山村正夫 『ぼくらの探偵大学3 7つの怪事件』
(朝日ソノラマ ぼくらのもの知り百科)
『ぼくらの探偵大学3 7つの怪事件』
著者:山村正夫
1931年生。愛知県出身。1949年「二重密室の謎」でデビュー。以後、多くのミステリを手がける。『湯殿山麓呪い村』で角川小説賞を受賞、映画化もされた。元日本推理作家協会理事長。1999年没。
発行:朝日ソノラマ ぼくらのもの知り百科
発売:1974年2月15日初版
定価:450円(初版時)
親愛なる、わが探偵大学の卒業生しょくん、長らくごぶさた。
「オッス!」……。
なんじゃ。声が小さいぞ。ダメダメ。もう一度、やってみよう。ええかな?
「オース!!」
けっこう。けっこう。その調子、その調子。――おっと、これは、テレビの人気番組で聞いたことのある、セリフじゃったわい。
さて、あいさつはこれくらいにして、どうじゃね。その後、みんあ、変りはなかったかな? 勉強やスポーツはもちろん、チビッ子名探偵として、ミステリィの読書にも、大いに精出してくれたことと思うが、どうだ。ことに「探偵大学」と「続探偵大学」の二冊は、バッチリ何度も読みかえしてくれたじゃろうね。アーン?
ナヌ? そんな人の心配より、わがはいの方こそ、しばらく会わぬうちに、モウロクしたんじゃないかって? ばかをいっちゃいかん。
年はとっても、このカングリ博士、まだまだ君たちの脳ミソには負けはせんぞ。ますますサエにサエちゃって、研究室でのんびりと、犯罪学の研究などにふけるひまは、ありはせなんじゃよ。例によって、あいかわらず各国の名探偵に泣きつかれ、かれらがサジを投げた怪事件の捜査に、大活躍しておったんじゃ。ウソだと思ったら、朝日ソノラマの編集部で聞いてみてくれ。特にシャーロック・ホームズくんやアルセーヌ・ルパンくんときたら、ぜひわがはいの力を借りたいと、うるさくせっついてくるしまつでな。おかげで、ロンドンやパリをはじめ、世界じゅうを飛びまわっておったもんじゃから、いや、いそがしかったのなんのって……。
ほい、あまり大ボラばかりふいておると、ボロが出るので、これくらいにして――。
では、CMいってみよう。実は、わがはいが外国から帰ってみると、るすちゅう研究室に、きみたちチビッ子名探偵の友だちから、こんな手紙が多数まいこんでおったんじゃ。
「近ごろ、探偵クイズの本がたくさん出ているが、あまりかんたんな問題ばかりなので、ものたりない。もっと頭を使う、コクのある難事件を集めた本はないか」とな。
わがはい、すっかりうれしくなったね。だが、考えた。わが探偵大学の卒業生しょくんも、きっと同じことを望んでいるにちがいない。そこで、編集部とも相談の上、とっておきの事件ばかりをそろえたのが、この「クイズ小説特集」なんじゃ。これには、片野史郎くんという少年名探偵が登場するが、何をかくそう、史郎くんも、きみたちと同じ探偵大学の優秀生。ひとつわれと思わんものは、史郎くんにおくれを取らぬよう、じっくりと推理して、事件のナゾにアタックしてみてくれ。
といっても、何もおそれることはない。これまで二冊の本で受けた、探偵大学の特訓の応用のつもりでぶつかれば、かならずズバリ、トリックを見やぶれるはずじゃよ。
さあ、あすといわず、今すぐ事件に取りくんでみよう!
(「チビッ子名探偵に、三たび挑戦!!」より引用)
【目 次】
第1章 銃声トリックに挑戦 |
第1の事件/死の分譲住宅 |
第2章 アリバイ・トリックに挑戦 |
第2の事件/怪獣沼の殺人 |
第3章 犯人トリックに挑戦 |
第3の事件/産業スパイはだれだ |
第4章 殺人トリックに挑戦 |
第4の事件/ぼくは殺される |
第5章 毒薬トリックに挑戦 |
第5の事件/脅迫魔 |
第6章 密室トリックに挑戦 |
第6の事件/消えた短剣 |
第7章 人間消失トリックに挑戦 |
第7の事件/幽霊犯人 |
『ぼくらの探偵大学』『続・ぼくらの探偵大学』に続く第三弾。ここまで出るということは、それなりに売れたということでいいのだろうか。
今回は「7つの怪事件」という副題がついている。まずトリックのヒントを紹介した後、章題に応じたトリックを用いたクイズ小説を解くという形になっている。小説の最後には必ず問題が2つ用意されている。基本的には「犯人は誰か?」「その方法は?」となっている。
小説タイプというのは珍しいが、問題に使われているトリックは、既存の推理クイズとさほど変わるわけではない。それでも小説という形を取ることにより、伏線の張り方や隠し方などが学べるようになっている。
試みとしては面白いが、できればもう少し本数が欲しかったところである。
本書に掲載されたクイズ小説は、『子供の科学』(誠文堂新光社)昭和47年1月号~昭和48年12月号まで連載されていた12編の中から選ばれたもの。後に『読者への挑戦』(朝日ソノラマ文庫)で全編が収録されている。
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