『名探偵の推理館』
トリック博士、難事件に挑む!
著者：藤原宰太郎
（藤原宰太郎：推理クイズ作家として数々の著書を執筆）
発行：ＫＫベストセラーズ ワニ文庫
発売：1997年10月5日
定価：495円（税抜き 初版時）
本文イラスト：伏田宏／田仕雅淑
新しいシリーズがはじまります。今回は、トリック博士が主人公になって、数々の難事件に挑戦します。
トリック博士というのは、もちろん、ニックネームですが、推理小説のトリックの研究では日本一のマニアで、目下、ライフワークの意気込みで『トリック百科事典』を執筆中です。その博識を買われて、大学でミステリー学の講義を受け持っているばかりか、警視庁の依頼を受けて、アマチュア探偵としても活躍します。
なにしろ、トリックの収集と研究にかけては第一人者ですから、どんな怪事件のふしぎな謎も、たちどころに解決します。まさにニックネームにふさわしい活躍です。
では、その名探偵ぶりを存分に楽しんでください。
（「トリック博士の名探偵ぶりに注目！ ★まえがき」より）
【目 次】
密室犯罪を暴け！
完全アリバイを崩せ！
意外な犯人を探せ！
偽装工作を見破れ！
殺人トリックを追え！
「名探偵に挑戦」「名探偵の事件簿」に続くワニ文庫のシリーズ第三弾、トリック博士シリーズ第1作である。あたかもはじめて登場したかのように書かれているが、既に『トリック博士の事件簿』などの推理クイズ本や『無人島の首なし死体』などの小説で登場しているトリック研究家、久我京介と同一人物だろう。その姿は、作者藤原宰太郎自身とダブる。
クイズの方はいつものごとく、過去のクイズの焼き直し、他の作家からのトリック引用がほとんどである。新しいクイズも結構用意されており、いくつになってもトリック収集に執念を燃やすその姿に感心する。
作中の名探偵、トリック博士と同様、ご本人にも『トリック百科事典』を書いてほしかった。
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