『推理クイズ 名探偵にチャレンジ』
著者:加納一朗
(加納一朗:SF、ミステリなど多数執筆)
発行:学研 てのり文庫
発売:1989年2月6日初版
定価:485円(ただし、初版時)
推理小説のなりたちを知っていますか。推理小説のそもそもの形は、西洋では、紀元前に書かれたイソップ物語や、ギリシャ神話、ローマ神話の中に出てきますし、東欧では、昔の中国の裁判官の話などにでてきます。つまり、推理小説は、二千年以上の歴史をもっているのです。
いまのような形に、推理小説がかわったのは、一八〇〇年代になってからでした。科学的な考え方や方法が、人々にしられはじめたからです。
推理小説は、探偵と犯人のちえくらべになってきました。なぞ(不可能興味といいます)を、読者にさしだし、手がかりをもとにあっというまに解決にみちびく、一種のゲームとして登場したのです。さらに、そこに文学的な考え方や方法が加えられ、ファンがふえました。
すぐれたミステリーは、頭の体操であるとともに、知識を、物事を、人生を、いろいろな方向から考えることを教えてくれる、すばらしい読み物だと、わたしは思っています。
そして、なによりもミステリーは、平和な時代の読み物です。戦争で多くの人が死ぬような世界では、一人の人間がどうして死んだのか、などと考えるゆとりはありません。
コミックやゲームもおもしろいのですが、文字のほうが、もっとおもしろいことがあります。推理小説とそのなかまにも、おもしろさのてんでは、ほかのものにまけないものがたくさんあるので、ぜひ読んでください。この本でとりあげたトリックなどは、そのほんの一部です。
では、名探偵たちに、チャレンジしてみましょう。
【もくじ】
第1章 見えないものを探せ
第2章 犯人とちえくらべ
第3章 とりっくを見やぶれ!
第4章 犯人にだまされるな!
各章とも、入門クイズ(1ページ)+文章問題、ミステリー豆知識という構成になっている。
『名探偵登場』とかなり問題はラップしているが、別の推理クイズ本から取ったものもある。
文章問題は、『名探偵登場』に収録されていた劇画クイズ、文章問題に加え、古典ミステリーのトリック紹介クイズがある。
どうして推理クイズ本って安易な作り方をするかな、と思わせる典型的作品の一つ。過去の本からの移植、名作トリックダイジェストクイズなど。はじめてミステリに触れる人でもあまりお薦めできません。まだ『名探偵登場』の方がましでした。
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