『5分間ミステリー 名探偵登場』
作者:ケン・ウェバー
(元はカナダ・トロント大学教育学の教授。クイズ・マニアを自称し、クイズを書き続ける。『5分間ミステリー』で1989年度「ゲームズ・マガジン」最優秀パズル・ブック賞を受賞。1996年5月に退官。新作クイズに取り組むとともにテレビ番組などにもレギュラー出演。)
訳者:藤井喜美枝
扶桑社ミステリー文庫
発売:2003年3月30日初版
定価:619円(初版時 税抜き)
『5分間ミステリー』『続5分間ミステリー』『新5分間ミステリー』に続く第四弾。原題は“THE ARMCHAIR DETECTIVE #1”で2000年刊行。“5分間ミステリー”というタイトルから離れている。本書は40問のクイズが収録されている。問題の答は、次の問題文の後に書かれている。この形式は、はっきり言って読みにくい。やはり答は、問題文の後に、ページを分けて書いてほしいものだ。
今までと違うところは、問題によって★による難易度が示されているところ。★5つが最高である。また、「作者からすべてのミステリーファンへ」というまえがきが付いているのも、今回が初めてである。ここでいう「ミステリー」はなぞなぞくらいの意味を指す。
日本での出版は、前作から7年も経っている。日本で「5分間ミステリー」シリーズがじわじわと売れ出すのにそれだけかかったということである。3作で打ち切られる予定が、本屋でじわじわと売れ、そしてブームになり、こうして新刊が出ることになったのである。そのためか、訳者も変わっている。そしてこの後、このシリーズは定期的に出版されることになり、別の作家の本まで「5分間ミステリー」の名前を付けて売られることになる。
問題は、供述や行動から矛盾を見つけだすもの、幾何学的なパズル、幾つかの証言から犯人当てをするもの、雑学的知識を問うものなどであり、前3作と特に変わったところはない。ただ原題が“安楽椅子探偵”とある通り、事件の謎を解くという形のものが多くなっているのが特徴か。
事件の謎を解くといっても、やっていることは大して変わるわけではない。また難易度といっても作者による主観であるため、クイズ慣れしている人から見たら、首をひねるところもあるだろう。また、どこぞの推理クイズで出てくるような問題も幾つか見られる。15番や21番、25番などを読むとニヤッとするだろう。特に25番は、今までのウェバーにしては珍しい“推理小説的なトリック”を用いたクイズである。
読者も安楽椅子探偵となり、作者の挑戦に答えてほしい。
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