『名探偵に挑戦 第3集 日本縦断ミステリー紀行』
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:KKベストセラーズ ワニ文庫
発売:1992年1月5日初版
定価:476円(ただし、初版時)
推理小説を読む楽しみの一つは、その作品の舞台になった土地を紙上で観光旅行できることです。そこが珍しい土地や名所旧跡であれば、いっそう旅情をかきたてられて、怪事件の謎の渦中に巻き込まれます。
書店の棚にずらりと並んでいる推理小説のタイトルを眺めながら、さて、今度はどこの土地へミステリー旅行に出かけようかと、ちょっと思案して選ぶのも、なかなか楽しいものです。
そこで、この『名探偵に挑戦』第三集では、都道府県ごとに分けて、それぞれ固有の風物や名所、特産品などをトリックに利用した推理クイズを集めてみました。日本は国土がせまいようでも、南北に長いので、けっこうバラエティーに富んでいます。これ一冊で、日本全国のミステリー周遊旅行ができます。
では、頭のコンディションをよく整えてから、出発してください。全問、正解されたら、それこそ、あなたはミステリー旅行の名探偵です。
次回は続編として、世界一周の海外版を書いてみたいと思っています。
【もくじ】
1 北海道・東北ミステリー紀行
2 関東ミステリー紀行
3 東海・北陸ミステリー紀行
4 近畿ミステリー紀行
5 中国・四国ミステリー紀行
6 九州・沖縄ミステリー紀行
今まで世界一周をテーマにした推理クイズ集は数多くあったが、日本縦断をテーマにしたものは初めてである。そのせいかどうかはわからないが、いつもよりは新作が多い。といっても、54問中10問程度ではあるが。過去に使った推理クイズと日本各地の風物や名所に結びつけようという努力が問題から読みとれるので、様々な推理クイズを読んできたファンから見たら、そういう苦労のあとを見つけるのも一興である。
今回の本では、クイズそのものよりも「推理メモ」の方が労作である。47都道府県や名所を舞台にしたミステリを数多く紹介しているので、ちょっとした名所ミステリーカタログの感がある。これを見ると、日本の作家は様々な場所を舞台にしてミステリを書いてきたかということがわかるだろう。そういう部分に興味がある方は、一読をお薦めしたい。
しかし、まえがきが『おもしろ推理パズル』(光文社文庫)とほとんど同じというのはどうかなあ。
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