マーヴィン・ミラー『5分間ミステリー あなたが陪審員』(扶桑社ミステリー文庫)
『5分間ミステリー あなたが陪審員』
作者:マーヴィン・ミラー
(青少年向けのミステリー小説やノンフィクションなどを上梓。本書のような裁判クイズのほかに、探偵クイズなども発表している)
本文イラストレーション:ロブ・ロバ―
訳者:高橋知子
扶桑社ミステリー文庫
発売:2022年3月10日初版
定価:935円(初版時 本体+税10%)
当法廷へようこそ! あなたは、これから陪審員として裁判に立ちむかいます。まず、それぞれの訴訟の内容をよく読んでください。裁判の原告と被告は、全く異なる説明をしてくれるでしょう。そのうえであなたは、提示された証拠物件を慎重に検討し、真実を見極め、評決をくださなければなりません。もし判断を誤れば、無実の人が刑務所に送られたり、無関係な人が事件の責任を負わされたりすることにもなりません。法廷に正義をもたらすため、あなたの眼と脳細胞をフル活動させてください。(粗筋紹介より引用)
ローレンス・トリート『絵解き5分間ミステリー 名探偵からの挑戦』から約7年ぶりの5分間ミステリーシリーズ。原題は"You Be the Jury(VOL.1)"で、1987年にアメリカで出版されている。
裁判で原告(訴訟を起こした人)と被告(訴えられた人)の主張が語られる。そして、証拠物件A、B、Cの三つの証拠が提示される。読者である陪審員は、原告と被告の発言、そして証拠物件から、被告が有罪か無罪かを判断する。
収録されているクイズは20問。いずれのクイズも、原告、もしくは被告の発言と証拠物件の間に、何らかの矛盾がある。ほとんどのクイズでは、証拠物件のどれか一つと、どちらかの発言との間に矛盾があるので、それを見つければよい。証拠物件のほとんどはイラストになっている。
クイズの方は適当な難易度。特殊な知識がなくても、解くことは可能である。基本的に一つの証拠物件でどちらが正しいかわかるのだが、どの証拠物件が鍵を握っているのかも考えなければならないので、読んでいて面白い。クイズを解こうという気持ちにさせられる。
マーヴィン・ミラーという作家は初めて知ったけれど、これは面白い。今まで邦訳されていなかったのが不思議。まだ続きがあるようなので、是非ともお願いしたい。
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