『探偵クイズ』
キミに挑戦する完全犯罪トリック
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:双葉社 双葉新書
発売:1969年4月10日初版
定価:300円(初版時)
エドガー・アラン・ポーが探偵小説を発表してから、約百三十年間、世界中の推理作家が知恵をしぼって、完全犯罪や密室殺人などの奇抜なトリックを考え出して、無数の傑作を書いてきた。
それら古今東西の作品をぜんぶ読むことは、この忙しいスピード時代の現代では、なきなか容易なことではない。それができるのは、よっぽどの閑人か、無期囚人くらいのものだろう。
幸か不幸か、ぼくはそんな閑人の一人だった。大学を卒業して、十二、三年間、ぶっ通しで推理小説を読破してきた。読んだ冊数では、おそらく、だれにも引けを取らないつもりだ。おかげで、ぼくの頭の中は、まるでオモチャ箱のように、いろんなトリックがぎっしり詰まっている。
その中から、とくに面白い奇想天外なトリックを運び出して、絵入りのパズルとショート・ショートにして、キミの頭脳に挑戦したのが、本書である。
難問、珍問、奇問、とりそろえて64題ある。どれも小粒ながら、ミステリーの醍醐味と、犯人さがしの謎とき、推理の盲点をついた解決の意外性などがあって、自慢じゃないが、まさにインスタント時代にふさわしい推理トリック百科のダイジェスト版、推理テストの決定版である。
さて、キミは制限時間内に、難問、みごと解けるか、さあ、脳細胞をよくマッサージしてから、この謎ときクイズに挑戦してみたまえ。なお、講評は「あとがき」に記した。
【目 次】
第一章 殺人課
第二章 密室課
第三章 アリバイ課
第四章 鑑識課
第五章 凶器課
第六章 迷宮課
第七章 捜査課
第八章 風紀課
新書ブームのこの頃、双葉社からも新書が出ている。巻末を見ると、光文社とは異なり、小説と実用書が同じラインナップで並んでいたようだ。
ここに収録されている推理クイズのほとんどが、その後の推理クイズ本(子供向け含む)に収録されている。どうやら、この本が原型のようだ。
藤原宰太郎の推理クイズ本は『5分間ミステリー』、『探偵ゲーム』、『推理力テスト集』、そして本書が原型と断言してもよさそうだ。
藤原宰太郎はここで決定づけられたといってよい。
表紙には上半身セミヌードの女性(浅草座の千倉美恵)がいるし、カットも大人漫画っぽい感じ(大内海郎)である。中身はそれほど扇情的でもない。ただ、所々でセックスのネタを取り扱っているのはご愛敬か。
問題数はまえがきにもあるとおり64問。一問10点で、あとがきには点数に応じて講評がされている。
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