『お笑いスター誕生!!』 名鑑【か】


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名 前
カージナルス
初出場
 1982年2月13日(第2期グランプリシリーズ)
実 績
 ストレートで8週勝ち抜き、金賞受賞。
 第3回ゴールデンルーキー賞特別敢闘賞。
 サバイバルシリーズ2回戦進出。
ジャンル
 コント。
プロフィール
 タカ:本名井口薫仁(たかひと)。1956年12月16日生。静岡県出身。
 ポポ:本名青木隆彦。1958年6月1日生。静岡県出身。
 二人は伊豆での幼馴染み。タカはかつてポポの姉と付き合っていた。
 タカは伊豆で板前をやっていた。調理師免許保有。ポポは東京で右翼団体に所属していたが、その後名古屋で勤めていた。
 タカは、伊豆で習っていた日本舞踊の先生が「ライムライト」という事務所の社長だったということで、芸能界に誘われた。1981年に上京したはいいが、月給料3万円というタコ部屋だった。そこで幼馴染みのポポを引っぱりこんで「カージナルス」結成となった。命名はセントルイス。大リーグのセントルイス・カージナルスから取った。テレビデビューは『テレビ演芸』だった。
 修行時代はタップダンスを習う金が無く、タップ教室の新規入門者として各教室をまわり見学時にステップを頭に叩き込んだそうです。
ネ タ
 ポポはいつもインディアンの格好で、スー族のインディアンという設定だった。
(1週目合格 No.96 1982年2月13日放送)
(第3回ゴールデンルーキー賞1回目 37点 No.133 1982年10月30日放送 一部9週目の冒頭ネタミックス)

 タカ「ローハイド」のテーマでギターを弾きながらカッコ良く登場するはずが何故かインディアンのポポがギターを弾きながら登場し、「ハゥッ」「アパパパパパ」と合いの手を入れてきて、その声がだんだん大きくなる。
タカ「ローハイ」
ポポ「(ギターでタカの顔を隠しながら遮って)ヤー」
タカ「ローハイ」
ポポ「(ギターでタカの顔を隠しながら遮って)ヤー」
タカ「ローハイ」
ポポ「(ギターでタカの顔を隠しながら遮って)ヤー、ヤー、ヤー」
タカ「うるせえよ。なんだお前は。向こう行け、向こうに。しっ、しっ」
ポポ「(恨めしそうに下手にはける)」
タカ「(再びギターを弾きながら「ローハイド」を歌い始める)」
ポポ「(何も持たずに登場し、両手を挙げて)ヤー!」
タカ「うるせえな。なんで俺の邪魔すんだよ」
ポポ「私音楽聞くと踊りたくなる。アパパパパ」
タカ「(頭叩きながら)踊るな。これはカウボーイの歌なんだ。インディアンにはインディアンの歌があるだろ」
ポポ「なるほど、わかった。自分の歌うたう。(東京音頭の節で)踊り踊るな~ら」
タカ「こら、どこがインディアンの歌なんだよ」
ポポ「インディアン音頭、よいよい」
タカ「インディアン音頭じゃないよ、向こう行け」
ポポ「あー、白人のやつら、弱い者イメージ」
タカ「ん?」
ポポ「弱い……よ、わい……」
タカ「それを言うなら弱い者いじめ」
ポポ「そう、弱い者みじめ」
タカ「なんだよ、まったく。こんなとこいないで、早く自分のところ帰れ」
ポポ「ここはインディアンの土地だ、お前こそ帰れ」
タカ「そんなこと、誰が決めた」
ポポ「昔から決まってる」
タカ「嘘つくな」
ポポ「インディアン、嘘つかない。白人、嘘つく。日本人、餅つく」
タカ「(ずっこける)馬鹿なこと言いやがって。何もんだ」
ポポ「私、スー族の酋長、ターザン」
タカ「もっと気の利いた名前ないのか」
ポポ「大きなお世話だ。(大きく両手を広げながら)ここから先、一歩も進ませない」
タカ「ふん(横に一歩進む)」
ポポ「あー、進んだ。お前、私馬鹿にしてる。こうなったら命賭けても土地守る」
タカ「(腰から拳銃を取り出して、付きつける)どうだ」
ポポ「(両手を挙げながら)土地を賭けても命守る」
タカ「努力が足らんだろ。酋長なんだろ」
ポポ「そう、○○○」
タカ「○○○なんだろ」
ポポ「そう、一個二百円」
タカ「(相手を突き飛ばす)笑わせるな。西部ではこれ(腰の拳銃を指す)が命よ」
ポポ「笑わせるな。西武でござるはバザールだ」
タカ「(ギターを投げてポポに渡しながら)いいか、これから俺の腕を見せてやる。いくぜ」
 拳銃を抜いて指先で回し続けるアクション。客席から拍手。さらにアクションを続けるが、最後ガンホルダーにしまうところで外してしまい損ねる。
ポポ「(ギターをわきに置いて)あー!」
タカ「ガンがいうことを聞かない」
ポポ「(トマホークを持ってきながら)あーあーあー。(自慢げにトマホークを構えて)まさかり!」
タカ「それトマホークって言うんじゃないか」
ポポ「オーケイ(微妙な笑い)。(トマホークを振り回すアクション。指でトマホークを回転させる)」
タカ「すごい」
ポポ「(調子に乗って続けるが、回しているときに柄が頭にぶつかり、思わずうずくまる)おい、なぜ人の頭殴った?」
タカ「自分でやったんじゃないか」
ポポ「私見てた」
タカ「嘘つくな」
ポポ「嘘だ」
タカ「(おもわずずっこける)ふざけやがって。こうなったら決闘だ!」
ポポ「ようし」
 タカは後ろを向くが、ポポはなぜかタカの方を向いている。
タカ「行くぞ」
ポポ「(歩き出したタカの頭をトマホークで殴る。タカ、頭を抱えて倒れる)私の勝ちだ。」
タカ「何すんだよ。決闘っていったら、三歩歩くんだよ」
ポポ「なんだ、最初からそう言ってくれ。インディアン、よく知らない」
タカ「頭が割れたらどうするんだ。いいか、三歩だぞ」
ポポ「ようし」
 タカは後ろを向くが、ポポはなぜかタカの方を向いている。
タカ「行くぞ。(二人とも同じ方向に歩き始める)一、二、三歩」
ポポ「(タカが振り向いた瞬間、ポポはトマホークでタカの頭を叩く)私の勝ちだ」
タカ「(ポポを突き飛ばしながら)ふざけんな、この野郎」
ポポ「どうした?」
タカ「何で着いてくんだよ」
ポポ「三歩!」
タカ「背中合わせに歩くんだよ」
ポポ「最初からそう言ってくれ。インディアン、よく知らない」
タカ「自分で言うな、そんなこと。いいか、背中合わせに三歩だぞ」
ポポ「おう!」
 背中合わせに立つが、ポポはこっそりタカの拳銃を抜き取る。
タカ「一、二、三(振り向いて拳銃を構えようとするが、拳銃がない。仕方なく撃ったふりで)バン、バン、バンバンバーン」
ポポ「(タカに抱きつきながら)星~!」
タカ「バーン」
二人「夜明けだ!」
タカ「(ポポを殴りながら)何考えてんだ、お前は。ピストル返せ」
ポポ「お前、ピストル。私トマホーク。ずるい」
タカ「わかった。じゃあインディアン流の決闘を教えてくれ」
ポポ「ようし、インディアン流の決闘、挨拶から」
タカ「ようし」
ポポ「(左手を挙げながら)ハウ!」
タカ「(同じく左手を挙げながら)ハウ!」
ポポ「ハウ!」
タカ「ハウ!」
ポポ「(だんだん声を大きく)ハウ!」
タカ「ハウ!」
ポポ「みやこ~(ここ、ちょっとわからず)」
タカ「(ずっこける)くそ、どっからでもかかってこい!」
 『ジンギスカン』の歌が流れて、音楽に合わせて戦い始める。途中、ポポが振りかぶるトマホークをタカが捕まえ、音楽に合わせて押し合う。刃の向きを変えて、再び押し合うが、途中でタカが手を放しても、ポポは音楽に合わせてトマホークを動かす。
 「ジン、ジン、ジンギスカーン」のところからなぜか両者そんきょをして、塵手水を行う。両手をついて、ぶつかろうとするが、音楽が早回しになり、互いに相手を指さして、音楽に合わせて「ワハハハ」。今度は音楽が遅回しになり、突っ張り合いを始める。音楽が元に戻ると、今度は互いに相手の頬をびんたする。音楽が早回しになると、タカがポポにコブラツイスト。最後はタカがポポをロープに振り、帰ってきたところをラリアット。音楽鳴りやむ。
タカ「どうだ」
ポポ「まいったか」
タカ「いい加減にしろ」

 審査員から、明るくていいと絶賛。
(2週目合格 No.97 1982年2月20日放送)

 ギターを弾いて登場するカウボーイのタカ。歌っているところへ、後からこっそり登場したポポが弓でタカの頭を打つ。
タカ「痛いじゃねえかよ。何するんだよ」
ポポ「私。敵討ちに来た。先週やられたインディアンの弟だ。インディアン、話し合いしない。決着付ける」
 タカ、黙ってピストルを向けると、
ポポ「話し合いをしよう」
 こけるタカ。

ポポ「お前、丸腰の人間を撃つつもりか」
タカ「よし、わかった。ロシアンルーレットで勝負しよう」
 拳銃の弾を一発だけ残して抜き、リボルバーを回し、ポポに渡す。
 ポポ、拳銃をのぞき込む。思わずポポの頭を叩くタカ。
タカ「お前、それじゃロシアンルーレットにならないだろう」
 ポポ、仕方なく回す。回す。回す。回す。
タカ「いつまで叩いているんだよ。もういいだろ」
ポポ「よし、わかった。」
 二人とも耳を塞ぐ。ポポは頭に拳銃を向けるが、頭を引っ込め、引き金を引く。カチッ。
二人「おおー」
タカ「よし、次はオレだ」
 引き金を引くタカ。カチッ。
二人「おおー」
ポポ「次はー、オレだ」
 引き金を引くが、銃口はタカの方に向ける。カチッ。
二人「おおー」
 タカ、引き金を引こうとするといきなり、ポポが「ドーン!」 タカ、こける。
タカ「お前、脅かすなよ。オレは心臓病の持病があるんだ」
 タカ、引き金を引く。カチッ。
ポポ「よし、次はオレだ」
 再びタカの方に銃口を向けて引く。カチッ。そこで気がつくタカ。
タカ「お前、なにインチキやってんだよ」
ポポ「拳銃は卑怯だ。インディアンの勝負は素手で勝負だ」
タカ「何が卑怯だよ。そっちが卑怯じゃないか。よしわかった。素手で勝負しよう」
ポポ「男の勝負、ルールいらない」
タカ「オレは元ボクシングをやっていたんだぜ」
ポポ「やっぱりルール決めよう」
 音楽が流れ、スローモーションで素手の決闘。最後はタカがポポに卍固めを決める。
ポポ「どうだ、痛いだろう」
タカ「何が痛いだろうだよ。やられっぱなしじゃないかよ」
ポポ「インディアンの儀式、やるのを忘れていた。だからうまくいかない」
タカ「なんだよ、インディアンの儀式って」
ポポ、いきなり「石焼きーいもー」
タカ「冗談じゃないだろ」
二人「有り難うございました」
 そこでいきなり、ピストルがパンとなり、二人驚く。
(3週目合格 No.98 1982年2月27日放送)

 スイスの民族衣装を着て、ギターを持ったタカが登場。『おおブレネリ』を歌っていると、弓矢を持ったインディアンのポポが登場。タカの歌を邪魔する。

タカ「おい」
ポポ「へ?」
タカ「何をギャーギャー騒いでいるんだよ。人が一生懸命歌っているのに」
ポポ「あっ」
タカ「だいたいな、今日はウィリアム・テルをやりに来たんだ。なんでインディアン出てくるんだ」
ポポ「今日は弓矢の名人という話を聞いたぞ」
タカ「弓矢の名人、ウィリアム・テルじゃないか」
ポポ「だったらインディアンにも、弓矢の名人がいる」
タカ「誰だ?」
ポポ「那須与一」
タカ「お前、それは源平合戦だよ」
ポポ「あれ、インディアンじゃなかったか?」
タカ「違うんだよ。今日はな、ウィリアム・テルのリンゴの話をやるんだ(とポケットからリンゴを取り出す)」
ポポ「あー、リンゴの話だったら、インディアンにもある」
タカ「えー?」
ポポ「リンゴの中に毒を入れて食べさせてお姫様を殺す」
タカ「お前、それは白雪姫だろ」
ポポ「あれインディアンじゃなかったか?」
タカ「お前、頭大丈夫か?」
ポポ「あーだったら、リンゴが川をドンブラコと流れてきて、おばあさんが拾って切ったら、中からインディアンが出てきた」
タカ「無理矢理話をつくるなよ。違うんだよ。(リンゴを手に取り)ウィリアム・テルといったら、リンゴの上に、違うな、頭の上にリンゴを。(客席の笑いに肩を落とす)」
ポポ「あー、間違えた」
タカ「うるさい。そういう話があるの、有名な。頭の上にリンゴを載せて」
ポポ「舌で舐める」
タカ「できるわけないじゃないか(と突き飛ばす)」
ポポ「やってみなきゃわからないじゃないか」
タカ「じゃあ、やってみろ、ほら(とリンゴを手渡す)、やってみろ(と舞台脇にはける)」
ポポ「リンゴを舌で舐める(と頭にリンゴを載せ、舌で舐めようとするが、当然できない)。なかなか難しいな(と再チャレンジする)」
タカ「(弓矢を持って出てきたタカが、リンゴを射ようとする)」
ポポ「(タカに気づいたポポ、後ろに下がる)何をする」
タカ「リンゴを撃つんじゃないか。それが有名な話だ」
ポポ「だったら、いつもやってる息子がいるだろう」
タカ「ああ、息子は矢が頭に当たって死んだ」
ポポ「(リンゴをタカに返し、逃げ出そうとする)」
タカ「待て。もしここで成功したら、息子の代わりにお前の名前が歴史に残るんだ」
ポポ「私、有名人か?」
タカ「スターだ。リンゴ・スター」
ポポ「リンゴ・スター(と、頭にリンゴを載せる)」
タカ「(弓矢で射ようとする)」
ポポ「ちょっと待て」
タカ「あ?」
ポポ「失敗したらどうなる」
タカ「ジョン・レノンじゃないか」
ポポ「(リンゴをタカに放り、逃げ出す)」
タカ「ああ、待て。ポール、ポールだ」
ポポ「(タカの方に戻りながら)ポール」
タカ「牧」
ポポ「(ずっこける)」
タカ「な、いいだろ」
ポポ「全然、有名でも何でもないじゃないか」
タカ「何てこというんだ。(リンゴを頭に載せながら)とにかくね、スターになれるんだ」
ポポ「ポール牧って……」
タカ「行くぞ(と弓矢を構える)」
ポポ「ほっ(とタカに近づき、頭のリンゴを矢に当てる)、お見事」
タカ「お前、怖がってんな」
ポポ「怖いわけないだろ、私、インディアンだ」
タカ「じゃあ、おとなしく立ってろ」
ポポ「おう」
タカ「行くぞ(と弓矢を構える)」
ポポ「ほっ(とタカに近づき、頭のリンゴを矢に当てる)、お見事」
タカ「(弓矢を持って下がろうとする)」
ポポ「(矢の方に近づいていく。以下、追いかけっこが繰り広げられる)」
タカ「お前は遊んでるのか」
ポポ「百発百中だ」
タカ「一発も撃ってないよ。お前、スターになりたいんだろ」
ポポ「なりたい」
タカ「だったらおとなしく、ここに立ってろ」
ポポ「ここに立っていたらスターか」
タカ「ポール牧だ」
ポポ「(首をひねりながら、頭にリンゴを載せる)」
タカ「(弓矢を構える)」
ポポ「リンゴリンゴリンゴ~の花ほころび(ロシア民謡「カチューシャ」)」
二人「(歌いながら、コザックダンスを踊る)」
タカ「(頭を叩きながら)ふざるなよ」
ポポ「(頭にリンゴを載せて)いざ」
タカ「(弓を引くが、矢は全然飛ばない)」
ポポ「あー、失敗した、へたくそ。お前はそれでもウィリアム・テルか?」
タカ「(矢を拾って見ながら)やだ、やだ」
ポポ「今度は私の番だ(と、リンゴをタカに渡す)」
タカ「待て、待て、待て。こんな危ないこと、できないよ」
ポポ「お前、自分でやってて、私にやらせないのか」
タカ「じゃあ、こうしよう。リンゴは危険だから、スイカでしよう」
ポポ「馬鹿なことを言うな。スイカだったら、人の頭よりもでかいじゃないか」
タカ「でもねえ」
ポポ「私の腕を信用しろ」
タカ「できるわけないだろ」
ポポ「ようし、だったら、私の腕を今見せてやる」
タカ「どうやって」
ポポ「インディアン、後ろ向きで撃てる」
タカ「お前、そんな器用なこと、できるのか?」
ポポ「インディアン、昔から弓矢の名人だ(と弓に矢をつがえて、後ろ向きに構える)。なんだってできる。いくぞ(と弓の方向を見ると、矢が出て頭に当たる)」
タカ「お前、何やってんだよ」
ポポ「これは儀式だ」
タカ「儀式?」
ポポ「ここに刺激を与えて、集中力を高める」
タカ「お前な、自分でしゃべってること、わかってんのか」
ポポ「うるさいうるさいうるさい。行くぞ(と弓に矢をつがえる)」
タカ「こらこらこらこら。お前さっき、インディアン後ろ向きで撃つって言ったじゃないか」
ポポ「いいんだいいんだいいんだ。インディアンはいつも物事に対して前向きな姿勢で、チャレンジするんだ」
タカ「行くぞ(と帰ろうとする)」
ポポ「あー帰るのか」
タカ「そうだ」
ポポ「帰るのか」
タカ「帰るよ(と歩きはじめる)」
ポポ「あー、帰るな」
タカ「(思わずこける)」
ポポ「もう一度やらせてくれ」
タカ「何言ってんだよ。お前なんか、相手にしてられねえよ。じゃあな」
ポポ「ウェーン(と泣きだす)」
タカ「泣くなよ。いい年して。悪かったよ、やらせる、やらせるから」
ポポ「えへへへへへ」
タカ「気持ち悪いことするな」
 「ウィリアム・テル序曲」が流れ、無言で弓矢を撃つ下りが繰り広げられる。最後はタカがブレーンバスターを決めようとするが、ポポが空中で反転しておりる。
ポポ「やった。これで俺もスターだ」
タカ「なれるわけないだろ」

 明るい、ほほえましい、垢抜けしてきた、舞台映えすると好評。
(4週目合格 No.99 1982年3月6日放送)

 『ポパイ・ザ・セーラーマン』の歌に乗り、モップとバケツを持ってセーラー服姿のタカが登場。音楽に合わせ、軽快にモップを動かす。そこに『どろろの歌』の歌に乗り、インディアンの格好にセーラー服を着たポポが登場。リズムに乗って軽快?に踊るが、それを見たタカが、同じように踊りだす。どう見てもこちらの方が切れが良い。
ポポ「お前、なかなかうまいな」
タカ「うるさいな。お前、何しに来たんだよ」
ポポ「ハウ!」
タカ「ハウじゃないよ、お前なんだその恰好は」
ポポ「水兵じゃないか」
タカ「何が水平だ。どう見てもインディアンじゃないか」
ポポ「どこがインディアンだ。ちゃんとセーラー服着てる」
タカ「セーラー服着ていれば、みんな水兵か? それだったら、聖心女子学院の生徒、あれ水兵か。えっ、○○女子高校の生徒、あれ水兵か」
ポポ「え~~ん、うえ~~ん」
タカ「泣くなよ、俺が悪かったよ」
ポポ「えへへへへ」
ポポ「俺、水兵になる」
タカ「言っとくけどね、水兵はスマートで格好いい奴じゃないとなれないんだ」
ポポ「だったら私、スマートで十分格好いい。私、スー族の火野正平と言われている」
タカ「自分で言うな(と突き飛ばす)。何が火野正平だ。お前に女が騙せるか。俺が言っているのはね、そうじゃなくて、映画に出てくる水兵。フランク・シナトラ、ジーン・ケリー、○○○○」
ポポ「なるほど。ではどうやったら格好よくなれる」
タカ「どうやったらって……(ガニ股で立っているポポを見て)体形がな。よし、じゃあ姿勢を治そう」
ポポ「姿勢」
タカ「まず胸を張る」
ポポ「胸」
タカ「そして肩をぐっと上げる」
ポポ「どうやって肩を上げる?」
タカ「いかりや。なんちゃって」
ポポ「あー(大きく口を開けて呆れる)」
タカ「汚い顔をするな。とにかく水兵というのは、いつも規律正しい生活をしているんだ」
ポポ「なるほど」
タカ「気を付け(二人、気を付け)。休め(休めの格好だが、ポポ、だらける)。勝手に休むなよ。気を付け(二人、気を付け)」
ポポ「小さく前倣え(ポポ、横を向き、その後ろにタカ、小さく前倣え)」
タカ「(ポポの頭を叩く)やらせるなと言っているだろう。なんで勝手に号令掛けるんだ」
ポポ「今休むなって」
タカ「俺はお前に教えてやってるんだよ。お前、いちいちごちゃごちゃうるさいんだよ」
ポポ「え~~ん、うえ~~ん」
タカ「泣くなよ、俺が悪かったよ」
ポポ「えへへへへ」
タカ「気持ち悪いから、それ止めてくれ。もう一度やるぞ。気を付け(二人気を付け)。敬礼」
ポポ「ハウ(と右手を上げるポーズ)」
タカ「お前、ハウなんて敬礼あるかよ。俺たちは水平なんだから、水平らしい敬礼。水兵の敬礼は、水平にやる(と腕を真横にまっすぐ)」
ポポ「あー(大きく口を開けて呆れる)」
タカ「お前止めろって。化け物みたいなやつだな。そんなことでスマートになれるか。ちょっと歩いてみろ。スマートに、格好よく」
ポポ「ようし。ワンツーワンツーワンツースリーフォー(足はガニ股、手を横に振りながらあちこち歩く)」
タカ「(うずくまり、頭に手を当てる)お前ねえ。わざとらしい歩き方するなよ。(真似をしながら)水兵がこんな歩き方するかよ」
ポポ「いーや、違う。私の歩き方はこうだ(とより大げさに歩く)」
タカ「(真似をしながら)だから、お前な。こんな歩き方」
ポポ「お前、不器用な奴だな。そんなことじゃ、インディアンにはなれないぞ」
タカ「だれがなるか、そんなもん。俺はインディアンになる気なんかないよ。もう、いい。掃除でもしてろ」
ポポ「(手を振りながら)いいや、インディアン掃除なんかしない」
タカ「汚ねえ奴だな。(バケツを取りながら)いいか、水兵にとって、自分の船は命なんだ。(ここで客席から「頑張って」の声が)うるさいんだよ」
ポポ「あー、私のファン、馬鹿にした」
タカ「(バケツで頭を叩きながら)うるさいな。水兵なんだから、黙って掃除やれ」
ポポ「(バケツを放り投げ、驚き)うわー、何があった」
タカ「(頭を叩きながら)白々しい。早く拾って来い」
ポポ「(バケツを拾って戻ってくる)」
タカ「バケツだけじゃ掃除できないだろう。モップも拾って」
ポポ「(バケツをタカに渡し、転がっているモップを拾う。頭を上げたらタカが持っているバケツに当たり、タカはバケツを頭からかぶってしまう)」
タカ「(バケツを取り、帽子を叩きつけ)この野郎」
ポポ「(モップにまたがりながら)マハリク、マハリタ、ヤンバラヤンヤンヤン」
タカ「(バケツでポポの頭を叩く)どうしてそんなくだらないことばっかりやるんだよ」
ポポ「(頭を押さえながら、小さな声で)角が当たっちゃった」
タカ「恥ずかしくなんないか。」
ポポ「(ふてくされながら、片手でモップ掃除を始める)」
タカ「ふてくされるなよ。真剣にやれ、真剣に。」
ポポ「(モップで掃除をするふりをして、タカの足元へ当てようとする)」
タカ「(タカ、足を上げてかわすが、下におろした時、バケツにはまってしまう。抜こうとするが、取れない)」
ポポ「(口笛を吹きながら、反対方向を向いてモップ掃除を始める)」
タカ「おい、おい。こら、ちょっと。うえ~~ん」
ポポ「わかった、わかった、悪かった」
タカ「えへへへへ」
ポポ「お前がやると気持ち悪いんだ」
タカ「大きなお世話だ。取ってくれ」
ポポ「(タカのバケツの入った足を持ち上げる)せーの(バケツを持って前に行く。足も一緒に行くので、股がどんどん広がる)」
タカ「あー、裂ける、裂ける(とポポの鼻をつかみ、引っ張って元に戻す)」
ポポ「何すんだ。(次は股の間にタカのバケツのはまった足を入れ、バケツを引っ張る。ようやくバケツが取れるが、そのまま手が上の方に行き、後ろのタカの頭を直撃)」
タカ「(頭を抱えてうずくまる)」
ポポ「(バケツを両手で掲げながら)取れた!」
タカ「お前なあ」
ポポ「本日の業務はここまで」
タカ「勝手にやめるな、お前は」
ポポ「(足で転がっているモップを踏む。モップが浮き上がり、寄ってきたタカの顔を直撃)」
タカ「(タカ、そのまま倒れる)」
ポポ「(タカの頭を叩きながら)おーい、おーい。おい。」
タカ「(ポポ、タカの頭を上げて上半身を起こす)」
ポポ「しっかりしろ(とタカから手を離すと、タカ、上半身が倒れこみ、逆に足が90度上がる)。よいしょ(ポポ、タカの足を下げようとしたら、今度はタカの上半身が上がる。タカの頭がポポのお尻に当たり、ポポはそのまま前方に一回転)」
ポポ「くそー(と右足を踏み、タカの頭を下げさせると、今度は左足だけ90度持ち上がる)。おい(と声をかけると、今度はタカの左足が下がり、右足が90度上がる)。」
ポポ「この野郎。おい、大丈夫か(と右足にスピニング・トゥホールドをかけながら声をかける)。しっかりしろー(しかし目覚めない)。行くぞ(とフライング・ボディプレス)。ワン、ツー(とフォールをする。ポポ、そこで体を起こすが、タカは左肩を上げる)」
ポポ「おかしい。ようしこうなったら」
と舞台の袖にはけ、バケツを持ってくる。水の入ったらしきバケツを持ってきて、タカに掛けようとしたら、タカの体に足が当たり、もつれて客席のほうにバケツを向ける。水が飛び散ると思って客席からは「キャー」。しかしバケツから出てきたのは紙テープなど。
ポポ「やあい、騙された」
タカ「(起き上がり)いい加減にしろ」

 京唄子から、「米丸師匠と話をしていたんですけれどね。背の高い方の人(タカ)が宝塚っぽい」。タカ、思わずポーズ。皆からは「面白い」と好評だったが、鳳啓介からは「面白いというような、面白くないというような」。すかさず唄子「私は面白かったですよ、なんでそんなこと言うの」。そこへ中尾ミエ「二人の意見が合わなくたっていいんですよ、今更」と笑いを取る。唄子からは「踊りかダンスをやっているの?」タカ「ダンスのレッスンを受けています」唄子「そうでしょ。どたばたじゃなくて、動きが綺麗」。
(5週目合格 No.100 1982年3月13日放送)

 海賊コント。タカが海賊の船長。ポポはなぜかインディアンの海賊。二人で航海に乗り出す。
 タカ「よし、敵が来ないかどうか上に登って見張ってくれ」
 ポポ「よし、わかった」梯子をのぼるパント。タカがどんどんしゃがんでいく。
 ポポ「あ、いけね、梯子下ってた」タカがこける。
(6週目合格 No.101 1982年3月20日放送)
(サバイバルシリーズ1回戦 90点○ No.187 1983年11月19日放送)

 タカの怪傑ゾロ。
 腰に剣、帽子にマント。顔を隠すアイマスク姿の怪傑ゾロに扮したタカとポポがギターを弾きながら、「怪傑ゾロのテーマ」を歌う。
 歌を歌い終わった後、ポーズを取り、

タカ「私の名前は」
二人「怪傑ゾロ」
ポポ「うっ、ゾロが二人」
タカ「どちらかが偽物だ」
ポポ「ということは、私が偽物だ」
 ずっこけるタカ。
ポポ「ちくしょー、どうして私が偽物だと分かった」
タカ「おまえ、自分で言いふらしているんじゃないか」
ポポ「言わなきゃ、わかんなかったか」
タカ「わかるよ、お前。何だ、その格好は。なんだこのマントは。今時、唐草模様の風呂敷なんてないぞ。それにその帽子、シャンプーハットじゃないか」
ポポ「大きなお世話だ。そういうお前こそ、偽物じゃないか」
タカ「私は、正真正銘、怪傑ゾロだ」
ポポ「ウソをつけ。ゾロは、クランク・ケーブルやアラン・ドロンみたいにいい男なんだ」
タカ「そうだ、私はいい男だ」
ポポ「だったら、マスクを外してみろ」
タカ「それは困る。ゾロの正体は、秘密なんだ」
ポポ「そんなこと言って。お前、顔に自信がないんだろう。私はある」
タカ「そこまで言うんだったら、顔を見せてみろ」
ポポ「ようし、驚くなよ」
 ポポ、アイマスクを外す。
ポポ「どうだ、口ほどにもないだろう」
タカ「何が口ほどにもないだ。本当に情けない顔だな」
ポポ「そんなことはない。私はいい男だ。スー族の火野正平といわれている」
タカ「お前、そればっかりだな」
ポポ「そういうお前はどうなんだ」
タカ「いや、ゾロは顔をさらしちゃいけないんだよ」
ポポ「やーい、やーい、見せられない顔なんだろう」
タカ「よし、わかった。見せてやる。(マスクを取り)どうだ」 ポポ「なんだ、その顔は。まるで宝塚じゃないか(タカは4週目で、「宝塚みたいな顔」と京唄子に言われていた)」
タカ「ばかやろー、人を鳳蘭みたいに言うな」
ポポ「(いきなり鳳啓介の物まね)へえ、鳳、蘭でございます」
タカ「おまえ、全然違うだろう。よく本人の目の前でできるな。(うずくまりながら)せっかくここまで来たのに、あー駄目だ、もう落ちた」
ポポ「大丈夫だ。みんな今のギャグ、わからなかった」
タカ「受けないギャグをやるなよ」
ポポ「ところでおまえ、なぜこの町に来たんだ」
タカ「実は風の噂で、この町にすごい剣の達人がいると聞いたから、腕試しに来たんだ」
ポポ「そうか、実はその剣の達人を私、よく知ってる」
タカ「そうか、どんなやつなんだ」
ポポ「すごいやつだ」
タカ「いや、すごいやつというのは知っているから、どんなすごいやつなんだ」
ポポ「(悩んだ後、いきなり喉を押さえ)く、くるしいー」
タカ「わかんないのならやめろ。表現力がないなやつだな。もういい、一人で探す」(と、去ろうとする)
ポポ「わー待って、待って。ぞーろさん、ぞーろさん、おーはなが、長いわけないだろ(と自分で自分の頭に突っ込む)」
タカ「近寄るな。病気がうつる」
ポポ「(いきなり泣き出す)えーん、えーん」
タカ「わかった、わかった、一緒に連れて行くから」
ポポ「えへへへへへ」
タカ「気持ち悪いから、それやめろって」(お約束のギャグである)
タカ「さあ、剣の達人のところへ案内してくれ」
 いきなり座り、何かを始める。
タカ「おい、何をやっているんだ」
ポポ「吉備団子を作っているんだ」
タカ「馬鹿野郎。桃太郎の鬼退治じゃないんだ」
ポポ「しまった。鬼退治じゃないのか」
タカ「当たり前だ」
ポポ「えっ、違うのか。もう、犬とキジを呼んでしまった」
タカ「どうして、そういうよけいなことをするんだよ。いいから早く案内しろ」
ポポ「わかった。こっちだ(と指を指す)」
タカ「よし、こっちだな。行くぞ」
と、タカは指を指した方を歩き出そうとするが、ポポは反対方向に歩き出したので、思いっきりこける。
タカ「おまえ、こっちを指さしていたじゃないか」
ポポ「こうやってましたー(指の先だけ反対側になっている)」
タカ「卑怯なやつだな。こっちだな」
ポポ「そうだ、こっちだ(と指を指す)」
タカ「よし、行くぞ」
と指を指した方に歩き出そうとするが、ポポは反対方向に歩き出したので、思いっきりこける。
ポポ「へへへへ、同じ手を二回もやるとは思わなかっただろ」
タカ「どっちなんだ、はっきりしろ」
ポポ「こっちの方が近道なんだ」
タカ「よし、わかった、こっちから行くぞ」

ぐるっと回って

ポポ「ここだ」
タカ「おー、そうか」
ポポ「ここが郵便局だ」
タカ「(こけながら)何の用があるんだよ、一体」
ポポ「ここが目印なんだ」
タカ「それを早く言え」
ポポ「ここから3キロだ」
二人で一歩ずつ歩きながら、「1,2,3キロ」
ポポ「この家だ」
タカ「よし、わかった。おーい」
ポポ「なっかむら、くん」
二人「(手を振りながら)ちゃんかちゃんか、ちゃんか、ちゃんか」
 タカ、踊りを止め、ポポの頭を叩く。
タカ「何が中村君だ。見ろ(と客席を指さしながら)、静かになっちゃったじゃないか」
ポポ「いや、本当に中村君と言うんだ、その剣の達人は」
タカ「そうか、おーい、中村さん」
ポポ「(いきなりタカの目の前に出て)そうです、私が中村です」
タカ「なんだ、おまえが剣の達人か」
ポポ「そうだ」
タカ「俺を馬鹿にしているのか。俺、帰るぞ(と、その場を去ろうとする)」
ポポ「(タカと反対方向に逃げたあと)ま、待て。逃げるのか、卑怯者」
タカ「どっちが卑怯者だよ。言っていることとやっていることが一致しないな」
ポポ「勝負するのか?」
タカ「わかった、わかった、勝負してやろう」
 二人離れて、剣を向けあう。
タカ「よし、行くぞ」
 剣を交わそうとしたが、ポポ、剣を持ったまま、タカの周りをステップを踏みながら一周する。
ポポ「(ボーっと立ったままのタカをみて)だいぶ動揺しているようだな」
タカ「呆れているんだよ、よし行くぞ」
 剣が交わり、一進一退の攻防。
ポポ「(タカの後ろを指さし)あっ」
タカ「(ポポと同じように指を指し)あっ」
 ポポ、後ろを振り向き、タカに頭を叩かれる。
ポポ「くそー。(地面を指さしながら)あ、百円」
タカ「三百円」
ポポ「どこどこ」
タカ「さがすな」
 ポポ、またもタカに頭を叩かれる。
ポポ「ちくしょー、卑怯な手を使いやがって」
タカ「そっちが先に使ったんじゃないか。勝負だ、行くぞ」
 二人、再び剣が交わるが、タカがポポの剣を払い落とす。
ポポ「(落ちた剣を見ながら)どうやら剣では勝負が付かないようだな」
タカ「どう見たって俺の勝ちじゃないか。覚悟はできているか」
ポポ「よーし、許してくれ」
タカ「威張って言うことか、お前。覚悟はいいか」
ポポ「助けてくれ」
タカ「駄目だ」
ポポ「もうしません」
タカ「ダメだ」
ポポ「これほど頼んでもダメとは、変わったヤツだ」
タカ「訳わからないこと言うな。インディアンだから、いさぎよくしろ」
ポポ「よし、わかった。俺もスー族の一員だだ。覚悟を決めた。ただ、最後に一つ頼みがある」
タカ「なんだ」
ポポ「命だけは助けてくれ」
タカ「いい加減にしろ」

 ギャグが決まっていた、タカの童話的なしゃべり方が今回はなかった、今まで一番面白かった、と大好評。
(7週目合格 No.102 1982年3月27日放送)

 二人でベビー服を着て、立膝で中尾ミエの『可愛いベイビー』にのり、ダンスを披露。途中で早送りになり、最後はキスをして二人でのけぞる。
タカ「(立ち上がりながら唇を触って)気持ちわりい。ホントに触っちまった。(周りを見回して)やった」
二人「(握手をしながら)とうとうやったな」
タカ「脱獄、大成功だ」
ポポ「(ベビー服の上を脱ぎながら)おれたちは自由だ!」
タカ「(ベビー服の上を脱ぐ。二人とも赤と白の縞模様の囚人服)ようし、行くぞ。あの歌がよかったかな」
ポポ「そうだな~」
タカ「それにしても、やるぞ~。今日からまた、ひと暴れだ~」
ポポ「(脱いだベビー服をキレイに畳んでいる)」
タカ「お前、何やってんだ」
ポポ「私、几帳面な性格」
タカ「何が几帳面だよ。脱脂綿みたいな顔をして」
ポポ「(顔をベビー服に埋もれさせてずっこける)脱脂綿ってことはないだろ」
タカ「だいたいな、逃げてきたばっかりでそんなこと」
ポポ「(脱いだベビー服をわきに持っていこうとしたら、足に鎖が付いていたので、ずっこける。ところがその拍子に、タカの鎖が外れてしまう。寝ころんだまま後ずさりし、鎖をタカの足元まで持ってくる)」
タカ「お前、何すんだよ、この野郎(と慌てて鎖を足につけなおす)」
ポポ「(立ち上がりながら)何をする~」
タカ「折角ついていた鎖を切るな」
ポポ「あら~」
タカ「そんなことより、早くズボンを脱げ」
 二人でベビー服のズボンを脱ぐが、鎖に絡まってしまう。
ポポ「お、脱げない」
タカ「脱げてるよ(タカの脚の鎖が外れてしまう)。そんなことはいいんだ、早く鎖を切れ」
ポポ「(背中からトマホークを取り出す)。ようし行くぞ(とタカが抑えている鎖を切ろうとして、自分の頭を叩いてしまう。頭を押さえながら)何をする」
タカ「お前、自分でやったんだろ」
ポポ「ばれたか~」
タカ「早くしろ」
ポポ「ようし、いくぞ(と鎖を押さえているタカの頭を叩いてしまう。タカ、痛くて倒れ込む)」
タカ「痛えな!」
ポポ「(鎖が外れた足を見せながら)脱げたぞ」
タカ「ホントだ」
ポポ「ようし、これで自由だな(とくちゃくちゃのベビー服をそのまま放り出す)」
タカ「お前、全然几帳面じゃないじゃないか」
ポポ「細かいことを信じるな。それより約束通り、私を仲間にしてくれるか」
タカ「お前ね、お前の顔は泥棒向きじゃないんだよ」
ポポ「じゃあ、お前の顔なら泥棒になれるのか」
タカ「ああ、これくらいならなれる」
ポポ「ほー。(顔をくしゃくしゃにしながら)なれるか?」
タカ「そんな顔をするな。俺がそんな顔、してるか」
ポポ「(変顔をしながら)これか」
タカ「朝までやってろ(と立ち去ろうとする)」
ポポ「(そんなタカを引き留めながら)私はお前みたいな大物になりたいんだ」
タカ「お前が大泥棒なんかになれるわけないだろ」
ポポ「そんな言い方、しなくたっていいだろ」
タカ「俺ぐらいになれば、交際関係、大物ばかりだ」
ポポ「ほう」
タカ「例えば、ルパン三世。私の友達だ」
ポポ「ホントか」
タカ「(山田康雄に手を振りながら)な!(山田康雄、口を開けてびっくり。隣で中尾ミエ、大笑い)」
ポポ「相手にしてくれないじゃないか~」
タカ「大泥棒になるには、三つの条件がある」
ポポ「急に話に戻るな」
タカ「その一、血筋だ」
ポポ「なんだ?」
タカ「血筋! つまりだ。私のお母さんは、かの有名なピンクパンサーだ」
ポポ「ピンクパンサー!」
タカ「おじいちゃんは弁天小僧だ」
ポポ「(顔をしかめながら)えー」
タカ「どうだ。お前の血筋はどうだ」
ポポ「(手を振りながら)私、羊飼ってない」
タカ「羊じゃない、血筋!」
ポポ「ああ、そうか。(後ろを向いて首を見せながら)ほれ」
タカ「(突き飛ばしながら)それはうなじだ。何やってんだ」
ポポ「違うのか?」
タカ「俺が言ってるのは血筋。つまり血統だよ」
ポポ「なるほど~」
タカ「お前、お父さんは?」
ポポ「****(多分競馬の馬の名前)」
タカ「お母さんは?」
ポポ「****(同じく馬の名前)」
タカ「(頭を叩きながら)お前、*****か(これも馬の名前)」
ポポ「どうして嘘だってわかった!」
タカ「誰だってわかるよ、そんなこと」
ポポ「えっ」
タカ「うそつきは泥棒の終わりだぞ」
ポポ「始まりじゃなかったか」
タカ「よし、それじゃ第二条件を教えてやろう。変装だ」
ポポ「それだったら得意だ。それ、一、二、三四(と二人で柔軟体操)」
タカ「(頭を叩く)それは体操だ。俺が言っているのは変装。お前、この服を見て、何に見える」
ポポ「囚人!」
タカ「それじゃ、全然変装になってないじゃないか。他のもの考えろ」
ポポ「他のもの。(自分の服装を見て)カラス!」
タカ「お前、俺を馬鹿にしてるのか」
ポポ「えっ」
タカ「こんな派手なカラス、どこにいんだよ」
ポポ「(小さい声で)いや、たまに、そんな……」
タカ「お前んとこの烏は、こんな縞模様してるのか」
ポポ「苦しい~(いつものギャグ)」
タカ「ごまかすな。もっと他にあるだろ。例えば、縞々の蜘蛛!」
ポポ「くも~?」
タカ「例えば、向こうから人がやってくる。すばやく(しゃがみ込んで足を掴みながら)蜘蛛!」
ポポ「なるほど~」
タカ「蜘蛛に見えたか?」
ポポ「さすが、インテリ」
タカ「お前もやってみろ」
ポポ「よし」
タカ「あっ、向こうから人がやってきた」
ポポ「(タカと同じポーズで)猿!」
タカ「(頭を叩く)何が猿だよ」
ポポ「猿じゃなかったか?」
タカ「蜘蛛だよ」
ポポ「わかった」
タカ「もう一度行くぞ。向こうから人が来た!」
ポポ「(同じポーズで)豚!(そのまま横っ飛び)」
タカ「わざとらしい」
ポポ「(そのままの格好でタカに近づく)」
タカ「お前、うまいな~」
ポポ「な!」
タカ「ゴキブリが」
ポポ「ブブブ(と倒れ込む)蜘蛛って言ったじゃないか」
タカ「お前のはゴキブリに見えんだよ」
ポポ「そんな言い方しなくたっていいじゃないか」
タカ「だいたいな、そんな馬鹿なことばっかりやってると、立派な泥棒になれないぞ」
ポポ「そんなこと言わずに頼む」
タカ「どうしてもなりたいか」
ポポ「どう~してもなりたい」
タカ「よし、それじゃ大泥棒の条件、その三だ」
ポポ「うん」
タカ「身軽であること」
ポポ「あ~、私軽い。500グラム」
タカ「お前はひき肉か。違う、俺が言ってるのは、身が軽いかどうかってことだよ」
ポポ「ああ、だったら私は身軽。お姉さんは身重」
タカ「よけいなことを言うな。誰がお姉さんの話してるんだ」
ポポ「よけいだったか」
タカ「よし、本当に身軽だったら、証拠見せてみろ」
ポポ「よし、みてろ。(横側転、とんぼ返りを披露)どうだ!」
タカ「なかなかやるじゃないか」
ポポ「私、角兵衛獅子にいた」
タカ「お前、何の話をしてるんだよ。角兵衛獅子のところ、みんなシーンとしたじゃないか」
ポポ「いいんだ、私がわかっていれば」
タカ「どういうコントをやってるんだ、俺たちは。いいか、次は俺がもっとすごい技を見せてやる」
ポポ「もっとすごいやつ」
タカ「見てろ」
ポポ「よし」
タカ「(見事に逆立ちをするが、そのまま倒れてしまう)」
ポポ「これはどういう技だ」
タカ「これか。これは、今日はこれまで」
ポポ「(ずっこける)」

 「ベビーから泥棒に行くというアイディアがいい」「なんとなく学芸会風なんだけど、アイディアのよさで見てしまう」「最初のダンスが強烈だったから、フィニッシュでもう一つ何かあればよかった」「鎖が切れたところはああいうごまかし方でいいけれど、あれでちょこっと焦ったかな」「後半は間延びしていた」。後半は間延びしていたので、合格はぎりぎりだったと思う。
 二人がはけた後、中尾ミエが「気をつかわせて悪いけれど、私が可愛いベイビーで、山田さんがルパン三世で、これしか売り物がない」。山田康雄も苦笑。
(8週目合格 No.104 1982年4月10日放送)

タカ:ミュージカルを目指す若者
ポポ:ミュージカルを目指す若者インディアン

 タカが座長を務めるミュージカルに インディアン(ポポ)が入団を志願する。
 ミュージカル風に歌って踊るコントをしていた。

タカ「お前、本当にミュージカルが好きなのか?じゃあどんなミュージカルに影響を受けてこの世界を目指しにきたんだ?」
ポポ「ああミュージカル大好きだよ。一番影響を受けたのは“王様とたわし”だ!!」
タカ「“王様とたわし!?”それを言うなら“王様と私”だろうが……。なんで王様がたわし持って掃除しなけりゃならないんだ!!」
タカ「お前、歌とか踊りとかできるのか?」
ポポ「あったり前だよぉ~。見てて、1番、スー族ポポ」
といいつつ「伊豆地方の大漁節のような民謡」を歌い、タカすかさず「ズルッ」とコケる。
タカ「うちのミュージカルは海外向けなんだよ!! それじゃあジン・ケリーの「雨に歌えば」とか、この傘とタップダンスを交えて歌って踊れるのかい?」
ポポ「あったり前だよぉ~」
タカ「(タップダンスをしながら)ダッシ~~~ンギン'、イン・ザ・レイーーン。シ~~~ンギン'、イン・ザ・レイーーン」とタカが見本を見せてる最中に……。
ポポ「雨にぃ~濡れながぁ~らぁ~~、佇ぅ~~む人がいるぅ~~~」と三善英二の「雨」を熱唱。タカこける。
 ポポはなんちゃっての格好をして「許してくでェ~~~」というギャグをしていた。
 最後に僕たち2人のミュージカルが成功しますようにという意味を込めた歌「チャンス」という歌を披露する。
 ところが、最後に2人で「チャ~~~ンス」といって手を広げるのだが、ポポはタカのほっぺた目掛けてひっぱたく。そこでタカ「いい加減にしろ!!」といって締める。

 8週目でマジック・タップダンス等の今まで見せていなかった物を出したので審査員から「まだ何か隠し持っていそうな可能性を秘めている」と絶賛され、ネタ的にも短かったので「もっと見たかった」と言われてました。
 オチが弱かったのと、被っていた帽子(発泡スチロール?)でポポの頭を叩いたタカの帽子が割れたり。相変わらず力加減に気合が入り過ぎたネタでしたね。
(9週目不合格 No.105 1982年4月17日放送)

 ギャングコント。タカが殺し屋、ポポが手伝いのインディアン。ポポが馬の人形に入って登場。
タカ「手を挙げろ」
ポポ「手は挙げられないが、足なら挙げられる」
タカ「馬に乗ったままでやれるのか」
 ポポは馬の人形をつけたまま逆立ちをする。
(第3回ゴールデンルーキー賞3回目 48点 No.140 1982年12月18日放送)

巌流島の決闘コント

タカ「待ちかねたぞ!武蔵~」
ポポ「待ちかねられたぞ!小次郎~」
タカ「待ちかねたぞ!武蔵~」
ポポ「ハッハッハ……ごめんねェ~」
タカ、素直にポポが謝ったのでコケる。
ポポ「その前に正眼……ア~~ア~~ア」
中段の構えと見せかけ、手足をバタバタさせ、目は白目・口は半開きにして、タカに襲いかかる。

 最後は刀での決闘。両足で真剣白羽取りをやったはいいが、力を入れて股間に当たり「ギャー」。第3回ゴールデンルーキー賞では最高得点の48点を取る。
(第3回ゴールデンルーキー賞決勝 特別敢闘賞受賞 ナンバリング無特番 1983年1月1日放送)
 和太鼓を叩くコント。二人とも最後の方は諸肌を見せて真面目に和太鼓を叩き、正月らしく盛り上げていました。
(爆笑オンステージ No.177 1983年9月10日放送)

 最初の挨拶では、ビートたけしの野球チームのユニフォームを着て登場。
 毎度のインディアンコント。ポポはまた馬に乗って登場。さらに普通の人はぜったやらないものまねをやると言って、ロバの物まねをやって少し受ける。今日こそ決着をつけると、ロシアンルーレットで勝負。
(サバイバルシリーズ準決勝 89点× No.192 1983年12月24日放送)

武蔵と小次郎ネタ改訂版。
佐々木小次郎:タカ
宮本武蔵:ポポ

 琴の音色にのせて小次郎が登場。扇子を持って、舞い踊る。
小次郎「私の名は佐々木小次郎。今日私は巌流島において、生涯の宿敵、宮本武蔵と勝負することになった。しかし武蔵は来ない。武蔵はまだか~」
 『大江戸出世小唄』(高田浩吉)が流れる。武蔵、扇子を持って踊りながら登場。
武蔵「武蔵だぞ~」
小次郎「おい」
武蔵「おお、桃太郎」
小次郎「誰が桃太郎だ。私は小次郎だ。遅い、待ちかねたぞ」
武蔵「はっはっはっは。ごめんね」
小次郎「おのれ、ばかにしよって」
 小次郎、苦労しながら背中の刀を抜き取って襲いかかる。
小次郎「いくぞ」
武蔵「まあ、待て。そんなに死に急ぐこともあるまい」
小次郎「ええい、問答無用」
 小次郎、刀を持って降りかかるが、武蔵、余裕で刀を押さえる。
武蔵「だいぶ焦っているようだな。まだまだ若い(と、相手を突き飛ばす)。私は老けてる」
小次郎「武蔵、よく聞け。私はお前を倒すために新しい技を編み出した。冥土のみやげだ。見せてやろう。秘剣、ツバメ返しだ」
 小次郎、こけながら刀を振り回す。
小次郎「どうだ」
武蔵「恐ろしい技だ。しかし、私の技には敵うまい。(両手を二本の刀にかけながら)諸刃流、正眼、(両手を降りながら~)だあ~」
小次郎「わあ~。何をするんだ、お前は。何が正眼流だ。単なる顔面崩しじゃないか」
武蔵「だいぶ動揺しているようだな。とにかくお前の剣なら、私が刀を抜くまでもあるまい」
小次郎「ほざいたな。小次郎の刺し、見事受けてみるか。たぁ~」
 小次郎、刀を振り下ろす。武蔵、刀を白羽取りで受けようとするが、失敗し、刀が頭に当たる。
武蔵「真剣額取り」
小次郎「そんなものあるか。完全に切れているじゃないか」
武蔵「来るなら来ると言え」
小次郎「行くと言って、来いと言ったじゃないか」
武蔵「うるさい」
小次郎「行くぞ。たぁ~」
 武蔵、見事白羽取りを決める。そして相手の刀を奪い取る。
武蔵「驚くのはまだ早い」
 武蔵、刀を口に当て飲み込もうとするが、失敗して吐き出す。
 続いて手のひらで刀をなでた後、手のひらを見せ、血が出ていないことをアピール。
小次郎「待てや、お前は」
 小次郎、刀を取り返す。
武蔵「とにかく、お前には私は倒せん」
小次郎「ふん、面白い。なれば勝負よ」
 小次郎、鞘を捨てる。
武蔵「小次郎破れたり」
小次郎「何」
武蔵「鞘を捨てたということは、勝ったら、勝ったで……また……鞘……、さあ来い」
小次郎「何を言いたいんだ。行くぞ。秘剣、ツバメ返し」
小次郎、刀を構える。
 武蔵、二本の刀を取ろうとするが、引っかかってなかなか抜けない。ようやく抜けて、二本の刀を構える。
武蔵「北辰一刀流」
小次郎「ウソをつけ、己は。二本使って、どこが一刀流なんだよ」
武蔵「(左手の刀を振りながら)こちらはポーズだ。本物はこっち(右手)で、こっち(左手)は、とぉ~」
 いきなり左手の刀で小次郎を突き刺そうとするが、小次郎は振り払う。
武蔵「かからなかったか~」
小次郎「卑怯なことばかりしおって。行くぞ~」
 刀での斬り合いをする。小次郎の振り下ろす刀を武蔵は刀で受けようとするが、4回とも失敗し、すべて頭で受ける。
武蔵「危ないところだった~」
小次郎「危ないとか、そういう問題を過ぎているだろう。刀ががっつんがっつん当たっているぞ」
武蔵「頭で受けたんだ」
小次郎「できるか、そんなことが」
武蔵「私は石頭だ」
小次郎「うるさい」
 再び勝負。見事小次郎が武蔵を斬る。
武蔵「うわぁ~。峰打ちじゃ」
小次郎「勝手に決めるな、馬鹿野郎。ちゃんと今刃の方で斬ったぞ」
武蔵「まぐれだよ。戯れ言はそれまでじゃ」
小次郎「お前が一人でやっているんだよ。いくぞ~」
 見合って互いに右へ動く。続いて左へ動く。小次郎、右へ動き出し、武蔵も右へ動こうとしたら、小次郎左へ動き、武蔵、ずっこける。
小次郎「かかったな」
 再び斬り合う。刀が当たり、向かい合った瞬間、武蔵、いきなり唾を吐き掛ける。
小次郎「わぁ、きたねえ。汚いことをするな」
武蔵「うるさい。勝負に汚いも卑怯も付き物だ」
小次郎「勝手に決めるなよ」
 再び斬り合う。激しい勝負の結果、小次郎が武蔵を斬る。
小次郎「勝った。私が武蔵に勝ったぞ~」
武蔵「小次郎~」
 武蔵、苦しみながら小次郎の袖をつかむと、袖が取れる。
小次郎「あっ」
武蔵「小次郎~。(破れた袖をかざしながら)破れたり」
小次郎「いい加減にしろ」
エピソード
 『テレビ演芸』では2週勝ち抜き。お笑いスタ誕での活躍が嘘のようでした。あまり、ウケていなかった。客層が違うのかな。
 当時事務所の社長とギャグ・メッセンジャーズの須間一露が仲良かったため、カージナルスのコントに色々な動きを付けてくれた。ネタ的には古かったので、二人の意向ではなかったが、それがお笑いスタ誕ではとんとん受けてしまったため、結局インディアンネタを続けた。
(文化放送『大竹まことゴールデンラジオ』2010年2月23日 つまみ枝豆ゲストの回より)
 カージナルスがグランプリシリーズをミュージカル風のネタで勝ち進んでいったときのコメントで「踊りは同じ事務所の人に教わってます」といってました。これって当時同じライムライトにいたあらんどろん、つまり南流石から習ってたってことでしょうね。
 ゴールデンルーキー賞、1回目のカージナルスネタです。同じネタがやれると言うので、大筋は1週目のネタで9週目の落ちたネタをミックスしたものでした。いつものようにインディアンと勝負のネタで、背中を合わせて1・2・3歩で打ち合うというのを、タカと同じ方に歩いていき振り向いたところをオノで思いっきり頭を殴った時に事故は起こりました。「頭割れたらどうするんだよ!」と言うタカに間髪入れずに「アッ、ホントに割れてる!」と驚くインディアン。テレビからはそれほど解りませんでしたが、コント後下手にはけるタカ。汗もあり血が多く見え、会場は心配だったようでした。笑いが少なかったのは、観客も笑っている場合でない雰囲気だったのでしょう。審査の後半にタカは現れましたが、かなり注意されていました。ゴールデンルーキー賞前半で上位にいなかったのはこの流血の件がコンビの息の良さに、影響がでた事が原因だと思いました。
 京唄子からはやたら褒められていた。本人たちも自覚していた様子。
 ツーツーレロレロと一緒に歌合戦に出て「竹田の子守歌」をうたったときはたけし軍団としてでてました。
感 想
 リズム感溢れるコントでとても面白かったです。番組内では若手コメディアンの有望株でした。二人のテレビ映りもよかったですし、絶対売れると思っていたんですが。
受賞歴
(すべてたけし軍団として)
 1985年 第13回日本放送演芸大賞ホープ賞受賞(最優秀ホープ賞は小堺一機)
 1985年 第5回花王名人大賞最優秀新人賞受賞
 1986年 第15回日本放送演芸大賞優秀ホープ賞受賞(最優秀ホープ賞はコント山口君と竹田君
 1986年 第6回花王名人大賞名人賞受賞(最優秀名人賞は太平サブロー・シロー)
著 書
(たけし軍団名義は除く)
 ガダルカナル・タカ、つまみ枝豆 『湯ヶ島キッド』(太田出版,1988)
 つまみ枝豆『戦慄「たけし軍団」の霊界秘話』(主婦と生活社,1990)
 ガダルカナル・タカ『フェアウェイの罠―ゴルフトーナメント殺人事件』(太田出版,1991)
 つまみ枝豆『つまみ枝豆の今だから話せるぼくの恐怖生体験』(竹書房文庫,1999)
 つまみ枝豆『あなたのうしろに霊がいる!』(竹書房文庫,2000)
その後・現在
 事務所「ライムライト」が左前。最後の勝負ということで台湾で海外公演。ポスターに「ドリフターズ来たる!」とあったら彼らがニセドリフターズだった。台湾で人気者になって東京に帰ってきたら、事務所は潰れていて、ギャラは踏み倒されていた。
 社長の友人(資金源)が新宿の場所を提供してくれたので、スナック『ポプラ』を開く。最初は黒字が出ていたが、「たけし軍団」の東や大森、ダンカン、松尾たちが来るようになってから、店は左前に。軍団全員が来ては金を踏み倒し、おまけに店に来ている女の子に抱きついたり口説いたりすれば、客が逃げるのも当然。最後は朝野球の助っ人で知り合ったたけしも来るようになるが、騒ぎまくりでさらに客は減っていく。たけしも悪いことをしたのかと思い、「一緒に仕事しない?」と誘い、二人は店を閉め、1983年頃にたけし軍団入りをした。軍団入り後、名前を「ガダルカナル・タカ」「つまみ枝豆」に改名し、オフィス北野所属。カージナルスは自然消滅。
 以前、『怪傑えみちゃんねる』でタカがゲストで出たとき、お笑いスタ誕以降の苦労話をしていました。
 人気が出ていた頃、あるプロデューサーから大手事務所への移籍話が来たのですが、二人はすでに今の事務所に入っているということで断ったところ、すっかり干されてしまったとのことです(これが「ライムライト」が左前になった理由では?)。
 また、再結成というかどうかは分かりませんが、『スーパージョッキー』でかつて「前説ショー」というオープニングコーナーがあり(松村邦洋やダチョウ倶楽部、浅草キッドらが週代わりで出ていた)、思い出した頃にタカと枝豆が「カージナルス」の名で出ていました。彼らがやった内容は、タカが白衣、枝豆が農夫(?)の格好で、その日のゲストの歌う曲の歌詞を解説しながらいじるというものでした。
 1986年、東・大森・タカ・枝豆の4人で“たけし軍団count down”を結成。たけし軍団の中で歌のうまい人ということで大森、タカ、枝豆がすんなり決定。最後に東がおまけで滑り込んだ。デビュー曲「BON BON BON」はオリコン30何位かまでランクイン、『ザ・ベストテン』の「今週のスポットライト」にも出演、アイドル的存在にまでなった。
 タカは軍団の「親分」として活躍、たけしの右腕的存在。ピンでも様々なテレビ、映画、Vシネマなどに出演。
 枝豆もピンで様々なテレビ、映画、Vシネマ、舞台などに出演。その一方でパシフィック・フォーミュラー選手権への挑戦や、霊界ネタの本を出版なども。2006年から「劇団まめや」というコメディ劇団を主宰していた。2007年に解散。
 2018年3月、ビートたけしがオフィス北野を辞めた後、5月に枝豆が取締役就任。11月、枝豆が社長就任。
 2020年1月、「株式会社TAP」に商号変更。
 2018年3月25日、水道橋博士のトークショー「ザ・フランス座 6」にてガダルカナル・タカとつまみ枝豆がゲストで出演し、久しぶりにカージナルスのコントを披露。博士が書いたネタで、カージナルスと博士とゾマホンが登場。タカはガンマンで、枝豆は懐かしの馬の人形(?)にのって登場。
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名 前
怪物ランド
初出場
 1983年2月26日(第3期グランプリシリーズ)
実 績
 ストレートで10週勝ち抜き、グランプリ受賞。9組目。
ジャンル
 コント。
プロフィール
 平光琢也(リーダー):本名同じ。1955年1月13日生。岐阜県出身。
 赤星昇一郎:本名同じ。1955年11月25日生。熊本県出身。
 郷田ほづみ:本名合田穂積。1957年8月22日生。神奈川県出身。
 元々は平光琢也が日大在学中に結成した劇団魔天楼出身。その後3人で怪物ランドを結成。郷田ほづみは劇団にいたときから声優としても活躍していた。日本放送のアマチュア声優コンテストでグランプリ獲得。お笑いスタ誕出場中に『装甲騎兵ボトムズ』で主役のキリコ役をやったのは有名。
ネ タ
「怪物ランド」配役表です。「」は新聞のテレビ欄に載っていたタイトルです。

第一週 怪物くんコントPART1「大魔人ネタ」(怪物くん・・・平光 ドラキュラ・・・郷田 オオカミ男・・・赤星)
第二週 英語劇「英語劇」(マフィア1・・・郷田 マフィア2・・・赤星 情婦・・・平光)
第三週 ネズミの軍隊「ねずみの軍隊」(少佐・・・赤星 大佐・・・郷田 殿下・・平光)
第四週 E・T(板垣退助)「E・T」    (母・・・郷田 息子・・・平光 E・T・・・赤星)
第五週 怪物くんコントPART2「珍狼男」(怪物くん・・・平光 ドラキュラ・・・郷田 オオカミ男・・・赤星)
第六週 新撰組「変態新撰組ネタ」(沖田総司・・・平光 近藤勇・・・赤星 土方歳三・・・郷田)
第七週 ゲゲゲの鬼太郎「鬼太郎vs怪物くん」(鬼太郎・・・平光 子泣きじじい・・・赤星 ネズミ男・・・郷田)
第八週 迷信家族「迷信親子ネタ」(父・・・赤星 母・・・郷田 息子・・・平光)
第九週 ロボットストーリー「鉄腕アトムネタ」(博士・・・郷田 助手・・・赤星 ロボット・・・平光)
第十週 仮名手本忍者村「爆笑忍法ネタ」(一刀斎・・・郷田 でんべえ・・・赤星 サスケ・・・平光)
参考資料:「怪物ランドの生涯」より)
(2週目合格 No.150 1983年3月5日放送)
(爆笑オンステージ No.164 1983年6月11日放送)

マフィア1:郷田
マフィア2:赤星
情婦:平光

 黒づくめ、手にアタッシュケース、サングラス姿の郷田が登場。
郷田「怪物ランドがお送りする英語劇」
 音楽が流れて椅子に座り、腕時計を見ていると、スーツ姿、手にアタッシュケース、サングラス姿、頭に傷跡が書かれている赤星が登場。
郷田「(立ち上がり)It's too late.」
赤星「Oh,sorry. I am very busy mafia. You are ひま mafia.」
郷田「Bring the bag?」
赤星「Yah. You?」
郷田「Of course.」
二人「Let's trade」
赤星「Wait. Wait, wait. Honey!(指を鳴らす) Come here!」
 情婦の平光登場。
平光「Darling!」
赤星「Come on! Come on!」
平光「(スキンヘッドにキスして)I love you.」
郷田「あのー、あのー、he or she?」
平光「Me is she.」
赤星「Yeah!」
郷田「Who is she?」
赤星「She? My lover.」
郷田「Lover? Your lover?」
赤星「Yeah! My lover.」
平光「Darling!」
郷田「Unbelievable.」
平光「How do you do!(手を差し出す)」
郷田「How do you do!(握手する) What's your name?」
平光「My name is Tootsie(1982年に公開されたアメリカのコメディ映画).」
郷田「Tootsie?」
平光「His name is Gandhi.」
赤星「(サングラスをガンジー眼鏡にかけ替える。赤星の得意ネタ)」
郷田「Hey, Tootsie. Hey you. You are my type.」
平光「Your type!」
郷田「My type!」
平光「I love you!(と二人は熱い抱擁とキス)」
赤星「(慌てて止めに入る)No, no, kiss no! Coler eyes nothing!」
二人「Coler eyes nothing? 色目を使うな!」
平光「Sorry!」
郷田「Sorry. It's joke!」
平光「Sit down! Let's trade.(郷田と赤星、椅子に座る。平光は真ん中で立っている)」
 赤星が手を差し出すが、郷田は拒否し、お前が先に出せという仕草を見せる。
赤星「You frist」
郷田「Me? No, no, no. You first」
赤星「You frist」
郷田「You frist」
赤星「You!」
郷田「You!」
 二人立ち上がり、右手を懐に入れる。
平光「Stop! I have a good idea! Same time!」
郷田「Same time?」
赤星「Same time?」
郷田「Ginger nothing!」
赤星・平光「Ginger nothing? しょうがない!」
 郷田と赤星。二人が立って向き合い、ゆっくりと相手のアタッシュケースに手を伸ばし、同時に交換する。平光、拍手。
郷田「You look insert.」
赤星「You look insert.」
郷田「(アタッシュケースを客席から見せないように開け、人差し指ですくって舐める) Oh! 100% natural! Very good Tokyo purple!」
平光「Tokyo purple?」
平光・郷田「江戸むらさき!」
郷田「It's perfect. Thank you. Good bye!」
平光「Good bye!」
 郷田、去ろうとするが、赤星が持っているアタッシュケースが開かない。
赤星「No good-bye. Red nothing!」
平光・郷田「Red nothing? 開かない! No openでいいじゃないか、No openで」
平光「Key! key!」
郷田「Oh, sorry. Key in my pocket!」
平光「怒るわよ、キー!」
郷田「Key! Do you want?」
赤星「Yes, I do.」
郷田「OK. Let's trade.」
赤星「Trade? OK.」
郷田「Same time.」
赤星「Same time.」
 赤星と郷田、鍵とアタッシュケースを交換する。平光、思わず指差す。
 郷田、帰ろうとするが、振り返ると赤星がないと騒いでいる。
赤星「Nothing attache case.アタッシュケースがない。(郷田が持っているのを見て)おう、いつの間に。You are magician?(郷田と平光、ずっこける)」
郷田「誰がマジシャンだ! 誰が手品使った!」
赤星「Mysterious.」
郷田「It's joke.」
赤星「Mine.」
郷田「You are foolish!」
平光「You are foolish!」
赤星「Oh, thank you!」
平光「Hey you!」
郷田「Yes.」
平光「You are clever!」
郷田「Yes.」
平光「You are exciting!」
郷田「I'm intelly.」
平光「(郷田に抱き着く)」
郷田・平光「I love you!」
赤星「Honey? Your lover is me.」
平光「No. My lover is him.」
赤星「Ok.」
平光「だめ、ナイフなんか出したら危ない!(日本語を出して、うなだれる) dangerous!」
郷田「No!」
赤星「Let's fight!」
郷田「No!」
赤星「Let's fight!」
郷田「No!」
赤星「Let's fight!」
郷田「No!」
赤星「Let's fight!」
郷田「No!(とポケットからピストルを取り出す)」
赤星「Yes, no fight! You are friend.」
郷田「Friend?」
赤星「Friend!」
平光「All friend. Just moment.It's coffee time! Sit down.」
赤星「Please!」
郷田「Ok.」
郷田「(テーブルの上の大きなカップ2つを見て)American?」
赤星「(シュガーポットを取り出し)How many suger?」
郷田「Suger? Three.」
赤星「Ok.(スプーンを取り出し)one, two, three(1杯、2杯目はスプーンで入れたが、3杯目は瓶の中の砂糖を全部カップに入れてしまう)」
郷田「Three?」
赤星「So!」
郷田「Oh, thank you. I am 甘党.」
赤星「Ohh.」
郷田「You?」
赤星「No. I am diet. Suger cut!」
郷田「(ポケットから瓶を取り出し)It's solt. (ふたを開けて入れようとしたが、思い出したかのように) How many?」
赤星「One.」
郷田「(瓶の中身をそのまま全部入れてしまう。さらに空き瓶やふたまで入れてしまう)」
赤星「Thank you.」
郷田「Welcome」
 赤星と郷田、立ち上がり、懐に手を入れる。
平光「Stop!」
 平光、目を見張るが、赤星が取り出したのはマヨネーズ、郷田が取り出したのはケチャップ。
赤星「It's QP.」
郷田「QP?」
赤星「(マヨネーズをカップに入れる)」
郷田「Your nickname?」
平光「Yes, I do.」
郷田「Oh, sorry, sorry.(とケチャップをカップに入れる)」
郷田・赤星「It's delicious.」
郷田「(後ろのポケットから取り出す)Hey, kitchen soap. It's チョリーナ(商品名を変えたものと思うけれど、何かわからない)(相手のカップに入れる)」
赤星「(ポケットから取り出し)It's パパレモン. (カップの上、かなり高いところからキレイに入れたため、拍手)」
平光「Technician.」
赤星「Please, drinking.」
郷田「Drink?」
赤星「Yes.」
郷田「Ok, please?」
赤星・郷田「Same time.」
平光「Trouble. I'm pretty girl. To be, or not to be.」
赤星・郷田「(懐からストローを取り出す。空気を吹き込み、カップから泡立つ) Fantastic.」
平光「いい加減にしなさい」
三人「The end.」

 終了後審査員の京唄子が「新しい試みだと思っているけど、ドンキーカルテットが昔やってました」とコメント。
(3週目合格 No.151 1983年3月12日放送)

 ねずみの軍隊。「沢田研二ショー」で見たネタですが、クイズに答える訓練で「所ジョージのヒット曲は」という問題に、誰も答えられないというネタ。(所がゲストでした)
 3週目のネズミの軍隊ネタは、仲間がみんなネコにやられて残った3人の中にスパイがいる疑惑を検証するために、いろんな物の名前を順番に言っていく、というネタでした。花の名前で赤星さんがカリフラワーといってしまい言い訳すると「八百屋に売っている」と突っ込まれて「春菊も売っている」と返したり、ほかほか弁当の種類では「三色弁」「二色弁」「一色弁」(オチ)、「けん弁(けんちん汁弁当の略)」という風に赤星さんが落としていました。最後はネコに鈴をつける役目を平光さんの殿下がやるはずが、やっぱり赤星さんになって、しかもかさ地蔵になっておしまい。
(4週目合格 No.152 1983年3月19日放送)

 ETネタ。ET(赤星)と通信販売好きの少年(平光)と母親(郷田)のからみです。母親のキャラに後の知恵袋おばさんの原形が。ETを助ける代わりにせしめるお礼が通信販売グッズ(背が3メートル高くなる靴、家紋入レオタード)。最後は3人で自転車をこいで機動隊から逃げて、空にとんだら機動隊もとんでおわり。
(5週目合格 No.153 1983年3月26日放送)

怪物くんコント(藤子不二雄の代表的なアニメの実写版コント)
         平光琢也・・・・・怪物くん役
         郷田ほづみ・・・ドラキュラ役
         赤星昇一郎・・・オオカミ男
 まさに3人ともはまり役であった。

 たしかドラキュラ(郷田)が 「にんにく」 や 「十字架」 に弱いところなどを怪物くん(平光)がドラキュラをからかって上手くコントにしていた。
怪物くん  「あっ もう10時か・・・」
ドラキュラ 「10時か・・・10じか・・・十字架・・・怖いぃ~~~!!」とか

ドラキュラ 「坊ちゃん 昨日は何を食べたのですか?」
怪物くん  「餃子とレバニラ炒め」
ドラキュラ 「にんにく!!・・・・こっ 怖いぃ~~~!!」とか

 あと極めつけが着ぐるみを着たオオカミ男(赤星)が夜から朝になって人間の姿(スキンヘッド)に戻ったまではいいが着ぐるみを取って頭が光ったからドラキュラが「太陽光線」と勘違いして
ドラキュラ 「やめてくれ~~!!直射日光は~~~!!」

・・・・・などと叫ぶギャグをやっていた。
 5週目の怪物くんパート2は狼男が恋煩いになっていろいろアドバイスをするねたでした。なぜか中華料理のメニューを言っても気持ちが伝わらなければならない、となって「好きだ」のつもりで「チャーハン」と言ったら「とても」を入れないとだめとなって「五目チャーハン」など。最後は恋の相手がパンダのホアンホアンだったというオチで、しめは「もう今日は飲茶!」「今週はこれでおシュウマイ」
(6週目合格 No.154 1983年4月2日放送)

 3人組が「なんだこの扉は?」と扉を開けると審査結果の回転台で「チャッチャカ、スチャラカ…」と不合格の音楽で3人がパントマイムで半回転したり、「池田屋」突入のはずがポテトチップスまみれで「湖池屋」と間違えたがオチまで、物凄いテンポで会場を一気に笑わし倒してました。
(8週目合格 No.156 1983年4月16日放送 迷信家族)

平光琢也 :一郎
赤星昇一郎:父
郷田ほづみ:母

 ちゃぶ台持って母が登場。

母「一郎、ごはんよお。すき焼きの鍋持っておいで」
 学生服姿の一郎、すき焼きの鍋を持って(いるふりをして)、登場。
一郎「熱い、熱い、熱い」
 母、一郎といっしょにすき焼きの鍋を掴むが
母、一郎「熱い、熱い、熱い。お父さん!」
 お父さん登場。
父「なんだい」
母、一郎「早くこっち来て」
 二人、鍋をちゃぶ台に置いて父の耳を掴む。
母、一郎「あー、熱かった」
父「人の耳を使うんじゃない」
 父、鍋をのぞき込みながら
父「今日はすき焼きか」
母「春休みで、一郎が東京の大学から帰ってきたからね」
一郎「お父さん、ただいま」
母「早く座って、座って。さあ、早く食べましょう」
(なぜか自宅なのに割り箸を割って)
三人「いっただきまーす」
 三人、箸を取って食べようとするが、お父さんが止める。
父「(客席を見ながら)母さん、なんだか人に見られている気がするな」
一郎「そういえば、そうだね」
母「人の家の食卓を覗く人なんかいないわね」
三人「いっただきまーす」
 箸を鍋に向けるが、箸が交錯する。一度箸を引っ込め、再び鍋に向けるが、やはり交錯する。
父「お母さん」
母「お父さんこそ」
父「私、しらたきで境界線を作りますからね。ここが父の陣地」
一郎「じゃあ、ここが僕ね」
母「お母さん、ここね」
三人「いっただきまーす」
 黙々と食べる三人。
父「一郎、大学の方はどうだ」
一郎「まあまあだよ。お父さん、会社の方はどう」
父「まあまあだな」
 父、一郎の陣地に箸を突っ込む。
一郎「お父さん」
父「何した?」
一郎「何したじゃないよ。今、不可侵条約結んだばかりでしょう」
父「いつお前の陣地に入ったっていうんだ?」
一郎「今、入ったじゃない」
父「証拠があるのか」
一郎「しらたきが切れているじゃない」
父「お前、そんなみみっちいことを」
一郎「じゃあ、これもらうよ」
父「それ、肉でかいぞ」
一郎「何言ってるんだよ」
父「じゃあこれ」
一郎「じゃあ」
母「待ちなさい。もう、局地戦はやめなさい」
一郎「じゃあ、○○○(飛行機の名前)、エンタープライズから飛び立って、肉をもらった」
父「ああ(泣)」
母「仲良く食べなさい。すき焼きなんか、閏年にいっぺんなんだから」
父「そうだ、仲良くね」
一郎「じゃあ、父さんにこの肉をあげるよ」
母「あら、一郎。いい子ねえ」(頭をなでる)
一郎「だって、父さんは会社で働いてるし、栄養付けてもらわないとね」
 一郎、肉を箸でつまんで父に渡そうとするが、
父「それはうれしいけれどな。一郎、肉を一度下に置きなさい」
一郎「どうして」
父「箸と箸でものを渡しちゃいかんのだ」
一郎「すぐ食べるからいいじゃない」
父「いや、いいから置きなさい」
一郎「じゃあ、俺の肉は喰えないってのか」
父「縁起が悪い」
一郎「縁起って何の」
母「お父さんの演技が下手ってこと」
父「母さん」
一郎「父さん、僕は寝る」
 一郎、そこにふて寝する。
父「一郎、起きろ。いいから起きろ」
 父、無理矢理一郎を起こす。
一郎「何でだよ」
父「牛になる。物を食べて寝ると牛になる」
一郎「いい加減にしてよ、もう」
父「“もう”。“もう”って言ったな。牛になった!」
一郎「お父さん、何言ってるの。いいから、お父さん。人間が牛に化けるわけないでしょ」
父「本当に牛になってしまうんですよ。ねえ、お母さん」
母「たまにわね」
一郎「お母さん」
母「嘘、嘘」
父「嘘じゃないでしょ」
母「嘘でしょう」
父「母さん? シャツの上から二つ目のボタンが外れてませんか。あなたは恋人募集中!」
母「馬鹿なことを言ってないで座りなさい。迷信に科学的根拠なんてないでしょう」
父「あるんですよ。科学的根拠が。例えば、ミミズにおしっこをかけるとおちんちんが腫れるとか」
母「それは嘘でしょう」
父「私の親友のハレ山君」
母「ハレ山!」
父「あいつは見事なぐらい腫れた。凄かった」
母「じゃあ、お父さん。なんで若いときにミミズにおしっこかけなかったの!」
 父、呆然とした顔。
一郎「言われてやんの、言われてやんの」
母「第二ボタンぐらい、外してやるわよ」
一郎「(父に向かって)やーい、やーい」
父「くそ。待ちなさい」
一郎「へへん、怖くないもんね」
母「一郎、夜口笛吹くと、蛇が出てくるのよ」
一郎「わ、いいことを聞いた。お父さん、蛇嫌いだもんね」
母「じゃ、吹いてやりなさい」
 口笛を吹こうとする一郎。父、必死に口を押さえるが、その前を母が口笛を吹いて通り過ぎる。
父「母さん。蛇が出ますよ。(下を向いて)ああー!」
一郎「ネクタイでしょ」
父「(後ろを振り向いて)わー」
一郎「○○でしょう」
 一郎、壇上に飛んだ紙テープを見せる。父、驚く。
一郎「テープでしょ」
父「(泣きながら)母さん、私駄目ですよ。蛇は出てくるし、一郎は牛になるし」
一郎「もういい、帰る。東京へ帰る」
母「一郎、夏休みじゃないの」
一郎「こんなうるさい親父がいる家にいられるか」
父「一郎、迷信をバカにするんじゃない。迷信は当たるんだ」
一郎「迷信なんて当たらない。東京に帰って、大学に戻る」
 帰ろうとする二人を母が止める。
母「待ちなさい。わ、わかりました。だけど帰る前に、これだけは聞いて。お父さん、知らないでしょうけれど、私と結婚してから20年間、毎日北枕で寝ているのよ」
父「わ、私はちゃんと東を向いて寝ていますよ」
母「だと思うでしょうが、ところがぎっちょん。夜中寝静まった頃を見計らって、磁石で計って90度、北もまた北、真北。」
父「な、な、な、何てことを、お母さん。北枕というのはね。頭のてっぺんからつま先まで、霊魂がズコーッて抜けて死んでしまう」
二人「生きているじゃない。ズコーッと生きているじゃない」
一郎「だからお父さん、迷信なんて全部嘘」
母「いやいや、全部が嘘と言うこともないのよ」
一郎「なに、お母さん」
母「一郎、あなたはなぜこんなに背が小さいかわかる」
一郎「母さん。どうでもいいでしょう、そんなこと」
母「いやいや、あなたは小さい頃、ザルをかぶって遊んでばかりいた。だからそんなに小さいのよ」
一郎「母さん。わかっていたのなら、どうして止めてくれなかったの」
父「うーん、やはり迷信って怖いな」
母「わかったでしょう。迷信は全部嘘、全部本当ってことじゃないの。ほどほどにつきあえばいいの」
父「そうだな」
一郎「うん、わかったよ、母さん。ごめんね、父さん」
父「いや、わしも悪かったよ」
母「そう、二人で喧嘩ばかりしているから、すき焼き、母さんが全部食べちゃった。これが本当の漁夫の利。あ、これは迷信じゃなくてことわざか」
父、一郎「いいかげんにしろ」
三人「怪物ランド、今週はこれにておしまい」
(9週目合格 No.157 1983年4月23日放送)

平光:鉄腕アトム2号
赤星:助手だけど(普通に白衣を着ているが)ウランちゃん
郷田:お茶の水博士

 白衣姿の郷田、登場。
博士  「できた。やっと永年の私の研究が完成した。申し遅れましたが、私があの有名なお茶の水博士です」
 毛糸の帽子に白衣姿の男が登場。
助手  「博士、博士、博士。いいですか、お茶の水博士はね、もっと鼻が大きくて、デブっと太っているんですよ。お茶の水博士のイメージを壊さないでください」
博士  「ウランちゃん」
助手  「はい」(会場、どよめきと笑い)
博士  「あれを見よ。あれはな、私が作った傑作ロボット、鉄腕アトム2号だ」
 カーテンが開き、軽快な音楽とともになぜかサングラス姿の鉄腕アトムが登場。Vサインを決める。
助手  「博士、何ですか、これは」
博士  「これは、私が作った傑作ロボット、鉄腕アトム2号だ」
助手  「これがロボット」
アトム「よくできているな、お前」
助手  「いや、お前がロボットだ」
アトム「つっぱってんじゃねえよ、この野郎」
博士  「つっぱっているはいいから。もっとロボットらしく喋らないと駄目だ」
アトム「どうやって?」
博士  「コンピュータ音」
アトム「コンピュータ音? そんなできないよ俺」
博士  「できる」
アトム「(博士がアトムの胸を小刻みに叩き、アトムが声を震わせながら)つっぱってんじゃねえよ、まる」
 助手、アトムが持っている下敷きに気づく。
助手  「博士、この下敷きはいったい何に使うんですか?」
博士  「何に使うって、アトム、見せてやれ」
 アトム、下敷きを震わせながら歩こうとするが失敗、思わず苦笑い。マイクに下敷きを向けて震わせると、キュウ、キュウという音が出る。
助手  「アトムの足音」
博士  「懐かしいだろ」
 アトム、下敷きを脇の下にこすりつけた後、博士の髪の毛に近づけて
アトム「静電気!」
 博士、怒ってアトムから下敷きを取り上げ、放り出す。
助手  「博士、このロボットは何ができるロボットなんですか」
博士  「このロボットの特技を見せてやる。このロボットは恐ろしい特技を持っているんだ」
 アトム、構える。
博士  「アトム2号、必殺特技その1」
 アトム、スローで大きなモーション、ためるだけためて、助手と握手。
博士  「握手をする。これだけではない。そしてこの後に人に懐く」
 アトム、手を取って助手にもたれかかる。
博士  「それでは、君はこの研究所では二番目に偉いからね。何か雑用があったらあのアホに頼め」
 ふてくされている助手、自信満々のアトム。
アトム「僕がここにいたら百人力だからね。(助手に向かって)ぷっぱっぺんじゃねえよ、あぽ」
助手  「え?」
アトム「ぷっぱっぺんじゃねえよ、あぽ」
助手  「何だよ、お前」
アトム「(サングラスを外して)パプパプパプ」
博士  「(アトムを後ろにかばいながら)ゼンマイが切れてしまった」
助手  「ゼンマイって、あいつゼンマイで動いているんですか。何かパプパプ言っているんですが」
博士  「これがゼンマイの切れてしまった証拠だ。ゼンマイが切れると、このロボットはパ行でしかものがしゃべれなくなるんだ」
助手  「パ行でですか」
アトム「パンパ、パラパパペンパ」
助手  「え?」
アトム「パンパ、パラパパペンパ」
博士  「何か、体が変だと言っているんだ」
アトム「パプペペ、パプペペ」
助手  「助けて、助けて」
アトム「ペププピー、ペププピー」
助手  「ヘルプミー、ヘルプミー。英語も喋れるのか」
アトム「パラパパピププ。パラパパピププ」
助手  「わかんねえよ」
アトム「パラパパピププ。パラパパピププ」
博士  「わしにもわからん」
アトム「僕にもわからん」
博士  「(どつきながら)おちょくるな」
アトム「(手を回しながら)ペンパイ、ペンパイ、パパプ、パパプ」
助手  「えっ?」
アトム「(手を回しながら)ペンパイ、ペンパイ、パパプ、パパプ」
博士  「ぜんまい、ぜんまい、早く、早く。ぜんまい早くもってこい」
助手  「いやですよ、そんなもの」
二人「プッパピプ、ペプ!」
 助手、驚きながら舞台の隅から箱を持ってきて、黄色と赤の大きなぜんまいを取り出す。
助手  「どっちのぜんまいですか」
アトム「ピイポ、ピイポ」
助手  「黄色、黄色。どこに差し込めばいいんだ?」
アトム「ポピピノパパ」
助手  「お尻の穴」
 アトム、屈みこむ。助手、お尻の穴にぜんまいを当てる。
二人「パプ!」
 アトム、恍惚の表情。そのとき、助手がぜんまいを取り上げる。不審がる二人。
助手  「はた、そうか、ぜんまいがなければ、お前はただの鉄くずだ。(うろたえる二人)ようし、取れるものなら取ってみろ」
 帽子を脱ぎ、頭に吸盤が付いたぜんまいをくっつけ、逃げ回る。追いかける二人。
博士  「毎週頭で見世物やってるんじゃないか」
助手  「頭の工芸品」
博士  「取れないんじゃないか、それ」
 博士、引っ張るが全然取れない。博士、引っ張り回す。観客、大笑い。助手、吸盤に空気を入れて、ようやく取れる。頭に吸盤の跡が。
助手  「光ってますね、天使の環」(このあたり、たぶんアドリブ)
 アトム、ぜんまいを取ろうとするが、助手は渡さない。アトム、泣き出す。
博士  「このロボットはぜんまいで動いているって言っただろ」
助手  「だから、ぜんまいを取り上げたくなるんです」
博士  「だから騙した。食べるぜんまいだ」
 はかせ、ぜんまいと書かれた袋を取り出す。
二人「ばーかめ」
 アトム、ぜんまいをむさぼり食う。
アトム「パペプ?(と助手に渡そうとするが、助手不機嫌)」
アトム「ポピポウパマ。う、う、パンパペンピパペペキパ」
博士  「なんか元気が出てきた」
アトム「(助手に向かって)つっぱってんじゃねえぞ、ばーろう」
博士  「やめなさい」
助手  「博士、博士。あいつが鉄腕アトム2号ということは、1号が他にいたんですか」
博士  「よくぞ聞いてくれた」
アトム「お兄ちゃんがいたんだ」
博士  「いたんだよ。お兄ちゃんじゃなくてお姉ちゃんなんだ。だけどな、彼女にも最大の欠点があるんだ」
アトム「たった一つの欠点って何ですか」
博士  「誰がたった一つの欠点って言った? 68個あったんだ」
助手  「アホだな」
博士  「まずエネルギーが切れるとな、バ行で喋り出すんだ」
助手  「バ行で喋る。たとえばみんなで頑張ろうを喋るときは」
アトム「たとえば僕の場合は、ピンパペパンパポウ」
二人「かわいいー」
博士  「だけどな、そいつの場合はビンバベバンバボウ」
アトム「駄目だよ、そりゃ」
博士  「たった一つだけ特技を持っていた。月夜の晩になると恐ろしいものに変身してしまうんだ」
助手  「博士、月が昇ってきました」
アトム「博士、お姉ちゃんに会わせて」
博士  「駄目だ、あれは失敗作なんだから、人前に出すわけにはいかんのだ」
助手  「でも、会いたいよな」
アトム「会いたいよね。みんな(客席)だって会いたがっているよね」
助手  「ほら、月が昇ってビビンバ」
 アトムと助手、呆然とする。
助手  「ボベバッバボバ。ブホー。ボベバベヅバンバトブビビゴウ?」
博士  「見てみろ、月がだんだん昇ってきた」
助手  「ベンビンスルボー」
博士  「変身するぞーって言ってる!」
 助手、アクションをつけたあと、右手をまっすぐ挙げて直立。
博士  「変身した」
アトム「これが変身したの。何これ」
博士  「わかんないよな」
アトム「クリームソーダ?」
博士  「何でわかるんだ?」
アトム「(頭のあたりを指して)この辺がクリームで、ほら、似てるよね」
助手  「バビバボウ、バビバボウ」
アトム「もっとやってよ。もっと、もっと、もっと」
 助手、正座して顔を膨らませる。
アトム「わかった、福助!」
助手  「ビバウ、ビバウ」
アトム「わかった、○○○のマーク(ここ、わからない)」
アトム「お姐さん、お姉さん。マークだったら、僕にもできるよ」
 アトム、腰を曲げて、首を斜め上に。
アトム「バンビーブ」
博士  「バンディング(この辺、よく聞き取れない)」
助手  「バビバボウ、バビバボウ」
 助手とアトム、握手。
博士  「馬鹿なことやってるなよ」
アトム「はい、ここでイブ・サンローラン(博士、思わずポーズ)」
博士  「何をやらすんだ。見ろ。月が完全に昇ってしまった!」
アトム「まだ変身するの?」
 お馴染みのテーマが流れ、助手、お馴染みの兜を取り出す。両手を交差させると顔が変わって。
博士  「大魔神、復活!」
 助手、顔が大魔神に!
 アトム、赤いぜんまいを取り出し、兜を外して、頭にペタッ。助手、両手を交差させると顔が元に戻る。
アトム「あ、元に戻った」
博士  「だから言っただろう。恐ろしいものに変身すると」
助手  「誰がですか?」
博士  「何も覚えていないのか」
アトム「今のこと、何も覚えていないの」
助手  「覚えていない」
博士  「わかった。スクラップだ」
アトム「それだけはやめて」
博士  「こんなロボットはな、スクラップにふふんは」
二人「えっ」
博士  「はんは、はらははへんは」
アトム「何かからだが変だ」
助手  「は行で喋っている」
アトム「博士もロボットなんだ」
助手  「ぜんまい、ぜんまい」
博士  「ひはう、ひはう」
二人「違う?」
博士  「はらは、へっへいふはへは」
二人「腹が減っているだけだ。いい加減にしろ」
三人「今週はこれでお終い」

補足
 赤星さん(ウランちゃん役)の頭にはりつけ(吸盤のようなもの)というのはトイレのラバーカップ(通称スッポン)です。平光さんは9週目のネタがほぼ完成段階に入り、赤星さんの頭に何をつけるか最後まで悩んでいたそうです。その都度、平光さんはいろいろな物を赤星さんの頭につけては「違う違う」の繰り返し。そんな時トイレのラバーカップが思い浮かんだそうです。ネタもウケたけれども、それよりラバーカップが思い浮かんだことがとても嬉しかったと平光さんはコメントしていました。(赤星昇一郎新年会より)
……そんな事より実験台にされていた赤星さんは可愛そうだ!!
(10週目合格 グランプリ獲得 No.158 1983年4月30日放送)

どんべえ:赤星
一刀斎:郷田
サスケ:平光

どんべえ「(黒装束で登場)私は、忍者。名を伊賀のどんべえと申す。う、殺気。(落ちている槍で天井を突く)血だ。曲者じゃ、曲者じゃ」
一刀斎 「(舞台上手から登場)曲者じゃ、曲者じゃ、出会え、出会え」
どんべえ「父上」
一刀斎 「おう、どんべえ。曲者じゃ」
どんべえ「父上も曲者に出会ったのですか」
一刀斎 「曲者のやつめ。ワシがせっかく二階ですやすや寝ていたら、いきなり襲ってきた。おう、あそこじゃ(と、どんべえが槍を刺したところを指差す)。あそこに痕がある。あそこで槍を刺した曲者を見なかったか」
どんべえ「(ようやく自分のやったことに思い当たり土下座して)父上、すまなかったでござる」
一刀斎 「馬鹿者、馬鹿者。ワシが寝ているだけじゃないか」
どんべえ「上でごとごと音がしたものですから」
一刀斎 「寝返りを打ったんじゃ、馬鹿者」
二人  「う、殺気」
 『思い出の渚』のメロディが流れて、サスケが踊りながら登場。右が赤、左が白の忍者服に赤影のマスクと派手な格好。
一刀斎 「おお、パロディフライの振り付けで登場だ」
二人  「おう、ただ者ではないな」
サスケ 「ははははは(大笑い)。馬鹿め、私は(手にしていた巻物を開いて)ただ者です(「ただ者」と書いてある)。はははは、わーいわーい、受けた、受けた」
一刀斎 「それは何だ」
サスケ 「これは巻物だ。(どんべえを指して)お前は化け物だ」
どんべえ「お前は何者だ」
サスケ 「おじいちゃん、おじいちゃん、僕だよ」
一刀斎 「サスケ」
サスケ 「おじいちゃん、おじいちゃん、格好いいだろ」
一刀斎 「何でそんな派手な衣装を着ているんだ」
サスケ 「グランプリだから……」
どんべえ「忍者というのはな、こういう黒い、目立たない色を着なきゃいけないんだ」
サスケ 「駄目なんだよ、僕は。目立たない服を着るとな、目立たないんだよ」
二人  「(頭を小突きながら)合っているんだよ、それで」
一刀斎 「今日はな、大事なんだ。城へ行って、殿の前で試合をせねばならない。御前試合じゃ」
二人  「御前試合」
一刀斎 「そこでじゃ、今日は特別にお前らのうちどちらかを行かせてやろうと思ってな」
どんべえ「私が」
サスケ 「おじいちゃん、僕が」
一刀斎 「馬鹿者。それをこれから決めるんではないか。ではその前に、いつものように厳しい忍者の修業をする。忍者というものは、いつも背中で殺気を感じ取らなければならない。わかるか、サスケ。まずお前からやれ」
サスケ 「はい」
一刀斎 「ワシの攻撃を背中で感じ取れ」
サスケ 「はい」
 サスケ、身構える。一刀斎、槍で背中からの攻撃。サスケ、身悶える。一刀斎、呆れて攻撃を止めるが、サスケ、まだ身悶える。 サスケ 「背中で感じ取りました」
一刀斎 「馬鹿者、何を感じ取るんだ。殺気を感じ取れ、殺気を。情けないやつだ」
 うなだれるサスケ。自信満々のどんべえ。
どんべえ「ご安心ください。私は殺気だけには敏感でござる」
一刀斎 「見本を見せてやれ」
 手を広げ、身構えるどんべえ。槍で腕を切り落とす一刀斎。どんべえ、腕を背中に隠す。
どんべえ「う、腕がない。殺気」
一刀斎 「遅すぎるわ、馬鹿者。よいか、背中で殺気を感じ取るんじゃ。ではな、ワシの背中に隙があるならどっからでもかかってきなさい」
 刀を構える二人。一刀斎、忍を切りながら
一刀斎 「だるまさんがころんだ」
 攻撃しようとして、思わず止まってしまう二人。なおも斬りかかろうとするが、
一刀斎 「だるまさんがころんだ」
 またもや止まってしまう二人。
どんべえ「金縛りの術だ」
一刀斎 「これだけではない。(ルーレットが回る手つきで)くるくるくるピタ。右手赤」
 思わず刀を取り落としてしまう二人。右手がなぜか地面に。
一刀斎 「左手白」
 左手が別の方向に動く二人。
一刀斎 「右足緑」
 右足が別の方向に動く二人。
一刀斎 「これぞ忍法、ツイスターゲーム」
二人  「(ひれ伏して)恐れ入りました」
一刀斎 「ではな、これらの術を二人に授けよう」
どんべえ「有難うございます(と、右手を差し出す)」
一刀斎 「ちょっと待て。この腕、さっき切り落とさなかったか」
サスケ 「さっき、落ちたじゃない」
一刀斎 「いつ生えてきたんだ」
どんべえ「だってだって」
サスケ 「駄目だよ」
どんべえ「(うろたえながら)たかがコントじゃない」
一刀斎 「(高い声で)たかがコント!」
サスケ 「そういう気持ちでお前、コントやっていたのか」
 責める二人。
どんべえ「お客さん、覚えちゃいないよ、そんなこと」
サスケ 「覚えていなかったら何をやってもいいのか」
一刀斎 「みんな一生懸命やっているのに、なんでお前そういういい加減なことやっているんだ」
サスケ 「(右腕を背中に隠しながら)こうするの」
どんべえ「怒るな、怒るなよ。こうすればいいんだろ」
 右腕を隠すどんべえ。納得する二人。どんべえ、左手で刀を取り出して、二人の腕を「えい、えい」とあっさり切り落とす。思わず顔をしかめながら腕を隠す二人。
どんべえ「おあいこじゃ、おあいこじゃ」
サスケ 「おじいちゃん」
一刀斎 「何のために忍者のコントをやっていると思うんだ」
サスケ 「忍法で治す」
二人  「忍法、蜻蛉の術」
 二人の腕が復活する。
どんべえ「何だ、それは」
一刀斎 「コントだもの。何をしてもいいんだ」
サスケ 「台本に書いてなくても、アドリブでしていいんだ」
どんべえ「いいのか、何をやっても。ようし、忍法」
二人  「だるまの術」
 どんべえ、両手両足を丸めてしゃがみ込む。
一刀斎 「サスケ、今日の相手はな、戸塚ヨットの介じゃ(注:戸塚ヨットスクール事件が話題になっていた)」
サスケ 「ヨットの介って、子供三人殺した?」
一刀斎 「敵は爺じゃ」
サスケ 「武器はオールの」
一刀斎 「頑張って行ってこい」
どんべえ「行ってこい、行ってこいサスケ」
サスケ 「ね、ね、代わりに行って」
どんべえ「お前がゲームに勝ったんだから。時間はないんだ、さあ急げ、サスケ」
サスケ 「そうだ、時間がないんだ。早く行けよ、メロス」
どんべえ「メロス」
サスケ 「僕だよ。セリヌンティウンスなんだよ」
一刀斎 「忍法、走れメロスの術か」
サスケ 「お前はメロス」
どんべえ「俺はメロス」
サスケ 「そうだ、メロスは助けなければいけないんだ。僕はここで君の帰りを待っている。さあ、走れ。城へ走れ、メロス」
一刀斎 「そうじゃ、御前試合じゃ。城へ急げ」
サスケ 「ミュージック、スタート」
 音楽が流れ、どんべえ、真ん中で走る、走る。脇に控える二人。
一刀斎 「常磐三年。走れメロスの術にかかったどんべえは、試合開始へと城へ急ぐであった」
 サスケ、拍子木で合の手を入れる。
サスケ 「敵は戸塚ヨットの介」
一刀斎 「お前の必殺技を見せてやれ」
どんべえ「忍法、分身の術(と反復横跳びを繰り返す)。どこにいるか、わかるまい」
一刀斎 「どこから見ても反復横跳びにしか見えない。アホな術に呆れるヨットの介」
サスケ 「あ、危ない。ヨットの介のオールが頭上に」
一刀斎 「海だ、海に逃げるんだ、ザザザザ」
 サスケと一刀斎、水色と白の垂れ幕を左右で持ち、海を演出。どんべえ、口から水を吹き出す。泳ぐ、泳ぐどんべえ。
サスケ 「泳げ、泳げ。あ、大波だ」
 後ろへ下がる二人。どんべえ、登場口の階段に上がって
二人  「タコの波乗り~」
 元に戻る三人。海に潜るどんべえ。
一刀斎 「では、そろそろ行ってみようか。まずは、初日の出」
 どんべえ、頭だけを表に出す。
一刀斎 「続いて海坊主」
 どんべえ、顔を出しただけ。
一刀斎 「まだまだ出ます、笠地蔵」
 どんべえ、赤いエプロンをかけて顔を出す。
サスケ 「大魔神」
 どんべえ、いつもまねしている顔で登場。
一刀斎 「さあ、お後に行ってみよう。何が出てくるかな」
サスケ 「何でも出てきますよ」
一刀斎 「ガンジー、行ってみよう」
 どんべえ、眼鏡をかけて真面目な横顔(確かに似ている)。
サスケ 「はいはいはい、これだけだと思ったら大間違いです。シンクロナイズドスイミング」
 どんべえ、足だけを出しての演技。
一刀斎 「と、アホなことをやっているうちにヨットの介のオールが股間に迫る」
サスケ 「逃げろー、逃げろー、どんべえ」
どんべえ「待った、待った」
一刀斎 「と、そこでどんべえ、待ったの一声」
どんべえ「もう御前試合はだめじゃ」
二人  「なぜじゃ、どんべえ」
どんべえ「もう午後だ」
二人  「いい加減にしろ」
二人  「今週はこれでお終い」
 最後、サスケが拍子木で合図。

 会場は大盛り上がりであったが、審査員からは「ネタが軽いなとおもうところはあるんだけれども、最後のネタは割とうまくできている」「前半どうなるかな、と心配していた」「ラストだからという頑張りが見えたし、会場もぜひ取ってくれという盛り上がりだった」「あなたたちが思う以上に受けている。会場は君たちのファンだから、それで助かっているところもある」「あなたたちは非常にち密な計算をしている」「10週に値するかどうか、私たちは笑わないで見ていた」「これからはプロになるんだから、君たちに好意的な客だけじゃないんだから」「10週、色々なことをやってきてくれたのは功績である」と好意的な評、厳しい評もあった。
 しかし最後はグランプリ獲得。「新劇出でね、これだけ笑いを皆さんから集めて、これだけの人気を得て。これは、あなたたちの努力と素晴らしさ」との評であった。
(爆笑オンステージ No.178 1983年9月17日放送)

(博士=郷田 婦長=赤星 看護婦=平光)

(看護婦がけたたましく登場)
看護婦「たたたたた、大変です。テープなんか投げている場合じゃありません。みなさん、聞いてください。伝染病です。(ここで客席から可愛いの声)可愛いじゃないわよ。伝染病です。恐ろしい伝染病がこの辺一帯に発生しました。特に、女性の方ははすぐストッキングをぬいで下さい。デンセンします。婦長さん、婦長さん」
(下手から婦長登場)
婦長 「リボンちゃん、リボンちゃん、どうしたの。何バカなこと言ってんのよ、リボンちゃん。さっさと消毒しなさい」
看護婦「(婦長に向かって)汚いものには消毒シュッシュ、醜いものにもシュッシュ、不気味なものにもシュッシュ」
(中央から博士登場)
博士 「どうだ、消毒は終わったか?」
婦長・看護婦「終わりました」
博士 「うん、ごくろーさん。私は何でもかんでも消毒してしまう、オキシフル博士です。(脇の下を)消毒、シュッシュ」
婦長 「博士、ところで、この伝染病はどんな病気なんですか?」
博士 「じつに変わった病気だ。なんとな、(客席に向かって)笑い事ではない。人間が動物に変身してしまうという恐ろしい病気だ」
婦長 「えっ、動物に変身するんですか」
看護婦「みなさん、聞きました?いったいどんな動物に変身するんですか」
博士 「それがな、人それぞれ違うんだ。どうもな、自分がいちばん憧れている動物に変身してしまうらしい」
看護婦「じゃあ、リボンは変身したら虎になっちゃうわ」
博士 「リボンちゃん、君は虎が好きなのか」
看護婦「小さい頃、タイガーマスクに憧れたの」
博士 「リボンちゃん、君はみなしごだったのか」
看護婦「わかる?」
博士 「わかるとも」
看護婦「博士は?」
博士 「私はライオンに憧れていた」
看護婦「みなし子だったのね」
博士 「関係ないだろう。いや、私は虚弱体質だったんだ」
看護婦「婦長さんは?」
婦長 「私。(すました顔、遠い眼で)兎」
看護婦「兎?」
婦長 「なんか文句あるの?
看護婦「婦長さんは病気になっちゃったほうがじゃないですか」
婦長 「博士、私は感染したら、兎になれるんですね」
博士 「それがなれないんだ。それがこの病気の大事な特徴だ。髪の毛がない人、つまりはげている人がこの病気にかかってしまうと、一番キライな動物になってしまうんだ」
婦長 「それってただの意地悪じゃないですか」
看護婦「博士、これが日本版エイズですね」
博士 「エイズではない、ボーズだ」
看護婦「それじゃ婦長さんはタコになっちゃうのね」
博士 「そうか、婦長くんはタコがきらいなのか?」
看護婦「わー、婦長さん、肩にもう吸盤が……」
博士 「わー、もうタコに変わりつつある」
婦長 「これはBCGの痕」
博士 「これ、これを見ろ。しかし、ここに今まで感染した人のリストがある。何かの参考になるかもしれん(と言って、メモ用紙を出す)。これを見ると、まず、まず最初に感染していたのは中曽根さんだ。中曽根首相がタカに変わってしまった」
看護婦「やっぱり好きだったのね
婦長 「わかるような気がするわ」
博士 「それからどんどん感染が広まって数え切れない……」
看護婦「博士、恐ろしいわ。見てみて、これ全部しりとりで感染している」
博士 「そんな馬鹿な。メダカ、カラス、スズメ、メジロ、ロバ、バク、クマ、マングース……おー、何という一貫性だ。馬鹿馬鹿しいようだが、これは重大なことだ」
看護婦「先生!! 今、いったい何という動物で終わってるの?」
博士 「えーと、今はサメまでいっているわっている」
看護婦「と言うことは、次に変身する人はメで始まる動物に変身するってことね。私はトラになるんだから、私は違うわ」
博士 「私もライオンだから私の順番ではないな」
看護婦「じゃあ、婦長さんだ」
婦長 「いいえ、メがつくタコはいないわ」
博士・看護婦「メガネタコ」
婦長 「いないわよ」
博士・看護婦「メキシコダコ」
婦長 「いるわけないでしょ」
博士・看護婦「メンターコ」
婦長 「ない、ない、ない!!」
博士・看護婦「メデブ」
婦長 「なにそれ」
博士 「メがつく動物に感染した人がいるんじゃないか」
看護婦「(客席を見て)あそこにメガネザルよ」
博士 「ばかもの」
看護婦「博士!!」
博士 「どうした?リボンちゃん」
看護婦「(思いっきり体を震わせながら)なんか、体が変」
博士 「なんか、いやらしいな。宇野浩一郎の世界にするな。わかった。これが第一症状だ」
看護婦「私、虎になっちゃうの。(と言って、スカートをめくると、パンツがトラのパンツに変わっている)ギャ~~~!!」
博士 「リボンちゃん!!
婦長 「大変、リボンちゃんがもうトラに変わってる。あれ? でも博士、次に変身する人はメで始まるんじゃないんですか?」
博士 「リボンちゃんは女だった。だから」
博士・婦長 「メストラ」
婦長 「そんなのありですか?と言うことは、今度はラで始まる動物ね」
看護婦「博士、私、すごい事発見したわ。つまり、しりとりで感染してるわけだから、「ン」で終わる動物で伝染はストップするはずよ」
博士 「なるほど、しりとりの盲点だ。お手つきをしてしまえば、この伝染病は終わってしまうわけだ」
婦長 「と言うことは、今、リボンちゃんのメストラで終わってるんだから、ラで始まってンで終わる動物に変わればいいわけね」
博士 「ラで始まってンで終わる動物? ラ……ン? ライ……なあんだ」
看護婦「博士じゃない」
博士 「そうか、そうだったのか。私がこの病気にかかってしまえば……体が変」
婦長 「第一症状だわ」
博士 「きた、きた。あ、変身しそう(と言って白衣を脱ぎ出すと、背中にコブが二つついているラクダのTシャツに、ラクダのももひき)。どうだ、これで」
婦長 「背中にこぶがふたつ。先生、このコブは何ですか? このももひきは」
博士 「あれ……、忘れてた。私、ラクダも好きだったのね」
婦長 「馬鹿じゃない」
博士・看護婦「ら・く・だ、終わらないじゃない」
看護婦「だれか、だで始まって、んで終わる……(客席に向かって)あのひと、足の方がダではじまって、ンで終わる」
三人 「だいこん」
博士・婦長 「ちがう(とどつく)」
看護婦「あなたがダで始まってンで終わるものになるのよ」
婦長 「ダがつくタコはないわよ」
博士 「もうタコなんてどうでもいい。なんか変身してくい止めるのだ」
婦長 「ダで始まって、ンで終わるもの」
三人 「だ ○ ○ ○ ○ ん あるじゃないか」
婦長 「先生、私がんばるわ」
博士 「わしはこの格好でいるのがいやで」
(看護婦、そでからあれを持ってくる)
婦長 「来たわ。変。体が変」
博士 「お待たせしました」
(音楽流れる。看護婦、いつものあれをかぶせる)
博士・看護婦「大魔人、復活」
(顔の前で手をクロスさせる) 看護婦「これで、伝染病は食い止められました。さようなら」
エピソード
 オーディション時は「モンスターファミリー」という名前でしたが、PDに改名されました。
 改名の理由は新聞の字数制限です。確か10文字以上が制限に引っかかるんだと思いました。
 怪物ランドがお笑いスタ誕に出ることになったいきさつ。

 劇団魔天楼解散後、現・怪物ランドメンバーで、ショーパブ「バナナ・パワー」のバイトをしていた所を日テレのスタッフに勧められて…というのがきっかけです。10週勝ち抜き後、一回解散していますが、平光さんの友人の紹介で田辺エージェンシーに行ったところ、行ったその日にうちに入れ、といわれ、社長にすぐに秋から30分の新番組をやるから自分たちでディレクター、番組タイトル、台本、全部半年でやれ、と言われて作ったのが「ウソップランド」だそうです。
(この辺りは過去のStudio Voice「怪物ウソップ物語」に詳しいです)
 ステージに出る数日前に、日テレのリハーサル室でいわゆる「ネタ見せ会」が行われてました。
 この「ネタ見せ会」は、番組の演出をしていた赤尾さん(制作会社「日企」の偉い人)に、次の収録でやるネタを見てもらい、アドバイスをうけるというもの。その時点で勝ち残っている出場者はもちろん、これから出場しようという者も含めて全員が立ち会うのでかなり緊張した空気が漂ってました。もちろん、本番時の勝ち負けは審査員の判断が全て。デキ・レースっぽい所は一切ありませんでした。

 (「平光琢也公認 IN THE M'OOD」内「石塚千明が語る怪物ランドサーガ その3」より転載させていただきました)
 「お笑いスター誕生!!」で、他のグループは2~3本ネタを考えたらすぐにオンエアに挑めたのに、怪物ランドだけはプロデューサーに10本もネタを求められたそうです(結局8本ほどしかネタが完成しなかった)。番組側からの怪物ランドへの期待の現れだったのでしょう。
 ネタ見せ会、かなり緊張した雰囲気だったようで、スタッフの皆さん、シーンとしてみていて、面白くなかったのかなー?と思えば
「いや、面白かったよ、すごく。」
と真顔で言われるような、すごくやりにくい雰囲気だったとか^^;

 (「平光琢也公認 IN THE M'OOD」内「KAIBUTSU AT THEATER」『LadyDay プロデューススペシャルライブ』のレポートより転載させていただきました。
 怪物ランドの初挑戦の時に演技が終わった後の審査員の講評で、京唄子師匠が狼男のメイク(といっても、顔の周りに狼の毛のような輪ッかをかぶっていただけですが)をしていた赤星さんに、「私、最初面かぶってでてきたおもてたんよ」と言ったらネタ以上に会場の大爆笑をとっていました。
 10週目のステージは、昔の劇団仲間たちとタレ幕などを用意して見に行ったので、僕もよく覚えています。この時の「仮名手本忍者村」は、まったく新しく作ったネタ。歌舞伎で使う波幕を使ったものすごくテンポの早いコントで、一気にオチの大魔神まで畳みかけます。コントが終わった瞬間、会場から沸き上がった盛大な拍手喝采は30秒ぐらい鳴り止みませんでした。どんなにシビアな審査員でも、これは合格にせざるを得ない熱気に会場全体が包まれていたのです。

 (「平光琢也公認 IN THE M'OOD」内「石塚千明が語る怪物ランドサーガ その3」より転載させていただきました。この回は、怪物ランド結成、お笑いスタ誕出演前後の事が、今回転載した部分以外にも詳細に書かれております)
 解散に関しては、当時、平光さんはすでに「演劇集団『円』」のメンバーでしたし、本人たちは「お笑い集団」ではなく、「役者」という意識で「お笑いスタ誕」に出場していたから、もともと「お笑い」は怪物ランドの形態の一つ、という捉え方と、周りの人々との考え方のギャップなんかもあったのではないでしょうかね?
 第6週のネタだった「新撰組」、これを原作で「タイゾー倶楽部」という劇団が池袋・シアターグリーンで上演したことがあります。マチ蔵が観にいった回、かなり前の席で、「かぶりつき状態」で、平光さんが見ていました。
(「タイゾー倶楽部」について)
 どうやら87’4月・・・(旗揚げ公演)「爆風幕末ゲーム」だったらしいです。そして現在、タイゾー倶楽部は名前を変え、「遊牧民 NOMADE」と名乗っています。現在はちょっとわからないですが、過去はよくある小劇場(大手ではない)でした。

 平光さんが観にいっていたのは、「原作:平光琢也」と、その時の「ぴあ」にあった(それを偶然見て、観にいったのがマチ蔵)ので、単に劇団から「原作として使ってもいいか?」というお伺い(ここで著作権使用料を払います。これは原作者と応相談なので、タダの場合もあれば、横溝正史作品のように、1本100万円!って事もあります)が平光さんに行って、招待券でも送られたのではないでしょうか? 単にそういう関係だと思います。
 10週ストレート勝ち抜きという偉業を達成しながら、あまりにも番組としてのバックアップがなかったのでアンコールコーナーに一度出たっきり番組とは切れてしまいました。まあ、そのころは漫才ブームもとっくに終わってましたから、そうしたほうが賢明だったのかもしれません。番組&日本テレビとしてのバックアップがあったのはおぼん・こぼんくらいまででしたし。
 平光さんの書くほうの才能はすごく評価されてたので、当時から本の依頼は多かったときいてました。
感 想
 劇団出身らしい達者な芝居と、センスのある笑いでした。とはいえ、メジャーというより、マイナー向きだなと思っていましたが。
CM
 怪物ランドはリクルートの雑誌のCMに出ていましたね。
 怪物ランド出演CMは、あとは「バポナ殺虫プレート」があります。平光さんが少年の格好、赤星さん、郷田さんが虫(ハチ?)の格好をしているものです。
著 書
怪物ランド『ウソップランド』(青銅出版,1985)
平光琢也『怪物ランドの生涯』(河出書房新社,1985)
平光琢也『売れる声優になるためにあなたが今しなければならない30のこと ~現場が欲しいのはこんな人~』(幻冬舎,2014)
平光琢也『小説 ミュージカル 美少女戦士セーラームーン La Reconquista ―ラ レコンキスタ―』(講談社キャラクター文庫,2015)
その後・現在
 番組出場後、田辺エージェンシーに所属。プロとしての活動を始める。テレビ朝日の深夜番組『ウソップランド』でカルトな人気を得る。1989年に独立、テレビ、芝居上演等で活躍。
 現在は「怪物ランド」としての活動を一時休止。別々の会社に所属し、個々で活躍中。
 怪物ランドの三人揃った番組が『HUNTER×HUNTER』です。郷田さん、赤星さんは声優で、平光さんは音響監督です。(ちなみにミュージカル『HUNTER×HUNTER』では、平光さんは演出をやってらっしゃいます。まだ決定ではないようですが、ミュージカルは夏に再演の予定で、全国の何都市かを回る予定です。生・郷田ほづみを観るチャ~ンス!)他に平光さんが音響監督をやっている番組は、12CHの『Dr.リンに聞いてみて!』と、『遊戯王』があります。アニメ関係のお仕事は現在、これだけのはずです。
 平光琢也は舞台演出、アニメの音響監督、脚本家として活動中。演劇集団 円所属。
 赤星昇一郎は現在エンパシィ所属。俳優、声優として活動中。
 郷田ほづみは現在尾木プロ THE NEXT所属。声優、俳優、音響監督として活動中。
(赤星昇一郎さんの新年会)

 まず、最初からご来場の方々には赤星さん手製のきりたんぽ&からしれんこんが配られたらしい(ついでに言うなら奥様とお嬢様もお手伝いでいらっしゃっていたらしいです)。
 0時くらいまではゲストの方々のコーナーや、開場巻き込んでのカラオケ大会という感じでかなり雑然としていたのですが、0時過ぎに郷田さんが到着してからは、Shinさんと生「ストリートウルフ」(番組中、「外苑東通りの狼」のテーマとして歌われていた曲です)怪物ランド三人揃ってのトークと盛りだくさんでした。
 開場に散らばっていたグループ(になってしまっていた)を三人がそれぞれ訪問(?)して仕事についてなどを丁寧に教えてくれるありがたい場面もありました。
 赤星さん談によれば、「いつかはまだわからないけど、必ず又、三人でなにかやるので安心して待ってろ!」との事。本当に楽しみです。
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名 前
かまどたつお
初出場
 1982年2月27日(第2期グランプリシリーズ)
実 績
 2週勝ち抜き。
ジャンル
 腹話術師。相棒はコンちゃん。
プロフィール
(かまどたつおさんからのコメントです)
 当時わたしは、「東洋プロダクション」に所属しており、マネージャーは金子さん(現在キャッツ企画社長)でした。この番組の最初の頃だったと思いますが、「この番組はアマチュアの方たちのための番組だから」ということで、わたしは対象外でした。ところが、出演者が少なくなって「東洋プロ」にも出演以来があり、金子さんから出るようにという指示でした。その後多くのプロが出るようになりましたが、最初はそんな話が流布されていたと思います。わたしには、4週で一回お休みというような話でしたので、かなりアバウトなネタで登場しました。いつもいろんな所でやっていたお得意のネタは使わなかったのです。その後、審査員だった赤塚先生に自宅にくるようにと指示を受け、週に2~3日は赤塚先生のところで過ごす生活を半年ぐらい続けました。その後、週に1日づつお訪ねしていました。
 また、当時のわたしは牧師ではありません。東京神学大学大学院学生でした。この大学は牧師を養成する単科大学で、当時の学生総数が140名ぐらいだったとと思います。学部の学生だったときには出演しないで、大学院に合格したので出演したのです。面接の時に、バレたらヤバイと思っていましたが、教授会は知っていたようですね。テロップで、「東京神学大学大学院学生」と出ていたはずです。日本大学農獣医学部農学科を卒業し、東京神学大学に学士入学をしたのです。
 わたしの師匠は「春風イチロー(はるかぜいちろう)」。先代の春風亭柳橋の弟子です。わたしは孫弟子に当たります。イチロー師匠がプロを引退した1981年から「いっこく堂一座」が出てくるまで、日本唯一のプロ腹話術師と言うことになっていたはずです。テレビに出る機会は大変少なかったのですが、年間60ステージぐらいをコンスタントにつとめ、ずっと、プロとして活動してきました。今でもプロとして活動しています。1975年6月10日がわたしがイチロー師匠に弟子入りした日でした。今年で25年になります。
 
ネ タ
○「パパっていうとき、口が開くね」
 「こうすればわからないよ」
 と人形の手で口を隠す。
○「コンちゃん」(人形)初めてお客様とお会いするんだから挨拶しなさい……
 「よお」
 「よおじゃないでしょう。こんにちはでしょ」
……ごめんなさい。断片的にしか覚えていません。
エピソード
 『笑ってる場合ですよ』ゲスト出演。
 たしか番組では「法律家のたまご、梅介に続いて牧師のたまごの登場だ」紹介されていましたね。

 その前に『笑ってる場合ですよ』にゲストとして出てたのもみましたが、初めて生で見たのが笹塚の21というスーパーのイベント広場。沢田冨美子の新曲発表会の司会のときでした。もう笹塚に住んで20年になるのですが、思い起こせばそこのイベントの司会は青空一歩・三歩、青空きんし・ぎんし(いまでもやってる!)など東洋プロの芸人がおおかったですね。
 沢田冨美子が「乗馬が趣味!」というと「痔にならない?」などとアイドルにきいてはいけないようなことを尋ねてしまったところが印象に残っています。
 彼女も「ちょっと春風」で売れそうだったのに、水泳大会のポロリで消えていきました。。。
 お笑いスタ誕では、3週で落ちた後も会場でみかけました。当時勝ち抜いてたツーレロの東が「お、おれはかまどたつおの人形か?」これには笑いました。

 その後、江古田のマーキーだったと思いますが、ちらしに「かまどたつおwithコンちゃん」と載ってたのをみたことがあります。それがかまどさんの名前をみた最後でした。
感 想
 普通の腹話術師でした。子供は喜ぶかも知れないけれど、お笑いとしてみると今ひとつの感がありました。
その後・現在
 『ツービートの笑ってごまかせ』 ザッツエンターギャグメントコーナーに出演。コンちゃんの家族紹介、じいさんのオンナがいる。とか、犬という名の猫がいる。
 3年前(2000年頃)まで北日本放送ラジオで『能登だより』のレギュラーを持っていた。
 テレビに出る機会は大変少なかったのですが、年間60ステージぐらいをコンスタントにつとめ、ずっと、プロとして活動してきました。今でもプロとして活動しています。1975年6月10日がわたしがイチロー師匠に弟子入りした日でした。今年で25年になります。ただ、スーパー腹話術に対して、「ふつうの腹話術」と称しています。おっしゃるとおりです。人形の動きを重視して、テクニックばかり磨いていましたから、ネタとしてはおもしろくありませんでしたね。もし、今のステージを見ていただけるチャンスがあれば、あのときとはかなり変わったなぁと評価していただけるかもしれません。芸風は、かなり変わったように思います。
 「その後」ですが、
 確かに牧師です。肩書きを羅列すると次のようになります。
現  在
         宗教法人日本基督教団七尾教会代表役員・牧師
         学校法人七尾幼稚園理事長・園長
         学校法人羽咋白百合幼稚園理事・園長

役職現在
         日本基督教団能登圏委員会委員長
         日本基督教団総会議員
         日本基督教団中部教区石川地区会長
         日本基督教団中部教区幼稚園問題委員会委員長
         石川県宗教連盟副理事長
         社団法人キリスト教保育連盟北陸部会書記
         社会福祉法人坂ノ下保育園理事
 (10月)21日には七尾幼稚園のオープンハウスがあって、七尾幼稚園にお子供達のお家のみなさんや、幼稚園に入園を考えている子供達のお家の方をお招きして、一緒に過ごす会をするのですが、今年初めて「園長先生のオンステージ!」をする事になりました。「芸能生活25周年」ということで、他の幼稚園・保育園ではやっているのに、何故七尾幼稚園ではしないの!」というお母さま方に押し切られました。自分が園長をしている園では初めてのことです。自分が責任を持つ幼稚園では、純粋に幼稚園の園長として過ごしておりました。知っている人は知っているけれども、知らない人はまるで知らないし、見たこともない人が多かったのです。それが、ここしばらくの内に知られるようになってしまって・・・。別に隠していたわけではないのですが。
 公式HP、かまどたつおのホームページですがあります。若いときの写真もあります。懐かしいです。
 2022年現在も日本キリスト教団七尾教会牧師として活動。石川県七尾市の七尾幼稚園の園長。春風イチローが創立した一般社団法人ロゴス腹話術研究会会員。
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名 前
カム&トシ
初出場
 1983年4月16日(第3期グランプリシリーズ)
実 績
 6週勝ち抜き、銀賞獲得。
 第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
ジャンル
 アクロバットコント。
プロフィール
 カム有田:本名有田誠。1951年12月生。島根県出身。
 トシ:不明
 もともとは新宿にあるスポーツ用品をレンタルする会社の芸能部にあったトランポリンチームで芸人デビュー。5人組くらいのチームで、キャバレーを回って仕事をしており、芸能部の仕事がないときは、会社の仕事をしていた。(カムが20歳のころ)
 カムが26歳の頃に芸能部が会社から抜けて独立したため、カムも会社を辞めて、トランポリンチームでキャバレーでショーをやっていた。
 カムが30歳の頃、トランポリンチームを辞めてトシと二人組で活動を始めた。
ネ タ
(1週目合格 No.156 1983年4月16日放送)

カム:囚人 トシ:刑務所看守

 最近、囚人と看守との間で仲が悪いとの噂が広まっている(カム「事実じゃないですか」とツッコミが入る)。仲が良いところを見せるために、椅子(学校で座るようなパイプ椅子)を使っていっしょに器械体操をする。
 カムが椅子を使って体操をしようとするとトシが椅子を取って説明を始める。
カム:(怒りながら)「独房に帰らせていただきます」
トシ:「そういうなよ、仲の良いところを見せなければならないんだからさ」
カム:「だって、一人でやった方が楽しいですもん」
トシ:「そういわずに頼むよ」
 その後、数回見事な体操とスカシ、そしてこのやり取りを繰り返す。最後は“世界一周”と称し、立っているトシの体全体をカムが飛び回る芸を披露。
 面白かったが、鳳啓助に「動きは見事だし、面白いけれど、こんなにたくさん見せると今に飽きが来るよ。どうせだったら体操のネタは一本に絞り、そこに持っていくまでの笑いを考えた方がいい」と言われる。
(2週目合格 No.157 1983年4月23日放送)
第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦 84点○ No.197 1984年2月11日放送)

 CIAの捜査官(カム)と新米刑事(トシ)のコント。
 新米刑事を訓練する捜査官。拳銃の腕を見せた後、格闘術を披露。
(3週目合格 No.158 1983年4月30日放送)

 『ルパン三世のテーマ』が流れてトシが登場。華麗な刀さばきを見せるも、最後は刀の上下が逆で、鞘に入らない。
トシ「私はまだ修行の身。こういう間違いはたまにある。先生~」
 カム、登場。
カム「私がこの道場の師範代。剣道八段を持っております。弟子」
トシ「はい(と正座になる)」
カム「さっきからお前の居合を見ていたが、あれは居合い抜きになっていない」
トシ「なっていない?」
カム「剣の切先が見えすぎるんだ」
トシ「はい」
カム「今日は一つ私が、剣道八段の居合い抜きをお見せしよう」
トシ「先生自らですか」
カム「そうだ」
トシ「お願いいたします」
カム「剣道八段の居合い抜き」
 華麗な居合い抜きを見せる……も、刀身はなく、柄だけ。背中に挿していた木刀は客席に落ちてしまう。
トシ「見えない」
カム「今日はなかなか調子がいい。私の剣はどこ行った」
 カム、刀を置いて、客席に降りて木刀を披露。その隙にトシはカムの刀を腰に差す。
カム「お前に剣道八段、教えてやろう」
トシ「とりゃー」
 カムの刀を使って居合い抜き。
トシ「先生、できました」
カム「私の刀を使うな。竹刀を持て。お前に剣道八段の技を教えてやる」
トシ「お願いします」
カム「どっからでもいい、かかってこい」
トシ「はい」
カム「まいります。剣道八段」
 見事なさばき合いを披露。
トシ「先生、勉強になりました」
カム「ならば今度は、ごっそり変えよう」
トシ「変えるんですね」
カム「真剣勝負パート2。これはややこしいから、私の剣の先をしっかり見ておくように」
トシ「わかりました」
カム「かかってこい」
 再び、見事なさばき合いを披露。最後、カムがかかろうとするところをトシが構える。
トシ「右か左か、さあ、どっちだ」
カム「上だ(と頭から叩く)」
トシ「上? うえ~」
カム「お前と鬼ごっこをやってるんじゃないんだ。もうやめよう」
トシ「やめましょう(とともに竹刀を放り出す)」
カム「ところでお前は剣道何段を持ってるんだ」
トシ「私は初段であります」
カム「早く二段、三段になりたいだろう」
トシ「なりたいです」
カム「お前を早く二段、三段にするために、特訓をしてみよう」
トシ「特訓ですか」
カム「特訓しよう」
トシ「ありがとうございます。こうすれば早く二段、三段になれる」
カム「(脇から木刀を持ち出し)木刀」
トシ「(思わず逃げ出す)」
カム「帰ってこい、帰ってこい」
トシ「はい」
カム「たかが木刀じゃないか」
トシ「たかがって……」
カム「ただしこの木刀、見ただけじゃ本物かどうかわからない」
トシ「それは見ただけではわかりません」
カム「弟子の頭を叩いて、音を聞いてみようと思う」
トシ「お疲れさまでした~(と逃げ出す)」
カム「帰ってこい、帰ってこい。頭を出せ」
トシ「(戻りながら)やるんですか」
カム「お前の頭を叩いたら、本物かどうかすぐわかるから」
トシ「それはわかりますけれど」
カム「聞いてください。木刀の音」
トシ「はい」
カム「(ためを作って、頭を叩く)」
トシ「(目が大きく開く)」
カム「今のシビアな音、全員聴こえましたか?」
トシ「(客席から「聴こえないぞ」)聴こえないわけないだろ」
カム「もう一度まいりたいと思います」
トシ「え~」
カム「やはり全員に聴こえるように」
トシ「もう一回ですか」
カム「やはり全員に聴こえないとな、せつないから」
トシ「わかりました」
カム「木刀の音、アンコールまいります。私ははっきり言って一回でやめてやりたい」
トシ「そう! (客席の方を見て)先生はそう言ってる」
カム「ムキになるな」
トシ「はい」
カム「仕事だと思ってあきらめろ」
トシ「はい」
カム「木刀の音アンコール(先ほどより大きな音。客席から悲鳴)」
トシ「やってまいりました」
カム「これでもう、これが本物だってわかったと思います。真剣勝負パート3。木刀勝負いこう」
トシ「わかりました」
カム「これ、本物だから」
トシ「はい」
カム「お前も真剣にかかってこい」
トシ「いきます」
カム「私はそう、いってやるから。かかってこい。木刀勝負」
 途中、とんぼ返りを見せながらの木刀勝負。最後、トシがカムの頭を竹刀で思い切り叩く。
トシ「先生、大丈夫ですか。頭大丈夫ですか」
カム「お前が竹刀で、私は木刀だよ。頭痛いじゃないか」
トシ「だって」
カム「私は剣道八段。お前は一段。負けるわけがないんだよ」
トシ「はい」
カム「何かいかさまやったろう」
トシ「正々堂々と、スポーツマンシップに則って戦いました」
カム「もう一度やろう」
トシ「もう一度ですか」
カム「今度は先生、手を抜かないぞ」
トシ「手を抜かない」
カム「はっきりいって先生は、さっきは手を抜いた」
トシ「はい」
カム「今度は手を抜かない。こうしよう。今度万が一私に勝てば」
トシ「はい」
カム「剣道二段飛び越えて、三段にしてやる」
トシ「えっ、初段から一気に三段ですか」
カム「そうしてやろう」
トシ「わかりました」
カム「かかってこい。私も手を(木刀でステージを叩く)抜かないぞ」
トシ「行きます」
カム「来い!」
 トシ、竹刀でカムの頭を叩きまくり、突き飛ばす。さらに何回も放り投げ、そして巴投げ。
カム「三段合格!」
トシ「ありがとうございました」

 「残虐なネタになりそうなところだが、トシが明るくて救われる」「しゃべりも少しうまくなった」「一週目と違う投げられ方をしているのはさすが」
(4週目合格 No.159 1983年5月7日放送)
(第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝 90点× No.205 1984年4月7日放送)

カム:タイガーマスク
トシ:新人プロレスラー

トシ「ついに俺もプロレスラーだ。有名なレスラーと戦いたいなあ」
 そこでタイガーマスクのテーマとともにタイガーマスクが登場。
トシ「あっ、タイガーマスクだ」
 二人で勝負するも、簡単にタイガーマスクが勝つ。
カム「さらばじゃ」
トシ「待って下さい。私を弟子にしてください」
カム「ワシは弟子をとらない」
トシ「あなたのような立派なプロレスラーになりたいんです」
カム「わかった。弟子にしてやろう」
トシ「ずいぶん簡単な……」
カム「プロレスラーには受け身の稽古が大事だ。やってみろ」
 受け身の稽古。その後トシがブリッジをするも、カムが踏んで押しつぶす。
カム「そんなことでは強くなれないぞ」
トシ「僕は空中殺法を教わりたいんです」
カム「わかった。私の空中殺法を伝授しよう」
 カム、トシをロープに振りドロップキック。何回もやるが、トシにダメージはない。疲れたカム、
カム「わかった、ドロップキックはやるほうが疲れる技なんだ」
 そのまま立ち去ろうとする。
トシ「先生、一人では出来ません」
カム「人がいると思って、勝手にやれ。疲れた」
トシ「できませんよ」
 そこから二人の戦いが始まる。ウラカン・ラナ、アトミックドロップ、エアプレーンスピン、etc. 途中でカムのマスクが脱げ、トシがマスクを被る。するとなぜかトシの方が強くなる。最後はトシが勝つ。
カム「おい」
トシ「なんだ」
カム「タイガー、弟子にしてくれ」
(5週目合格 No.160 1983年5月14日放送)

 分校で体育の授業。カムが生徒、トシが教師。トランポリンを使ったコントを披露。動きは抜群だったが、笑いは今ひとつ。
(6週目合格 No.161 1983年5月21日放送)
(第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦 91点○ No.201 1984年3月10日放送)

トシ:カンフーの使い手
カム:柔道の黒帯

 ブルース・リーの音楽にのり、トシが登場。華麗(?)なヌンチャク捌きを見せる。
トシ「世界で一番強い格闘技。それがカンフーだ」
カム「いや、それは違う」
 「柔」にのり、柔道黒帯のカムが登場。
カム「世界でいちばん強い格闘技、それは日本の柔道です」
トシ「カンフーだ」
カム「柔道だ」
トシ「よし、勝負だ」
 二人、向かい合う。トシ、いきなりヌンチャクでカムの頭を叩く。
カム「待て、卑怯者。そっちは武器を持っているが、こっちは素手だ」
トシ「そんなことを言ったって、よしわかった。素手で勝負だ」と、ヌンチャクを後に放り出す。
カム「お前が使わないのなら、俺が使う」とヌンチャクを拾う。
トシ「なんて卑怯な……」
 二人の戦い、トシがあっさりとヌンチャクを奪い返し、叩きのめす。
トシ「どうだ、まいったか」
カム「まて、卑怯者」
トシ「どっちが卑怯なんだ、一体」
カム「そっちが武器を持つのなら、こっちも武器を持つ」と、脇からやかんを持ってくる。
 再び戦い。カム、やかんでヌンチャクをたたき落とすが、同時にトシにやかんを奪われ、頭をコツン。
カム「くそ、卑怯者。武器を間違えた」と鍋を取り出す。
 再び戦い。結局カムがやられる。
トシ「我々は柔術家だ。正々堂々と、素手で勝負しようじゃないか」
カム「よし、わかった」
トシ「さあ、来い」
カム「ちょっと待て。危ないから」と、やかんや紙テープなどを片付け始める。
トシ「用意はいいか」
 再び二人の戦い。いい勝負になるが、結局カムがやられる。
トシ「口ほどにもない」
カム「まて、まだ勝負はこれからだ」と舞台袖から大きなハリセンをもってくる。
トシ「なんと卑怯な」
カム「うるさい。いくぞ」
 ハリセンで相手を叩こうとするが、あっさりと奪われ、はり倒される。
トシ「もういいだろ。負けを認めろ」
カム「まだまだ」と、舞台袖からさらに大きなハリセンを持ってくる。
トシ「な、なんだそれは」
カム「うるさい、いくぞ」
 カム、巨大ハリセンでトシを叩きのめす。トシ、ダウン。
カム「はあ、はあ、はあ。これが柔道だ」
トシ「そんなこと、ないだろ」

 いつもは、アクロバットな動きで観客を沸かせていたが、この週は純粋に笑いで楽しめた。
(7週目不合格 No.162 1983年5月28日放送)

 なにかのショーで二人が華麗に登場。様々なアクロバット体操を披露し、観客から拍手喝采。そして楽屋裏に引っ込む。
カム「おい、なんだ、今日の出来は。あれじゃ今に怪我するじゃないか」
トシ「申し訳ありません」
カム「ちょっと練習するぞ」
 再びアクロバットを披露。
カム「ここでもっと腕を伸ばせ」
トシ「こうですか?」
カム「そうだ。よし、降りるぞ」
 カム、トシの顔を踏みながら降りる。
トシ「痛いじゃないですか」
カム「疲れたから、椅子を持ってこい」
トシ「はい、わかりました」
 トシ、舞台袖から椅子を持ってきて広げる。カム、座ろうとするが、トシが奪い取り、逆に座る。こけるカム。カム、起きあがって、トシをどつく。
カム「おい、古典的なギャグをやるなよ」
トシ「だって、私だって疲れているんですよ」
カム「いいから、タオルを持ってこい」
トシ「はい、わかりました」
 トシ、舞台袖から綺麗なタオルとボロ雑巾を持ってくる。そしてカムにボロ雑巾を渡し、床に座り込んでタオルで顔を拭く。同じく顔を拭くカム。
カム「いやあ、疲れたなあ……って、おい。なんだ、これは。雑巾じゃないか」
トシ「だって、一つしかなかったんですもの」
カム「普通、先輩に綺麗なタオルを渡すだろう。もういい。俺は着替えてくる。次のステージの準備をしておけ」
 舞台袖に引っ込むカム。トシ、椅子に座り、タオルで体を拭きながらぼやく。
トシ「俺、いつまでこんな肉体労働やらなきゃいけないんだろうなあ。疲れるよなあ。たまには普通のコント、やりたいよなあ。だけど俺、喋り下手だからなあ。仕方ない。肉体労働を続けるしかないのか」
 (次のステージを告げる声)
トシ「やばい。早く着替えないと」
 そして服を脱ぎ、トランポリンを用意。そして二人がステージに登場。華麗なトランポリン演技を披露して終わり。
 フォークをくわえて、なげたミカンをキャッチ。成功後、こんどは逆にやってみようとミカンをくわえさせてフォークをなげようとする。
感 想
 動きの点では驚くのですが、笑いという点では今ひとつでした。もっとも、6週目合格のネタは面白かったです。
その後・現在
 1984年ごろに解散。カム有田はメンバーも代えて三人組のファンキー3を結成。テレビ・イベント等、多数出演する。しかし、1988年10月、昭和天皇の容態が悪化して、一斉にイベント関係の仕事が自粛されたため、仕事にならず、そのまま解散。以後は、単独で活動。
 現在はアクロバット芸人として、大道芸などで活躍中。必見は風呂桶を一個ずつ足で蹴り上げ、頭にくくりつけたヘルメットでキャッチするユニークなオリジナル風呂桶芸。その他、ローラーボーラーや、トランポリンを使った輪くぐりなどを披露。チャップリン芸のたび彦と組んで「チョコ摩訶サーカス」というユニットも披露している。
 解散後、カム有田さんがアクロバットチームを率いて花王名人劇場に出演してました。そのメンバーのなかに当時コンビを解消していたゆーとぴあのピースがいて、人間ピラミッドの土台をやってました。カムさんは風呂の手桶を頭に重ねる芸でときどきTVで見ますね。
 トシの方は不明。一般人に戻ったらしい。
 カム有田さん、2010年代(2015年ごろ?)からどこかに出演されたという話がないようです。コロナ禍前に引退されたらしいです。
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