『名探偵30人の挑戦』
センスをみがく推理パズル
著者:仁賀克雄(じんか かつお)
(一九三六年、横浜に生まれる。神奈川県立横須賀高校から早稲田大学商学部に進学。在学中の一九五七年に江戸川乱歩を顧問としてワセダ・ミステリ・クラブを創立し、同幹事長をつとめる。著書に『海外ミステリ入門』『世界史の謎』『ロンドンの恐怖』などが、訳書に『プレイグ・コートの殺人』『消された時間』などがある。)
発行:永岡書店
発売:1984年7月5日
定価:680円(初版当時)
ミステリの魅力は不可思議な謎が徐々に解かれていく過程のおもしろさであるといわれている。ポオが名探偵デュパンを生み出して以来、数々のミステリ作家たちが頭をしぼり、奇抜なアイデアが次々と生まれた。それにともなって、この難解な謎を解く名探偵も続々と誕生した。
その名探偵と奇抜な謎とトリックを集め、読者に名探偵になってもらい、頭脳のアスレチック体操をやっていただこうと企画したのが本書である。
いずれも欧米および日本のミステリの傑作からよりすぐった謎やトリックを要約して問題とした。問題のあとに解答があるが、必ず問題に対する自分なりの答えを出してから見てほしい。トリックを明かすことについては非難もあると思うが、むしろ本書を契機としてミステリのおもしろさを知り、内外のミステリに興味を持つ読者が増えるほうがミステリにとって有益であると考え、あえてタブーに挑戦した次第である。
あなたは名探偵たちの挑戦を堂々と受けて立つことができるだろうか?
名探偵の紹介→名探偵が解決した事件をもとにした推理クイズ→作者の紹介。30人の名探偵がこの構成で紹介されている。その他に、ハードボイルドのヒーローと作家たちとして5人の名探偵が紹介されている。また、「ミステリおもしろガイド」と題したエッセイが5本収録されている。
名探偵の紹介+推理クイズというのは藤原宰太郎が既に『世界の名探偵50人』で出しているし、他の推理クイズ作家にも似たような趣向の推理クイズ本があるため、目新しい趣向というわけではない。名探偵や作家の紹介も、どこでも見られそうな普通の紹介である。推理クイズは、名作のアレンジであるため、すべての条件を提示し切れていないものも多く、名作トリックのダイジェスト紹介という形で終わっている。新しさというものはなにも見あたらない、二番煎じの本である。
収録されている名探偵は以下。
オーギュスト・デュパン、シャーロック・ホームズ、マーチン・ヒューイット、隅の老人、アルセーヌ・ルパン、思考機械、ブラウン神父、ソーンダイク博士、フィリップ・トレント、マックス・カラドス、ソーラー・ポンズ、エルキュール・ポアロ、ミス・マープル、明智小五郎、ピーター・ウィムジー卿、フレンチ警部、ファイロ・ヴァンス、エラリー・クイーン、ドルリー・レーン、ヘンリー・メリヴェール卿、ギデオン・フェル博士、ジョン・アプルビイ卿、金田一耕助、ニッキー・ウェルト教授、神津恭介、ブロンクスの<ママ>、ニック・ヴェルヴェット、ヘンリー・ジャクソン、十津川警部、三毛猫ホームズ。
(「ハードボイルドのヒーローと作家たち」で紹介されているのはリュウ・アーチャー、コンチネンタル・オプ、フィリップ・マーロウ、マイク・ハマー、メグレ警視)
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