『お笑いスター誕生!!』 名鑑【ふ】


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名 前
ファニーズ(初代)
初登場
 1982年7月31日(第2期グランプリシリーズ)
実 績
 ストレートで9週勝ち抜き、金賞獲得。
 第3回ゴールデンルーキー賞優勝。
ジャンル
 コント。
プロフィール
 学生4人組(リーダーは浪人生でしたが)
 ネタフリ役が首ふりの外丸直人くん。
 一番目にふられるのが秀才タイプの菊原智岐くん。
 二番目がアイドル系の小椋常利くん。
 三番目はカルトな浪人のリーダー赤木一馬くんでした。
 実は赤木くんの浪人はギミックで、リーダーだったのは単に年上だったから。外丸くんは一番年下だったのでいつも定員3名のカプセルには入れてもらえませんでした。
 ファニーズのメンバーは明大前のとある俳優養成所で知り合ったんですよ。菊原くんが日芸、小椋くんが中央、外丸くんが独協でした。
ネ タ
10週分のネタダイジェスト
(1週目合格 No.120 1982年7月31日放送)
 角川春樹(外丸)の新作映画俳優オーディション。新劇出身の菊原、ミュージカル出身の小椋、アングラ出身の赤木が芝居を披露。
(2週目合格 No.123 1982年8月21日放送)
 オッサン自動車の社長が娘の婿を見つけるために、3人の社員をテストする。
(3週目合格 No.124 1982年8月28日放送)
 ヤクザになりたい不良3人組(菊原、小椋、赤木)。そこへ通りかかる普通のおっさん(外丸)。とんちんかんな返事をするおっさんを痛めつける3人。襟を見ると、日本最大暴力団鮫島組のバッジ。おっさんは実は鮫島組の大幹部だった。
(4週目合格 No.125 1982年9月4日放送)
 コンピュータ刑事(菊原)、射撃の名手(小椋)、恐ろしい武器(磨りガラスを爪でひっかく)で自供させる青森の五所川原刑事(赤木)。警視総監(外丸)に呼ばれ、全世界のエリート刑事が集まる“おまわりさん選手権”の日本代表を決めることに。
(5週目合格 No.126 1982年9月11日放送)
 ファニーズ事務所社長(外丸)と、アイドル(小椋)。そこへ腹を空かせた新劇俳優(菊原)、アングラ俳優(赤木)が事務所に入れてほしいと願い出るが、アイドルになれるかどうかテストを受けることに。
(6週目合格 No.127 1982年9月18日放送)
 大映ドラマのノリでバレリーナのコント。ヒロイン(小椋)、意地悪お嬢様(外丸)、そのお付き(赤木)、先生(菊原)。最後は4人で「四羽の白鳥」を華麗(?)に踊る。
(7週目合格 No.128 1982年9月25日放送)
 街のチンピラ、JET団とSHARK団が対立するコント。外丸はチンピラとマリアの二役。マリアはJET団の留吉(赤木)と恋に落ちる。
(8週目合格 No.129 1982年10月2日放送)
 マフィアのコント。ゴッドファーザー(外丸)が引退するので、ボス3人(菊原、小椋、赤木)の誰が後を引き継ぐか。
(9週目合格 No.130 1982年10月9日放送)
 ツイストGメンのコント。ツイスト禁止令が出た世界で、ツイストを踊る3人(菊原、小椋、赤木)。そこへ現れたのはツイストGメン(外丸)。
(10週目不合格 No.131 1982年10月16日放送)
 ファニーズの親たちのコント。大学で真面目に勉強していると思っていたら、実はコントをやっていたことを知り、嘆く親たち。外丸の親は自衛官、菊原の親は外科医、小椋の親は銀行員、赤木の親は小学校の校長。ノンフィクションらしい。
(2週目合格 No.123 1982年8月21日放送)

(オッサン自動車(株)の社長と社員3人)
我がオッサン自動車株式会社は今年に入って3人もの有望(?)な社員を採用した。そこで「新入社員といえども能力に応じては給料・昇格をも考えてみたい。」との外丸社長の意向で新入社員3人に我が社の将来・新車のプラン・新入社員たちの会社的センスなどの問答が始まる……

社長「君たちはどうして我がオッサン自動車に就職してきたのかね?」
菊原「ワタクシは東大法学部卒です。もちろん学識能力の高さで採用されました」
小椋「ワタクシは青山学院大商学部卒です。ワタクシの場合スマートさと明るさを武器にして採用されました」
赤木「(おどろおどろしく)ワタクシは青森県は五所川原から集団就職でこの会社に入りました」

社長「君たちはわが社の車をどうやって売るのかね?」
メガネ「ワタクシはエリートですので。知恵で売ります」
色男「ワタクシは持ち前の営業スマイルとスマートさで売ります(?コレもうろ覚え)」
オチの人「(おどろおどろしく)ワタクシは(ゴメン忘れた!確か買わないとタタリが起こるとか言うオチ)」

社長「もっと具体的に何か「新車のプラン」とかないのかね」
メガネ「社長、ワタクシにひとつ提案があります。」
社長「ほほう、それは何だね?」
メガネ「まず静岡から産地直送のお茶っ葉を煮詰めます。そして玉子・砂糖・牛乳を混ぜて一晩冷蔵庫に安置します。」
社長「……で、それで何ができるんだね?」
メガネ「「新茶のプリン」です……」
外丸「新茶のプリン!?……ハ? 私が言ってるのは「新車のプラン」だ」(ここでなぜか大爆笑が起きる)
菊原「ハイ!すいません」
小椋「社長、では私が考えたプランはどうですか?」
外丸「どんなプランだね?」
小椋「まず私がターゲットとしているのはズバリ若者です」
外丸「ほう~」
小椋「現代の若者にウケるそんな都会的センスの車を考案しております」
外丸「それでそれで……?」
小椋「まずボディラインはメルセデスベンツもびっくりのガッチリとした厳つい車体」
外丸「ほう」
小椋「内装は広々3LDKほどの奥行き」
外丸「す、すごいっ!!」
小椋「そして、運転席は高級羽毛のふかふかシートに、椅子を倒してナイトクルージ~ング!!都会の夜景を見ながらミラーボールがクルクル回ってレッツダンシ~ング!!」
外丸「ヮォ!」

(マイケルジャクソンの「Don't stop till you get enough(邦題「今夜はドント・ストップ」)」が一瞬流れる)

外丸「そこまでにどれだけ費用が嵩むのかね(怒)」
小椋「ごもっとも」
赤木「……しゃちょ~おう!私にも考えがありますう~(おどろおどろしく)」
外丸「あ~君かね。君には全然期待しておらんよ。」
赤木「そんなこと言わないで聞いてやってください~」

なんか今振り返るとファニーズって「良い子・悪い子・普通の子」の原型みたいだね。
(3週目合格 No.124 1982年8月28日放送)

 元愚連隊の菊原、元暴走族の小椋、元総番長の赤木がここらでやくざになろうと、この辺で幅を利かせている鮫島組に入ろうとする。
 そこへ通りかかった普通のおっさん(外丸)に道を聞く3人。
小椋「おい、この辺によ、ごっつい奴らがたむろしているところがあんだろ」
外丸「ああ、ある。ここの道まっすぐ行ったらタバコ屋がある。そこを左に曲がって3軒目。看板出ているから」
3人「ありがとよ」
と言って通り過ぎようとすると
外丸「看板出てっから。花篭部屋って」
3人「おい!」
菊原「俺らよ、相撲部屋を聞いてんじゃないんだよ」
赤木「これだよ、これ」
と3人で頬のあたりに傷を入れるふりをする。
外丸「ああ、これね。床屋はね」
思わず手を振り払う菊原。
外丸「えっ、これでしょ、床屋」
3人「ふざけるな!」
外丸をぼこぼこにしてしまう3人。
菊原「このタコが」
赤木「今度会ったらただじゃ済まねえぞ」
小椋「とっとと消えちまえ」
うずくまって涙を流す外丸を蹴りまくる3人。
赤木「あれ、こいつ大人のくせに、襟に金バッジなんかつけてるぜ」
菊原「しかも鮫島組だ」
小椋「ピカピカに光ってやがらあ」
3人「ハハハ……、えっ?(嘲笑から驚きのポーズ)」
赤木「日本一の暴力団」
菊原「鮫島組の」
小椋「大幹部」
外丸「ただいまご紹介にあずかりました鮫島組の大幹部です」
ふんぞり返る外丸に思わずすがる3人。
菊原「大丈夫ですかい、兄貴」
小椋「誰が兄貴をこんな目に合わせたんですかい」
赤木「みんなで犯人を探し、仕返ししようぜ」
そして3人は逃げ出そうとするが
外丸「待てい!」
の声に思わず立ち止まる3人。猿の真似をするが
外丸「猿芝居はよしな」
3人はついに土下座。
外丸「立てい。お前ら、一列に並べ」
立ちあがって、整列する3人。
外丸「お前ら、忙しい時に、よくもおれをこんな目に合わせたな。(菊原に向かい)お前、俺のことをこう言ったな、「このタコ」って」
菊原「違いますぜ、兄貴。「この服、高うござんすね」って言ったんですぜ、兄貴」
外丸「そうか、俺の勘違いか。(赤木に向かい)お前、確かこういったな。「今度会ったらただじゃ済まねえ」って」
赤木「とんでもねえ、兄貴。俺はね、「近藤真彦は、ただ者じゃねえ」って言ったんですぜ」
外丸「そうか、俺の勘違いか」
(この後、小椋にも絡んだようだが、テレビではカット)
外丸「そうか、全部おれの勘違いか。ハハハ、イテッ(と腹を押さえる)。ハハハ、イテッ(と膝を押さえる)。この痛みは勘違いじゃねえぜ。落とし前をつけてもらおうじゃねえか。指詰めな」
3人「えっ、それだけは」
外丸「指詰めな。指詰めな!」
3人、返事をした後、赤木と小椋が鼻の穴に、菊原が尻の穴に指を詰める。
外丸「お前ら、何やってんだ!」
3人「指、詰めました」
外丸「ばかやろ!」
と、赤木、小椋の指を振り払う。
外丸「ばかやろう。鼻の穴に指詰めななんて言ってねえや」
そして後ろを振り向くと、まだ菊原が指を詰めている。
外丸「いつまでやってんだ、お前」
と菊原を殴り倒す。
小椋「でも兄貴。そんな格好しているから、やくざだってわかんなかったんですぜ」
菊原「いやあ、兄貴。決まってますよ」
外丸「そうか。いやあ、今のやくざってのはな、一にファッション、二に親切、三四が無くて、五に親孝行っていうぐらいだからな」
3人「親孝行!」
外丸「特に俺はファッションに気を使っている方だ。鮫島組のファッションテーマは、プランティ!」
3人「プランティ!」
外丸が靴を見せびらかす。
外丸「どうだ、ニケだ」
3人「えっ?」
外丸「ニケだよ」
菊原「あっ、ナイキのスニーカーっすか」
小椋「N、I、K、Eって書いてナイキって読むッすよ」
赤木「ローマ字で読んでいるよ」
外丸「(笑う3人に怒りで震えながら)鮫島組だ!」
3人「ニケでござんす!」
菊原「俺を兄貴の舎弟にしてください」
小椋「杯、下さいよ」
赤木「俺、兄貴の子分になりたいんですよ」
外丸「おめえら、どんな悪いことしてきたんだ」
菊原「悪いことは、相当してきましたぜ」
赤木「兄貴、俺は銭湯の中で、タオルちゃぷちゃぷ付けてきましたぜ」
菊原「そんなことじゃ済みませんぜ、兄貴。俺は、燃えるごみと燃えないごみを一緒に捨ててきましたぜ」
外丸「それは悪いことだ」 小椋「兄貴、俺は便所行って、流しませんぜ」
思わず指をさしてしまう3人。謝罪する小椋。
外丸「お前ら、なかなかできるじゃねえか」
菊原「俺たち、どんなことでもできますぜ」
外丸「待ちな(と、菊原の指を手に取る)。こんなごつい手をしてちゃ、堅気の衆がこわがるぜ。俺の手を見な」
菊原「おお、赤ん坊のようなきれいな手。どうすればこんなきれいな手になるんですかい?」
外丸「ルナマイルド(台所洗剤)に変えたからだ」
3人「なるほど」
外丸「それだけじゃだめだ。お前たち、踊りの一つぐらいは出来なきゃダメだな」
菊原「踊りなんてできないですよ」
小椋「俺は元暴走族ですぜ」
赤木「そんな恥ずかしいこと、俺絶対できませんよ」
3人、その場を去ろうとする。
外丸「おー、そうか。できないんじゃしょうがないよな」
外丸、手拍子で「ワン、ツー、スリー、フォー」
3人で『NAI NAI 16』(シブガキ隊)を踊りだす。踊り終わったところで
外丸「じたばたするなよ」と歌いながら踊るが
3人「兄貴、兄貴、もう終わりました」
外丸「お前ら、なかなかやるじゃねえか」
小椋「でも兄貴、本当にやくざなんですか」
外丸「鮫島組だ!」
菊原「だったら、ケチケチしないで杯下さいよ」
外丸「やれねえな」
赤木「どうしてですか」
外丸「昨日、潰れちまった!」
3人「いい加減にしろ!」
(6週目合格 No.127 1982年9月18日放送)

 小椋、外丸、赤木がバレリーナ姿で登場。三人で『白鳥の湖 情景』に合わせて踊る。そしてバレエバーを小椋と赤木が持ってレッスン、前で外丸がポーズ。
ナレ「綾小路麗華、16歳。綾小路財閥の一人娘。気が強く、プライドが高い。かなり意地悪」
 外丸と小椋が入れ替わり(このとき、バーを一人で持つことになった赤木がこけそうになる)、小椋がポーズ。
ナレ「十文字愛、16歳。このお話の主人公。貧しい家庭に生まれたが、天性のバレエの素質と、優しい心。そして、強い意志を持つ」
 小椋と赤木が入れ替わり、赤木が踊ってポーズ。しかし足を挙げた状態でストップしたためふらつき、笑いが起きる。
ナレ「馬田スズメ、46歳。鈍い、とろい、硬い。三拍子そろった、バレエ一筋、三十年」
外丸「あーら、馬田さん」
赤木「なーに、綾小路さん」
外丸「そろそろ発表会ですわね」
赤木「そうね。でも、今年の発表会のプリマは、きっとあなたよ」
外丸「(天狗の鼻が伸びるポーズをしながら)あーら、そんなことないわよ~」
赤木「決まってるって」
外丸「(天狗の鼻が伸びるポーズをしながら)あーら、そんなことないって」
赤木「(レッスン中の小椋を見ながら)ねえ、今度入った十文字愛って子。あの子、可愛いじゃな~い」
外丸「可愛くなんかないわよ!」
赤木「そうね、不細工! でも、うまいわよ」
外丸「うまくなんかないわよ!」
赤木「そうね、へたくそよ」
外丸「あの子ちょっと、いじりましょうよ」
赤木「じゃあわたし、ちょっとしごいてくるわ」
外丸「うん」
赤木「ねえ、十文字さん」
小椋「(振りむいて)はい」
赤木「新しく入った子はね、もっと隅の方で練習してちょうだい」
小椋「わかりました」
外丸「当然でしょ」
赤木「全く気の利かない子ね」
 外丸と赤木、バーに掴まってレッスンしようとしたが、小椋がバーを持ったまま隅っこの方に行ってしまったため、空を切ってこけてしまう。
外丸「なんてことしてくれるのよ」
赤木「憎ったらしい」
外丸「このアマ~」
赤木「っもう許さん」
 そこで菊原登場。
菊原「はーい、レッスンの時間よ」
 外丸と赤木、逃げるように倒れ込む。
菊原「あーら、あなたたち、どうしたの」
外丸「十文字さんが、乱暴するんです」
菊原「まぁーーー、十文字さん、あなた、なんてことするの」
小椋「いいえ、私は何にも」
菊原「言い訳はよしてちょうだい」
小椋「はい」
菊原「ここに居てちょうだい」
小椋「はい」
菊原「あなた、大丈夫だった?」
二人「(立ち上がり)はい、大丈夫です」
小椋「(空を見上げながら)あ、ママの星だ。(しゃがんで祈るように)ママ、どんなに意地悪されたって、私負けない。だって、ママの子だもん」
(多分ここで、ネタが一部カットされている)
菊原「(赤木が倒れ込んでいる中、外丸と小椋に向かい)さあ、ここで練習してちょうだい。うまかった方を、プリマにします(と言って立ち去る)」
小椋「は~い。綾小路さん、(手を差し出して)がんばりましょう」
外丸「(ふてくされたように)頑張れば」
小椋「がんばりま~す(当時のCMのまね)」
外丸「馬田さん」
赤木「な~に」
外丸「あの子の靴の中に、画びょうを入れちゃうの」
赤木「画びょう? そんなの生ぬるいわよ」
外丸「えっ」
赤木「それよりももっといい方法があるわ」
外丸「ん?」
赤木「これよ(と何かを取り出す)」
外丸「わ、剣山! えげつな~い」
赤木「痛いわよ~」
外丸「じゃあすぐ、あの子の靴、取ってくるわね。(踊って練習している小椋のところへ駆けつける)十文字さん」
小椋「はい」
外丸「バレエっていうのはね、しこを踏むと上達が早いのよ」
小椋「しこを踏むんですか~」
外丸「あなたもしこを踏んでごらんなさい」
小椋「はい。ママ、見てて。(しこを踏んで)どすこい」
外丸「だめよ~。素足で踏まなくちゃ」
小椋「そうですか」
外丸「そうよ」
小椋「わかりました(とシューズを脱ぐ)」
外丸「(シューズを受けとりながら)じゃあ、預かっとくわね」
小椋「はい。(シューズを脱いで、バレエの踊りのレッスンを続ける)」
外丸「(赤木のところへ戻り)やったわよ~」
赤木「(剣山を取り出す)」
外丸「(先を指でつついて)痛い痛い、ハハハ」
 そこへ菊原登場。外丸、慌てて赤木の元を離れ、隅っこですねている。
赤木「あら、これ錆びてるじゃない。取りましょ、取りましょ」
菊原「馬田さん」
赤木「せんせい~」
菊原「あなた、何剣山で遊んでんの? (小椋を見て)ま、十文字さん。あなた、靴はどうされたの?」
小椋「いや、何でもないんです」
菊原「もしかしたら、この二人がいたずらをしたんじゃなくて?」
小椋「いいえ、違うんです」
菊原「違うの?」
小椋「私、踵が弱いものですから」
菊原「踵が弱いから?」
小椋「踵を鍛えるために、剣山を入れてもらったんです」
菊原「そう? でもこの二人、凄い意地悪よ」
小椋「違う!」
菊原「違う?」
小椋「私はこの二人の先輩を、心から尊敬しております」
菊原「そうなの?」
小椋「なぜなら、両親も、兄弟もいない私を、本当の子供のように、可愛がってくれたんです」
外丸「あれほど、あれほどいじめたのに」
赤木「私たちを、かばってくれた」
菊原「♪あたたかい~(いきなり歌い出す。なんの唄かは不明)」
外丸「(小椋に駆け寄り)十文字さん、ごめんなさい」
赤木「(同じく駆け寄り)私たちが、悪かったわ」
小椋「ええ」
外丸「今度のプリマは、あなたよ」
赤木「がんばってね」
小椋「はい」
外丸「この靴は、お返しするわ」
小椋「ううん。この靴はよかったの」
外丸「えっ?」
小椋「(ステージ後方から別のシューズを取り出し)私にはこの、赤い靴があったから」
菊原「ま、十文字さん。この赤い靴は、今は亡き幻の名バレリーナ、十文字光のものではなくて」
二人「えっ、十文字光?」
小椋「はい。私のママです」
菊原「えっ、私のライバルだった」
小椋「そうだったんですか」
菊原「(ジャケットを脱ぎながら)十文字さん、ちょっと、私にこの靴を使わせてちょうだい」
小椋「先生、お使いになるんですか」
二人「(拍手)」
菊原「ちょっと使わせてもらうわ。」
三人「がんばって~」
菊原「(紐でつながったシューズを、ヌンチャクのように振り回し)あちゃー」
三人「(拍手しながら)先生、お上手~」
菊原「さあ、みんなの気持ちが一つになったところで、練習しましょう」
外丸「先生、何を踊るんですか」
菊原「もちろん、四羽の白鳥よ」
三人「は~い」
 四人、手をつなぎ、「四羽の白鳥」をフルで華麗(?)に踊る。場内、大拍手のまま終了。

「ほんと面白い」「初めは散漫であかんと思ったが、後の踊りが熱気が凄い」「男が女のコントを演じるとどうしてもぎこちないところがあるけれど、あとの踊りで救われている」
(7週目合格 No.128 1982年9月25日放送)
(爆笑オンステージ No.160 1983年5月14日放送)

 サングラス姿のチンピラ、小椋、外丸登場。TシャツにはSHARKの文字。
小椋「ここはニューヨーク、ウエストサイド」
外丸「俺たちSHARK団の縄張りだ」
小椋「JET団の野郎にはな、負けねえぜ、グハハハハ」
外丸「(サングラスを外しながら)お、兄貴。今日はいい艶出してますね」
小椋「(サングラスを外しながら)わかるか」
外丸「どこの油ですか。カネボウですか、資生堂ですか」
小椋「ちょっと味わってみな」
外丸「(小椋の頭を撫で、匂いを嗅いでみる)軽いしあい」
小椋「そう、今川崎のおっさんたちにも大評判なんだ」
外丸「ラーマですか」
小椋「しかもゴールデンソフトよ」
外丸「さすが兄貴だ」
小椋「はははは」
外丸「(指差しながら)お、兄貴。JET団の野郎がやってきましたぜ」
小椋「そうか、あんにゃろーをからかってやろうぜ」
 音楽が流れ、JETと書かれたTシャツを着た菊原が踊りながら登場。歩いていると小椋と遭遇。そのままUターンして帰ろうとする。
小椋「(指をさして呼び止めながら)待ちな!」
菊原「やべえ。SHARK団の野郎だ。なんとかしてごまかさねば。(いきなり四つん這いになる)」
小椋「なんだ、この野郎。JET団の奴らかと思ったら、犬ころだ。」
菊原「アオー、ワンワンワン」
外丸「兄貴よ、こいつはかに道楽だ」
菊原・小椋「かに道楽?」
 三人で重なりながら、かに道楽の蟹が足を動かすところを真似る。
小椋「やっぱりこの野郎、かに道楽かと思ったら」
小椋・外丸「JET団だ」
菊原「えっ。てめえ最初から分かって俺をからかってたのか、この野郎。かに道楽までさせやがって」
小椋「可愛がってやんな」
外丸「(菊原の頭を抱え)たっぷりと、可愛がってやるぜ。(ポケットからガラガラを出して)いないいないばあ、いないいないばあ」
菊原「(思わずずっこける)」
小椋「(外丸を突き飛ばしながら)何をやってるんだ。意味が違うだろ」
外丸「兄貴、どうするんですか」
小椋「こうやるんだよ(とポケットから袋を取り出す)」
外丸「お、袋」
小椋「(袋に息を吹き込んで膨らませ、菊原の頭を叩きまくる)」
外丸「兄貴、何ですかそれは」
小椋「袋叩きだ」
菊原「(思わずずっこける)」
外丸「さすが兄貴だ」
菊原「お前ら、何考えてんだ。うちの兄貴によ、落とし前を付けてもらうぜ。兄貴、兄貴」
 幕が開き、サングラスをかけGジャンを着た赤木が登場。
赤木「(階段を下りながら)おめえら、よくも俺の子分を可愛がってくれたな。たっぷりと礼を言わせてもらうぜ。ありがとうございます(とサングラスを外しながら頭を下げる)」
菊原「兄貴、けがは大丈夫ですか」
赤木「なあに、かすり傷程度よ」
小椋「おい、久しぶりに肩こっちゃったな。もんでくれる」
外丸「へい(と両肩をもむ)」
小椋「ほら、どんなもんだ、おい」
赤木「おい」
菊原「へい」
赤木「肩もみな。スイッチオン(と菊原の頭を押す)」
菊原「(両手のこぶしで背中をもみながら)ウィーン」
赤木「おう」
小椋「電気あんま」
小椋・外丸「負けた!」
小椋「おい、暑いぜ、暑いんだ」
外丸「そうだと思って、扇子用意しておきました」
小椋「(扇がれながら)どうだ、みろ、扇子だ」
赤木「おい」
菊原「へい」
赤木「暑いぜ。スイッチオン」
菊原「(口に吹き流しを加えて吹きながら、頭を動かす)」
赤木「おう」
小椋「扇風機」
小椋・外丸「負けた!」
小椋「おいおい、ダンスなら負けねえんだがな」
外丸「兄貴。ダンスの上手い妹のマリアさん、呼んできましょうか」
小椋「マリアか」
外丸「あの美しいマリアさん見たら、あいつらいっぺんでまいってしまいますぜ」
小椋「よし、頼むぜ」
 外丸、袖にあるブロック塀(のセット)の裏に隠れる。
小椋「どうだ、ダンスで勝負だ、この野郎」
菊原「この野郎、ダンスだったらこっちの方だってうまいんだぜ」
小椋「そうか、よし、踊りだ、踊りだ」
 三人でダンスを披露。そこへ、ポニーテールにワンピース姿のマリア(外丸二役)登場。
外丸「あーら、お兄様。お待たせ」
小椋「遅かったな」
赤木「あの子、誰?」
菊原「あれはあいつの妹ですぜ」
外丸「お兄さん、あの人誰?」
小椋「あちらを見るんじゃねえ。○○したらどうするんでい」
 ムードたっぷりの音楽が流れ、赤木と外丸が見つめ合う。小椋と菊原はブロック塀の垂れ幕でバックを演出。赤木と外丸はすれ違い、そして振り向いて見つめ合う。
赤木「名前は?」
外丸「マリア」
赤木「マリア。なんてプリチーな名前なんだ
外丸「あなた、名前は?」
赤木「俺、留吉」
外丸「なんて素敵な名前なのかしら」
赤木「俺と付き合ってもらえますか」
外丸「グループ交際なら」
赤木「マリアさん」
外丸「ううん、マリアって呼んで、留吉さん」
赤木「ううん、トメって呼んで」
 二人で手をつなぎ唄い出すが、垂れ幕を下した小椋が二人の手を引き離そうとする。
小椋「野郎、俺の妹に手を出しやがって。離せ、離せ、離せ―」
外丸「むかしむかしあるところに」
赤木「おじいさんとおばあさんがいました」
小椋「お話してどうするんだ(と二人の頭を叩いて引き離す)。いますぐシノ呼んできな」
外丸「えっ、今すぐ?」
小椋「そうだ」
外丸「わかった(と舞台袖の塀の裏に隠れる)」
小椋「やってやるぜこの野郎」
菊原「上等だ、この野郎」
 二人殴り合おうとするが、赤木が止める。
赤木「待ちな。クールになりなよ。クールによ。チルドレンみたいなマネは、よしな」
 三人で踊りながらやり合うが、いつの間にかラインダンスを踊っている。そこへ外丸が登場、ナイフで赤木を刺す。
外丸「やりましたぜ、兄貴」
小椋「馬鹿野郎、お前。ナイフなんか使って、怪我でもしたらどうするんだよ」
菊原「おめえのせいで、大怪我してるんだよ」
小椋「そうかよ」
赤木「(倒れこみながら)マリア!」
小椋「おい、マリア呼んで来い」
外丸「えっ、わかりました。今?」
小椋「そうだ」
外丸「今来たばっかりですよ」
小椋「いいんだ」
外丸「わかりました(と舞台袖の塀の裏に隠れる)」
小椋「(倒れこんでいる赤木に近寄りながら)おい、大丈夫か」
赤木「俺が死んだらよ、頼みたいことがあるんだ」
菊原「なんですか、兄貴」
小椋「何でも言ってくれ」
赤木「これだ(とポケットから何かを取り出す)」
小椋「おっ。なんだ、これは」
赤木「丸井のカードだ」
小椋「丸井のクレジットか」
赤木「あと、4か月残ってるんだ」
小椋「(受け取りながら)まかせとけ」
外丸「(マリアになって登場)キャー、留吉。(踊りながら)キャー、留吉。(踊りながら)キャー、留吉。(最後は首を横に振るいつもの踊り)」
小椋「おい」
外丸「(スカートを上げながら)キャー、留吉」
菊原「おめえ、楽しんでるんじゃねえか」
外丸「そんなことないわ。(赤木に縋りつきながら)留吉、どうしたの。誰が留吉をこんな目にしたの」
小椋「シノだよ」
菊原「シノだ」
外丸「シノ。シノ!」
小椋「シノだ」
外丸「シノはどこ。シノはどこ。ぶっ殺してやるわ」
三人「お前だろうが」

 「一つ一つのギャグは面白い。流れがもっとスムーズだと、本当のミュージカルっぽくなる。ちょっとぎくしゃくしたところはあった」「音楽をアレンジしてうまく使っていた」「早変わりがもっと早かったらよかった」「踊りは練習していてうまい」。
(8週目合格 No.129 1982年10月2日放送)

三人、音楽にのせて踊りながら登場。
三人「私たちは、マフィアです」
菊原「私は切れ者のファッチーニと言います」
小椋「私、○○○の×××、よろしく」
赤木「俺は陰気な、ロレックス」
三人「今日は、ゴッドファーザーの誕生日です」
菊原「今日でゴッドファーザーも70歳だな」
小椋「ゴッドファーザーもそろそろ引退してもいいころだな」
赤木「そうなると次のボスは、」
三人「はははは、もちろん、この俺だ」
三人「おお。ゴッドファーザーの登場だ」
『ゴッドファーザーのテーマ』にのせて踊りながら、ゴッドファーザー(外丸)登場。
外丸「いやいやいや、息子たち、元気かね」
三人「ボス、お誕生日、おめでとうございます」
菊原「これからも長生きしてください」
外丸「長生きはしたくない」
小椋「さびしいこと、仰らないでくださいよ」
外丸「年を取って醜い姿をさらしたくはない。私は生きても、せいぜい100までだと思っているよ」
三人驚く。
菊原「十分長いですよ」
外丸「それにしてもな、今日の70歳の誕生日を機に、ゴッドファーザーの地位を譲ろうと思っている」
菊原「私にお任せを」
小椋「いえ、私に」
赤木「ぜひとも私に」
三人は小競り合いを始める。
外丸「ストップ」
外丸の手拍子に合わせ、三人は一動作ずつ小競り合いを止め、気を付けの体勢になる。
菊原「ゴッドファーザー、これはなんですか」
外丸「ピクチャー、サーチ(当時のCMだと思うが、よくわからない)」
三人「お見それしました」
外丸「それにしても、後を継ぐには新しい商売を始めないといけねえな」
菊原「それは麻薬ですかい」
小椋「カジノですか」
赤木「それとも酒の密輸ですか」
外丸「そんな古臭いものではない。もっと目新しい」
菊原「目新しい。ボス、俺も麻薬なんかで金を儲ける時代は終わりだと思っております」
外丸「それで一体、何をするつもりだ」
菊原「衣服を作るんです」
外丸「衣服!」
菊原「わが祖国イタリアはファッションの本場です。ファッションショーを開いて、わがマフィア印の服を、大々的に売り出すのです」
外丸「なに、ファッションショーを開いて」
突然音楽が流れ、菊原司会、三人モデルによるファッションショーが開かれる。
(元に戻り)
菊原「ボス、いかがでしょうか」
外丸「こいつは儲かりそうだな」
小椋「ファッションなんか面倒くさいことはやめて、そのものずばり、カツアゲなんてどうですか」
外丸「カツアゲ? そんなもの古臭いわ。それに警察にすぐ捕まってしまう」
小椋「いやいやいや、ですから、音楽に合わせてカツアゲをするんです」
外丸「音楽に合わせて? ミュージカルカツアゲか」
小椋「そうです。これだったら警察の目だって誤魔化せるんです」
小椋「カツアゲ!」
三人「イエイ!」
小椋「カツアゲ!」
三人「イエイ!」
音楽『シティ・イン・シティ』が流れ、四人は当時のホンダCITYのCMの踊りを真似ながら、サビのところで一人ずつ「金」「出せ」「金」「出せ」と言う。
小椋「こうやるんです」
外丸「なるほど。そうすれば誤魔化せるかもしれないな。よし、お前の考えを聞かせてもらおう」
赤木「パス!」
外丸「何だと!」
赤木「金儲けはできません。しかし、他のファミリーとの戦いなら、任せてください」
外丸「なるほど。戦いに強いのも、ゴッドファーザーになる条件の一つだ。で、どのようにして他のファミリーを潰すのかな」
赤木「俺は、ピストルやマシンガンなんかは使いません」
外丸「なら、武器は何だ」
赤木「これです。(と、懐から新体操のリボンを取り出す)」
外丸「おお、鞭!」
赤木「これで、相手を叩きのめすんです」
外丸「なるほど。これは痛いぞ」
赤木「しかし、これが通用しないファミリーが一つだけあります」
外丸「それはどこのファミリーだ」
赤木「あのマゾで有名な、セブンイレブンファミリーです」
菊原「あのマゾで」
小椋「有名な」
外丸「セブンイレブンファミリー」
赤木「あいつらはいつも叩くとこうなんです(と、外丸を叩き始める)」
外丸「あ、イテッ! あ、イテッ! あ、イテッ!てよかった」
菊原「ここに私たちの分もあります」
外丸「おう!」
菊原「ある時は武器として」
小椋「ある時はシェイプアップの道具としても使えます」
演歌が流れてきて、四人はリボンを回しながら踊りはじめる。
外丸「いやあ、これは三人とも甲乙つけがたいわ」
菊原「次のボスは俺ですかい」
小椋「俺ですかい」
赤木「俺ですかい」
外丸「よし、わかった」
菊原「どうするんですかい」
外丸「100歳になったら、また考えるわ」
三人「いい加減にしろ」
四人「どうも、ありがとうございました」

 やや子供っぽい、大人が見ても耐えるものにしてほしいという評もあったが、比較的にまとまっていると、見事合格、金賞獲得。
(9週目合格 No.130 1982年10月9日放送)

 三人(菊原、小椋、赤木)が顔を隠しつつ、こそこそしながら登場。菊原はラジカセを抱えている。
 チャイムが流れ「7時のニュースです。あまりに熱狂的なロックンロールブームのため、政府はロックンロールならびにツイスト禁止令を発令しました。市民の皆様、ツイストを踊ってはいけません。みんなでなくそう、ロックンロール。7時のニュースでした」
菊原「私たちは」
三人「隠れロックンローラーです」
菊原「誰もいねえな」
赤木「こんな山の中までくれば大丈夫だぜ」
小椋「原宿時代を思い出して、パーッと踊ろうぜ」
菊原「派手にな!」
小椋「隠れツイストGメンなんて、くそくらえだ!」
赤木「音楽をかけろ!」
菊原「まかせとけ! ノリノリで行くぜ!」
二人「オー!」
菊原「ロックンロール!」
二人「イエーイ!」
菊原「スイッチオン!(とラジカセのスイッチを入れる)」
 なぜか細川たかし『北酒場』が流れてきて、三人ずっこける。
小椋「おい、曲が違うぞ」
赤木「間違えるな!」
菊原「すまねえ。(カセットテープの)A面とB面を間違えちまったぜ。今度こそノリノリで行くぜ!」
二人「イエーイ!」
菊原「スイッチオン!(とラジカセのスイッチを入れる)」
 エルヴィス・プレスリーの『ハウンド・ドッグ』が流れてきて、三人はツイストを踊り始める。
 三人がノリノリのところで、幕が開いて、外丸登場。
赤木「やべえ。ツイストGメンだ!」
 『Gメン75』のオープニングテーマにのり、外丸がやってくる。
外丸「私がツイストGメンの、腰振り禁止だ」
三人「オー」
外丸「隠れロックンローラー! ツイスト現行犯で逮捕する」
小椋「旦那。俺たちはツイストなんか、踊っちゃいませんぜ」
三人「なにい。お前たち、いまこうやってたな(と手を振る仕草)。ツイストを踊っていたんだろ」
小椋「違いますよ、旦那。俺がやっていたのはこれですよ(と仕草を見せる)」
外丸「お前、何やってたんだ」
小椋「河原で、タニシ取ってたんです」
外丸「お前、タニシ取ってたのか。そうか。お前、今、こうやってたな」
菊原「へい」
外丸「お前、ツイスト踊っていたな」
菊原「とんでもないですよ、旦那。俺がやっていたのはこれですぜ(と違う仕草を見せる)大、小、大」
外丸「お前、何やってたんだ」
菊原「ミカンの選別です」
外丸「お前、ミカンの選別やってたのか。そうか。お前、今、こうやってたな。お前、ツイスト踊っていたんだろ」
赤木「俺は舟をこいでいたんです」
外丸「舟をこいでた~?」
三人「エンヤトット、エンヤトット、エンヤトット、エンヤトット」
外丸「(なぜか歌い始める)」
三人「(三人、手を振るのを止めて、外丸を見る)」
外丸「しらじらしい。おい、このラジカセはなんだ。ロックンロール流してたんだろ」
菊原「とんでもございません」
外丸「(赤木に向かって)よし、お前テープ流してみな」
菊原「これに交換するんだ(と外丸が横を向いた隙に別のテープを赤木に渡す)」
赤木「よし」
外丸「絶対にロックンロールが流れるはずだ」
菊原「違いますよ、旦那。俺たちが流していたのは、これですぜ」
赤木「(こっそりテープを入れ替える)スイッチオン」
 別の軽快な音楽が流れ始め、三人がダンスを踊り始める。(なぜか赤木は、踊りの向きが反対)
外丸「なんだ、それは」
三人「エアロビです」
外丸「エアロビだった~? これから踏み絵を行う」
三人「踏み絵! なんだいったい」
外丸「これだ!(と床に置いてあったパネルを取り上げる)」
小椋「エルヴィス・プレスリー様だ」
菊原「俺、あんなの踏めねえよ」
赤木「みんな、ごまかすんだ」
外丸「お前たち、これ誰だかわかるな。お前、これ誰だ」
小椋「これは、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンですよ」
外丸「ベイ・シティのレスリーだ? お前は!」
菊原「これは、クロード・チアリです」
外丸「クロード・チアリだ? お前は!」
赤木「うーん、E・H・エリックです」
外丸「E・H・エリックだ? よーし、お前、E・H・エリックって言ったな。(持っていたパネルを降ろし)E・H・エリックなら踏めるだろ」
赤木「(ものまねをしながら)踏めません」
外丸「どうしてだ」
赤木「それはもちろん、兄さんなんです」
外丸「お前の兄さん。するとお前は」
赤木「岡田真澄です」
外丸「岡田真澄さん!」
赤木「ファンファンです」
外丸「いやあ、ファンファンか。兄貴じゃ踏めねえわな」
三人「よかったなあ」
外丸「てめえら。しらばっくれるのもいい加減にしろ。」
三人「えっ」
外丸「お前たちがロックンローラーだってことは、当の昔からわかっていたんだ」
三人「えっ。どうしてですか」
外丸「お前たちの中に、密告したやつがいる」
三人「えっ、密告!」
菊原「どこのどいつだ、そんな野郎は」
小椋「見つけたら、即リンチだ」
赤木「(おどおどしながら)俺じゃねえ、俺じゃねえ。絶対俺なんかじゃないんだよ~」
菊原「お前、何言ってるんだ」
小椋「誰もおめえだなんて、言ってねえだろ」
赤木「ここに来る途中、角の煙草屋から警察に電話して、その後警察に行って、二階の取調室で洗いざらい話して、賞金の二十万円をもらったのは、俺じゃねえんだ~(と泣き崩れる)」
小椋「おめえだったのか!」
赤木「(立ち上がりながら)どうしてわかるんだ」
菊原「あれだけ話せば、誰だってわかるぜ」
小椋「この野郎、リンチだ(と殴ろうとする)」
菊原「(小椋の手を止める)待ちな。こいつには、何か理由があるはずだ。赤木、そういえばおめえ、おめえの母さん、目の手術するんだってな」
赤木「そうなんだよ。おふくろの、目の手術なんだよ」
小椋「角膜移植か」
菊原「腹膜炎か」
赤木「違う。一重瞼を、二重瞼にしたんだ」
小椋「一重を」
菊原「二重に」
赤木「それでよ、二十万円の手術代、今日中に払わねえといけねえんだよ」
小椋「そうだったのか。赤木、気にすんな。」
菊原「今日のことは忘れてやるよ」
赤木「ありがとう!」
外丸「美しい。なんて美しい話なんだ。いやあ、思わずもらい泣きしてしまいました」
三人「ホントですか?」
外丸「いやあ、僕はね、今日のことは、僕の胸の中にしまうつもりでいるから」
菊原「本当ですか」
三人「ありがとうございます!」
外丸「しかしな。二度と腰は振るな」
三人「はい。もう腰は振りません」
外丸「いいか、法律にも抜け穴ってのがあるんだ」
菊原「抜け穴?」
外丸「ツイスト踊る時はな、腰を振る代わりに、首を振るんだ(客席は外丸の首を振るギャグを知っているので、笑いが起きる)」
三人「首を?」
菊原「首振るったって、いったいどうやってやるんですか」
外丸「お前、それも知らないのか」
三人「はぁ」
外丸「それじゃしょうがねえ。俺が見本を見せてやる。こうやるぜ」
 音楽が流れてきて、三人が手を振る中、外丸がいつもの首を横に激しく振る踊りを見せて、客席が盛り上がる。
外丸「どうだい。お前たちも一度、踊ってみねえか」
三人「踊るわけ、ねえだろ」
四人「どうも、ありがとうございました」

 「先週と比べてGメンなんてどうなるんだと思ったら、終わってみるとまとまってる」「セリフのやり取りが面白い」「踏み絵のアイディアがよかった」と好評で、見事合格。ストレートで9週突破。
(10週目不合格 No.131 1982年10月16日放送)

 ファニーズの親達のコント。「東京でまじめに勉強していると思ったら、コントをやっていたなんて」息子の学歴を順に聞いていって「早稲田や青山」が出る中、最後の一人に「おたくの息子さんは?」「浪人です」→これはグランプリ挑戦時のネタでした。途中、「あんたは息子がコントをやってもいいって首を縦に振ったのかい」「いいや、首を横に振りましたよ、こうやって」といつもの首を左右に振るネタをやる。最後はダンボールに書いたギター、ベース、ドラムを持って、「艶色THE NIGHT CLUB」を歌い、「我々もいっそのことデビューしますか?」「できるわけないだろ」と落ちる。
 京唄子に「どうせ歌を歌うのなら、本物の楽器を持って歌わないとつまらない」などと言われ、結局グランプリ獲得ならず。
(第3回ゴールデンルーキー賞1回目 44点 No.133 1982年10月30日放送)

 鮫島組入門志願の暴走族と鮫島組の大幹部のネタで、最後に全員の気持ちがぴったりあったことを確かめるとかの流れで、突然バレエの音楽が流れ出し、4人が「四羽の白鳥」を踊りだしました。グランプリシリーズのバレエ教室ネタも笑えましたが、ヘビメタやギャングスタイルなどのおよそバレエと似つかわしくない4人の男性が踊る姿は元ネタ以上に笑えました。最後に大幹部(外丸)が「お前達にはもっといい組を紹介してやる。宝塚の花組だ」「いい加減にしろ!」

 最後に中尾ミエさんが「またバレエみたいと思っていたけど、こんなに早く見られて良かった」みたいなことを言っておられました。
「ファニーズ」求婚ネタ

 外丸の1人娘の家に3人の花婿候補がやってきて、外丸の娘さんと付き合うために3人で競い合うというコント。

外丸「実は、こんな物が家にあるんだ」
菊原「こっ、これは……」
小椋「最新機種の……」
赤木「コンピューター……」
外丸「君たち3人の全データをこのコンピューターにインプットした。残る項目を2,3入力すれば完了だ。これで、私の一人娘に一番ふさわしい人物が選び出されるわけだ」
菊原「おー、これは……」
小椋「画期的だ……」
赤木「早速始めましょう」

(懐かしの番組「クイズMr.ロンリー」のパロディで……)

外丸「コードナンバー301 明朗な人」
菊原「おぉう、私は明朗です」
小椋「私も明朗です」
赤木「(おどろおどろしく)わ~た~し~もぉ~、見るからに明るいですぅ~~。ふっふっふっ……」

外丸「コードナンバー305 ファッションに気を使ってる人」
菊原「おぉう……私はいつもスーツ系でビシッと決めています」
小椋「私なんか、上から下まですべてブランド品で固めています」
赤木「わ~た~し~は~、ディスカウントショップで、しかもタイムサービスでもぎ取ってきた掘り出し物を、いつも身にまとっています」

外丸「困ったなあ~、家には1人しか娘いないし、君たち3人とも将来性があって、迷うなあ~~~」
菊原「何を言ってるんですか!!」
小椋「この3人の中から選ぶって言ったじゃないですか!!」
赤木「おっ、お~ね~が~い~しますぅ~~!!」
外丸「家の娘72歳なんだけれど……貰ってくれる?」
3人 「いい加減にしろ!!」
エピソード
 カプセルの中には3人しか入れないので、必ず一人(外丸)は舞台横から登場していました。
 ファニーズのバレエは、当時所属していた劇団の稽古場がバレエレッスンスタジオも兼ねていたのでそこで猛特訓したたまもの。
 ファニーズのメンバーは、あの”有頂天”のケラ(現・劇団ナイロン100℃主催・ケラリーノサンドロヴィッチ)と友達だったようです。有頂天の86年にリリースされた“ビコーズ”というカセットブックについていたブックレット中の“有頂天史”(結成からのライブ記録が書かれている)に、1983年11月15日ロフト(中略)ゲスト(中略)ファニーズとあり、「ファニーズはお笑いスター誕生で勝ち抜いたコメディアンで、なおかつケラの友人だった」と記されてます。でもどこで出会ったとか詳しいことはワカリマセン。
感 想
 若さにまかせた部分はありつつも、切れ味の鋭いコントでした。売れっ子になる要素は十分にあったと思います。
 当時高校生だった私は、ファニーズを見るために学校から走って帰ってました。ビデオもなかったので、ラジカセをテレビの前にくっつけて笑いをこらえて録音したこともありました。かなりハマっていて、いつの日か(彼らが大学を卒業したら)お笑い界に君臨すると信じてました。でもいつまで待っても……。
 今でも私は「ファニーズ」が1番おもしろいって思います。
カセット
「見栄講座」
CM
 ファニーズが明治の「オレンジアップ」というキャンディーのCMにでていました。ちゃんとファニーズの名前が字幕で出されていたので、かなり事務所も売り出しに力をいれていたのでしょうが、やがてそのまんま東と松尾伴内に変わりました。
 4人は鼓笛隊の格好をしてて、外丸さんは例の首振りダンスをやってましたね。
 資生堂ギャツビーと出世ガムのCM出演。
 「ふんわりアメリカン、ふわーっとアフリカン」の資生堂ギャッツビーに出演したファニーズメンバーは赤木&小椋コンビ。彼らの後が松田優作。
 ギャッツビーのコマーシャルのセリフは「カトリーヌは俺の女よ」「はん!今日こそ勝負付けてやる」「かるーくアメリカン」「フワっとアフリカン」でした。
その後・現在
 外丸君が抜け、ファニーズ(新生)でオープントーナメントサバイバルシリーズに出場するも1回戦負け。
 すぐに解散してしまいました。
 小椋は商業演劇を中心に俳優として活動していた。赤木は家業を継いだが、たまに児童演劇に出ていたらしい。
 メンバーの一人菊原共基(きくはらともき)は現在放送作家。「とんねるずのみなさんのおかげです」ではファニー菊原の名前で、時々テレビにも出演していました。
 2009年4月より新たなカリキュラムで開講する太田プロエンタテイメント学院では、専属講師を務めている。
 日本テレビの深夜番組で、大学生芸人発掘バラエティ『カイブツ』の2007年11月17日放送分に登場した漫才コンビ、エコノミックスのツッコミ、城康之くんのおじさんは、外丸直人さん。番組には外丸さんご本人も登場し、出演者のきたろうさん(シティボーイズ)と話していました。
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名 前
ファニーズ(新生)
初登場
 1984年1月28日(第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ
実 績
 第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦負け。
ジャンル
 コント。
プロフィール
 秀才タイプの菊原くん。
 アイドル系の小椋くん
 カルトな浪人のリーダー赤木くん。
 ファニーズ(初代)から外丸君が抜けました。
ネ タ
第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Eブロック 77点× No.200 1984年3月3日放送)

 〈ツイストGメン〉
 近未来の出来事。ツイストが全面禁止されている。あるところで二人の男性(小椋、赤木)が集まる。ラジカセをかけ、ツイストを踊る。そこへ、刑事(菊原)が。あわててテープを止める二人。
刑事「お前ら、見付けた」
容疑者1、2「あっ、ツイストGメンだ!」
刑事「お前ら、何をやっていた」
容疑者1(ツイストの振りをしながら)「ぼ、僕は、ミカンの選別をしていたんです」
刑事「ほう、お前は何をやっていた?」
容疑者2「ぼ、ぼくは、アコーディオンを弾いていました」
刑事「ほう、ではお前らはツイストを踊っていないというのだな」
容疑者1、2「もちろんです」
刑事「嘘を付いても無駄だ。このテープをかけてみればわかるぞ」
 とラジカセのスイッチを押すと、なぜか「青い珊瑚礁」が。
刑事「うーむ、しぶといやつめ。こうなったら、ツイストをかけてやる。お前らがツイストを踊っていないのなら、なんも反応しないはずだ」
 とツイストをかける。最初は冷静だったが、徐々にからだが反応しつつある二人。刑事が向こうを向いているときは踊り、こっちを見たときは動きを止める。しかし、とうとう見つかる。
刑事「やはり、踊っていたなあ」
容疑者1、2「いいえ、知りません」
刑事「そんなことを言っても無駄だ。実は密告者がいるんだ」
容疑者1「俺はそんなことは知らねえ。ま、まさか、お前」
容疑者2「すまない。つい……」
 以下、やりとりがあって
刑事「まあいい。今回は友情に免じて許してやろう」
容疑者1、2「有り難うございます」
刑事「これからは、ツイストではなく、これを踊りなさい」
 三人、つまようじを鼻に指し、安木節を踊る。
刑事「どうだ。これから流行るぞ」
容疑者1、2「流行るわけ、ないだろ」
感 想
 4人でやっていた頃の面白さはありませんでした。こう考えると、外丸さんの存在が大きかったのか。それとも、ネタの構成が弱くなったか。元々三段落ちのネタが多かったから、3人になるとどうしてもインパクトが弱くなったのかも。
その後・現在
 ファニーズ(初代)の項参照。
【登場者リストに戻る】

名 前
ブッチャーブラザーズ
初出場
 1984年5月5日(第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ
実 績
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第3回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦負け。
 第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
 第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
 第7回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦負け。
ジャンル
 コント、漫才。
プロフィール
 リッキー:本名岡博之。1958年9月8日生。京都府出身。
 ブッチャー:本名山部薫丸。1954年11月25日生。京都府出身。
 1978年、東映京都撮影所付属俳優養成所で出会う。ぶっちゃあは映画監督志望、リッキーはカメラマン志望だった。太秦映画村の大部屋俳優となり、当時の芸名は南郷力丸、石川力也。1979年に森田健作の付き人となった後、1981年結成。当初は映画にちなんでブルースブラザーズという名前であったが、『笑ってる場合ですよ!』に出演する際、本番30分前に映画会社からクレームが来るかもしれないということで、ブッチャーというあだ名にちなんで変えた。同年、『笑ってる場合ですよ!』の「お笑い君こそスターだ!」で5週勝ち抜いてチャンピョンになり、サンミュージックの第1号お笑いタレントとなる。1982年、『ザ・テレビ演芸』で第4代グランドチャンピオンに輝く。1984年、サンミュージックがお笑いから撤退したため、人力舎へ移籍。
ネ タ
(第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Aブロック 85点○ No.209 1984年5月5日放送)
(五周年記念特別企画 傑作・名作特集パート2 No.258 1985年4月20日放送)

リッキー:八百屋
ブッチャー:桃太郎

リッキー「さあ、さあ、いらっしゃいませ。本日、大安売りでございますよ。リンゴにミカンにバナナ、なんでも安い。そして今日はこれだ。岡山から仕入れたばっかりの桃。この桃一個がたったの二百円ですよ、二百円。買ってよー」
ブッチャー「(桃太郎、登場)お母さん」
リッキー 「お母さん? 」
ブッチャー「(八百屋の手から桃を奪う)いったいどこに行ってたんですか、お母さん。僕を一人にして。会いたかった~。お母さんがドンブラコ、ドンブラコと流れてきて、おじいさんがぱっと割ってから、会ってなかったんだよね~、お母さん」
リッキー 「何だ、お前。新しい宗教か」
ブッチャー「何を言ってるんですか、おじさん」
リッキー 「やめてくれよ、そんなこと。うちの店は今、大売り出しなんだよ」
ブッチャー「ひどいなあ、おじさん。僕は今、久しぶりにお母さんと対面したんだから。ねえ、お母さん」
リッキー 「わかった。その桃欲しいんだな」
ブッチャー「そうだよ」
リッキー 「じゃあ、買ってよ」
ブッチャー「えっ」
リッキー 「だってそれ、売りもんだもん」
ブッチャー「お母さんが身を売ってる」
リッキー 「おいおいおい。馬鹿なこと言うな、それはうちの商品なんだから」
ブッチャー「お母さん、苦労したんだね。なぜこんなぼろい店に体を売ったの。どうせ売るなら、銀座クラブの高級店にしてほしかったよ」
リッキー 「てめえ、どこのガキだ」
ブッチャー「えっ」
リッキー 「どこのガキだって言ってんだよ」
ブッチャー「柿じゃないよ、桃だよ。桃から生まれた桃太郎だよ」
リッキー 「苗字は?」
ブッチャー「えっ?」
リッキー 「だから鈴木とか、佐藤とか。桃太郎の上の名字」
ブッチャー「ない」
リッキー 「ない? なんでないんだよ」
ブッチャー「それについては、本に書いてなかったんだよ」
リッキー 「お前な、怪しいんだよ。桃置いて、帰りなさい(と、桃を奪い取る)」
ブッチャー「おじさん、やめなよ(と、桃を取り返そうとする)」
リッキー 「壊れちゃうだろ」
ブッチャー「お母さん」
リッキー 「うちの商品なんだから(と、桃を奪い取る)」
ブッチャー「おじさん」
リッキー 「なんだよ」
ブッチャー「今ので、その桃は僕の本当のお母さんだということがわかったよ」
リッキー 「どういう意味だよ」
ブッチャー「今、おじさんと僕、引き合っただろ」
リッキー 「引き合ったって」
ブッチャー「お母さんが痛いと言って、僕はすぐ手を離した」
リッキー 「うん?」
ブッチャー「だから僕は、本当の息子だよね。おじさんは、本当の息子じゃないんだよ」
リッキー 「当たり前だよ。当たり前なんだよ、俺はただの八百屋のおっさんなんだよ。なんで俺がこの桃の息子になるんだ」
ブッチャー「子供、子供って僕を馬鹿にしてるな」
リッキー 「何だよ」
ブッチャー「こうなったら、(刀を抜いて)刀にものを言わせてやる」
リッキー 「ちょっと待て、お前。桃一個ぐらいでそんな物騒なこと。わかったよ」
ブッチャー「(甲高く小さな声で)おじさん、悪いことしてるね。(元に戻って)そうだね。(また甲高い声で)こうなったらみんな」
リッキー 「(刀で桃太郎の頭を叩く)」
ブッチャー「あたっ」
リッキー 「何やってんだよ、刀にモノ言わせて。ほとんどみんな、一瞬何やってんのかわかんなくなってたじゃないか。えっ、何考えてんだ」
ブッチャー「ちきしょー。こうなったいくぞ。ポンポンポンポンポン。桃から生まれた、桃太郎(桃太郎侍の真似)。(いきなり斬りかかる)」
リッキー 「(とっさにかわす)」
ブッチャー「ひと~つ、人の生き血をすすり。ふた~つ、不埒な悪行三昧。みっつ、醜いこの世の鬼を、退治してくれよう。」
リッキー 「(袖から刀を持ってきて)待て、待て、待て、とうとう抜きやがったな。こうなったらな、俺もこれでいくぜ」
ブッチャー「畜生」
リッキー 「(太刀でのやり取りの後)おう、腕を上げたな(と刀を下段に構える)」
ブッチャー「お、腕を下げたな」
リッキー 「つまんないこと言うな。いくぞ」
ブッチャー「おう」
リッキー 「(太刀でのやり取りの後、頭を叩く)」
ブッチャー「(泣きながら)痛い」
リッキー 「何なんだ、坊や。もう、帰りなさい」
ブッチャー「(近づいてきたところを突き刺す)へへへ、油断したな。さあ、おじさん、お母さんを返せ」
リッキー 「泣いてるのか笑ってるのか、わかんないんだよ、お前の顔は」
ブッチャー「さあ、どうするんだ。こうなったらな、懐にあるお前のお母さんを返してもらおうじゃないか」
リッキー 「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ(と、取り出した包丁で刺そうとする)。うるさい、商売人はこれぐらいやるんだよ。一歩でも動いてみやがれ、この桃の命はないぞ」
ブッチャー「はあ、はあ、はあ」
リッキー 「なに、お前のお袋だ? じゃあおふくろの太ももでも拝もうじゃないか。(舐めながら)甘いじゃないか」
ブッチャー「畜生、その桃質を放せ」
リッキー 「ただじゃ桃質は放せねえな」
ブッチャー「畜生。いったい何が目的なんだよ」
リッキー 「金だ、金を出せ」
ブッチャー「金!」
リッキー 「そうだよ」
ブッチャー「いくらだ」
リッキー 「二百円だ」
ブッチャー「二百円! お母さん、たったの二百円だったの?」
リッキー 「確かに二百円は安いかもな。二百五十円にしよう」
ブッチャー「おじさん、最初の値段で買い取るよ」
リッキー 「最初の値段?」
ブッチャー「二百円(とお金を出す)」
リッキー 「二百円で買う、よし(二百円を受け取り、桃を渡す)。はい、毎度あり」
ブッチャー「お母さん、いっしょにいようね(とスキップを踏みながら帰っていく)」
リッキー 「何なんだ、あいつはいったい。しかしねえ、私も長いこと八百屋やってるけれど、桃一個売るのにわけのわからない」
ブッチャー「(走って戻ってくる)おじさん」
リッキー 「なんだよ」
ブッチャー「お母さんが、妊娠してたよ」
リッキー 「お前ね、あげたんだから黙って帰ってよ」
ブッチャー「見てよ、こんなにお腹大きくなっちゃって」
リッキー 「妊娠するわけ……あら、あらららら、こんなになっちゃって」
ブッチャー「おじさん、おじさん」
リッキー 「ば、馬鹿なこと言うなよ、お前。いくら俺がいい加減な八百屋のおやじだといっても、自分の店のものに手を出すなんて、そんなことしないよ」
ブッチャー「そりゃーまずいよー」
リッキー 「わかった。(店先から別の桃を取り出し)ほら、見ろ。これが好き桃って感じで、箱の中にごんごらごんごら生ってるんだよ」
ブッチャー「そうか、わかった」
リッキー 「なにが」
ブッチャー「お母さんは箱の中にいっぱいいるけれど、おじさんが僕の本当のお父さんだったんだね」
リッキー 「息子か」
ブッチャー「おとーさーん」
リッキー 「そんなはず、ないだろ」
(『笑ってる場合ですよ』で見たもの)根暗コント。二人で暗い言葉を言いながら卓球をするもの。サーブして「太陽の黒点」(時代的には『お笑いスター誕生』に出る前) 。
 ランドセルをしょった少年とサラリーマンのコント。その少年はサラリーマンの同級生。SFみたいな妙なコントでした。
エピソード
 「お笑い君スタ」「テレビ演芸」「お笑いスタ誕」すべてにチャレンジしている。他にすべてチャレンジしているのは、ダウンタウンだけ。
 彼らが、一発屋の名前ばかり並べたネタの時、やすしが司会者にあるまじき「落ちを先に大声で言って邪魔する」行為をやっていた記憶があり、あの手のネタは、やすしは嫌いなのだと思いました。
 しかしそれ以外の時はブッチャーは買っていたように思います。
 しかしながら、尼崎生まれで尼崎在住の私からすると、ミスターちんや太平シローなどと同様に関西人特有の、頭から2文字目に妙に力を入れる妙な訛りがあって、これが楽しめないので売れにくいだろうと、思っていました。
 誤解があってはいけませんが、多くの大阪弁のまま通す芸人や石倉三郎など、完全に克服してる芸人はこの訛りは、ありません。
感 想
 『ザ・テレビ演芸』他のチャレンジャーと比べても実力は段違いでした。グランドチャンピオン候補。同大会では、『目蒲線物語』のおおくぼ良太と接戦でした。
著 書
 岡博之『サンミュージックなお笑いの夜明けだったよ!:付き人から社長になった男の物語』(晶文社,2023)
その後・現在
 これから売り出すぞ、というときにリッキーが肺の病気で入院。ブレイクならず。
 その後はテレビ出演、ライブをこなしながら、スクールJCAで講師を務める。個人事務所を経て、1997年、サンミュージックに再所属。ライブを中心に活躍中。自身は売れないが、若手の良きアドバイザー的な立ち位置。若手芸人の寄席「東京ビタミン寄席」を主催。芸人スクールの常任講師を務めるなど、後進の育成にも尽力した。
 所属するサンミュージックのオフィシャルサイトサンミュージック内の所属タレント紹介に、活動情報などが載っています。
 ぶっちゃあオフィシャルブログ おやじのし・あ・わ・せがあります。たまにお笑いスタ誕の出演者も出てきます。
 『爆笑オンエアバトル』にも一度参加するが敗退。
 次回に期待!!
 ブッチャーブラザーズのオンエアバトル挑戦の事がかかれていましたが、それに補足する形で。
 挑戦したのは1999年の4月25日放送分、133KB(玉8、9個くらいか?)で11組中の最下位でした。敗者コメントはブッチャーさんが「引退しよう!」といって「さよなら」と笑っていました。ネタは何をやったかはわかりませんが、オープニングの映像ではブッチャーさんがあの歳で(失礼)ランドセルを背負った小学生の役でした。
 リッキーはサンミュージックに所属したまま、2000年に芸能プロダクション株式会社ソーレアリアを立ち上げた。
 2007年には渋谷にダイニングバー(昼はラーメン屋)を開く。ホールスタッフはソーレアリアの若手芸人、店長は元コントパロルの益田凡児だった。2008年には閉店したらしい。
 リッキーこと岡博之(62)は2018年9月、所属事務所サンミュージックの常務に就任。2021年4月1日付で副社長に昇格した。お笑い部門のプロデューサーとして、ぺこぱやメイプル超合金らをブレークさせた実績が高く評価された。
 岡博之は2023年11月6日、サンミュージックプロダクションの代表取締役社長に就任した。
 2022年4月1日、ブッチャーブラザーズ40周年+1 記念単独ライブ「副社長とコミッショナー~芸歴だけでなく肩書も増えました~」を東京・なかのZERO 小ホールで開催。
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名 前
フットワーク
初出場
 1983年3月5日(第3期)
実 績
 1週落ち。
ジャンル
 ギター漫才。
プロフィール
 男性3人組でした。そろいの赤いトレーナーを着てたと思います。
 アマチュア。ショーパブの店員だったとのことですから、正確にはセミプロか。
ネ タ
(1週目不合格 No.150 1983年3月5日放送)

 ヒップアップに酷似していました。審査員からもそれを指摘されてたような。それと、赤塚不二夫さんからは「ギャグがわざとらしい」と評されていました。
 「保母ブラジル」というギャグは受けていましたが。
エピソード
 フットワークは立ち位置だけが誉められてました。
感 想
 不明。
その後・現在
 お二人が現在、お店を開いているとのことです(2009年情報)。
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名 前
ブラック嶋田
初出場
 1982年9月18日(第2期グランプリシリーズ)
実 績
 8週勝ち抜き、金賞獲得。
 第3回ゴールデンルーキー賞出場。
 サバイバルシリーズ1回戦負け。
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦負け。
 第3回オープントーナメントサバイバルシリーズ出場。
 第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
 第7回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦進出。
ジャンル
 マジック。
プロフィール
 本名嶋田義成。1942年?生まれ。富山県出身。
 中学卒業後、上京して池袋のペンキ店へでっち奉公。23歳で関西ペイント特約店の営業マンになった。接待の席などを盛り上げようとマジックを始めたのが受け、メーカー主催のマジック教室で腕を磨く。1973年から4歳下の妻をアシスタントに、キャバレーのフロアショーに出演するようになり、1978年には埼玉県上福岡の自宅そばにマジックパブ「シルクハット」を開店。1980年にはサラリーマンを辞め、マジック1本となった。
ネ タ
 ちょっと小太りで動きも鈍く、手品をやる手つきも危なっかしい。ところが手品がきちんと成功している。そんなマジックで笑いを取っていました。
(1週目合格 No.127 1982年9月18日放送)

 まずはリングを使ったマジックを披露。続いて客に向かって語りかけながらハンカチで兎を作り(客席の子供たちが真似をしていた)、続いて赤いハンカチをニンジンに見立て、食べさせる。さらにコップに入ったミルクをストローで飲ませると、ミルクが減っていく。途中、私は上福岡よ、と客をちょっとだけいじる(蕨での収録)。ハンカチを開くと、中には何もない。もう一度ハンカチで兎を作り、ネットに入れてちょっと降ると本物の兎に変わる。さらに兎を箱に入れてハンドルを回ると、ローラーからぺったんこになった兎(の紙)が出てくる。箱を開けると紙ふぶきが出てきて、空っぽ。

 笑いは少ないが貫録はある、鮮やかだの評で難なく突破。
(2週目合格 No.128 1982年9月25日放送)

 ステッキを新聞紙で巻き、ハサミで切るとどんどん切れていく。新聞紙を開くと、ステッキはどこにもない。続いてしみじみと「手品をやります」、と言いながらロープを取り出し、真ん中をハサミで切り落とし、ロープを引っ張ると一本のまま。そこでしみじみと種明かしをする。その後、司会の山田を呼ぶ。山田は「マギーにも散々騙された」と言いながら横に並ぶ。一緒にロープを持ち、真ん中に結び目を作る。互いに結び目のあまり部分をハサミで切り、結び目を引っ張ると、嶋田の方は結び目が下まで落ちるが、山田の方は当然落ちない。紐を交換し、二人で紐を結び、輪っかを作る。さらに嶋田がひもを引っ張ると、どんどん大きくなっていく。
(7週目再挑戦合格 No.128 1983年7月16日放送)
(サバイバルシリーズ1回戦 80点× No.189 1983年12月3日放送)

 人間バッテリーのネタ。舞台の上に怪しげな機械があり、機械から出ている+と-の鰐口を腕につけると人間バッテリーになり、体の中に電気が蓄えられる。電球を口にくわえると電球が光る。ラジカセのコンセントを手に握ると、音楽が鳴り出す。コンセントを離すと止まる。
 その後、客席から一人壇に挙げ、同様の実験を行う。鼻の穴にコンセントを差すと、音楽が鳴る。

 どこがマジックなのか、さっぱりわからなかったし、それほど受けた様子もなかったが、審査員の受けはよく、合格した。
(8週目合格 No.129 1983年7月23日放送)

 新聞をちぎって元に戻そうとしているうちに、かけらを一つ落としてしまう。仕方ないやとそのまま続け、新聞は元に戻るけれど、落ちたかけら分だけ穴が空いているという、自分の手つきの危なっかしさを逆手に取ったネタを使っていました。
 その後、客席から一人段にあげ、袋に腕を通し、電気鋸で袋ごと腕を切り落とし、その後元に戻すマジックを見せる。

 はっきり言ってネタはバレバレ。審査員の後ろからタネが見えていたらしい。幸い金賞を受賞したが、審査員から「あくまでお笑いとしての金賞なので、マジックで食べていこうなんて考えないでね」と念を押されていた。
(9週目不合格 No.133 1983年8月13日放送)

 ライトの豆電球を次々に加えていく。水を飲み、紐を丸めて口に入れる。さらに水を飲み、口の中から紐に豆電球が付いて出てくる。
 客席から男性を上げ、血液の生態というマジックを見せる。瓶の中に入った自分の血を注射器で吸い取り、客に注射することで、あなたはマジシャンになったと言う。男性にトランプを引かせ、元に戻し、相手に好きなところで止めさせる。そしてひっくり返すと、見事当たっている。
 続いて鳥の柄の袋を取り出し、客に中に何も入っていないと確認させ、席に戻す。袋の中から卵が1個ずつ出てくる。なぜ卵が出て来るかと袋をひっくり返すと、鶏(の人形)になる。

 日本語がまずい、客の使い方が下手、手際が悪い、見ていてもそもそしていてイライラすると不評で、落選。手際が悪いのはいつものことだと思ったけれど……。
 口に電球をくわえると電球が光るマジック。登場時によく見せていました。
第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Eブロック 83点○ No.266 1985年6月15日放送)

 本の中から煙草が。
 火がないので本を開くと火が出たので、煙草に火を付ける。
 火のついた煙草を手の中に入れると、煙草が消える。
 ハンカチを、テーブルの上の空のグラスにかぶせる。
 手を握り、親指を口にくわえると、口から煙が出てくる。
 煙を手で掴み、ハンカチにかける。
 何回か繰り返し、手を開くと、そこには何もない。
 最後にハンカチを取ると、グラスの中には煙でいっぱい。

「こんにちは、ブラック嶋田です。人間の体にガスを吸入して、着火すると爆発するという手品をやりたいんですが。止めるなら今のうちですよ。よろしいですか、やりますよ。一歩間違えると、爆死する可能性がありますから、山田さんとミエさんは一歩離れて下さい。あ、審査員はそのままで結構です。死ぬときは一緒に死にましょうよ」

 ケースからビンみたいな物を取り出し、耳に当てる。
 口が膨らむ。
 マッチの火を近づけると、炎がばっと上がる。

「最後に、火のついた煙草を耳に入れます。1200℃くらいありますから、鼓膜が破れる。あまりもの熱さに、目から火が出るという手品をやります。ネタがなくなると、私は何でもやりますよ。和やかにやりますから、静かにならないように」

 火のついた煙草を左耳に入れると、右手を目に当て、小さな炎がばっと上がる。
「以上、ブラック嶋田でした」
エピソード
 笑いグラフが今ひとつだったわりには、なぜか審査員の評判が良かったです。
 ブラック嶋田が埼玉の上福岡でスナックをやってたのは有名ですが、自分の銀賞受賞祝いを自分の店でおこなうことになり、自分の店に掲げられてた横断幕には「ブラック嶋田来たる!」とかかれてたそうです。
感 想
 それほど面白いとは思えませんでした。本当にマジックで食べているのか、ちょっと不安でした。
 スタ誕でも番組の後半、あきらかに誰もがマンネリ化してたころ、神が降りてきたように面白くなったのは彼でした。
 1本だけ飛んできたテープがマイクにひっかかったのを「なんだこれ」といって払いのけたり、ある意味ネタ以外の部分でうけてました。
受賞歴
 1992年 第51回国立演芸場花形演芸会金銀賞金賞受賞(奇術)
 2000年 FISM2000リスボン大会 ステージ部門 日本代表、4位入賞
 2017年 蔚山国際マジックフェスティバル 最優秀ゲスト賞受賞
ビデオ
『笑って!!笑って!!コミックマジック大集合!』(コロムビアミュージックエンタテインメント,2006)
マギー司郎、ゼンジー北京、ジャック武田の他、ダーク大和、吉慶堂李彩、ザ・ビート、アダチ龍光、ブラック嶋田、東京コミックショー、ドルフィン・マジック・カンパニー等が登場。紹介はナポレオンズ。
その後・現在
 マジックパブ 『シルクハット』のオーナー兼各種パーティー等で健在です。
 現在もマジシャンとして活躍。特に煙草を使ったマジックの第一人者として有名。日本奇術協会会員。毎年3月に開かれる日本奇術協会主催のベスト・マジシャンズ・フェスティバルにも数回出演している。
 2001年、パラオ共和国の大統領就任式で煙草マジックを披露。
 2002年1月20日『笑点』の花として登場。なんとポンチョを付けてのスペイン風スタイル。「ベサメ・ムーチョ」(でいいんでしたっけ、タイトル)のリズムでマジックをやるブラック嶋田。煙草が手から消え、口を指で大きく横に開くと、そこに出てきたのは火のついた煙草。お馴染み(らしい)煙草のマジックでした。一応、笑いもありました。ひとことも喋らなかったのは残念。終わり方が中途半端なのは、嶋田さんらしかった(笑)。
 2018年現在、禁煙が当たり前の世の中になり、煙草マジックはどこでも煙たがられているとのこと。ちなみに煙草の煙は吸い込んでなく、ふかしているだけ。プライベートでは一切吸わず、肺もピンクのまま。最近は体自体がバッテリーになって電化製品を稼働させる電気マジックをメインにしているとのこと。その後、受動喫煙禁止法の成立で、劇場での煙草マジックは厳禁である。
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名 前
ぶるうたす
初出場
 1982年1月16日(第2期グランプリシリーズ)
実 績
 8週勝ち抜き、金賞獲得。
 第3回ゴールデンルーキー賞出場。
 サバイバルシリーズ1回戦負け。
 第1回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦負け。
 第4回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
 第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝進出。
ジャンル
 筋肉漫談。
プロフィール
 本名佐藤勉。1954年1月1日生。東京都出身。
 第17回関東大学ボティビル選手権第3位。大学卒業後、東映アクションクラブに参加。テレビ、映画に出演していた。
 お笑いスタ誕出演後は人力舎所属。
ネ タ
 ボディビルのポージング(10種類程度)をしながらしゃべりをする筋肉漫談でおなじみ。
(2週目合格 No.93 1982年1月23日放送)

 テレビムキムキがお送りするぶるうたすの筋肉ニュース

 こんばんは、筋肉ニュースのお時間です。
 今朝6時半頃、体の上半身に地震を感じました。震源地は胸部、いわゆる胸で、今も周期的に揺れています。それではこの模様を現場から中継でお伝えします。
 現場です。こちらでは今も恐怖の大胸筋ではこのように激しく揺れています(筋肉をピクピクさせる)。現場からでした。
 続いてのニュース。
 国民の人気が今ひとつの鈴木内閣ですが、田中内閣の日本列島改造論に対抗して、日本国民肉体改造論をぶちあげました。具体的な内容は、国民が3年ないし4年計画で見事な肉体美を築き上げ、自分の肉体を自分で尊重しこれを永遠の義務とするものです。これは当然自己満足によって満たされ、明るいナルシズム社会が形成されるというものです。さて、このプランが一日も早く実施されれば、日本列島は筋肉一色の肉景色に染まるのもそう遠くはないでしょう。
 続いてのニュース。
 国民にとって一番の悩みは、毎年物価問題でしょう。せめて食品面での節約を少しでもと考え、自給自足による筋肉の養殖です。これは食用に筋肉を使うわけですが、鍛えすぎて余った筋肉を食用とするわけで、少し痛いのが玉に瑕です。それでも自分のものだけに、我慢してでも経費節約となれば、仕方のないことでしょう。国民にこれが浸透すれば、筋肉も役に立ったとばかり、喜んでくれることでしょう。

(ポーズを決めて)
 スポーツニュース!
 さて、モスクワで行われている世界耐久選手権ですが、今日は三日目の模様をモスクワ特派員のヘラクレスさんに伝えてもらいます。
 こちらヘラクレスです。相変わらず肌寒いモスクワですが、それとは裏腹に私はなぜか裸になっております。これもナルシズムの新しい形でしょうか。
 さて、三日目は男子種目別が行われました。日本はもっとも得意とするお家芸の座高の部で優勝、見事金メダルを獲得しました。それでは日本選手の喜びの声をお聞き下さい。
「いやあ、本当に嬉しかったですね。なんせソ連選手は足が長いので、胴の長さでは勝ったと思いました」
 モスクワからでした。
 続いては、日本サッカーリーグの模様です。さて今日はハンマーマッスル対筋川電気の試合が行われました。この試合で得点王を狙うハンマーの岡野本は、今日見事バックからの……(ここは、不明)。結果はみごと2対0でハンマーマッスルが勝ちました。
 では続いて大相撲肉体場所。
 中入り上位陣の勝敗を、いつものようにせこく手動掲示板でご覧下さい。
 さて「顔面」には「おけつ」。すかして、「おけつ」の勝ち。
 「リーゼント」には「七三分け」。ツッパリで「リーゼント」の勝ち。
 「足腰」には「筋肉痛」。悪化して「筋肉痛」が負けております。
 「上半身」には「下半身」。もろ出しで「下半身」の負け。
 「骨川」には「肉体美」。見せつけて、「肉体美」の勝ち。
 上位陣は安泰といったところです。
(再びポーズを決めて)
 以上、スポーツニュースでした。

 筋肉予報。
 はじめに概要から。こうして全身を見ますと、逆三角形、がに股といった典型的なボディビル型の肉体の配置となっています。さて、上半身に張りつめていた熱帯性の筋肉痛も肩口からの寒冷シップによりようやく痛みが治まりました。続いて下半身からの移動性座骨神経性が来ているため、明日の後半から再び痛くなるでしょう。続いて各部の筋肉。胸部から背中にいったところは相変わらず筋肉に張りがあり、肩から腕にかけては土方仕事のためやや筋肉疲労が。明日は所によっては肉離れとなるでしょう。また、足腰にはぎっくり腰注意報が出ています。くれぐれも重いものにはご注意下さい。なお週末にはこの悪循環も収まり、久々の筋肉日和となるでしょう。行楽地にお出かけの際は、裸になりまして十分にナルシズムをエンジョイしてください。以上、筋肉予報でした。それではまた。
(3週目合格 No.94 1982年1月30日放送)

 テレビムキムキがお送りするぶるうたすの筋肉番組紹介。

 こんばんは。めっきり冷え込みも厳しくなり、筋肉にも震えが来る今日この頃(筋肉をぴくぴくさせる)、冴え皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 テレビムキムキがお送りする、筋肉番組紹介のお時間です。それでは、今夜の番組紹介から、いつものように筋肉ポーズでご紹介しましょう。
 さて今夜7時からは、にっぽん筋肉ふかし噺。今夜のお話は。村はずれにあるお地蔵さまは、見るからにたくましい、筋肉質の地蔵様じゃったが、誰一人お祈りするもがおらず、かわいそうに思った村一番のやせ男が、なけなしの自分の筋肉で作った、筋肉団子をお供えしお祈りしたところ、なんと、村一番の肉体美になったという、筋肉地蔵の恩返しという話です。あまりものくだらなさに、テレビの前のあなたも、きっとあきれ返ることでしょう。
 今夜8時からは、話題の番組、ふろポーズ大作戦です。毎回1時間余りの、風呂に浸かっての激しい筋肉ポーズの連続に、ついには筋肉もふやけてぐったり。それでもひたすら自己満足を貫き通しての、激しいポーズ、ポーズの嵐。あまりのナルシストぶりに、会場ファンもうんざり。今回も、風呂屋を貸し切っての独占生中継です。さて、明日10時は、お風呂に入ってあなたもポーズ、ふろポーズ大作戦です。
 さて、いよいよ今夜9時からは、お楽しみ、先生シリーズの決定版、3年ブタ箱、筋肉先生です。さて、校内暴力に悩む肉付き台高校では、学力を全く無視しての、体力だけの筋肉先生を迎えることにしたのです。しかし、新任早々、馬鹿力、クソ力を見せつけての、生徒全員が骨折という暴れぶり。終いには機動隊を導入する始末で、挙句の果てに筋肉先生、ブタ箱入り。体育系教師の恐ろしさを鋭く描いた話題の番組、筋肉先生は今夜9時です。
 それではここで、番組からのお知らせです。さて、テレビムキムキでは、明日の自己満足をあなたに約束するための、肉体づくりの専門学校、ナルシスト学院の生徒をただいま募集しております。あなたも自分の肉体美を自慢して、楽しい優越感に浸ってみませんか。詳しいお問い合わせのお電話は、東京03、378、2941。皆、肉良いです。お電話、お待ちしております。以上、番組からのお知らせでした。
 さてそれでは今度は、明日の番組から、本格的なナルシスト番組などを紹介しましょう。
 さて、明日8時からは、家族そろってお楽しみください。オールスター、家族対抗、筋肉合戦です。日頃、運動不足のスターとその家族が、自慢にもならない筋肉を見せびらかして競うという、本格的ナルシスト番組の決定版。果たして今回は、どのスターたちの家族の筋肉が優勝するでしょうか。明日8時は、オールスター家族対抗筋肉合戦です。
 さて、いよいよ明日の10時は、お楽しみ、筋ドン、良い肉、悪い肉、普通のバラ肉です。筋ちゃんの、ドーンと良い肉、選んでみよう。毎回、視聴者から送られてきた肉を、筋ちゃんが評価しての番組です。しかしほとんどが、良い肉ならず、悪い肉の贅肉の山に、筋ちゃんもさすがにがっくり。良い肉には、番組から筋肉ドン賞が贈られます。あなたも痛いのを我慢して、自分のお肉をちょっぴり送ってみてください。
 この後も、テレビムキムキの番組で、あなたも裸になりながら十分お楽しみください。たくましくなければ、筋肉テレビじゃない。チャンネルはそのまま、番組はテレビムキムキでした。
(4週目合格 No.95 1982年2月6日放送)

 いらっしゃいませ、いらっしゃいませ。筋肉の王様、肉体美の溜まり場、本日は当肉越デパートにお越しいただき、誠にありがとうございます。それでは本日、各店売り場をご案内いたしましょう。
 1階、肉越デパート化粧品売り場に置きましては、あなたの筋肉に張りとつやを与える、ニクボウ筋肉パックを発売しております。季節によって筋肉の色が分けられ、肉生堂マッチョカラーを取り揃えてお待ちしております。この夏はあなたの筋肉をカラフルに表現してみては、いかがでしょうか。
 続きまして3階、筋肉衣料品売り場に置きましては、ただいま、貧弱な肉体のあなたも、衣服の下につければたちどころに肉体美に変身する、ワコールの筋肉パッドを販売しております。胸の厚みに優越感を与えるあなたに、大胸筋胸パッド最新電動式により、このように動くようにもなっております(胸をピクピクさせる)。また喧嘩の弱いあなたには、見せるだけで相手をビビらせる、はったり用力こぶパッドでお楽しみください。
(6週目合格 No.97 1982年2月20日放送)

 明日のあなたに夢と希望をお送りする、ぶるうたすの筋肉コマーシャル特集パート2。
 筋肉ウイークエンダー。筋肉を売る筋肉屋のにくづき(人名)。筋肉はちぎれんばかりに売れ、にくづきにとっては痛い喜びになった。が、筋肉の在庫が底を尽き贅肉を筋肉と称して売る事になる。
「こんにちわ、筋肉チェックの肉坂浩二です。あなたは肉分が3%足りません」
 ところが、彼の筋肉を買った客が、見事なまでの肥満体になった。
「いやー。悲惨と言うよりは肥満な事件ですね」
 筋肉CM=筋肉チョコレート「ボッキー」(これって下ネタ?)
筋肉漫談

『ルックルックこんにちは』を文字って……「ムッキムッキこんにちは」というワイドショーパロディをやっていた。いちいち「ムッキムッキ」というところだけポーズをとっていた。
筋肉漫談

ぶるうたす「地震速報です。只今埼玉県にマグニチュード4.2の地震がありました。被害にあった地域は次の通りです。秩父(乳部)地方、震度3、縦揺れ、及び、横揺れ」……といいつつ、自らの胸の筋肉を乳首が揺れるように縦にも横にもピクピク動かしていた。
 審査員から「ネタは面白いがお昼時に見せるもんじゃない!!」とネタ以外で注意を受けていた。

 ぶるうたすの審査員の評価の半分は「その筋肉、ほかに再利用できないものか?」とかいうコメントが多かった。
(爆笑オンザステージ No.182 1983年10月15日放送)

 前振りから、この肉体は見せかけです。そしてトレーニングの勧め。
 バーベルを持って長嶋茂雄の真似をしながらトレーニング。具体性のないトレーニング。
 続いてバーベルを持って志村けんの真似をしながらトレーニング。すぐにぎっくり腰になって内容のないトレーニング。
 バーベルをじっと見ている近藤正臣。
(音楽が流れてきて)立川談志師匠。口先だけのトレーニング。
 レオタード姿の小森のオバちゃま。とても気持ち悪い。
 準備体操をしている東八郎。準備体操だけで疲れている。
 最後は石立鉄夫。
(サバイバルシリーズ1回戦Dブロック 77点× No.189 1983年12月3日放送)

 着流し姿に刀を差して登場し、殺陣を披露。
 拙者、ぶるうたすです。
(ここからいつもの口調)
 こんにちは、一人歩きの夜は物騒な今日この頃、外出の際、刀はお持ちでしょうか。気の弱いあなたも、これ1本あればたちどころに野獣に変身(と、抜きを披露)。これさえあればあなたも辻斬り気分、妖刀村正。
 この後、ニュースの時間。
 筋無力症から復帰した萬屋錦之介が、名前を萬屋筋肉之介に改名。記者会見にいるのはなぜか志村けん(で物真似披露)。しかし何をしに行っているのわかっていないようなので、直接会場を映す。刀を振り回しながら、萬屋錦之介の物真似披露。  続いて、高橋英樹の懐かしのシーン。「桃から生まれた桃太郎」のセリフとともに太刀を披露。担当記者の東八郎の物真似。
 懐かしの時代劇スターご紹介。旗本一大男の市川歌右衛門を、淀川長治が紹介。物真似後、市川歌右衛門の物真似披露。
 続いて勝新太郎の座頭市の物真似で、借金取りを斬る。担当記者の鳳啓介の物真似。
 もろ肌脱いで、時代劇スポーツニュース。
 荒木又右エ門が36人斬り。殺人罪で捕まる。
 江戸城での宮本武蔵と柳生十兵衛の午前試合。宮本武蔵が二刀流でおかまの雰囲気を出せば、柳生十兵衛は片目でウィンクで誘惑。二人が口論となり、結局上様の面前で二人が仲良く交際宣言を発表。
 時代劇スポーツニュースでした。
 すみません、ちょっとこの刀で人を斬ってくれますか? 今朝斬ったばかりだけど、うまく斬れるかな。それなら大丈夫。刃こぼれなし、切れ味最高の同田貫。子連れ狼も愛用。われら親子も愛用、今までの刀は解せん。切れ味最高、深剃りOK、同田貫。今日からあなたも尾上一刀。まいられ。(当時の電気髭剃りのパロディ)
 時代劇ニュース。考えてみれば、今までの筋肉ポーズが立ち回りに変わっただけで、さほどの変化は見られなかったようです。それでは時代劇ニュース、これにてごめん。
(五周年記念特別企画 傑作・名作特集パート2 No.258 1985年4月20日放送)

 白いジャケットと、前半分のワイシャツで登場。バーベルが置いてある。

 あなたは人前で裸になれますか? (服を脱ぎながら)私はなれます!
 これから人にとって必要なのは、学力ではなくて体力です。少しくらい馬鹿でも、体さえ丈夫なら、めったに死ぬことはありません。私がいい例です。
そういったわけで体力づくりといったら、なんといってもボディビルです。ボディビルは外見、見掛け倒しという方がいらっしゃいますが、そんなことはございません。ボディビルの体も一歩間違えれば、柔道、空手の有段者と同じように、立派な凶器です。私もやっておりまして、自慢するわけじゃありませんが、空手はこれです(と指二本を示す)。二日ほどやっておりました。
 ついこの間も、私の肉体が凶器だなと思った出来事がございまして、まあ車内の中の出来事でございますが、マナーの悪い、人の足を踏んで謝ったりしない、座席にふんぞり返って、挙句の果てに土足で上がってしまう、しかし社内暴力が怖くて、誰一人注意しない。私見てて誰一人注意しなかったのでこないだ注意したところ、その男反抗的に私に足蹴りなどしてきたもので、ついかッとなりまして、加減したつもりで、なんといってもこの体です。たった一発で相手は鼻血を出して失神、周りで見ていた人々がさすがだなといった顔をしながらも節々に、何もそこまでしなくてもいいのに、5,6歳の子供をつかまえて。あの時、自分の肉体は凶器だと思いました。
 さあ、今日はいろいろな方々の、個性的なトレーニングをご紹介しましょう。  まず最初は、人気タレント、所ジョージさんのトレーニング風景です。
「あのね、なんといったってこれですからね、すごいですね~。この春、バーベルを使う人は、丸。そうでない人は、いまいち。何にもしない人は、ダメ―。私のトレーニングはもちろん、ダメ―」
(音楽が流れて)さあ、寄席の雰囲気でトレーニングをしているのは、落語家の立川談志師匠です。
「(バーベルの前に正座して、ものまね。結局バーベルを上げない)」
 結局、口先だけのトレーニングです。
 さあ、部下に指導しながらトレーニングしているのは、Gメンでおなじみの俳優、丹波哲郎さんです。
「(小さなダンベルを上げ下げしながら)このバーベルを上げたところで何になる。失敗すればぎっくり腰、挙句の果てに脱腸だと。こんなことだから○○○になるんだ。いいか、一気に差し上げる。(バーベルを途中で上げるも、結局下す)いたたたた、見ろ、ぎっくり腰だ。どこから見ても変な奴」
 説得力に欠けるトレーニングでした。
 さあ、続いては、萬屋錦之介さんの、気合の入ったトレーニング。
「(中腰でバーベルを上げ下げして、おろしてしまう)笑わせるんじゃねえよ。バーベルってのはな、かけがえのないトレーニング器具なんだよ。それをおめえら、寄ってたかって虫けらのように扱いやがって。てめえら人間じゃねえや、たたっ斬る」
 萬屋さんの愛のこもった泣きのトレーニングでした。
 さあ、続いては紅一点、大屋政子さんのトレーニングです。
「うちなー、こんな重いもの上げたことないんよー。(以下ものまね続いて)ほなさいならー」
 気色の悪いトレーニングでした。
 さあ、一人ぶつぶつ言いながらトレーニングするのは、竹中直人さんです。
「(ものまね、結局バーベル上げない)」
 全くわけのわからないトレーニングでした。
 さあ、あなたもトレーニングで、筋肉の喜びを味わってみませんか。(バーベルを上げながら)バーベルが、あなたの自己満足を、お約束します。
第5回オープントーナメントサバイバルシリーズ準決勝Aブロック 82点× No.270 1985年7月13日放送)

 前回シリーズについての準決勝進出だ。裸一貫、ボディビルで鍛えた肉体は重く、口は軽い。決勝戦を目指して突進するは、ぶるうたすだ。

 体にいいこと、何かしている~。ピクピク動くは大胸筋、ねばねばするのは納豆菌。(誰も笑わないので、客席を睨み、ようやく笑いが起こる)
 ぶるうたす健康日記。
 ○月○日。晴れ。以前私は、新宿で若い女性がやくざ風の男に絡まれるのを見て、こうした光景を見ていると黙っていられない私としては、もちろんそのまま黙って見ていないで、さっさと帰ってきました。という情けないことがありましたので、今度こそ私はと思っていますと、そして今日、私はまったく同じ光景に出くわいました。私は思い切って言ってやりました。
「笑わせんじゃねえよ、てめえ。罪もない女を手籠めにしやがって。てめえら人間じゃねえや、たたっ切ってやる」
すると
「おもしれえ、やって見せてもらおうじゃないか」
 私は、えっ、面白い、萬屋錦之介の真似が、と思う間もなく、叩きのめされてしまいました。
 体にいいこと、何かしている~。血液中にはヘモグロビン、筋肉中にはミオグロビン。
 ○月○日。晴れ。私は今日、テレビ局の食堂で食事をしました。たくさんのスターに会えて、私も芸能人になった気分です。よく考えたら、私も芸能人でした。カツカレーを注文し、席について食べようとしていると、ちょうど目の前に丹波哲郎さんとお付きの人が、同じようにカツカレーを食べながら話をしていました。
「人間だけが死にたくないと思う。このカツカレーが、まずいとは思わんが。カツが載っているために、カレーに入っている肉本来の味が疎かになっている。トンカツの豚にも、霊魂は存在する」
 私はそれを聞いているうちに、気持ちが悪くなって食べられなくなりました。
 体にいいこと、何かしている~。
 ○月○日。晴れ。私がボディビルをやり出した動機は、強くなりたい、そしてプロレスラーになりたかったからです。でも、やられると痛いので、止めました。それならとりあえず、プロレスのリングアナウンサーにでもと考えたことがあります。なんとなくとってつけたような感じですが、実はその通りです。ちなみにここで、各プロレス団体のリングアナウンサーの真似をいたします。なんといっても活気のある、アントニオ猪木のある新日本プロレス。そして、色気がある女子プロレス。なぜか潰れてしまった、あのラッシャー木村がいた国際プロレス。なぜ国際プロレスがつぶれてしまったか。実はリングアナウンサーに原因がありました(下に置いてあったマイクを取り出す)。まずは新日本プロレスのパターン。
「(田中秀和の真似)本日のメインイベント。時間無制限1本勝負。試合に先立ちまして、両選手並びにレフリーに、花束贈呈です。赤コーナー、240パウンド。アントニオ~いの~き~。(いきなり猪木の真似で)なんだ、この、やるか。たあー!」
 完全に浮いておりましたが。そして女子プロレス。色気があるからか、リングアナウンサーも鼻声に。
「(片鼻を押さえながら)第三試合。三十分一本勝負。うっふん」
 そして問題の国際プロレス。潰れた原因はこれです。
「(ものすごく割れた大声で何をしゃべっているかよくわからないまま)ただいまよりIWA世界ヘビー級~」
 ただうるさいだけで、客が帰ってしまいます。悲惨なパターンです。結局このネタは、大したオチもないままに、ここで終わりです。プロレスのリングアナウンサーのものまねがしたかっただけです。
 体にいいこと、何かしている~。もりもりするのは二頭筋、ミルミル飲むのはビフィズス菌。
 ○月○日。晴れ。(ポーズを付けながら)ワオ。大した意味はありません。夏はボディビルをやっている人間の季節。海でプールで我々は目立ちます。なぜなら、ボディビルをやってる人間は、海やプールへ行ってもほとんど泳がない。からだ中にオイルを丹念に塗り、そして海辺やプールサイドでこのように、(歩きながら)行ったり来たり、行ったり来たりしているだけで、被害は加えません。そして今日、ボディビルをやっている仲間に海で久々に会いました。
「(ポーズをしながら)よう、しばらく見ないうちに、上腕二頭筋が太くなったね」
「(ポーズをしながら)やあ、君の上腕三頭筋も、なかなかだよ」
「(ポーズをしながら)でも、前腕筋が細いからな」
「(ポーズをしながら)でも、三角筋がいいじゃないか」
「(ポーズをしながら)腸腰筋のほうがいいよ」
「(ポーズをしながら)相変わらず大胸筋がでかいね」
「(ポーズをしながら)闊背筋もなかなか広いじゃないか」
「(腹を押さえながら)でも腹筋が弱いからな」
「乳酸菌は取ってるか?」
「ああ、ビフィズス菌も飲んでるよ」
「大腸菌には、気を付けろよ」
「ああ、夏は特に、陰金にも気を付けてるんだ」
「ところは今日は、なんで帰るんだ」
「ああ、今日は、大腿四頭筋を使って、歩いて帰るんだ」
「俺は大腿二頭筋とヒラメ筋を使って、歩いて帰るよ」
と話がつい弾み、日もすっかり暮れ、誰もいなくなってしまいました。
 体にいいこと、何かしている~。体にいいこと、何かしている~。大きくまとめて広背筋。小さくまとめて僧帽筋。
 ○月○日。晴れ。日頃から体を鍛えていると、抵抗力が違います。私もボディビルをやっているおかげで、(胸を叩きながら)このように叩いても、少ししか痛くない、強靭な肉体を持っています。そして今日、空手をやっている友達に、思いっきり胸を叩かせました。正拳突きがすごく、私の胸元にグサッと刺さりました。普通の人なら、打撲か捻挫でしょう。さすがに私です。軽い骨折で済みました。筋肉は鍛えても、骨までは鍛えられません。(踊りながら)♪骨まで、骨まで、鍛えてほしい~のよ~。新しいギャグについていかれない方がいらっしゃいます。
 体にいいこと、何かしている~。ハハ~やったぜパパ、決勝進出だ。なんちてな。おしまい。

 「準決勝でかなり緊張していた」「いつもの力が出なかった」「ネタの整理が今一つ。なんとかきんが多すぎた」
(第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ2回戦Cブロック 89点○ No.291 1985年12月14日放送)

「体にいいこと、なにかしている」(毎度おなじみのフレーズ)
 リクエストをいただいたので、と東八郎の真似をしながら新体操のリボンを振り回す。
 続いて筋肉コレクション、と題して道具を紹介。
 バーベルを紹介しながら長嶋茂雄の真似。
 エキスパンダーを紹介しながら丹波哲郎の真似。
 ハンドグリップを紹介しながら立川談志の真似。
 最後はバーベルを紹介するも、疲れてへとへと。最後はそのまま帰っていく。
エピソード
 オーディション時にはものまねで出ていた。しかしスタッフにインパクトが欲しいといわれ、脱いじゃったら、筋肉にこじつけたネタ作れと言われ、それが“ぶるうたす”の誕生になった。
ゴールデンルーキー賞1回目の審査で桂米丸師匠から
「最初だから緊張してるんだよね。筋肉漫談にメリハリを付けてみてはいかがかな、時にはヘラクレスのようにきりっとした表情で、時には爽やかな表情を見せるともっとよくなるんじゃないかなあ」
と指導されていた。
 第2回オープントーナメントサバイバルシリーズは、エントリーされていたシティボーイズのきたろうが交通事故にあったため、代打で出場。オープニングで山田さんや中尾さんに「あれ、ぶるうたす出てたっけ?」と言われ、「いや、実はきたろうさんが事故りまして……」と代打出場であることを説明していました。
「相撲合戦」のときの「ぶるうたす」
 優勝候補といわれながらも一回戦でいきなり勢いよく相手に立ち向かい戦いもせずにすぐにプールに飛び込んでいた。
 山田康雄らに「無駄な筋肉」と呼ばれていた。
番組を見に行った時にもらったチラシにて:
 公開録画を見に行くと、その日の出演者一覧みたいなチラシをもらうんですが、第6回サバイバルシリーズを見に行った時の事。確かぶるうたすの紹介の欄で、(第5回サバイバルシリーズの後に行われた)水上相撲大会で、ミスター梅介に敗北した事が書かれていました。それだけならまだいいんですが、「あの筋肉は見かけ倒しという事が判明」みたいなオチがついていて、思わず笑ってしまいました。
・レスラー志望だった。
・コインの収集をしている。
でんでんと劇団ひまわりで同期。
・足を折り、入院し、奥さんに逃げられた(すべて厄年)。
・楽屋の方が面白い(ああ、ぶるうたす、お前もか)。
感 想
 最初の頃は珍しく、結構面白かったのですが、いつまでたっても同じパターンで結局飽きられてしまいました。
テレビ
 『勝ち抜きポカポカドボン』テレビ東京。空とぶレフェリー役で。
(TBS『爆笑一気族』)
 ぶるうたすが出た時。点数がふるわず。会場に来た女の子に聞いてみたら、「最後に胸の肉をぴくぴくしたのが気持ち悪かった」との感想。対するぶるうたすは「胸をここまでするのに、10年かかったんだ」と言ったけど女性は、「それでもキモチワルイ」。50人会場で15名の挙手だったとおもいます。
 2002年頃、『とんねるずのみなさんのおかげでした』で「マネーのへら」という対決コーナーがあり、とんねるず石橋とKORNの対戦でぶるうたすがネタを披露していました。筋肉を見せながら天気予報のネタで「……ところにより、脳卒中でしょう。以上、筋肉も芸風も変わらない、ぶるうたすでした。」というしめでした。石橋はかなり懐かしがっていました。その当時ぶるうたすは成増で店をやっていて、近々芸能生活20年(?)記念の単独ライブをやるといっていました。ゲストはアゴ勇だったそうです。
C M
 「ハリックスゴーゴー」のCM出演。ただし体だけ。
 タマノ井酢 いなり寿司 南十字星プレゼントCM。(1982年)
 お笑いスター誕生のセットに似せて、「タマノ井すター誕生」になっている。
雑 誌
 『平凡パンチ』の巻末コーナーに登場。「ほっぺがコリコリしてきたので顔に筋肉がついたと喜んでいたら病気だった」と病床から撮影。唯一のレギュラー『勝ち抜きポカポカドボン』を降ろされて仕事が欲しいという内容でした。
その後・現在
 番組終了後はタレント、漫談、俳優などで活躍。その立派な体を生かしてAVにも出ていました。
 アゴ勇と組んで、アゴ&ぶるうというユニットを一時期組んでいました。
 現在は構成作家をやりながら舞台にも出演。今でも筋肉漫談である。
 あご勇さんの2023年2月8日のブログによると、2月4日に亡くなられたとのことです。
 あさひのぼるさんの2023年2月9日のtwiiterによると、69歳で、身体を悪くして、松葉杖をついた状態で施設に入っていたそうです。
 【ぶっちゃあTV】「お笑いスター誕生で鎬を削った若手芸人達が今ではジジイ芸人!まだまだ現役芸人続行中!」で、亡くなられたことを話していました。ご家族だけで葬儀をされたとのこと。
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名 前
ブレイク
初出場
 1985年10月12日(第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ
実 績
 第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦負け。
ジャンル
 漫才。
プロフィール
 片方は、ミヤ鈴丸・花丸を解散した花丸(テツヤ)。
ネ タ
(第6回オープントーナメントサバイバルシリーズ1回戦Dブロック 点数不明× No.287 1985年11月9日放送)

 片方がブレイクダンスを踊って、片方(テツヤ)が喋るネタだったと思います。

 確か『仮面の忍者 赤影』のカラス天狗の物まねってのがありました。
 やせた方(彼らの名前、全然知りません)が「なんかこいつ、『仮面の忍者 赤影』のカラス天狗に似てません?」と客席に振る。すかさず太った方が、「何を言うてんねん、誰がカラス天狗に…」とか何とか言いながら顔を下に向けて、ごそごそと前髪を額の真中に寄せ集めて「…似てんねん!」と言って顔を上げるとあら不思議、カラス天狗に変身しているという(笑)。ま、掴みとしてはまあまあでしたね。
感 想
 あまり面白かった印象はありません。
その後・現在
 解散。テツヤの方は、後に西田タカミ・キヨミのタカミと組んで、TTSを結成。
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