夢現舎編『小学生探偵コタロウと謎の村』


夢現舎編『小学生探偵コタロウと謎の村』
(ほるぷ書店)




『小学生探偵コタロウと謎の村』


 『小学生探偵コタロウと謎の村』

 株式会社夢現舎編
 (1989年に設立した編集制作会社。パズルやクイズを得意としており、たくさんの雑誌や書籍を制作している。制作した著書に『謎とき暗号解読パズル』(ぽるぷ出版)『バカウケなぞなぞ大全集』(主婦と生活社)などがある)

 発行:ほるぷ書店

 発売:2010年2月15日初版

 定価:1300円(初版時)




「名探偵が、怪盗からの挑戦や迷宮入りの難事件をカッコよく解決する」――そんな物語やゲームをキミも見たことがあるよね。
 この本は、小学生探偵コタロウが大活躍する物語なんだ。探偵になるためには欠かせない「探偵試験」に挑戦したり、15年後の未来にタイムスリップして難事件を解決したり……。でも、キミはコタロウの活躍を眺めているだけじゃダメなんだ! 「推理力」をはたらかせて、コタロウといっしょに問題を解きながら読み進めていくんだよ。
 物語のとちゅう、「さあ、ナゾを解け!」という合図があったら推理開始! 制限時間がもうけてあるから、きちんと時間を守ること! 苦手な問題があって解けないこともあるかもしれない。でも、制限時間がすぎたら先に進もう。物語を読み進めていくと、すべての答えがちゃんとわかるしくみになっているんだ。コタロウや夏水先生の言葉にヒントが隠されていることもあるから見逃さないでね!
 「(電球のマーク)」がでてきたら、答えが書いてある部分だよ。解けない問題があってもくりかえし読めば、推理力がつくはず。いずれ、キミも名探偵になれるかもしれないね。
 それでは、コタロウといっしょに難問に立ちむかおう!

(「この本の使い方」より引用)


【もくじ】
 第1章 目指せ・探偵試験合格!
 第2章 三つ神村殺人事件
 第3章 殺人事件のナゾをおえ!
 第4章 名探偵への道のりは長い!


 推理好きの小学校6年生、春山虎太郎は、27歳の名探偵夏水竜之介にあこがれ、探偵試験の最年少合格記録を目指している。コタロウが毎日、夏水の「秘竜探偵事務所」に通って、探偵試験に合格するための練習問題を解いている。それが第1章。ちなみに探偵試験というのは、探偵になるために必要な国家資格を得るための年に1回行われる試験である。凶悪な犯罪が増えてきたため、警察だけでは事件の解決が難しいということで、15年前から探偵が全面的に捜査協力することになり、この資格を持つと自分の探偵事務所を開くことができる。第1章は暗号問題、証言問題、絵解き問題と、「試験」に挑むにはずいぶん易しい問題ばかりが並ぶが、まあそれは子供向けの本ということで。
 第2章は、探偵試験当日、なぜかコタロウが15年後にタイムスリップ。夏水の事務所を引き継ぎ、「虎の穴探偵事務所」を2年前から引き継いでいる。秘書の秋月小夜は夏水の姪。そこへ現れた客は、三つ神村から来た初老の人。村で起きた殺人事件を解いてほしいという。なぜかこの依頼人、コタロウに暗号や穴埋め問題、証言問題などを出す。閉鎖的な村で、未だに警察を呼んでおらず、また来てほしくないと言った依頼人は、コタロウに解決を託す。
 第3章はコタロウと小夜が三つ神村へ着いたはいいが、またも殺人事件が発生。証言などから問題の一つずつで犯人を絞り込み、最後のダイイング・メッセージでコタロウは犯人を指摘する。
 第4章は元の世界の戻ったコタロウが、夏水からの問題に答える。

 推理アドベンチャーブックと書かれているが、正式なアドベンチャーブックではない。ただし文章でストーリーが進み、途中で問題と解決が織り込まれる形になっている。しかしストーリーもクイズの内容も、他愛のないものが多い。問題数も第1章は8問、第2章は5問、第3章は6問、第4章は2問と、ページ数や値段の割には少ない。対象は小学校高学年程度か。それにしては殺人事件という題材が難有りだと思うが。
 何をやりたかったのか、今ひとつわからない一冊である。

【その他の推理クイズ本作品リスト】に戻る