『悪魔と名探偵』(原題『悪魔恐怖館』)
怪奇ミステリー
著者:藤原宰太郎
(藤原宰太郎:推理クイズ作家として数々の著書を執筆)
発行:KKベストセラーズ ワニの本
発売:1975年10月5日初版
定価:580円(初版時)
左側:初版『悪魔恐怖館』装丁
右側:『悪魔と名探偵』装丁
本書は、自慢じゃないが、いままでの怪談や幽霊の本とは、ひと味ちがう。
人類の文明の暗黒面に百鬼夜行する妖怪や悪魔たちは、それぞれ固有の超能力を発揮して人間に挑戦する。科学を盲信する諸君の薄っぺらな理性を嘲笑し、隙あらば、その魔術的トリックで無限地獄の魔界へ誘惑しようと狙っている。
本書では、彼らの怪奇と幻想、恐怖と戦慄にみちた摩訶不思議なトリックの数々を紹介した。推理小説の枠をこえたオカルト・ミステリーのミニ百科事典である。
さあ、あなたと妖怪軍団との生死を賭けた知恵くらべだ。全知全能の推理力をふるって、悪魔からの挑戦状に対決してくれたまえ。
【目 次】
1章=悪魔
2章=魔女
3章=世界の妖怪
4章=日本の妖怪
5章=幽霊
タイトルや「著者自身の広告」にもあるとおり、いつもとは毛色の違ったクイズ集。問題数は42問。一応、“シニ”につながっている。クイズの方は、どうすれば悪魔や妖怪たちの手から逃れられるかといったものが多い。とはいえタイトルに“名探偵”とあるのだから、妖怪たちの仕業と見せかけた事件を解決するものもある。そちらの方は、他のクイズ集に収録されているトリックをアレンジしたものが多い。
お得意のトリックや名探偵を紹介するものと違って、悪魔や妖怪の紹介は巻末にある参考文献から引き写ししたとしか思えないほどの、素っ気ない文章である。少年向けの入門書にいくつか見られた“妖怪事典”系の紹介ものにクイズを足しただけという印象が強い。手っ取り早く作ったなと思わせる一冊である。
なお、所々に自作と思われるコントがあるが、全然笑えないのはご愛敬である。
初版時のタイトルは『悪魔恐怖館』。翌年の版では既に本タイトルに変わっている。KKベストセラーズから出ている『探偵ゲーム』、『世界の名探偵50人』、『世界の偉人は名探偵』に続き、“探偵”というキーワードで揃えるための措置と思われる。
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