『名探偵の事件簿(2)』
季節が選んだミステリー集
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:KKベストセラーズ ワニ文庫
発売:1996年11月5日
定価:485円(初版時)
本文イラスト:伏田宏/田仕雅淑
今回は歳時記ふうに、出題クイズを春夏秋冬に分けてみました。春には春らしい事件、夏には夏らしいトリックといった具合です。季節の特徴を巧みに利用したトリックもあれば、また反対に、自然現象のちがいによって、完全犯罪があばかれる場合もあります。
とくに日本は四季がはっきり分かれていて、俳句に季語があるように、季節の移りかわりに敏感な国民です。とはいっても、最近は冷暖房器の普及で、季節感もだいぶ薄らいできました。そのせいかミステリーでも、あまり季節の変化にこだわらなくなった感じがして、さびしいかぎりです。その点、昔のミステリーには、四季それぞれの自然現象をうまくトリックに応用した作品が多かったような気がします。
そんな思いから、歳時記にふさわしいトリックをできるだけ多く集めましたので、ミステリー版の俳句でも読むような軽い気持ちで、推理クイズに挑戦してください。
【目 次】
1★春の事件簿
2★夏の事件簿
3★秋の事件簿
4★冬の事件簿
「名探偵の事件簿」第2集は、「季節が選んだミステリー集」。季節をテーマにした推理クイズ集は、既に『おもしろ推理パズルPART.4』で作られているので、目新しさは全くない。「まえがき」も前作とほとんど一緒である。出版社が変われば、何をしてもいいとでも思っているのだろうか。
ただ前作では、「ある秋の日であった。〜」みたいに、最初に季節に触れただけといった問題も多かったのだが、本作では「○月×日は、▲▲の日である。そこで▲▲にちなんだ問題を一つ」みたいな問題が増えている。こういうのは「季節が選んだ」とか「四季それぞれの自然現象」と何の関係があるのだろうと考えてしまうが、一応「歳時記」らしい選択にはなっている。
なお今回は、新作らしきクイズが数問含まれている。推理クイズへの、あくなき執念は感じられる。
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