2006年度私的日本ミステリベスト10
1.建倉圭介『デッドライン』(角川書店)
終戦、原爆を取り扱った冒険小説史に新たな一ページが加わった一冊。2005年のダントツ!
2.道尾秀介『骸の爪』(幻冬舎)
2006年を代表する本格ミステリの秀作。2006年は道尾秀介の年だった。
3.香納諒一『贄の夜会』(文藝春秋)
様々な現実社会の問題を織り交ぜながら、人々の心の闇を浮かび上がらせたサスペンスの傑作。
4.乙一『銃とチョコレート』(講談社 ミステリーランド)
名探偵と行動をともにドキドキ感、現実のほろ苦さ。そして正義と悪。少年ものの枠を越えた大冒険物語。
5.宮部みゆき『名もなき毒』(幻冬舎)
どこがいいのかと聞かれると答えられなくなるのだが、面白いものは面白いとしか言い様がない。
6.薬丸岳『闇の底』(講談社)
前作はフロックではなかった。これで細部をもっと書き込んでいれば、社会派ミステリの傑作となっただろうに。
7.法月綸太郎『怪盗グリフィン、絶体絶命』(講談社 ミステリーランド)
作者にここまでストレートな怪盗ものが書けるとは思わなかった。
8.笹本稜平『駐在刑事』(講談社)
都会で負った傷をいやしてくれる大自然と人たち。警察小説の新しい形の一つ。
9.石持浅海『顔のない敵』(光文社 カッパノベルス)
「対人地雷」シリーズ短編集。社会的なテーマと本格ミステリの融合を成功させたのはお見事。
10.柄刀一『時を巡る肖像 絵画修復士御倉瞬介の推理』(実業之日本社)
地味だけど、じっくりと書き込まれているから、読み応えのある本格ミステリ短編集。
ベスト10といいながら、9冊しか挙げられない。それでも今年は『デッドライン』を読めたから満足。
(付記)2007年に読んだけれど、柄刀一をあえて追加。
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