新保博久『5分間ミステリー 容疑者は誰だ』
著者:新保 博久
(新保博久:1953年京都市生まれ。早稲田大学文学部美術科卒。ミステリの書評、文庫解説、アンソロジーの編纂などで多忙な日々を送る。共同監修した『日本ミステリー事典』で第1回本格ミステリ大賞を受賞。共著『幻影の蔵』で第56回日本推理作家協会賞を受賞)
発行:扶桑社文庫
発売:2006年3月30日
定価:552円(税抜き 初版時)
『推理の達人』(KKベストセラーズ ワニ文庫)を再編集、改題したものである。問題は5問減って45問。書き下ろしである「はじめに」に、「さすがに今更どうかと思われる何編かは今回割愛したが」と書かれているように、あまりにも古びた問題は削ったようだ。イラストが野間美由紀であることも変わらず。コラムも前著のままである。「はじめに」と「あとがきに代えて」は書き下ろしである。
「5分間ミステリー」シリーズにそろえるように、問題の解答は、さらに次の問題の次ページに書かれている。何度も書くがこのスタイルは読みづらい。特に問題の後にすぐ答を見る人にとっては、余計なお節介かと思われる。
「はじめに」によると、「『推理の達人』もそろそろ書店の店頭で見かけなくなっているし、読者も世代交代しただろうから、三番を煎じることにした」、と書かれている。また、「現在流行の翻訳物の『5分間ミステリー』などと比べても、それほど遜色ないのではないか、とうぬぼれたからである」とも書かれている。トリックにこだわった推理クイズを扱っている本書と、どちらかといえば間違い探しに近い「5分間ミステリー」を同列に並べて比べるのはやや難しいが、それほど遜色ないとは思われる。ただ、「ローテク・ミステリー」時代のトリックなので、さすがに新しい読者には首をひねるものもあるのではないだろうか。
削除された問題に登場していた探偵は以下。
サイモン・テンプラー、伊達邦彦、法水麟太郎、隅の老人、巨勢博士
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