごとき推理を披露するのである!(帯より引用)
 名前は鮎川が小学生のころに見た探偵映画から無断借用したもの。鮎川自身はタイトルを忘れていたが、探し当てた芦辺拓によると、映画の星影は探偵ではなくてかいとうだったとのこと。(「著者のことば」より引用)。
 年齢は44歳。自宅は目黒。鼻下にコールマン髭。ポマードでピッタリと撫でつけられた黒い髪、卵型の上品な輪郭、何代か前に混血されたのではないかと思われる白い皮膚とノルディックな鼻。好男子というにはあまりに整いすぎた容貌だし、美男子というにはどこか渋い感じがないでもない。身だしなみに人一倍気をつかうとみえ、純毛のクレバネットの服に西陣のネクタイ、胸のポケットから白絹のハンカチをのぞかせ、上衣のえりに温室咲きの紅いスイトピーをさしている。(「赤い密室」より)。
 真ん中からポマードでピッタリ左右に分けた黒髪、グルジア人のような輪郭の顔、秀でた眉が白い頬に濃く映え、唇は女のように赤い。鼻筋は高くとおり、一点の非のうちどころもない。あかぬけした性格で、時には鼻持ちならない、気障と評される。短気で傲岸。(「黄色い悪魔」より)
 「呪縛再現」で初登場するも、このときは鬼貴警部の引き立て役。「赤い密室」以降で天才探偵ぶりを発揮。短編は本全集に全て収められている。長編は『りら荘事件』『白の恐怖』『朱の絶筆』のみ。いずれも事件が終わった後に駆けつけ、推理を発揮するスタイルを取っている。

【名探偵・星影龍三全集】
 今までまとまって発売されることの無かった星影ものを2冊にまとめてくれた画期的全集。ミステリファンクラブ「SRの会」の機関誌『密室』に掲載された幻の中編「呪縛再現」や、同題長編の原型「朱の絶筆」など、資料的価値としても非常に高い。装丁は京極夏彦。


巻 数 タイトル 初 版 収録作品
I 赤い密室 1996/8/20 「呪縛再現」
「赤い密室」
「黄色い悪魔」
「消えた奇術師」
「妖塔記」
「道化師の檻」
II 青い密室 1996/8/20 「白い密室」
「薔薇荘殺人事件」
「悪魔はここに」
「青い密室」
「砂とくらげと」
「茜荘事件」
「悪魔の灰」
「主の絶筆」


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