『名探偵の事件簿(3)』
東京ミステリー・ツアーにご招待!
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:KKベストセラーズ ワニ文庫
発売:1997年3月5日
定価:495円(税抜き 初版時)
本文イラスト:伏田宏/田仕雅淑
私はこのワニ文庫の『名探偵に挑戦』シリーズに、『日本縦断ミステリー紀行』と『世界一周ミステリー紀行』を書きましたが、今回は舞台を東京だけに限定して、名所や旧跡、新しい観光スポットなど、四五カ所を選んで、それにまつわるトリックを集めてみました。
東京は奈良や京都ほど古い歴史はないが、江戸幕府が開かれてからは、日本の中心としてダイナミックに発展してきました。最新の機能をそなえた超高層ビルがぞくぞくと建設され、その下には地下鉄路線がクモの巣のように掘られている一方、小笠原諸島などには、まだ自然のままの秘境が残っていて、この巨大な首都は、じつに多様な顔を持ち、ミステリーの舞台にはこと欠きません。
それをわずか四五カ所にしぼって選ぶとなると、とても東京の魅力のすべてを紹介できないのが残念ですが、観光バス『ミステリー号』に乗ったつもりで、ぐるりと一周、迷い子にならないように、東京トリックめぐりを楽しんでください。
【目 次】
1★東京ランド・スケープ 高層ビルの死角
2★東京名所散歩 観光地の惨劇
3★東京アート・ファイル 博物館の殺意
4★東京街づくし 繁華街の凶器
「名探偵の事件簿」第3集は、「東京ミステリー・ツアーにご招待!」。今まで世界や日本各地を舞台にした推理クイズ本は多く書いているが、東京だけに限定するという趣向は初めて。そのせいか、多くのクイズが新作である。扱われているトリックそのものは過去の推理クイズ本と同様であっても、問題文は新たに書いているものも多い。また、近年の作品からのトリックをクイズに使用したりと、トリック収集への情熱はいささかも衰えていない。
こんな事を書くのは変かもしれないが、東京にこれだけの名所があったのかとびっくりした。新しい発見があるのはいいことだ。
本作は過去の推理クイズ本の再録、もしくは焼き直しというものが少ないので、読んでいても面白い。確かにトリックは他人の流用かもしれないが、新作が多いのでクイズを解こうという意欲が大きくなる。藤原宰太郎はワンパターンだよという人にもお薦めの一冊。
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