『続・世界の名探偵50人』
知的興奮をもう一度… 推理と知能のトリック・パズル
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:KKベストセラーズ ワニ文庫
発売:1994年1月5日
定価:524円(初版時)
カバーイラスト:朝倉めぐみ
似顔絵:今井雅己
本文イラスト:村松真澄、伏田宏
この本の上巻である『世界の名探偵50人』を出してから、早いもので、もう二十年がたちました。さいわい毎年、版を重ねて、私の地味な著作の中では、いちばん息が長いロングセラーです。
この二十年間に、ミステリー界、とくに日本のミステリーは大きく変化しました。その一つが、毎年五月に発表される高額納税者番付の文壇ベスト10に、いつもミステリー作家が半数も占めるようになったことです。それほど推理作家にベストセラー作家が多くなった証拠で、まさにこの世はミステリーの花盛りです。
もう一つの大きな変化は、日本のミステリーにも、名探偵がぞくぞくと出現したことです。
前著を書くときは、名探偵を選ぶのに適格者がすくなくて、しかたなく銭形平次や人形佐七など、捕物帳の主人公を借りてきたほどですが、今回は日本の枠を十五人に広げたのに、その人数ではおさまりきれないぐらい多士済々で、取捨選択するのに苦労しました。
いまの作家はほとんどが、それぞれ固有の名探偵をブランドとして持つようになりました。単発ものよりも、名探偵のシリーズものの方が、本の売れ行きがいいからかもしれません。
前著『世界の名探偵50人』(ワニの本)から20年、続編の登場である。海外でも国内でも、次々と名探偵(シリーズキャラクター)が登場したのだから、むしろ遅すぎたといえるかもしれない。
前著に引き続き、本著でも名探偵のプロフィール紹介+一問ずつのクイズという構成になっている。一部の名探偵は、原作にあるトリック、手掛かりなどを使用しているが、シチュエーションがクイズ向けに変わっているものもある。また、全然別のクイズから引用した謎を、その名探偵が解くケースもある。最後に自作の探偵、久我京介を入れているところはちゃっかりしているが。
子供の頃は、『世界の名探偵50人』が名探偵のカタログでもあった。それは本著でも同様だろう。推理クイズ本として、名探偵カタログ本として、前著に引き続きロングセラーになるに違いない。
「まえがき」にもあるが、名探偵の登場数は、加速度的に増加している。10年以内に三冊目を書くかも、と書いているが、既に充分50人の席は埋まっている感がある。1999年以降、著作のない藤原宰太郎であるが、ここはぜひとも3冊目を期待したいところだ。
登場する名探偵は以下の50人。順番は目次通りであり、これは別に登場年数順に並べられているわけではない。
十津川警部、退職刑事、赤かぶ検事、亜愛一郎、釣部渓三郎、神戸大助、三毛猫ホームズ、滝連太郎、御手洗清、ミス・キャサリン、浅見光彦、迷犬ルパン、二階堂日美子、壮と美緒、法月綸太郎、ナポレオン・ボナパルト警部、ママは名探偵、ネストール・ビュルマ、ニック・ヴェルヴェット、カウ・コウ=クン、ヘイスティングス警部、リープホーン警部補、デイヴィッド・ブランドステッター、コロンボ警部、名無しのオプ、スペンサー、マックス・カウフマン、ヘンリー・ジャクスン、アーウィン・フレッチャー、チャールズ・パリス、マット・スカダー、修道士カドフェル、バーニィ・ローデンバー、シャロン・マコーン、ピーター・シャンディ教授、マット・コブ、リチャード・ジュリー、キンジー・ミルホーン、V・I・ウォーショースキー、リード・ベネット、デヴリン・トレーシー、レッド・ダイアモンド、ハーヴェイ・ブリスバーグ、ブレイディ・コイン、ギデオン・オリヴァー教授、スタンリー・ヘイスティングス、ピーター・マークリン、アニー・ローランス、ケイ・スカーペッタ、久我京介
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