『お笑いスター誕生!!』 名鑑【し-2】


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名 前
笑パーティー
初出場
 1983年6月4日(第3期グランプリシリーズ)
実 績
 4週勝ち抜き。銅賞獲得。
 第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ第3位。
 第3回オープントーナメントサバイバルシリーズ準優勝。
 第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ優勝。
 第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ第3位。
 第7回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
ジャンル
 コミックバンド、コント。
プロフィール
 ばんきんや:1950年代生。東京都出身。リーダー。
 松元ヒロ:1952年10月19日生。鹿児島県出身。
 石倉チョッキ:本名石倉直樹。1957年8月26日生。愛知県出身。
 ばんきんやは別バンドでコミックバンドをしていた。松元ヒロは元々パントマイマー。デビューは1975年。石倉は桑沢デザイン研究所卒業。
 初登場時は結成約1年。
ネ タ
(1週目合格 No.163 1983年6月4日放送)

 白いタキシードに蝶ネクタイのばんきんや、登場。
ばん「緊張するなあ。明日は私の30周年リサイタル。よくぞ30年続いたものだ。まさに私の総決算とも言える。ところで、マネージャーの松元はどこ行ったんだ。おーい、松元」
 マネージャーの松元、舞台脇から登場。ばんきんやのまわりを一周し、最後は“壁”のパントマイムをやり、ドアを開いて「おお、先生」
ばん「おまえ、見えているんじゃないのか。まあ、いい。君が私のマネージャーについてどれくらいになる?」
松元「はい、1ヶ月です」
ばん「そうか。早いものだな。仕事は慣れたか?」
松元「先生のおかげで、慣れました」
ばん「そうか。ところで、少し明日の練習をしようと思うんだが」
 松元、懐からさっと譜面を出す。
ばん「おお、用意がいいねえ。うーあー」
 ばん、おもむろに譜面を逆さまにする。恐縮する松元。うたいだすばん。
ばん「♪……(詩不明 海外のものだったので) あ、あ、」
 ばん、声が詰まる。松元、さっと胸から喉スプレーを取り出し、ばんの口へ一吹き。
ばん「君は有能だねえ。では♪~」
 手を広げ、気持ちよさそうに歌うばん。そこへ煙草を挟む松元。ばんはおもわず煙草を口に持っていき、パッとライターを出す松元。
ばん「気が利くねえ……って、ちがうだろ。(松元を突き飛ばす)歌手は煙草は吸わないんだ。喉をやられたらどうする?」
松元「はい、申し訳ありません」
ばん「ところで、コーラスは来ているんだろうな。明日が本番だから練習しないと」
松元「はい、呼んでおります。石倉君!」
 石倉、黙って登場。直立不動のまま。
松元「石倉君は二期会の」
ばん「おお、コーラスで有名な二期会か」
松元「いえ、その下請け元気かいから来ました」(こけるばん)
ばん「まあ、いい。練習しよう。ワン、ツー、スリー、♪~」
 微動だにしない石倉。
ばん「なんなんだ、こいつは。松元!」
松元「お待ち下さい。石倉君。コーラスだよ、コーラス」
 うなずく石倉。再び歌い出すばん。「♪~」そこへ石倉、無表情に魔法を掛けると、動かなくなるばん。
松元「コーラスだよ、石倉君。おや、コーラス、凍らす。凍ちゃったよ」
ばん「何をするんだ、一体。君、後を着いてくればいいんだ、後を」
 うなずく石倉。再び歌い出し、舞台を歩き回るばん。「♪~」その背中を着いてゆく松元と石倉。
ばん「君まで後を着いてきてどうする!」
松元「はい、どうもすみません」
ばん「もう1回練習だ。ワン、ツー、スリー」
 いきなり歌い出す石倉。続く松元。見事なハーモニー。とまどうばん。
 結局1曲歌いきり、拍手喝采。
 そこへばんが「僕を弟子にして」
 二人「ダメ」

 「稽古をよくしている」「シナリオ通りにやっている感じがする。これが自然にできるようになると、もっと笑える」「面白い」。コントは初めてとのこと。
(2週目合格 No.164 1983年6月11日放送)

 ばんきんやがメンバーを募集。そこへ現れたのは、ドラマーの石倉とベーシストの松元。「六十万円」ときき、早速契約書に判子を押すが、よく聞くと、「煮ても焼いても文句は言いません」という文章と、「年六十万円」という給料。
 音楽をしようとすると、オチはばんきんやの浪花節。

 ちなみに最初の頃、松元さんはベースが全然弾けなかったので、ばんさんが必死に教えたそうです。
(3週目合格 No.165 1983年6月18日放送)

ばん「ロック&ジャズと称しまして、色々なナンバーを紹介したいと思います」
ばん「メンバー紹介です。ベース、松元ヒロ」
 松元、ドラムの音に合わせて踊り、顔を色々替えて、最後は歌舞伎役者のパントマイム。
ばん「続きまして、ドラムを紹介いたしましょう」
 石倉、ドラムをソロで叩きまくる。
ばん「せっかく格好良く紹介しようとしたのに、ばたばたしていたら、口を出せないじゃないの」
石倉「はい、わかりました」
ばん「ドラムは、今や世界的に有名になりました、ヤマハのドラム」
石倉「(ずっこけながら)ちょっと、ちょっと、そりゃないじゃないですか」
 石倉がセンターに入り格好良く決めようとする。
ばん「ドラムは、石倉チョッキ」
 松元が、ドラムを一叩き<カン>。
 石倉がずっこける。
 そのあと、ばんのあおりを受けて、石倉はなぜかアントニオ猪木の真似。
 ばんが石倉を叩いた後、ばんがスローナンバーのバラードをひきながら
ばん「先ほどから、うちのメンバーを紹介しているにもかかわらず、みなさんの視線が、どういうわけか、私の方に、私の方に集まってきます。いや、それでいいんですよ。やはりわかるんですね。スターって」
ばん「松元君、椅子」
 ばんが椅子に座ろうとすると、松元がポーズを決める。
 やりとりをいくつか繰り返した後、ようやくばんが椅子に座る。
 ばんのギターの元、松元と石倉が喧嘩を始め、靴で殴り合ううちに、いつのまにかフラメンコを踊り出す。

 ショーで30分くらいのネタをやるときの、バンド紹介ネタを持ってきた感じ。5分では短すぎて、笑いが今一つ。審査員からもやり慣れていると言われていたから、多分いつもやっているネタだったと思う。
(4週目合格 No.166 1983年6月25日放送)

 ギターのばん、ベースの松元、ドラムの石倉が登場。一曲披露。
ばん「はい、そういうわけで笑パーティーです。先週は唐突にもメンバー紹介からお届けいたしまして、失礼いたしました。今週こそロック&ジャズ、よろしく」
 最後、締めにかかるが、ばんがギターを振り回し、松元と石倉がこける。
ばん「なんなんだよ、そのずっこけ方は。コミックバンドじゃないんだよ。(客席笑い)今日は真面目にやろうって言ったでしょ。失礼いたしました。一曲目は、チャック・ベリーのナンバーに挑戦してみたいと思います」
 ばん、ギターを引き出し、格好よくセリフを言うが、他の二人はポカーン。
ばん「何やってんだお前ら。私だけのったらバカみたいじゃないの。あのね、司会者が出てくる。ムードを盛り上げる。盛り上がったところで、いよいよチャック・ベリーが登場する。そこからやってんだから」
二人「オーケー、オーケー」
 三人が弾き始める。
ばん「Good evening, ladies and gentlemen. Welcome to OK Club. King of Rock 'n' roll, Chuck Berry!」
 三人が伴奏を弾き、いざ歌い始める。
ばん「あれ、何歌うんだっけ?」
 二人、ずっこける。詰め寄る二人。
ばん「いやあ、悪かった、悪かった。あのさ、まあ、まあ、まあ。あのさ、おれ、セリフ何言うんだっけ。ああ、そうか、(松元を指差して)今度掛け合いするんだよ」
松元「そう」
ばん「(石倉に向かって)だからそう怒るなよ。今度は大丈夫。(二人、元の位置に戻る)どうも、失礼いたしました。それでは二曲目は、対ベース、対ドラムスとの掛け合いの妙にご注目ください。曲は聖者の行進です」
 三人が楽器を弾き始め、番が歌い始める。ところがばんがクワクワクワと歌ううちに、石倉がクワクワクワと鳥の真似を始める。そのうちに二人で鳥の真似をはじめ、踊り始める。気付いたばんが石倉の頭を叩く。
ばん「何考えてんだ、お前は。ドラムで掛け合うんだよ」
 二人を全く気にせず、ドラムを弾きまくる松元。二人ににらまれ、おもわず奇声を上げる松元。三人で「シャボン玉~」と踊り、ばんからつっこまれる。
ばん「さあ、もともとシャンソンの曲ですけれども、好んでジャズメンが取り上げたと言われている曲です。Autumn Leaves」
 ばんがギターを弾き始め、語り始める。
ばん「ボンマルセの並木道。秋風がそっと木立を駆け抜け、今日も忍び合う、恋人たちの影」
 ベースにコートをかけ、金髪のかつらをかぶった松元が登場。石倉が後ろで落ち葉を舞わせる中、恋人たちがキスをするパントマイムを、時折顔を叩き合うなどの笑いを交えながら拾う。いつまでもやっているので、最後は石倉が持っていたお盆で頭を叩く。
 元の位置に戻って、歌を披露して終わり。

「ばんの表情がいい」「若いけれど、古臭い感じがする。展開の仕方とか」「慣れ過ぎている感じがする。とくにばんが」「もうちょっときめが細かい方がいい。笑いが少ない」「型が決まっちゃっている」
 笑いが少なすぎてどうなるかと思ったが、今週はみんなよかった(3組全員)と合格。
(5週目再挑戦不合格 No.181 1983年10月8日放送)

石倉:新人歌手
松元:プロダクション社長
ばん:人気作曲家

 独立してプロダクションを作った松元が、新人歌手を連れて、人気作曲家のばんのところにやってくる。ばんは作曲だけでなく、作詩まで作ったのだが、人気曲をつぎはぎして作った曲だった。
 譜面を見て練習するが、感情が無い、才能が無い、とばんは酷評。自らレッスンするが、わけのわからないふりや歌い方。歌詞も洒落ばかり。
 曲は途中で終わっており、残りは家に帰って作って、と言われてできるか、と言われておしまい。

 ばんばかり達者で目立ち、残り二人が今一つと言われて不合格。
第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Bブロック 93点〇 No.197 1984年2月11日放送)

有名ファッションデザイナー:ばんきんや
ファッションショーのディレクター:石倉チョッキ
司会:松元ヒロ

 開演前のファッションショー。舞台をチェックするばん。しかし、来るはずだった司会の久米○は仕事で来られなくなった。ディレクターを責めるばんであったが、石倉は知人の司会者を手配していた。おどおどと登場する松元。早速練習することとなった。
 ばんがドラムを叩く(幕が開くときによくある音楽)と、なぜか両手をおどろおどろしく持ち上げる松元。実は松元、お化け屋敷のバイトが長く、おもわず幽霊の真似をしてしまうとのこと。怒るばん。必死に止める石倉。さらに練習を続けるが、なぜか両手が持ち上がる。
 いくつかのやりとりの後、石倉がファッションモデルの役割をして、司会の練習をすることとなった。なかなか快調な司会の松元。ところがどんどんお墓や線香の話へ。実は松元、テレビなどの司会をやったことはなく、ほとんどは葬儀関係の司会しかしたことがなかったのだ。怒るばん、止める石倉。
 必死の練習も虚しく、松元の支離滅裂な司会ぶりは止まらない。嘆くばん。そこへ幕が開く。ところが、客席には誰もいない。
ばん「あ、チケットが1枚も売れなかったから、今日は中止!」
二人「いい加減にしろ!」

 この手のネタは、実際に見ないと面白くないだろうなあ。動きがうまく描けなくて、申し訳ありません。
第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦Bブロック 88点〇 No.202 1984年3月17日放送)
第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Cブロック 96点〇 No.248 1985年2月9日放送)
(第2回爆笑紅白大合戦1回目 98点(紅) No.277 1985年8月31日放送)

 白いタキシードに蝶ネクタイのばんきんや、登場。
ばん「ラララララララ~(と歌い出す)。歌手生活22年、その総決算ともいうべきリサイタルが、いよいよ明日だ。それにしても、マネージャーの松元はどこ行ったんだよ。松元、松元」
松元「(舞台脇から登場)先生!」
ばん「おう、松元」
松元「先生!(しかし松元、なぜかばんの前を通り過ぎて反対側へ行ってしまう)先生!(今度はばんの後ろ側を通り過ぎる)」
ばん「松元……」
松元「先生!(今度は壁のパントマイム。続いてシャッターを開けて覗くとばんがいる。跪きながら手を握り)先生! 」
ばん「松元、ここはガレージなんかじゃない(と突き飛ばす)。なんなんだよ、私はどういう生活をしているんだよ、まったく」
松元「(にやにやしながら)先生、ちょっと変わったところがありまして」
ばん「お前ね、余計なことは言わなくてもいいんだよ」
松元「先生、いよいよ明日が本番ですね」
ばん「いよいよ明日だ」
松元「激励電報、来てますよ」
ばん「おう、読んでみろよ」
松元「紅組がんばれ、南極観測隊一同(と、紅組の方に手を振る)」
ばん「(頭を軽くたたきながら)内輪ネタをやるんじゃないよ、本当に。松元」
松元「はい」
ばん「お前もこれで1か月。ようやくマネージャーらしくなってきたな」
松元「有難うございます」
ばん「言ってみれば、これがお前の初仕事だ。頑張ってやれよ」
松元「頑張ります」
ばん「よし、早速ブレスいこうか」
松元「(ポケットから出しながら)譜面です」
ばん「おお、気が利くようになったじゃないか。それでいいんだよ」
松元「へへへ」
ばん「(譜面を開いて)カントリーロード、テイクミーホーム、って、カタカナの譜面寄こすな」
松元「失礼しました。英語の譜面もあるんですよ(とポケットから出して渡す)」
ばん「これでいいんだよ。かんとりいろおど」
松元「さっきと変わりませんね」
ばん「お前なんかにわかるかよ。微妙に違うんだよ」
松元「微妙に違いますね」
ばん「(歌い出そうとして)ごほごほ」
松元「(リップを渡す)」
ばん「気が利くじゃねえか。それでいいんだよ。ていくみ~ほ~む」
松元「(ばんの開いている手に煙草を渡す)」
ばん「お~、気が利くじゃねえか」
松元「はいはいはい(とライターの火を差し出す)」
ばん「しかしな、明日本番だしよ、今日は煙草止めとくよ」
松元「そうですか」
ばん「戻しとけ」
松元「(口と鼻の間に煙草を挟む)」
ばん「おまえ、ずいぶん変わったところで煙草吸うね」
松元「(さらに煙草の上にライターを載せる)」
ばん「意味のないギャグをやってんじゃないよ。ところでな、松元。私のこの、カントリーロードの歌の相方、見つかってんだろうな」
松元「もちろんでございますよ」
ばん「もう来ているのか、呼んでこい、呼んでこい」
松元「さあ、相方の君、いらっしゃい、こちらですよ」
 舞台脇から石倉登場。
松元「まず先生に、挨拶お願いしますね」
 石倉、正面を向いて直立不動。
松元「ちょっとお待ちくださいね」
ばん「うん」
 石倉、しゃべろうとするが、声が出ない。
松元「(石倉の口をふさぎ、お辞儀させながら甲高い声で)よろしくお願いしまーす。若々しい声ですね」
ばん「名前、なんて言うんだ」
松元「(石倉の口をふさぎながら甲高い声で)石倉直樹でーす」
ばん「年は」
松元「(石倉の口をふさぎながら甲高い声で)25でーす」
ばん「誰が腹話術やれって言ったんだよ(と、譜面で松元の頭を叩く)。何考えてんだよ、お前は」
松元「いやあ、大先生の前でちょっと緊張しているんですよ」
ばん「そうかそうか」
松元「もっとリラックスしていいんだよ」
ばん「おいおいおい、どこの紹介だ」
松元「二期会の」
ばん「なに、あの合唱オペラで有名なあの二期会の」
松元「その下請けの一期会」
ばん「なんだ、〇〇みたいなだな」
松元「大丈夫ですよ」
ばん「じゃあ、さっそくレッスンいこう」
松元「(石倉に)じゃあ、先生の合いの手をお願いしますね」
ばん「カントリーロード、ここで入って、カントリーロード」
石倉「(歌っているばんの手を握って頭を寄せていく)」
ばん「(慌てて手を振り払い)何やってんだよ」
石倉「(ばんににじり寄っていく)」
松元「(二人の間に入り)ああ、愛の手。なかなかリラックスしてきましたね」
ばん「はははは(松元を譜面で叩きながら)ふざけるな、コーラスに決まってるでしょ」
松元「(石倉に向かって)コーラスね、コーラス」
ばん「カントリーロード」
石倉「(ばんに息を吹きかけるとばんが固まってしまう。ばんを叩くといい音がする)」
松元「以前にもやりましたけれど、コーラスと凍らすの違いをやっているんですね。溶かしましょうか(とばんに息を吹きかける)」
ばん「(松元の頬を叩きながら)ギャグを説明してどうすんだよ、バカヤロー。どこのチームのコントが、ギャグを説明なんかするんだよ」
松元「わかってないかなと思って」
ばん「わかってんだよ、そんなことは。おいおいおい、あいつベルカント唱法ぐらいは知ってんだよな」
松元「(石倉の方に向かって)じゃあ、バリカン唱法で」
ばん「なにがバリカンなんだよ。ベルカント唱法だよ」
松元「ベルカントね」
 石倉、きょとんとしている。
松元「知らないって」
ばん「なにやってんだよ、教えてやれよ」
松元「(歌いながら)ビッ~グビッグビッグ、ビッグカメラ。3割4割値引き当たり前~」
ばん「それはディスカウント商法っていうんだよ。何言ってんだよ。この胸部。この辺を使ってウワ~って堂々と歌うんだよ。やってみろ」
松元「(少し低い声で)ビッ~グビッグ」
ばん「止めろって言ってんだよ、それは。いいんだよ、それは」
松元「(石倉に向かって)そういう感じでね」
ばん「何考えてんだよ。私が歌うから、言葉を取ればいいんだよ」
松元「(石倉に向かって)言葉を取れば、いいんだからね。はいどうぞ」
ばん「カントリーロー」
石倉「(ドのところで声を手づかみにとってポケットにしまい込む)」
ばん「(呆気にとられるが、とりあえず歌い続ける)テイク」
石倉「(手づかみにとってポケットにしまい込む)」
ばん「ミー」
石倉「(声を手づかみにとってポケットにしまい込む)」
ばん「ホー」
石倉「(伸ばしているところを手に取り、長く引き伸ばす。そして最後ははさみで根元をちょん切る。長いままの声を松元に手渡しする)」
松元「(受け取った長い声を、ばんの口に入れようとする)」
ばん「(松元の頭を叩きながら)そんなわけないだろ。本番明日なんだよ。真剣にやりなさい、真剣に」
松元「はい」
ばん「私が歌うでしょ、後を付ければいいでしょ。見本見せなさいよ」
松元「(石倉に向かって)見本見せるからね」
ばん「カントリーロード」
松元「(ばんの背中に立つ。石倉を呼んで、さらに後ろに立たせる)」
ばん「テイクミーホーム」
松元・石倉「(ばんが横を向くと、二人ともばんの後ろを付ける)」
ばん「To the Place I belong」
松元・石倉「(ばんがリズムを付けて歩き出すので、二人ともばんの後ろで踊りながらついていく)」
ばん「ふざけるなよ、おまえ(と譜面で松元の頭を叩く)。薄々読まれながらやってんじゃねえかよ。後を付けるなんて、単純なギャグをやってる時代じゃないんだよ。真面目にやれよ」
松元「(後ろにいる石倉の顔を見ながらなぜか片手を繋ぎ)真面目にやっているよね」
 二人、なぜか手を躍らせる。
ばん「どこが真面目にやってんだよ」
 松元、手を躍らせるが、石倉が着いていけず手を怪我する。
松元「大丈夫か」
ばん「なにやってんだよ。よく考えてみろ。一言も、声が出てないじゃないかよ。どうしたんだよ」
松元「(石倉に向かって)とにかく、カントリーロードって元気よく歌えばいいからね」
ばん「カントリーロード~」
石倉「ジャカジャカジャカジャジャカ、アー、アー、コッコッコッコ(となぜか鶏の真似をする)アーココココココ」
ばん「誰が形態模写やれって言ったんだよ、みっともない」
松元「(なぜか餌をまきながら)トトトトトト」
ばん「やめろ、止めるんだよ」
松元「三、二、一、ハイ(と手を叩くと、石倉が元に戻る。石倉と一緒にポーズを決めながら)引田天功です」
ばん「ふざけんな、馬鹿野郎(と二人を突き飛ばす)。何やってんだよ。カントリーロードって言ったらカントリーロードでしょ。テイクミーホームと言ったらテイクミーホーム。以下全部、同様だよ」
松元「(手を叩く)ああ、なるほど。もうわかりましたんで、二人で一緒に歌いますから」
ばん「ちょっと待て。まさかお前、童謡なんか歌わないだろうな」
松元「もうオチもっていかないと」
ばん「何がオチだよ。いくぞ。(手を叩いてリズムを取りながら)Country Roads」
松元「(同じく手を叩いてリズムを取りながら)Country Roads」
ばん「take me home」
松元「take me home」
ばん「To the place」
松元・石倉「(石倉も手を叩きながら)To the place」
ばん「I belong」
二人「I belong」
ばん「West Viginia」
二人「West Viginia」
ばん「mountain momma」
二人「mountain momma」
ばん「Take me home」
二人「Take me home」
二人「Country Roads(主旋律とコーラスが入れ替わる)」
ばん「Country Roads」
二人「(踊ってハモリながら)Take me home Country Roads (踊りながら)Country, Country, Country, Country Roads(最後はタップを踏んで)ヘイ!」
ばん「おいちょっと待ってくれ。弟子にしてくれ」
二人「ダメ」

 グランプリシリーズ1週目のネタの改訂版。
第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ決勝 94点〇優勝 No.256 1985年4月6日放送)

CMプロデューサ:ばんきんや
新人歌手:石倉チョッキ
ベテラン俳優:松元ヒロ

(ばんきんやのメガホン以外は一切のセット、小道具はありません)

 プロデューサ、ばんきんや登場。
ばん「1カメ、2カメ、準備いいか」
 そこへ新人歌手石倉が登場。
ばん「おお、石倉君来たか」
 ところが石倉、ばんを通り過ぎてしまう。
石倉「おはようございます!」
 元気よく挨拶をしたはいいが、顔を上げてもばんはいない。ムーンウォークで無理矢理バックし、ばんに挨拶。
石倉「おはようございます」
ばん「何やってんだ」
石倉「初めてのCMなもので緊張しちゃって」
ばん「そうか。何でも有望らしいじゃないか。頑張れな」
石倉「でも、僕なんかに演技ができるかどうか、心配です」
ばん「大丈夫だ。そう思って、ベテラン俳優を呼んである。おい、松元」
 松元が登場。ところが松元もばんを通り越してしまう。
松元「おはようございます」
 顔を上げてもばんはいない。綱をつかみ、引っ張られるパントマイムでばんの方へ。
松元「おはようございます」
ばん「一体何やってんだ、お前は。いいか、今日は君が石倉君を引っ張らなければいけない」
松元「わかっています」
ばん「今日のCMだが、新しいウィスキーだ。ホワイトとブラックの中間を狙って“グレイ”」
松元「いいネーミングですね」
ばん「石倉君が店に入ってくる。そこへ松元、お前が石倉君にグラスを渡す。石倉君はぐいっと飲んでひとこと、『今、お酒はグレイ』と決める。よし、やってみるぞ」
 ムードたっぷりの音楽が流れ、石倉が店に入ってくる。松元、すたすたと立ち寄り、グラスを渡して立ち去っていく。石倉、緊張しながら棒読みで「今、お酒はグレイ」
ばん「カット、カット。今の見なかったことにして。松元、何やってんだ(と頭を叩く)。そんな素っ気なく渡したら、石倉君だって演技できないだろう。何のためにお前を呼んだと思うんだ。お前が引っ張らなくちゃ駄目だろう」
松元「私、演技してもいいんですか」
ばん「当たり前だ。いいか、お前よく新宿行くだろう。そのときの飲み屋の雰囲気でいいんだ。わかったか。ここまでいえばわかるだろう。よし、もう一度、スタート」
 ムードたっぷりの音楽が流れ、石倉が店に入ってくる。松元、オカマの演技でイヤらしくグラスを渡し、体をなで回す。石倉、思わず「今、おかまはグレイ」
ばん「カット、カット、カット。松元、何やってんだ(と頭を叩く)」
松元「新宿2丁目風に。歌舞伎町で」
ばん「そんな余計なことをしなくていいんだ。もっと普通に行け、普通に。石倉君もアドリブを入れていいんだ。松元がちゃんと拾ってくれる。よし、もう一回」
 ムードたっぷりの音楽が流れ、石倉が店に入ってくる。石倉、テーブルにもたれかかる演技を見せる。松元、棒を持って盆にのったグラスを渡そうとして、ばんに叩かれる。
ばん「お前、お座敷バーじゃないんだから。イメージに合わないだろう。いいか、石倉君が今、いい演技をしてくれた。こうやってもたれかかって。そう、ここはバーなんだ。そういえばわかるだろう」
松元「西部劇みたいな感じですね。わかりました。まかせてください」
ばん「よし、もう一度、スタート」
 ムードたっぷりの音楽が流れ、石倉が店に入ってくる。石倉、テーブルにもたれかかり、指を鳴らす。
ばん「いいよ、いいよ。雰囲気出ている」
 松元、ウィスキーの入ったグラスをカウンターに滑らすが、石倉取り損なう。松元、もう一度グラスを滑らすが、グラスは途中で止まり、カウンターにウィスキーがこぼれる。松元、カウンターに行き、こぼれたウィスキーをふきんで拭いて、グラスに絞り、そのグラスを石倉に渡す。石倉、グラスを飲み干して「今、お酒はグレイ」
ばん「カット、カット、カット。そんな汚いお酒が飲めるか。松元、お前演技が細かすぎる。なんだ、これは。CMがおわっちまうだろうが。どうも音楽がのれないのかな。よし、もっと明るい曲にしよう。石倉君がさっと入ってくる。そして松元、お前がパッとグラスを渡す。いいな、わかったか」
 松元、カウンターをくぐろうとして、ばんに頭を叩かれる。
ばん「松元、そんな細かい演技するんじゃない。よし、音楽、スタート」
 今までと違うアップテンポの曲が流れ、石倉、軽快に入ってくる。テーブルにもたれかかり、指を鳴らす。松元、カウンターをくぐり、盆を手に持って出てくる。
 松元、盆を持って手を回す。さらに反対の手の指に持ち替えクルクル回す。石倉、竹籤を持ち出して盆を受け取り、回し始める。
ばん「いつもより、余計に回しております。……って、何をやっているんだよ、お前ら。いつから浅草演芸場になったんだ、ここは。もっと、明るくやれないかな。映画のように」
石倉「わかった。映画のコットンクラブのようにやればいいんだ」
ばん「なんなんだ、いちいち手を叩かなければならないんだ。そう、コットンクラブのようにやればいいんだ。石倉君、もっと大きな演技をするんだ。よし、もう一度、スタート」
 アップテンポな曲が流れ、石倉、軽快な動きを見せながら店に入ってきて指を鳴らす。松元、盆を持ってカウンターをくぐり、二人並ぶ。
 音楽が変わり、二人で軽快にタップを始める。ばん「よし、よし、いいぞ、いいぞ」。途中からばんも参加、三人でタップを披露。音楽が終わったところでばん、松元の盆からグラスを奪い取り、「今、お酒はグレイ」
ばん「いいね、いいね、決まったよ。今のでいいんだ。よし、このCM、俺がやる。お前らは首」
二人「いいかげんにしろ」
(五周年記念特別企画 傑作・名作特集パート2 No.258 1985年4月20日放送)

ギタリスト:ばんきんや
ギタリストの息子でドラマー:石倉チョッキ
ギタリストの友人で、ベーシスト:松元ヒロ

 ギターを持ったばんと、ドラムのスティックを持った石倉が登場。
ばん「オーケー、行ってみようぜ」
石倉「ワンツースリーフォー」
 『ブルーシャトー』のイントロを演奏。
ばん「森と~泉に~」
石倉「(ドラムを叩くのをやめて、スティックを投げつけ)辞めた!」
ばん「やめた~、どうしたんだよ、直樹」
石倉「おとうちゃん、あのさ~、とうちゃんのやる曲、何でグループサウンズばっかりなんだよ」
ばん「いいじゃねえかよ、明るくて、単純で、さわやかでさ、青春そのものだよ」
石倉「そういうのをね、時代錯誤って言うんだよ」
ばん「えっ!(とギターを鳴らす)」
石倉「なんだよ、それ」
ばん「感情を音で表してみたんだよ」
石倉「父ちゃん!」
ばん「なんだよ」
石倉「サウンドってのはね、感情とかそういう問題じゃない。フィーリングの問題なんだよ」
ばん「えっ!(とまたギターを鳴らす)知らなかった」
石倉「嘘つけ、まったく」
ばん「なんなんだよ、うるさいな」
石倉「そうやってやってきたじゃないか。あっ、わかった。父ちゃん、そこまで大ボケするんだな」
ばん「大ボケ?」
石倉「わかったよ。俺は父ちゃんなんて勘当してやる」
ばん「ちょっと待てよ、おい(と引き留める)。子どもが親を勘当するなんて話、どこにあるんだよ」
石倉「とにかくね、父ちゃんが新しい曲をやるまでは、俺は家に帰ってこないからな」
ばん「(ギターを弾きながら)I just called to say I love you~(スティービーワンダー『心の愛』)」
石倉「(ムーンウォークで戻りながら)父ちゃん、ただいま」
ばん「おかえり」
石倉「父ちゃん、新しい曲じゃないかよ」
ばん「何言ってんだよ、こういうのなんかもう古いんだよ。父ちゃんの頭の中にはさ、もっとニューサウンズがクリエイティブされているんだよ」
石倉「新しい曲の構想があるわけ?」
ばん「そうだよ、これで成功すれば、必ずビッグになれるよ」
石倉「ほんとかよ」
ばん「もちろんだとも。しかもな、その発表の場としてコンサート会場まで手配してあるんだよ」
石倉「本当にやるの?」
ばん「そうだよ」
石倉「どこでやるの?」
ばん「武道館だよ」
石倉「武道館!(ばん、ギターを弾き、石倉、左右に踊りながらポーズを決めて)センキュー!」
ばん「なんちゅうリアクションしてんだよ、お前は」
石倉「これぐらいやんないと武道館出られない気がして」
ばん「何言ってんだよ。ただ武道館ぐらいでかいと、二人だけではちょっと寂しいだろ」
石倉「寂しい」
ばん「それでな、父ちゃんの昔の仲間で、ベースがすげえうまいやつがいるんだよ。そいつに話を持ち掛けたら、やるって言ってきたんだよ。実は、もう来る時間なんだよ!」
松元「リーダー~~!」
ばん「来た!」
松元「(ベースを弾きながら登場。石倉の方を見て)リーダー! お久しぶりです。しばらく見ない間に、ずいぶん若返りましたね~。」
石倉「(当惑しながら)父ちゃん」
ばん「松元、相変わらずのノリだねえ」
松元「(ベースを弾きながら)ハハハハハ(石倉、ずっこける)いやあ、どうもリーダー、お久しぶりです」
ばん「久しぶりだねえ」
松元「そうしますと、こちらは?」
ばん「ドラム担当、息子の直樹だよ」
松元「ははあ、ドラ息子(石倉、ずっこける)」
ばん「お前、一言多いんだよ」
松元「いやあ、あの鼻水垂らしていた直樹君。大きくなったねえ」
ばん「直樹、紹介してやるよ。こちらがベースの松元君だよ」
松元「(ばん、ギターを弾き、松元が踊りながら手を差し出して)坊ちゃん、一緒に頑張りましょう」
石倉「父ちゃん、何なの、この人」
ばん「相変わらずひょうきんだな。久しぶりだし、ちょっと音合わせやってみようか」
松元「いいですねえ」
ばん「直樹、悪いがエイトビート叩いてくれよ」
石倉「オーケー(とドラムを叩き始める)」
ばん「昔よくやった、ブルージーンズの動きとリズムよ、ちょっとやってみようぜ」
松元「オーケー」
ばん「ワンツースリーフォー」
 三人で弾きながら首を左右に動かして、終わり。
ばん「ま、これだけのことだけどな。(石倉、慌てて駆け寄るが)もう1個あったじゃないか」
 エルビス・プレスリー、というより小坂一也『ハートブレイク・ホテル』を弾きながら
ばん「恋に破れた、若者たちが、(松元が猿の真似をして)お猿の駕籠屋が、ほいさっさ。これも最高だったな、昔は(多分昔のコミックバンドで一世を風靡したネタ)」
石倉「父ちゃん!」
ばん「ん?」
石倉「武道館でコミックバンドやんのかよ!」
ばん「え?」
石倉「やっぱり俺やめるわ(と去ろうとする)」
ばん「(引き留めながら)ちょっと、おい、待て。軽い冗談やっただけだろ。な、松元(と松元の方を振り向くと、まだ猿の真似をしている)。いつまでやってんだよ、お前は」
松元「えへへへ」
ばん「とにかくね、これからやろうとしている音楽はな、コミックバンドじゃなくて、シリアスなやつなんだよ」
松元「えっ、尻出すんですか(とお尻を向ける)」
石倉「おじさん! 武道館でお尻出して、猿回しやってどうするんですか!」
松元「おかしいよね、それ」
石倉「おかしいに決まってるじゃないですか」
 二人が話している間に、後ろからばんがポスターを取り出す。
ばん「なに力んでいるんだよ、からかわれているだけじゃないか。(たたんであるポスターを見せながら)見ろよ、おら。ポスターまで刷り上がっているんだよ」
石倉「(ポスターを開く)NEW SOUND 武道館。ほんとなんだね」
松元「いいですねえ」
ばん「えへへへ」
石倉「父ちゃんが考えている新しいサウンドの感じ、教えてよ」
ばん「まあ、一言でいえば、ジャズのフィーリングをぐっと新しくしたものだな。俺の構想だとな、直樹、まずはお前のドラムソロから入っていくんだよ」
石倉「いいね」
ばん「まあいいから、ちょっとやってみろや」
 石倉、ドラムソロを披露。
ばん「拍手も何もないじゃないかよ」
 客席から拍手。
ばん「バタバタねえ、うるせえんだよ、まったく」
石倉「はぁ?」
ばん「一発でいいんだよ」
石倉「いっぱつ?」
ばん「そう、一発にかける情念。その方がよっぽど大事なんだから」
石倉「ハエこうやって叩いてんじゃないんだからさ」
ばん「違うんだよ。父ちゃんがここで一発欲しいなあってところで、パンと入ってくる。指先を見て、感じ取るんだよ」
石倉「はい」
ばん「松元、ちょっと持っててくれよ(とギターを渡す)。こいつわかんないみたいだからさ」
松元「はいはい」
ばん「よく見てろよ。(指さしてポーズ)」
石倉「(ドラムを一発叩く)」
ばん「いいねえ。そういう感じでいいわけだよな。(いきなり指を天指す)」
石倉「(ドラムを一発叩く)」
ばん「今日は自分調子いいじゃないか(次々と指をさし、そのたびにドラムが叩かれる。挙句の果てにドラムに合わせて腰を振り回してポーズ)」
石倉「ははは(と近寄る)」
ばん「さすが俺のせがれだな。(石倉の頭を叩きながら)のせるなよ、まったく。キャバレーのフロアショーやってんじゃないだよ。しかし、最後の一発よかったよ」
石倉「(ドラムを一発叩く)」
ばん「そう、それでいいんだよ。(手を叩きながら振り返り)松元、待たせたな。いよいよベース音だよ、お前の出番だ」
松元「オーライ」
ばん「十五年間の、下積みの思い。全部ベースにぶつけるんだよ。(松元弾こうとするが)だからそう簡単には音を出せないわけなんだよ(松元、思わずばんの顔を見る)」
松元「はい?」
ばん「後でやってくれよ、お前なら大丈夫だからさ、な。直樹、いよいよボーカルだ、お前。NEW SOUND、やってみろよ」
石倉「オーケー。(郷ひろみの真似をしながら)出会いは、億千万の、胸騒ぎ。聖子ちゃんなんか、嫌いだ」
ばん「何やってんだ、お前は。ばかだねえ、ジャズだって言っただろ、お前は。松元、悪いな。ジャズのフィーリングってやつ、教えてやってくれないかな」
松元「(ベースを弾き出す)」
ばん「(指を鳴らしながら)ほら聞こえてきた、こういう感じだよ。イエーイ。よし、そういう感じだよ、お前」
石倉「今俺、何もやってないよ」
ばん「いいんだよ、だからお前、イエーイって言えばいいんだよ。できてきたんじゃないかよ。ようし、頭から通してやろうぜ。いくぜ、まずはドラムだ、ワオ!」
石倉「(ドラムを叩き始める)」
ばん「イヤーオ」
松元「(ベースが入ってくる)」
ばん「Oh yeah,we go, we go、ベース!」
松元「(ベースを弾く)」
ばん「十五年分だぞ」
松元「(ベースを弾く)」
ばん「みじめになってきた」
松元「(ベースを弾きながら顔が猿になる)」
ばん「どうしてモンキーになる」
ばん「(歌い出す)お馴染みの~ (ここから民謡の感じで歌い出すのだが、曲名がわからない)」
ばん「いやあ、いいノリしてんな、本当に。おい、松元」
松元「はい」
ばん「これで武道館、満杯になるよ」
松元「まちがいないですね」
ばん「なあ」
石倉「(二人の頭を叩きながら)なるわけないだろ」
 ばん、松元がギターとベースを弾きながら、チャンチャン。
第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Eブロック 93点〇 No.266 1985年6月15日放送)

大学教授:ばんきんや
大学教授の息子で俳優:石倉チョッキ
対談番組の司会者:松元ヒロ

 松元が司会の対談番組。仲のよい親子が互いのよいところを話し合う。ところが二人は犬猿の仲。父親は俳優、しかもポルノ映画の俳優として脚光を浴びた息子をバカにし、息子は父が著書を出したからテレビに出たがっていると非難する。
 番組中は仲のよい親子を演じているが、CMに入ると本性を現し、喧嘩しまくり。本番の声で急に仲がよくなり、CMの声で喧嘩をするの繰り返し。
 そのうち、松元がCM、本番、CM、本番、と短いスパンで言い出し、訳が分からなくなる。
(後期の特番)
 バンドネタで、ジャンル別ベストヒットを紹介。
 ロックンロール部門はチャック・ベリーの名曲「Johnny B. Goode」。ヒロが歌う。しかし歌ったのは「ジョニーからの伝言」。
 アニメソング部門は「科学戦隊ダイナマン」。きんやが歌う。ワンフレーズ歌った後、一緒に歌おうと客席にマイクを向けるが、誰も歌わない。
 ビデオ部門は「We Are The World」。きんやが歌いながら、チョッキがマイケル・ジャクソン、ヒロがスティービー・ワンダーの真似。続いてチョッキが関係ない猪木や郷ひろみなどの真似をして、きんやに叩かれる。
 懐かしのGS部門は「ブルー・シャトウ」。サビを歌った後、チョッキがフルート。音が出たので客席拍手。ところが途中から曲が「キャンディ・キャンディ」に変わる。
 ラブソング部門「ラブ・イズ・オーバー、酒と泪と男と女、ジュリアに傷心」。前半の2曲では、ヒロがお馴染みのパントマイムでラブシーンを演じる。最後はチョッキの歌で盛り上がる。
第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ決勝 91点3位 No.294 1986年1月18日放送)

 ギターを持ってばんが登場。
ばん「やー困ったな。コンサートが明日だというのに、うちのメインボーカルの石倉が、リハーサル中に大けが。挙句の果てに入院。うーん、うちのバンドは、あいつの派手なアクションとボーカルでもっていたといっても過言ではないからな。それにしてもこんな緊急事態に、メンバーの松元はどこ行っているんだ、まったく。おーい、松元、松元!」
松元「リーダー!」
ばん「松元!」
松元「リーダー!」
 松元、舞台袖から登場。転げていきなり泣き出す。
ばん「ガキじゃあるまいし泣くなよ、まったく」
松元「ハハハハハハ」
ばん「笑うなよ、気持ち悪いな、本当に。何て性格してるんだ、本当に。いいか」
松元「はい」
ばん「せっかくのビッグチャンスがやってきたというのに、俺たちの眼前に、大きな壁が立ちはだかっているのが、お前にはわかんないのかよ」
松元「壁?(壁のパントマイムを始める)ホントだ!」
ばん「ご丁寧な野郎だな、本当に。何もそこまでしなくたっていいだろう。いいか、この事態をどうするんだよ」
松元「安心してくださいよ。実はですね、石倉の代わりを探してきましたよ」
ばん「何言ってんだよ。石倉ほど、ぼけて歌えるタレントなんて、そうはいないんだよ」
松元「それがですね、派手なアクションが得意で、顔が石倉にそっくりなんですよ」
ばん「まさか、お前~」
松元「呼んでみましょうか。石山くーん」
石倉「はーい」
 石倉、登場。
ばん「おお、石倉!」
松元「石山です」
ばん「石山?」
 石倉、パントマイムで扉を開け、開き戸を開き、さらにシャッターを開いて中に入る。
石倉「明けましておめでとうございます」
ばん「なんなんだよ、こいつは」
松元「ただ今、シャッターをやったんですけれどね」
ばん「そんなの全然聞いていないよ、馬鹿野郎」
松元「それだけね、アクションを大事にするやつなんですよ」
ばん「そうかそうか」
松元「実は僕の大学時代の後輩でしてね、今は歌にアクションに全国回って活躍しているんですよ」
ばん「全国」
松元「はい」
ばん「しかしお前が呼んできたんだろう。大したことないんだろ?」
松元「石山君、ちょっと動き見せてくれるかな」
 石倉、側転、でんぐり返し、ガッツポーズを見せる。
ばん「おお!」
松元「拍手がないですけれどね」
 会場、ようやく拍手。
ばん「お前な、すごいの連れてきたじゃないかよ。じゃあ、さっそく練習行こう」
石倉「どんなアクションがいいですか?」
ばん「どんなアクションもなにもねえ、君が主役なんだから。いわばヒーローだよ。それに見合う動きをしてくれればいいよ」
石倉「ヒーローの動き」
ばん「そうだよ、わかるね」
石倉「わかりました」
ばん「早速行くよ」
松元「オーケー(とベースを構える)」
ばん「ワンツースリー」
 音楽が流れ、石倉、アクションポーズ。
石倉「仮面ライダー、変身!」
 ばんと松元、演奏を止めて固まる。
ばん「(松元を呼び出し)なんなんだよ」
松元「仮面ライダーでございます」
ばん「なるほどね、ってそんなこと聞いてないよ。(ここでカットがあったかな、つなぎが不自然)ばっと出てきた瞬間に、お客さんがハッとするような、ドキッとするような、驚くような、驚くような」
石倉「はい(と、挙手をする)。はいはい、まかしてください」
松元「得意でしょ」
ばん「おいおいおい、ちょっと待て、ちょっと待て。ベースの音が出てなかったようだけど、どうしたんだよ」
松元「(ベースを弾くが)出ないんですよねえ」
ばん「出ないんですねえ、じゃないだろ」
松元「あの、これは電気を使ってますんでね。電気がどっかで(と探し回る)」
ばん「おいおい、ちょっと待て。(アンプの後ろをのぞき込む)これ、ランプがついてないぞ。おい、コード入ってないじゃないかよ。(コードを入れて、スイッチ入れて)これでOKだよ(本当にアクシデントだった)」
松元「(ベースを鳴らすと音が出る)おー(観客拍手)」
松元「僕長くやってますけど、音が出て拍手来たのはじめてです」
ばん「始まってまだ少ししかたってないのに、汗だらだらじゃないかよ。大丈夫かよ」
松元「すみません」
石倉「あのー、すみません。話どこまで行きましたっけ?」
ばん「大丈夫だよ、ワイルドな動きだ」
石倉「(思わず手を叩き)ワイルド。まかしてください」
ばん「登場の時、お客さんがハッと驚くような、そういう動きだよ。わかるね」
松元「得意だよね」
石倉「大丈夫です」
ばん「大丈夫だな」
松元「もう大丈夫です」
ばん「行くぞ、ワンツースリー」
 バンと松元、演奏を始める。後ろ向きの石倉、前を向くと雄たけびを上げ、マイクを外す。
石倉「うわー。怪獣いたこのすけじゃ。我々はこの会場を完全に包囲した。あー」
ばん「止めてあげろよ、止めてあげろよ」
松元「戦闘員、整列しました」
二人「イー」
ばん「いいわけないだろ、馬鹿野郎、本当に。何考えてるんだよ」
石倉「怪獣……」
ばん「怪獣ショーやってどうするんだよ。なあ、松元」
松元「イー」
ばん「それやめろって言ってんだろう。違うの。お前大体ね、ドンテンドンテンドンテンって怪奇音で盛り上げてたじゃないか」
松元「わかりましたか?」
ばん「聞いてたよ、俺は、馬鹿野郎。違うんだよ。俺たちはロックバンドなんだよ」
石倉「はい」
ばん「ロックバンドが始まって、いきなり怪獣が出てきたら客席はどうなっちゃんうだよ」
松元「笑いますね」
ばん「笑わせてどうするんだよ。いいか、これはチャンスなんだよ。明日のコンサートに成功してみろ」
石倉「はい」
ばん「君はたちまちビッグスターだよ」
石倉「ビッグスター」
ばん「心を落ち着けて、想像してごらん。君はたちまち人気者になって、例えば街を歩いていると、は、いつものテレビに出ているあの人じゃないか。たちまち発見されて、君はギャルに囲まれてしまうんだよ」
松元「(女声で)サインして、サインして」
石倉「(パントマイムをしながら)いやいやいや、ちょっと待って、ちょっと待って」
松元「(女声で)次は私よ、次は私よ」
石倉「(あちらこちらから引っ張られるパントマイムをしながら)ちょっと待って、ちょっと待って。(ついには髪の毛を引っ張られながら)痛い痛い痛い」
ばん「ちょっと待て、ちょっと待て」
松元「(女声で)いや、そこ痛いの、やめて、そこじゃなくて、いやそこ(と近づいて来たばんの顔をなでる。そこで正気になり、元に戻る)」
ばん「そうやってな、貴重な持ち時間を無駄に使って、馬鹿野郎。(石倉の方に向かって)わかるだろう。」
石倉「はい」
ばん「そういう感じだよ。つまりさ、派手なアクション、決まったポーズ、具体的にいえば、そう、田原だよ、田原」
松元「いいな、僕もそう思ってたんですよ」
ばん「そうだろ」
松元「こんばんは、俵幸太郎です」
ばん「馬鹿野郎。違うんだよ、トシちゃんだよ、トシちゃん」
松元「伊豆のや~ま~」
ばん「(松元の口を封じる)近江俊郎さんやってどうするんだよ。ほら、本人照れてるんじゃないかよ(審査員席にいた)。違うんだよ、トシだよ、トシ」
松元「わかってますよ~(年寄りの真似をする)」
ばん「それは年だろ、本当に」
松元「(腕組みをして考える)」
ばん「悩む問題じゃないよ」
石倉「わかった(といきなり踊りだす。マイクを取って)こんばんは、田原俊彦です(と物真似)」
ばん「いいよ、いいよ」
石倉「(物真似で)みんなね、トシのこと、馬鹿だ馬鹿だ言うけれどね、本当はね、馬鹿なんだよ」
ばん「(石倉を突き飛ばし)何言ってんだよ。そんなことやれって言ってないだろう。君ものりやすい体質だねえ、本当に。そういいかい、君、ブレイクダンスできないかい? ブレイクダンス、そう君が一番最初に見せてくれたアクロバチックな動き」
石倉「アクロバチック」
ばん「それから今の田原な感じで。これをミックスすれば、君のオリジナルなものができるよ」
石倉「やってみます」
ばん「大丈夫だよ、思い切ってやってみようぜ」
石倉「はい」
ばん「行くぞ。ワンツースリー」
 『サーフィンUSA』を演奏し、石倉がジャンプして踊る。前方回転やとんぼ返りなどを披露。さらに階段の上に上るが、いきなり変な動きになる。
石倉「鉄人28号、飛ぶぞー」
ばん「お前がどっか飛んでいけ」
 ばんが石倉を蹴ると、石倉、舞台袖まで飛んでいき消えてしまう。そしてガラスの割れる音。
松元「また怪我ですね」
ばん「どうするんだよ、松元。明日のコンサート」
松元「安心してくださいよ。そう思ってね、石倉にそっくりな奴をもう一人連れてきてるんですよ」
ばん「本当かよ」
松元「石川くーん」
石倉「はーい」
 服装が変わった石倉が登場。
松元「ほら、そっくりでしょ」
ばん「そんなにいるわけないだろ」
 最後、(ちゃんちゃん)ギターを鳴らして終わるが、この音が小さい。

 点数を入れるとき、中尾ミエが「ちょっと機械のトラブルがありましたが、そこは考慮してください」とあった。また山田「リーダー(ばん)、熱が出てるのにやってるんですよね」中尾「40℃、熱があるんですって、まあ可哀そうに」というやり取りもあった。
(サバイバルスペシャル No.295 1986年1月25日放送)

松元「はい、皆様、有難うございます。ただいまからザ・トップベストテンのリハーサルいきます。照明さん、聞こえますか。聞こえますね。ただいまからばんディレクターをお呼びします。みんな、粗相のないように。ばんディレクター!」
ばん「はい、おはよう」
松元「はい、おはよう」
ばん「最近、視聴率が落ちている」
松元「落ちている」
ばん「今日は気合入れてやるように」
松元「やるように」
ばん「お前だよ」
松元「(誰かを指さしながら)お前だよ」
ばん「お前だよ」
松元「お前だよ」
ばん「(松元のほうを見ながら)お前だよ」
松元「(しつこく正面の誰かを指さしながら)お前だよ」
ばん「松元」
松元「は、私?」
ばん「お前が一番へまが多いじゃないか」
松元「(頭を下げながら)はい」
ばん「今日は気合を入れてしっかりやれよ」
松元「今日は気合い入れてやります、はいはい」
ばん「ところでね、今日から番組に活を入れるため、司会者を若々しいのにチェンジした。(松元、ばんの言葉をジェスチャーで示す)新人だからみんなで盛り立ててあげるように。じゃあ早速、リハー(松元、肩を挙げるジェスチャー)サルに(松元、サルのまね)に行く前に、えー、非常口はあちらとこちら、救命胴衣は口にくわえて空気でふくらまします(松本、当然ジェスチャーで示す)。それでは皆さん、良い空の旅を(二人で飛行機のジェスチャー)……って何を考えているんだ!」
松元「照明さんにも聞こえるように」
ばん「おれもついのっちゃったじゃないか。じゃあリハーサルを始めるから、司会者、呼んで来い」
松元「おーい、司会の石倉君(と呼びに行く)」
石倉「はーい(と、舞台袖から登場)。おはようございます。おはようございます。おはようございます(と三方に挨拶)。石倉チョッキと申します。気安くチョッ君と呼んでください」
松元「それでは、呼んでみましょう。さん、はい」
ばん「(しゃがみこみながら)チョッくーん」
ばんだけ大声を上げるが、他はだれも声を出さない。松元、とぼける。
石倉「ありがとうございました」
ばん「松元、ちょっと来い」
松元「はい」
ばん「恥かかすんじゃない、ばかやろー(とどつく)。さっさとマイクを持ってこい」
松元、舞台袖にはける。
ばん「それでは頭のセリフのところをやってもらおう」
石倉「頭のセリフ、ハイ」
松元、スタンドマイクを持ってくる。
ばん「それではよーい、キュー」
石倉「歌は思い出を呼び、明日への希望へとつなげます。1週間のご無沙汰でした。司会の石倉チョッキです」
ばん「(思わず両手で目を覆う)ちょっと、誰がロッテ歌のアルバムやれって言ったよ」
石倉「さっき松元さんがこれに変えろって」
ばん「松元が?」
松元「まあ、司会の原点に返って」
ばん「(松元をたたきながら)やかましいわ。お前の番組じゃないよ。私が書いたハローエブリバディって台本にあったでしょ。あれでいいんだ、あれで」
松元「あれでいいんだ、あれで」
ばん「よーい、キュー」
石倉「ハローエブリバディ。今最も熱い番組、トップベストテン!」
ばん「オーケー、セリフはそれでいい。君はアクション司会だからね、ブレイクダンスを踊りながら出てくる。わかるね」
松元「いいね、ブレイクダンス、チャカチャン、チャカチャン(と妙な踊りを見せる)」
ばん「わけわかんないことするんじゃないよ。フロアだって汚れてるじゃないか、掃除しとけよ」
松元「はいはい(と、袖にはける)」
ばん「ごめんなさいね、それでいきましょう。それでは、よーい、キュー」
石倉「(ばんの手拍子に合わせてブレイクダンスを踊る)ハローエブリバディ」
ここで松元、モップを持ち、バケツを転がしながら横切る。途中でバケツを蹴っ飛ばす。
ばん「うるさいな」
石倉「今、最もうるさい番組、トップベストテン……」
転がってきたバケツをばんが足で止める。
ばん「見てたよ、今。自分で蹴っ飛ばしたろう」
松元「すみません」
ばん「静かにしろよ、まったく。君、今うるさい番組とか言わなかったか」
石倉「言ってません」
ばん「頼むよ、本当に。(松元、バケツを持って前を通り過ぎる)前、通るんじゃない(と松元をたたく)。汚れてるじゃないか、ちゃんとふけ」
松元「はいはい」
ばん「よーい、キュー」
石倉「(ばんの手拍子に合わせてブレイクダンスを踊る)ハローエブリバディ」
松元、マイクを倒しながらタオルでふく。倒れるマイクに合わせて動きながらセリフを言う石倉。松元、右に倒したり左に倒したり、上に上げたりしながらマイクをふく。そのたびに石倉は動いたりジャンプをしたりしながらマイクに飛びつく。最後は松元が完全に倒したマイクに合わせ、寝転がりながらセリフを言い終える。
石倉「トップベストテン」
松元「疲れるでしょ」
ばん「何、世間話してんだよ。石倉君、今の動き良かったね」
石倉「は?」
ばん「ブレイクダンスなんて、古いからやめよう。向こうからね、飛び込み前転しながら出てくる。松元、お前はマイクを放るんだ。そしてそれを受け取ってしゃべる」
松元「はあはあ」
ばん「変更しますからね」
松元「変更、変更」
ばん「それじゃいくよ」
石倉「はい(と舞台袖に隠れる)」
ばん「それでは、よーい、キュー」
石倉、ジャンプしながら飛び込み前転を格好よく決める。そこへ松元、マイクスタンドごと投げようとする。
石倉「わあー(と倒れ込んで逃げる)」
ばん「(松元をたたきながら)プロレスでもやるつもりか。(スタンドからマイクを取りながら)これを放るんだ、これを」
松元「はあ、これ取れたんだな」
ばん「大ボケだな、お前。しっかりやれよ。石倉君、君は良かったよ。できればもうひとひねりして、派手目にしようか」
石倉「はい」
ばん「がんばってね。それではよーい、キュー」
石倉、横っ飛びで回ってセンターに立ち、マイクをもらうポーズ。松元、マイクを投げつけ、石倉の頭に直撃。石倉、倒れ込んで悶絶。予想外にいい音がしたのか、ばんも苦笑い。
ばん「大丈夫か、石倉君。(後頭部をさすりながら)おお、絶壁になってる」
石倉「元からですよ、それは」
松元「(マイクを拾い)テステス、ウー、シャンシャンシャン(と歌い出す)」
ばん「何やってんだよ。ちゃんと間合いを図って、すれ違いざまに抛るとか、少しは自分で考えろよ」
松元「すみません」
ばん「石倉君、君は良かったよ。できればもうひとひねり加えて、もっと派手目にしようか」
石倉「(少し苦笑いしながら)はい」
ばん「頼むよ、石倉君。それではよーい、キュー」
石倉、横回転、後方回転を決める。そこに松元がマイクを放り、きれいに受け取る。松元もマイクを投げた後、前方へ綺麗にでんぐり返し。
石倉「ハローエブリバディ。(松元、石倉の後ろで踊る)今最も熱い番組、トップベストテン!(と二人で決めポーズ)」
ばん「(松元を突き飛ばしながら)なんでお前が出てくるんだよ。しっかりしろよ」
松元「すみません」
ばん「松元、お前がうまくやんないと、このコント自体終わんないんだよ」
松元「はい」
ばん「石倉君、君は良かったよ。できればもうふたひねり加えて、もっと派手目にしようか」
石倉「(疲れた表情で苦笑いしながら)はい」
松元「お願いします」
ばん「しっかりやれよ。それでは行きます、よーいキュー」
石倉、横回転、後方回転、後方回転を決める。そこに松元がマイクを放り、きれいに受け取る。松元もマイクを投げた後、前方へ綺麗にでんぐり返し。
石倉「ハローエブリバディ。今最も熱い番組、トップベストテン!」
石倉、セリフを言い終わった後、疲れたように後ろへ倒れ込む。
ばん「(手を叩きながら)いやあ、よかったね。それじゃあ曲紹介、全部アクションを付けながら行こうか」
松元「いいですねえ」
ばん「さっそく行ってみようか」
二人「第50位から」
石倉「できるわけないだろ」
エピソード
 最初の頃は、審査員に古い、遊びがないなどとさんざんな言われようでした。後期の活躍ぶりを見ると、信じられないでしょうが、本当に動きは堅いし、笑いは少なかったです。オープントーナメントサバイバルシリーズになると、上位入賞の常連。常に笑えました。
 登場初期は「笑・パーティー」と明記されていた。名前は笑パーティー初期の頃、マネジャー役に回った杉浦さんが発案し、メンバーのチョッキがデザイン化したものです。彼は桑沢デザインを優秀な成績で卒業してまして、いわゆる「ポップ」と呼ばれるデザインはごきげんでした。
 当初は「・」がはいってましたが、テレビ局のほうで入れたり入れなかったりで、次第に当人たちも、気にしなくなりいつしか無くなっていったものと思われます。
 所属するドゥー企画の社長であった杉浦正士(ダ・カーポの初代マネージャー)が構成や演出を担当していた。ドゥー企画は後にトリックスターと名を変え、ザ・ニュースペーパーが所属する。
 第4回オープントーナメントサバイバルシリーズで見事優勝。舞台の裏で感極まって泣いたら、京唄子に「なんで舞台で泣かんかったの!」と言われた、とか。松元ヒロは、TVの世界は凄いなあ、プロの道は厳しいと思った、とのこと。
 NHK演芸大賞をキャラバンと並んで優秀賞。パントマイムの壁のギャグを良くやっていました。NHK新人演芸コンクールでは、ゴムひもを使ってスキーとかチャンバラを演じたコントで賞を取りました。
感 想
 初期の頃は、確かに達者でしたが、笑いが上手く取れなかったことを覚えています。オープントーナメントサバイバルでは上位の常連でしたが、この頃は面白かったです。
受賞歴
 1986年 第1回NHK新人演芸コンクール<演芸部門>優秀賞受賞
レコード
「雨の丸の内」(1987.10)。テレビ東京の歌番組にも出演。
 シルビア「そして、いい女」(1987)のB面「昔の恋は木曜日」は"笑パーティー"とのデュエット(ジャケに小さく「デュエット:笑パーティー」と表記。しかしジャケ写のどこにも"笑パーティー"の姿はない)
著 書
松元ヒロ・佐高信『安倍政権を笑い倒す』(角川新書,2015)
松元ヒロ・武田美穂『憲法くん』(講談社,2016)
その後・現在
 1988年、昭和天皇重病による「歌舞音曲自肅」の嵐の中、仕事がなくなったため、同じ境遇のキャラバンを解散した松崎菊也、渡部又兵衛、ジョージボーイズの計8人で社会派コント集団ザ・ニュースペーパーを結成。
 ばんきんやは1990年に退団、ソロとなり、コミックバンドを中心に活動。その後、バンバンGを結成。メンバーを変えながらも、現在も活動中。
 ばんきんやさん個人のホームページはこちらです。
 ばんきんやさん所属オフィス・バンのホームページはこちらです。
 ばんきんやさんは、JR目黒駅東口から歩いて1分位のところで、『ライブハウス バンバンG』を経営。残念ながら2009年11月に閉店となりました。
 ばんきんやのブログがあります。ツーリングの記事が中心です。
 松元ヒロは1998年11月に退団してソロとなり、舞台、ラジオ、公演等で活躍中。歴代首相の物まねを入れた政治風刺や社会問題を要り交ぜたネタとパントマイムで、ライブで根強い支持を集めている。「面白いけど、テレビに出せない」と評されてきた。
 2019年から1年間、松元ヒロを追った鹿児島テレビ放送(KTS)制作のドキュメンタリー『テレビで会えない芸人』が2020年5月30日に放送された。2020年9月17日、2020年日本民間放送連盟賞テレビエンターテインメント番組部門の最優秀賞を受賞した。12月16日、フジテレビ系列28局が参加する第29回FNSドキュメンタリー大賞の大賞に選ばれた。2021年4月30日、第58回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞を受賞した。
 追加撮影と再編集を加え映画化され、2022年1月29日から全国公開された。
 ヒロポンのインターネット大作戦は、松元ヒロさんを、勝手に応援する秘密集団「ヒロポンの会」のHP。松元ヒロさんご本人もメンバーに入っている公認サイトです。最新情報などが載っています。
 石倉チョッキは1998年頃に退団し、ソロとして活動。2001年あたりから「他言無用プロジェクト」と称して元キャラバンの松崎菊也、ザ・ニュースペーパーのすわ親治とともにライブ活動を定期的に開いている。また石倉チョッキ(直樹)はすわ親治と2002年夏、お笑い流し「浦安ナイトクラブ」を結成した。他言無用プロジェクトは2007年4月より、「はだかの王様」と改名。2012年4月終了。
 株式会社ブレーンのページで、石倉チョッキの「世相を斬るニュースな風刺画」を2013年から連載。
 笑パーティーの演出を担当していた杉浦正士は、1988に結成されたザ・ニュースペーパーが所属していたトリック・スターの社長を務めるとともに、プロデュースを担当。しかし2007年、ザ・ニュースペーパーと袂を分かつ(原因は杉浦の多角経営失敗?)。会社は倒産? 2008年1月より杉笑太郎と名前を変え、替え歌シンガーに転身。主に政治や時事ネタを扱い、ライブなどで活動。2008年5月~11月時には、元MLB通訳兼エージェントでトランスジェンダー後はギタリストとして活動していたコータとのデュオで話題になった。
 現在は(株)パフォーミング・アーツ青葉社長。ライブ活動の他に、スタジオ経営や高田馬場でパントマイム教室(杉浦は元ヨネヤマママコに師事)を開いている。
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名 前
笑ルーム
初出場
 1983年7月9日(第3期グランプリシリーズ)
実 績
 ストレートで9週勝ち抜き、金賞獲得。
 サバイバルシリーズ2回戦進出。
 1983年度最優秀新人賞受賞。
 第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第3回オープントーナメントサバイバルシリーズ準優勝。
 第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
 第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
ジャンル
 漫才。
プロフィール
 中浩二:本名中元浩二。1958年11月27日生。大阪府出身。出演当時は24歳。(禿げている方)
 神田雄介:本名神田民雄。1955年12月16日生。鹿児島県出身。
 雄介は1973年に音楽ショウの「ザ・パンチャーズ」に入門。その後「秋田みちお・たみお」、「秋田イチカ・バチカ」のコンビで活動後に1978年7月に正司歌江門下の歌正二と「大阪笑ルーム」を結成したが、翌年解散。前名:秋田たみお、秋田イチカ。
 その後、中浩二と大阪笑ルームを再結成。当初は吉本興業所属で、『ヤングおーおー』の文珍のビッグファイトのコーナーに、阪神巨人、小つぶ、きん枝とともにメンバーとして登場。「浩二」のフサフサのときの顔は映画『ガキ帝国』で確認できます。
 番組出演時はフリーに近い立場で番組と関わっていました。
ギャグ
 浩二がハゲだったので、ハゲネタが多かったです。
 浩二が足を開いた正座の姿勢で倒れ、そのまままた起き上がる。
 浩二が両手で耳を引っ張り「悪魔が来たりて笛を吹く」
ネ タ
(1週目合格 No.168 1983年7月9日放送)

雄介「みなさま、どうも。初めてですので、一生懸命やっていかなければあかんで」
浩二「よろしく~」
雄介「よろしくやあらへんがな。出てきたら人前で挨拶するのに、帽子ぐらい取れよ」
浩二「帽子取ったら笑いおるんよ」
雄介「なんでやねん」
浩二「(帽子を取って)禿げてんねん」
浩二「(客席が笑うのを見て)なんやの、あんたら」
雄介「あんたらそれは失礼やで、ちょっと」
浩二「私が禿げてるからって、あんたらに迷惑かけた?」
雄介「迷惑はかけてないだろう」
浩二「なんやねん、きょうびの若い子は」
雄介「お前も若いやろ。どうしたんや、その頭は」
浩二「これね、二年前の夏ね。海に泳ぎに行ってね。バーッと泳いでいたら、向こうから何来たか知ってる?」
雄介「何来たん?」
浩二「クラゲ」
雄介「クラゲが!」
浩二「クラゲが頭に引っ付いて離れないんよ」
雄介「ほんまかいな」
浩二「そっから髪の毛抜けましてね。去年の夏、海に行ったら、なんとそのクラゲがおったの」
雄介「嘘つけ。二年前のクラゲ、なんでわかんの」
浩二「髪の毛生えとったもん」
雄介「嘘をつけ(と頭を叩く)。そんな奴、女にもてないやろ」
浩二「家帰ったら女が待っとるわ」
雄介「誰の?」
浩二「親父の」
雄介「おかんやないか、それは。おかん、彼女にしてどうすんのよ」
浩二「それだけちゃいまっせ。うちのおかんと一緒にお風呂入んのよ」
雄介「年、なんぼや」
浩二「24です。(客席からエーの声)エーってなんやの」
雄介「24で君、おかんと風呂入んの?」
浩二「違うわ。俺、禿げとるやろ。親父と間違えて入ってきよんねん」
雄介「(頭を叩く)嘘をつけ」
浩二「お前はええわ」
雄介「何がや」
浩二「髪の毛のクッション、あるからな」
雄介「触るなや」
浩二「俺、クッションないねんよ」
雄介「頭を触るな。綺麗にセットしてるんや、お前と違うんや。触ったら大変なんや。(髪を整えながら)禿がうらやましいわ」
浩二「俺もしよ(と少ない髪の毛を整え始める)」
雄介「禿ができるか」
浩二「(薄い髪の毛を二本の角みたくして)カブトムシ」
雄介「見得はるなや」
浩二「見て見て見て、悪魔が来りて笛を吹く」
雄介「そんなもん、できるか」
浩二「(両耳を引っ張って、口をすぼめる)」
雄介「(頭を叩く)」
浩二「おおきに」
雄介「拍手しなさんなや」
浩二「簡単やの」
雄介「簡単やあらへんがな。だいたい君な、彼女おらへんのとちゃうか、ひょっとしたら」
浩二「あほ、おるわい。ジュン子という名前の女の子」
雄介「えらい可愛らしい名前やな」
浩二「身長が1m70あります」
雄介「高いやないか」
浩二「バストがね、89」
雄介「無茶苦茶グラマー」
浩二「ミニスカート滅茶苦茶似合うんだぞ」
雄介「どんな女や」
浩二「オカマや」
雄介「待て、お前。そんなのと付き合うなや」
浩二「純恋愛でしょ」
雄介「何が純恋愛や。抵抗があるやろ」
浩二「けどホンマにね、声かけられたんです、女の子に」
雄介「ホンマにか」
浩二「モデルなってくれへんかって」
雄介「君みたいなのがモデルになれるか」
浩二「ちゃんと名刺もらったぞ」
雄介「どこや」
浩二「アデランス株式会社って」
雄介「それが馬鹿にされとるんや」
浩二「嘘や」
雄介「ホンマにな、人に馬鹿にされるんです」
浩二「馬鹿にされるんです」
雄介「人に喧嘩売られるんです」
浩二「嫌になります」
雄介「この前もね、新宿歩いてて、喧嘩売られました」
浩二「ほんまにね」
雄介「僕ら二人歩いていたら、肩と肩がぶつかって、目と目があったんです」
浩二「愛が芽生えてね」
雄介「(頭を叩く)オカマやないか。何を言うとるんや」
浩二「(痛そうな素振りで)言うちゃ悪いけど、俺、素頭やぞ」
雄介「すあたま!」
浩二「そう」
雄介「ガラ悪かったやないか、お前」
浩二「そう、ガラ悪かったんです」
雄介「坊主なんや」
浩二「坊主でね」
雄介「目が細くて、顔が細くて、ラッキョウみたいな顔しとるん」
浩二「それ、俺やん」
雄介「お前、ラッキョウ頭か」
浩二「俺、大坂でラッキョウハゲ言われてるがな」
雄介「自慢すんなや、怒るでホンマに。したから今日は君にね」
浩二「ほう」
雄介「喧嘩に勝てる方法を教えてやろう」
浩二「どういう風に」
雄介「この前でもそうや。肩と肩、目と目が負うたやろ」
浩二「(目をつぶってチュッとする)」
雄介「目と目が」
浩二「目と目があったらキスするやろ」
雄介「ホンマのこれやないか(オカマのポーズ)」
浩二「やめて」
雄介「やめてとちがうわ。目と目があったらビビらせなきゃあかんのや。教えたろ、喧嘩の勝ち方」
浩二「そうそう」
雄介「関西人はカマシ一発や」
浩二「カマシ一発」
雄介「当たり前やないか」
浩二「いこ」
雄介「いくぜ」
浩二「(床に置いてあった帽子をわきにどける)大事なやつやから」
 二人、離れて歩き出し、肩と肩がぶつかり合う。
雄介「こら、誰の肩に当たっとんねん」
浩二「(オカマの真似で)ごめんなさい」
雄介「頼むから、それやめてや。オカマに喧嘩売ってどうすんねん」
浩二「お前、禿げたオカマがおるのか(と頭を叩く)」
雄介「(なぜか客席から拍手)おるかわからん。なんでこんなとこで拍手が来るんや」
浩二「おれへんぞ、そんなの」
雄介「違うんや。びびらさんかい」
浩二「びびらす、びびらす」
雄介「人が怖がるようなことを」
浩二「あんねん、あんねん」
雄介「ほんまかい」
浩二「言うちゃ悪いけどな」
雄介「なんやねん」
浩二「パス」
雄介「何がパスや」
浩二「ちゃんと言うたろ」
雄介「ほんまかい」
浩二「俺の体に指一本でも触れてみい」
雄介「降れたろかい(と触ろうとする)」
浩二「禿うつるよ」
雄介「(思わず指を引っ込める)。それをパスせい、それを」
浩二「もう一つある、もう一つ」
雄介「なんや」
浩二「自慢じゃないけどな」
雄介「なんや」
浩二「俺、親父より老けて見えるんねん」
雄介「(頭を叩く)どうでもいいわ。わろうてる場合やあらへん」
浩二「もしかしたら親父な、俺の親父やないねん」
雄介「なんや」
浩二「俺の息子や」
雄介「あほか」
浩二「俺のおかん、夜俺の布団入ってきて」
雄介「嘘をつけ」
浩二「お父ちゃんって」
雄介「お前、これはお父ちゃんの頭やない。お爺ちゃんの頭や」
浩二「あほ、うちのおじいちゃん、髪の毛ふさふさあるもん」
雄介「ほんまかいな」
浩二「うん」
雄介「あのな、びびらさなあかん、かまさなあかん」
浩二「なら見本見せてよ」
雄介「俺が教えたる」
浩二「おう」
雄介「(大声で)こら、お前。誰の肩に当たっとるんや。おい」
浩二「えっ?」
雄介「えっあるかい。(大声出し過ぎて、咳き込む)」
浩二「(頭を叩く)仕事中なんだから」
雄介「やあやあ言うなや」
浩二「なんやの」
雄介「仕事中もくそもあるかい」
浩二「お前、泣いてどうするねん(と頭を叩く)」
雄介「俺は怒ったら涙流すんや、アホ。そういう特色やないか、やあやあ言うなや」
浩二「お前もけったいな奴やのう」
雄介「(さらに大声で)謝れ言うてるやろ、ボケ、カス」
浩二「えっ?」
雄介「えっあるかい」
浩二「なに?」
雄介「なにあるかい。(また咳き込む)」
浩二「(苦笑)」
雄介「なんや」
浩二「お前、それ言うのはいいがな、早く次のネタ言えや」
雄介「わかっとるわい。謝れ言うとるやろ。俺を誰やと思ってるんや」
浩二「誰やねん」
雄介「言うちゃ悪いけどな」
浩二「なら言うな」
雄介「言わしたれ(と頭を叩く)。前進めへんやないか」
浩二「俺、神経痛になりそうやわ」
雄介「俺はな」
浩二「おう」
雄介「ここらじゃぶいぶい言わしとるんや」
浩二「ブリキ屋さん?」
雄介「(苦笑した後、さらに大声で)謝れ言うてるんや。俺を怒らすなや」
浩二「大阪、そんな人居るわ。酒飲んでぐわって」
雄介「あほか。何言っとるんや!」
浩二「喧嘩の弱い人間ほど、大きな声を出す」
雄介「自信があるから、胸を張ってるんや」
浩二「ならうちもやったろ」
雄介「ほんまか」
浩二「(後ろにそっくりかえり)かかってらっしゃい」
雄介「何を言っとるんねん(胸を叩く)」
浩二「(足を開いた正座の姿勢で倒れる)」
雄介「弱い奴やな。立たんかい」
浩二「(そのままの体勢から立ち上がる)」
雄介「うわぁ(と倒れる)」
浩二「(客席からの拍手に)アンコールでございますか」
雄介「嘘つけ」
浩二「(もう一度やって、さらに拍手)」
雄介「癖になるから、拍手をするな」
浩二「(司会者の二人に向かって)アンコールでございますか」
雄介「あほう、司会者におべんちゃらするな」
浩二「(司会者の二人に向かって披露)」
雄介「一銭もならんのに」
浩二「俺、ファンやねん」
雄介「誰でもできるわ、あんなもん」
浩二「できない」
雄介「できるわい。うちのおばあちゃん見てみい」
浩二「なんやねん」
雄介「去年ひっくり返って、まだ起きてけえへん」
浩二「あのな、それ、寝てはんのね」
雄介「あほが。禿が偉そうに言うな。なんや、このズルムケ、ボケ、カス、若禿。なに喋ってんのや、ボケが」
浩二「ハゲ、ハゲ、言いやがって。悔しかったら禿げてみい」
雄介「もうええわ」

「(浩二の)声がいいし、自然」「1週目で勿体ないくらいいいネタたくさん出してきた」「禿をネタにしているけれど、いやらしくない」「片方が軽くて嫌味がない、片方がどつく言い方でバランスが取れている」「オカマの喋り方がちっともいやらしくなくていい、動作もきれい」と大絶賛。
(2週目合格 No.169 1983年7月16日放送)

 浩二が昔田舎の暴走族だった話。悪いことをしまくったというが、どれもピントの外れた話ばかり。後半は警察官の雄介が暴走族の浩二を捕まえる。
(3週目合格 No.170 1983年7月23日放送)
第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Eブロック 84点○ No.200 1984年3月3日放送)

 雄介が体操部だったという話からスタート。さらに雄介が空手をやっていたという話から体を鍛えようという話になり、浩二は上半身裸に、雄介も上着を脱ぐ。途中、相手が脱いだ服の上に自分の服を置く、準備運動で体の柔らかさを見せるなどのくすぐりを入れる。二人で戦い、浩二が蹴りを雄介の尻に見舞う。浩二「痛かった?」雄介「痛くないもん」。さらに蹴りを入れると雄介、涙目になりながら「泣かへんもん。鍛え方が違うもん」。もっと強い蹴りを入れると「泣けへんもん。泣いたらママに叱られるもん」。最後、浩二が頭を軽く叩くと雄介、大泣きして終わり。
(4週目合格 No.173 1983年8月13日放送)

雄介「髪の毛多いから大変やわ。ハゲがうらやましいわ」
浩二「あーんた、いやみなこやね」
雄介「何がやね」
浩二「ハゲのこうじでございます」
雄介「その頭やったら、女にもてんやろ」
浩二「アホー、女の子にはもてるわい」
雄介「うそーつけ。なら、今日これだけ女の子おるから聞いてみよか」
浩二「何がや」
雄介「君みたいな男性でも恋人にほしいかどうか聞いてみよか」
浩二「わかった」
雄介「ちょっとお願いします。彼みたいなハゲ頭でも、醜いハゲ頭でも、醜いアヒルの子でも……」
浩二「ちょっと、醜いが多すぎるやん」
雄介「うっさいわい。まあ、とにかくいっぺんでもデートしてみたいわという方、拍手お願いします」
拍手、ほんのちょっと。
雄介「みてみい、お前」
浩二「お前ら、帰れ」
雄介「まあまあ、ええやないか。では、彼みたいなハゲはいやわあという方、拍手お願いします」
前より拍手多し。
浩二「あんたら、知ってる」
雄介「何がや」
浩二「結婚っていったら、ここ(ハート)と金よ」
雄介「ここがあるかもしれへんけど、金はない、毛はないって情けないわ」

以下、髪の毛を生やす方法をためす。
最初は頭に刺激を与えると、何度も叩く。何があったかな、と思って皮膚から顔を出したら、パッとつかむ。
それでもだめだったら薬を使う。汚いものは手でつかむな、と割り箸を使って髪の毛をわけ、薬をすりこむ。
ひりひりする、と浩二が文句を言いながら、何を塗ったかなと聞くと、七味唐辛子。
最後はかっこよく見せると、唇シールを貼り、セットするといって、髪の毛をいじくりまわし、二本の角みたいにする。
(5週目合格 No.174 1983年8月20日放送)

 浩二はかつらをかぶって登場。以下、かつらのやりとりをするが、暑いと言って結局外す。
 夢の話から小学生の頃、劇で桃太郎をやっていたという話になりら、桃太郎の話をやる。最初はおばあさんが桃を切ると桃太郎が不気味に出てきたり、笑いながら出てきたり。次に桃太郎がチェンジするが、きび団子のネタのくだりを忘れる。浩二が犬の役をやって一ネタ。続いて浩二が船の役をやって鬼が島に行き、浩二が鬼の役をやり、最後は、縁日であるような、鬼の腹に玉を当て、倒れるネタをする。
(6週目合格 No.175 1983年8月27日放送)

 禿げネタから、子どもの頃の遊びの話へ。昔はお下げ髪に赤いほっぺの女の子と遊んだという話から、雄介が浩二にお下げの髪を付けさせるが、これがゴムにお下げ髪を付けただけのものであり、しかもゴムは禿頭にかけるものだったので、引っ張って離すと痛い、痛い。男の子役の雄介と女の子役の浩二が遊んだのは奴凧ごっこ。嫌がる浩二だが、お下げ髪を引っ張られて泣く泣く了解。
 雄介がひもを引っ張たりゆるめたりする(格好をする)と、足を開いた正座の姿勢で倒れたり起きあがったりするいつものネタを見せた後、今度は雄介が紐を引っ張り回して奴凧の浩二が周囲を走り回る。ところが紐が切れると、前方へひっくり返る浩二。これを何回も繰り返す。最後はなぜか二人の役目が入れ替わる(が、これは外した)。
(7週目合格 No.176 1983年9月3日放送)

 どちらもショートパンツで登場。浩二は囚人みたいな青と白のストライプの海パン帽子をかぶって登場。浩二が悩みがあって、髪の毛が生えてきた、今まで「禿げてんねん」と言ってきたのに、「生えてんねん」と言わなければならない、と小ぼけ。
 ヤクザになりたい、ヤクザは刺青をしなければならないといって、雄介が色鉛筆を取り出し、帽子を捲っておでこに「ヤクザ」と書くが、客笑わなかった、と浩二怒り出す。
 続いて、やくざといえば着物、と言われ、浩二は着物を持ってきたと袖に下がり、唐草模様の風呂敷を持ってきて、中から着物が出てくるが、どうみてもホテルの浴衣。ボケながら着物を着る。
 次はかまし一発、びびらさなければならない、と雄介が言ったら、浩二は浴衣を捲ってショーパンを見せながら怒り出す。そうじゃない、と言って
雄介「これに物言わすんじゃ(と、握り拳を前に突き出す)」
浩二「これが物を言うねん」
雄介「しょうもないことを言っていると、これに物を言わすぞ」
浩二「おう、言ってやれ」
雄介「(握り拳をパクパクさせながら)おはよう」
浩二「こんにちは」
雄介「だれがこれに物を言わすんや。オウムか。違うわ、キャリアや」
浩二「あっ、キャリア」
雄介「おうそうや、何年この世界にいると思っているんや。15年いるんだぞ」
浩二「いまだに売れへんぞ、情けない」
雄介「違うわ。あかんかったら、モノや。一対一、さしで勝負や、さしで」
浩二「はい、さし(と物差しを渡す)」
雄介「おい、これで何を計るんや。さしと違う。ドスや、ドス」
浩二「はい、ドス(とドスを渡すが、つかの方を渡して雄介がひっぱったので、ドスは持ったまま)」
雄介「(力いっぱいドスを取ろうとするが、当然ドスが無く、顔が真っ赤になっていく)」
浩二「顔、まっ赤」
雄介「血圧、高いから……。違うわ。刃のある方を渡せ」
浩二「(刃の方を渡す)」
雄介「(刃で受け取って)危ないだろ」
浩二「いいじゃない、指紋が増えて」
雄介「指紋じゃないだろ」
浩二「生命線が増えて、楽しい」
 このあと、ドスで切り合いの小芝居を雄介一人で行い、ドスを自分で落としてしまう。
浩二「よくやるわ、一人で」
雄介「ドスでダメなら、銃や。銃を出せ」
浩二「(風呂敷から、水鉄砲を取り出す)」
雄介「撃てや」
浩二「撃っていいの」
雄介「いいから、撃てや」
 浩二、水鉄砲で雄介の顔が水浸しで、終わり。

 前半は受けが少なかったが、後半は盛り返した。途中、「受けない」「ネタを飛ばした」などを頻繁に言ったため、それを審査員に咎められる。東八郎は「五分五分」と言っていた。厳しい意見も出たが、先週もよかったので、もう1週見てみよう、ということで合格。ただし、金賞はよほどいいネタを持ってこないと厳しい、と京唄子にはっぱをかけられた。
(8週目合格 No.177 1983年9月10日放送)

 身体を鍛えている、と言って雄介がバク天を披露。浩二は頭を鍛えていると言って、百円玉2枚をおでこにくっつけ、落ちないと笑わせる。さらに灰皿をおでこにくっつけ、客を驚かす。誰でもできると言って浩二が雄介のおでこに付けようとするが、何回も叩きつけるので、痛いと雄介が怒りだす。
 雄介は浩二に逆立ちをしてみろと言って、浩二はしてみるが、おでこが床に着いてしまう。よし、床に着かないようにするためにいいものがある、と言って脇から持ってきたのは剣山。浩二は逆立ちをしようとすると、雄介が剣山を頭の方に持っていくため、刺さるじゃないかと怒り出す。
 最後はキックボクシングを見せると言って、浩二は雄介に主役をやらせる、と言って雄介は受けるが、主役とはサンドバック。浩二は雄介を蹴りだし、雄介は逃げ出す。雄介は、年老いた両親の面倒を見てくれ、行き遅れの姉をもらってくれ、借金を立て替えてくれ、と言いだし、浩二はすべて受け入れる。最後に浩二が蹴ると、雄介は倒れだし、死んだから借金返してくれとぼけておしまい。

 逆立ちまでは爆笑だったが、キックボクシングのところは微妙。
(9週目合格 No.178 1983年9月17日放送)

 浩二が黒いサングラスをかけて登場。黒澤明か、と突っ込まれて松山千春や、と返す。
 サングラスをしていると、客が見えなくてあがらない、漫才が楽。サングラス取れ、言われてサングラスを取ると、あがって漫才ができない、漫才止めると言って、オカマになるといって、やり取り。
 私は女に生まれたかったと言って踊りを学んでいた、踊るから歌って、といって歌ってもらうが、いきなりテノールを歌いだす。
 続いて女の仕草をすると言って、ブラジャーをはずす、パンツを脱ぐ、という仕草を見せた後、座り込んで三面鏡を除いて化粧をする仕草。途中、髪の毛を立てて「サリーちゃんのパパ」という小ネタを挟み、今度は神田がおかまになって化粧を教えてと迫る。怖いわとなって、今度は浩二が迫る。
 浩二が気持ち悪いからやめようと言いだすが、しつこく続ける神田。
 最後はおすぎとピーコみたい、というとおはげとプーコだ、と言ってて終わり。

 段取りがあるんだろうけれど、アドリブの連続のようで、軽くてうまくて、面白い。6週目ぐらいだと、途中で面白くないところがあったけれど、金賞を取ったあたりからまた面白くなったと言われて合格。
(10週目不合格 No.179 1983年9月24日放送)

 浩二が紋付き袴を着ていて、刀を差し、跪いて客にあいさつ。しかも鬘を付けてきた。引っ張っても取れないからと言われ、雄介が取ろうとすると簡単に取れてしまう。
 鬘を捨ててしまう雄介。恵子ちゃんと名前を付けて拾おうとすると蹴飛ばしてしまう。
 せっかく刀を差してきたからチャンバラごっこをしよう、赤胴鈴之助を雄介、妖怪を浩二がやれと雄介はポケットから妖怪の覆面を用意する。付けても外しても同じだ、ちょん髷をするといって、尻尾みたいな鬘を準備。
 その後、妖怪対侍の対決。妖怪は簡単に切られたが、切られた、切られた、と大声を上げてオーバーな演技。
 目立たないのはいや、といって妖怪と侍が入れ替わる。侍が浩二の鬘を切ってしまう。さらに侍が鬘を踏みつけて、浩二が頭が痛いと言って終わり。

 どこまで漫才なのか、素なのかがわからないけれど、面白い。面白いことは面白い。ただ、最後はちゃんとチャンバラをやってほしかった、と言われた。
(サバイバルシリーズ1回戦 89点〇 No.187 1983年11月19日放送)

 浩二は帽子をかぶって登場。はずせと言われて帽子を外して「はげてんねん」と言ったら笑いがあったのに、まだ受けるぞと驚く。
 おかあさんと一緒に風呂に入っている話になり、24歳と浩二が言ったら客席が驚いて、浩二が客席に文句を言う。おかあさんは浩二を父と間違えて風呂に入る、布団に入るという話。
 仕事で東京の来た時に街で絡まれた話から、3週目に披露した喧嘩の仕方ネタ。雄介はとんぼ返りを披露。最後は雄介が泣く。

 本人緊張していると冒頭で言っているが、客席のやり取りでアドリブを入れるなど、相変わらずの自由なやり取りで大受け。京唄子からは、緊張してこれだったらふてぶてしいわ、と言われた。
(何週目かは不明)
雄介「出てきて挨拶する取るぐらい帽子取れ」
浩二「帽子取るのやめようや」
雄介「何でや」
浩二「はげてんのに」(と帽子を取る)

浩二「ここで待っててね、ミチコ」
雄介「ミチコって何や」
浩二「ミチコが帽子の名前。ミチコちゃんに(髪の毛指して)ケイコちゃん」

雄介「ここに出てくるときぐらい、セットをしろや」
浩二「どうやって」
雄介「センターで分けるとか、七三にするとか」
浩二「この髪型でどうやってセンターに分けるっていうのや」
雄介「出来るがな。真ん中にマジックで線を引けばいいんや。他にパーマを当てるとか」
浩二「この髪にパーマ当てたって、お茶の水博士になるだけや」
雄介「そんな髪だったら女にもてないやろ」
浩二「バカいうな。俺だって大阪に帰ったら女が待ってるんや」
雄介「誰や?」
浩二「おやじの」
雄介「それ、おかんやないか。待ってるいうんかい」
浩二「ええやないか。この間、後ろ姿で立っておったら、おやじと間違えられたぞ」
雄介「情けないわ」
エピソード
 「ハゲネタはやめなさい」とよく言われていた。京唄子さんに「実力があるのに、やる気がない!」とよく怒られていた。
 笑ルームの浩二とザ・バッテリーのキャッチは1983年当時、同じ町内会だった。
その他
 笑ルームのヒョイッ!は日本で初公開したのは国際プロレスに来日したエルマンソブラザースだったと思います。お笑いのほうでも彼ら以前に鳳キング・ポーカーのポーカーがやってたらしいですね。
感 想
 結構しっかりした漫才だったと思います。グランプリシリーズの頃はよかったのですが、サバイバルシリーズでハゲネタをやめるようにと京唄子に言われてから、精彩を欠いたように思えます。
受賞歴
 1981年 第12回NHK上方漫才コンテスト優秀賞受賞(大阪笑ルーム)。
その後・現在
 1990年に解散。
 神田雄介はその後、本名の神田民雄名義で映画やVシネマなどのプロデューサーとして活動。
 笑ルームの神田さんは2006年にお亡くなりになったそうです。2006年まで『ミナミの帝王』の制作に関わっていたそうです。
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名 前
松鶴家千とせ
初出場
 1984年4月28日(第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ
実 績
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ第3位。敢闘賞受賞。
ジャンル
 メルヘン漫談。
プロフィール
 1938年1月9日生。本名小谷津英雄。福島県出身。
 もともとは歌手志望。1953年に福島県から上京して松鶴家千代若・千代菊へ入門。1960年、漫才コンビ、西秀一・秀二でデビュー。1967年、三代目“松鶴家千とせ”を襲名。1968年、宮田羊かんと共に漫才コンビ松鶴家千とせ・宮田羊かんを結成。1969年、1970年、1971年の「NHK漫才コンクール」に3年連続本選まで残っている。1975年に出したシングル『わかんねェだろうナ(夕やけこやけ)』がヒット、翌年ビクター音楽産業株式会社よりヒット賞を受賞している。1976年、東映映画『トラック野郎・望郷一番星』に出演。CM「日清焼きそばUFO」の初代キャラクターに抜てき。
 しかし、簡単に飽きられ、2年後にはレギュラーをなくす。対人恐怖症になるも妻と共に克服、1980年にはボランティア団体“さつまいもの会”設立。
ネ タ
 この人といえば、
「俺が夕焼けだった頃、弟は小焼けだった。父さん胸焼け、母さん霜焼け。わっかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ。イェーイ」
 この懐かしのフレーズ、「わかんねぇだろうなあ」は当時の流行語になる。
 ネタの最中に顔の周りに蝿が飛んできて「こらっ、この蝿が・・・」と手で追い払ったために場内爆笑。京唄子さんに「蝿までも味方につけたねぇ」と言われてました。
第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ決勝 84点3位(敢闘賞) No.219 1984年7月14日放送)

金襴緞子の帯締めながら~、シャバダバ~
花嫁御寮はなぜ泣くのだろう、シャバダバ~
ヘイヘイヘイ、シャバダバ~

おれが昔花嫁だった頃、わかるかなあ
金襴緞子の帯を締める代わりに、角帯を締め、
打ち掛けを着る代わりにどてらを着て、
角隠しの代わりにきんかくしをかぶったっけ。
こら、重いで~(思い出)。
 トーナメント出場後にNHKのラジオに出たのを聴いたのですが、客層にネタを合わせたせいか面白くなかった。♪おいでませ、んあ~。という変な歌でした。
エピソード
 芸能生活30周年の節目として番組に出場。存在感を示す。
感 想
 実際に見ると、単なる洒落なんですよね。それをつなぐ間というか、あの口ずさむ音楽がなんとも言えないおかしさを醸し出しています。
受賞歴
 1976年 ビクター音楽産業よりヒット賞受賞
 1977年 第5回放送演芸大賞漫談部門賞受賞
 1984年 第8回パロディ部門展 特別部門賞優秀賞受賞
レコード
「わかんねェだろうナ(夕やけこやけ)」(1976.4)
「或る雨の詩」(1976.9)→作詞:景山民夫/作曲:湯原昌幸
「わかるかナ、千とせの世界 わかんねェだろうナ」(LP)(1977.7)
松鶴家千とせ・賀川ひろみ「娘よ」(不明)
「人生達磨坂」(1985.2)
「庄助さんブルース」(1987):千とせの早すぎたラップ挑戦。「おいでませ んあ~ という変な歌」と名鑑で紹介されている歌の正体はおそらくこれでしょう。正確には「おいでませ」ではなく「Oidenase」。
「CH列車で行こう!/キャンユーアンダースタンド?」(2022.1)千とせ&ひとみん(恵中瞳):「CH」とは千とせのCと、瞳のH。「キャンユー~?」は「わかるかなぁ」の英訳。いずれも千とせ自身の作曲で、リズムに乗った両者の「おしゃべり」と歌唱で構成される。
その後・現在
 番組の後、アメリカで音曲漫談を3,4年やっていた。
 カーリーヘアこそ禿げたものの、サングラス、そしてあごひげの姿は今も健在。「やきそばUFO」のCMにも出演、各地の営業活動で頑張っている。また、CDもリリース中。
 浅草・木馬亭では「うたとお笑い」と題した公演を月1回行っていた。
 2022年現在、千とせプロダクション所属。
 2022年1月28日、急性心筋梗塞で入院。2月17日午前10時4分、心不全のため東京・足立区の病院で死去した。84歳没。
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